糖尿病療養指導士とは?受験資格や合格率、CDEJ・CDELの違いを解説

「糖尿病療養指導士の受験資格を満たしているのか分からない」「糖尿病の患者さまに療養指導をしているけれど、この説明で合っているのか自信がない」
そんな悩みを抱えている看護師の方はいらっしゃいませんか。糖尿病療養指導士は、糖尿病患者さまへの療養指導を深め、看護の専門性を高めたい方に適した資格です。
この記事では、糖尿病療養指導士の受験資格や取得までの流れ、費用、試験内容、合格率の実態などを解説します。自分がいつ受験できるのか、何から準備すればよいのかが見えてくるでしょう。
糖尿病療養指導士(CDE)とは?
ここでは、糖尿病療養指導士の概要や資格取得するとできるようになることをご紹介します。
糖尿病療養指導士とは
糖尿病療養指導士とは、糖尿病患者さまの療養生活を支援するための知識や経験を認定する資格です。糖尿病治療に必要な食事や運動、薬物療法、血糖測定などの自己管理(療養)について患者さまに指導します。
対象職種は、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師の5職種です。2026年6月現在、認定者は1万6,123人で、そのうち看護師・准看護師は6,947人と4割強を占めています。
なお、現在の受験資格に准看護師は含まれていませんが、過去には認められていました。第5回認定試験をもって終了したため、准看護師の認定者が存在します。
看護師が糖尿病療養指導士の資格を取得すると活かせること
資格取得により、病態や治療だけでなく、患者さまの生活背景まで含めて考える視点が身につきます。
たとえば、建築業とデスクワークでは生活リズムや身体活動量が異なるため、仕事の特徴を踏まえて支援を考えることが大切です。実際に、資格取得後は、糖尿病外来や患者会、透析予防外来などで専門性を活かして働いている方もいます。
看護師が糖尿病療養指導士を取得するメリット
おもな4つのメリットについて、それぞれを詳しく見ていきましょう。
糖尿病療養指導の専門知識を体系的に身につけられる
糖尿病に関する知識を学び、これまでの実務経験を整理できることがメリットです。
糖尿病の病態や治療、療養指導、合併症などを幅広く学ぶことで、これまでの業務で身につけてきた知識やスキルを関連づけて理解しやすくなります。また、資格取得後も定期的に研修に参加したり、更新したりすることで知識をアップデートできるため、根拠をもってサポートできるようになります。
患者さまへの療養支援の質の向上に生かせる
学習を通じて、患者さまの病状だけでなく、生活背景や治療への思いまで考慮した療養支援を実践しやすくなります。
実際に、糖尿病専門クリニックでは、患者さま一人ひとりに合わせたケアをおこなうほか、糖尿病教室や健康フェア、ウォークラリーなどの市民向けの行事にもスタッフやボランティアとして参加し、血糖測定や栄養相談などを担当しています。
資格で得た知識を日々の患者支援だけでなく、院内外のさまざまな活動に活かせる点も魅力です。
糖尿病チーム医療で専門性を発揮できる
糖尿病に関する専門知識を活かして、多職種と連携した療養支援に取り組めることがメリットです。
糖尿病治療では、医師や看護師だけでなく、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士などが連携して患者さまを支援します。専門知識を身につけることで、多職種と共通の知識をもって療養支援に取り組みやすくなります。
糖尿病看護のキャリアの選択肢が広がる
糖尿病療養指導士の資格を取得することで、専門性を示す材料になります。
資格取得だけで昇給や転職が保証されるわけではありませんが、糖尿病内科やフットケア外来など療養指導に力を入れている職場では、実務経験と資格をあわせて専門性のアピールにつながります。
糖尿病療養指導士になるには?
まずは、受験資格を満たしているか確認することが重要です。
糖尿病療養指導士の受験資格
受験には、受験年度の6月30日 時点で次の条件を満たす必要があります。
- 対象となる5職種のいずれかの資格を保有している
- 勤務先の医療施設が定められた施設要件を満たしている
- 過去10年以内に通算2年以上、療養指導業務に従事している
- 通算1,000時間以上、糖尿病患者の療養指導をおこなっている
- 自験例が10例以上ある
- 受験者用講習(eラーニング)を修了している
注意したいのが1,000時間の実務経験です。患者さまに療養指導をおこなった時間が対象となるため、勤務時間を合計すれば良いわけではありません。受験を考えた段階で、勤務先に糖尿病療養指導の実績を確認できるか、自験例を確保できるかを確認しておきましょう。
また、医療施設で医師の指示のもと業務に従事した期間が継続して6カ月に満たない場合は、医療施設での従事期間として算入されません。受験を検討する際は、認定機構の公式ホームページなどで最新の受験資格を確認し、自身が条件を満たしているか事前に確認しましょう。
糖尿病療養指導士の資格取得までの流れ
おもに次の流れで進みます。
- 公式ホームページから申し込む
- 受験者用講習を受講する
- 受験資格審査を受ける
- 客観試験(CBT)を受験する・自験例の記録審査を受ける
- 合格し認定される
試験会場は全国のCBTテストセンターであり、CBT方式(パソコンを使用して受験)の試験となっています。画面に問題が表示され、その答えを選択して回答します。2025年度から試験制度が変更され、現在は10月に受験申請を行い、翌年1月末~2月末に客観試験(CBT)を受験します。
2026年度は、受験申請期間が2026年10月1日~10月31日、客観試験が2027年1月28日~2月28日です。なお、試験制度やスケジュール、認定証・認定バッジの交付時期は年度によって変更される可能性があるため、最新年度の公式情報を確認してください。
糖尿病療養指導士の取得にかかる費用
資格取得には、受験者用講習の費用や受験料などが必要です。
2026年度の費用
- 講習受講料:3万3,000円
- 受験料:2万2,000円
受験料だけでなく、学習教材の購入費用や受験する際の交通費などの費用も見込んでおくと安心です。
糖尿病療養指導士資格の更新
糖尿病療養指導士は、5年ごとに認定更新が必要です。
認定更新を3回重ねると、金色の認定バッジが取得できるため、これをモチベーションに取り組むこともおすすめです。更新要件は変更される場合があるため、最新の条件は認定機構の公式サイトで確認してください。
糖尿病療養指導士の合格率と難易度
糖尿病療養指導士の合格率は90%前後で推移しています。2025年度は378人の看護師が受験し、合格率は94.4%(全職種は95.4%)でした。
一方で、条件を満たす必要があるため、誰でも受験できる試験ではありません。
認定試験の合格率だけを見ると難易度は高くありませんが、受験資格を満たすまでの実務経験や準備には一定のハードルがあります。資格取得を目指す場合は、糖尿病療養指導の経験を積みながら、自験例や実務時間を確認しておくことが大切です。
糖尿病療養指導士の勉強方法
認定機構が案内する「糖尿病療養指導ガイドブック」を中心に、病態や治療、療養指導に関する知識を学ぶことが大切です。
まずはガイドブックを一通り確認し、糖尿病の基礎から治療、合併症、療養指導までどのような内容を学ぶ必要があるのか全体像を把握しましょう。そのうえで、理解が不十分な分野を重点的に復習すると、効率的に学習を進められます。
また、現場での経験と学習内容を結びつけることも有効です。これまで糖尿病患者さまへの療養指導で経験したことを振り返りながら学ぶことで、実際のケアと関連づけて理解しやすくなります。
日本糖尿病療養指導士(CDEJ)と地域糖尿病療養指導士(CDEL)・糖尿病看護認定看護師の違い
ここでは、日本糖尿病療養指導士と地域糖尿病療養指導士・糖尿病看護認定看護師との違いを解説します。
日本糖尿病療養指導士(CDEJ)と地域糖尿病療養指導士(CDEL)の違い
糖尿病療養指導に関する認定制度には、全国共通の「日本糖尿病療養指導士(CDEJ)」と、地域ごとの団体が認定する「地域糖尿病療養指導士(CDEL)」があります。
| 項目 | 日本糖尿病療養指導士 | 地域糖尿病療養指導士 |
| 認定 | 日本糖尿病療養指導士認定機構 | 地域ごとの認定団体 |
| 活動範囲 | 全国 | 各地域 |
| 受験資格 | 全国共通 | 団体によって異なる |
| 更新制度 | あり | 団体によって異なる |
地域糖尿病療養指導士は地域によって制度が異なり、東京都では3年ごとの更新制です。また、東京糖尿病療養指導士認定機構では、地域の医療スタッフを対象とした認定やスキルアップ研修を実施しています。地域によっては、このように独自の研修などを通じて、糖尿病療養指導に必要な知識を継続して学べる環境が整えられています。
日本糖尿病療養指導士(CDEJ)と糖尿病看護認定看護師の違い
日本糖尿病療養指導士と糖尿病看護認定看護師は、どちらも糖尿病に関わる資格ですが、対象者と専門性が異なります。
| 項目 | 日本糖尿病療養指導士 | 糖尿病看護認定看護師 |
| 対象 | 5職種 | 看護師 |
| 制度 | 日本糖尿病療養指導士認定機構 | 日本看護協会 |
| 特徴 | 糖尿病療養指導に関する専門資格 | 糖尿病看護に関する高度な看護実践 |
| キャリア | 多職種連携・療養指導 | 専門的な看護実践・指導・相談など |
糖尿病看護認定看護師になるには、認定看護師教育課程の修了といった要件を満たす必要があります。一方、日本糖尿病療養指導士は、対象となる職種で一定の実務経験を満たすと、働きながら取得を目指せる点が特徴です。
療養指導の知識を身につけたい場合は日本糖尿病療養指導士、看護実践や指導・相談などの役割を担いたい場合は糖尿病看護認定看護師が、それぞれの目的に応じた選択肢となります。
関連記事:糖尿病看護認定看護師になるには?資格取得の流れと必要な費用、年収の実態を解説
糖尿病療養指導士を目指す前に確認したいこと
糖尿病療養指導士を目指すなら、申し込み前に次の項目を確認しておきましょう。
| 糖尿病療養指導士の受験前チェックリスト □対象となる5職種に該当している □過去10年以内に通算2年以上の糖尿病療養指導経験がある □通算1,000時間以上の直接療養指導をおこなっている □自験例10例以上を確保できている □勤務先の医療施設が施設要件を満たしている □受験者用講習の受講条件を確認した □最新年度の試験日程・受験料を確認した □CDEJとCDELのどちらを目指すか決めた |
まずは勤務先の施設要件と、自分の実務経験・1,000時間・自験例を確認することから始めましょう。
糖尿病療養指導士に関するよくある質問
ここでは、糖尿病療養指導士についてのよくある質問をQ&A形式でまとめました。
Q1.糖尿病療養指導士の自験例とは何ですか?
自験例とは、自身が実際に糖尿病患者さまへ療養指導をおこなった症例の記録のことです。
認定試験では、受験申請時に10症例の提出が必要です。患者さまの個人情報に配慮しながら、指導内容や患者さまの反応などを記録します。
Q2.糖尿病療養指導士を取得すると給料は上がりますか?
資格を取得しただけで、必ず給料が上がるわけではありません。
資格手当や昇給への反映は勤務先によって異なります。取得を検討する際は、現在の職場に資格手当や評価制度があるか就業規則で確認しておきましょう。
Q3.糖尿病療養指導士は働きながら取得できますか?
現在の仕事を続けながら、資格取得を目指すことは可能です。
ただし、受験には条件があります。受験者用講習はeラーニングで受講できるため、勤務時間以外に学習時間を確保しながら準備できます。
Q4.糖尿病療養指導士になると求人数は増えますか?
資格を取得したことで、求人数が必ず増えるとはいえません。
ただし、糖尿病内科や糖尿病患者への療養指導に力を入れている医療機関では、資格を活かせる可能性があります。転職を考えている場合は、「糖尿病療養指導士」「糖尿病療養指導」などの条件で求人を探してみると良いでしょう。
Q5.糖尿病療養指導士を取得すると診療報酬の加算に関係しますか
資格を取得しただけで、診療報酬の加算が算定できるわけではありません。
診療報酬の算定には、それぞれ施設基準や人員配置、実施内容などの要件があります。糖尿病療養指導士の資格が関係する場合もあるため、勤務先で算定している項目や最新の診療報酬上の要件を確認することが大切です。
糖尿病療養指導士は糖尿病看護の専門性を高めたい看護師におすすめの資格
糖尿病療養指導士は、糖尿病患者さまへの療養指導を深めてケアの専門性を高めたい方に適した資格です。
一方で、資格を取得しただけで給料や求人数が増えるわけではありません。資格を取得した後、どのような環境で知識や経験を活かしたいのかまで考えておくことが大切です。
経験を活かせる職場や、資格取得を支援する医療機関への転職を考えている方は、訪問看護専門の求人サイトナスキャリ(NsPace Career)も活用してみてください。求人情報だけでなく、教育体制や資格取得支援の有無なども確認しながら、今後のキャリアに合った職場を探せます。
<参考サイト・文献>
資格取得までの流れ|一般社団法人日本糖尿病療養指導士認定機構
受験者数・合格者数・合格率 職能別集計|一般社団法人日本糖尿病療養指導士認定機構
全国のCDEL団体|公益社団法人日本糖尿病協会 認定看護師|公益社団法人日本看護協会
| 監修:飛鳥馬 沙耶(あすま さや)/訪問看護ステーション 管理者 HCU・高度急性期病棟にて約6年間、循環器・心臓外科・脳外科領域を中心とした急性期看護に従事。2023年より訪問看護ステーションの管理者として、在宅医療の現場に携わる。専門領域は、訪問看護・在宅医療、急性期看護。 |
ナスキャリナビ 編集部 「ナスキャリナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「ナスキャリ」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
