糖尿病看護認定看護師になるには?資格取得の流れと必要な費用、年収の実態を解説

「糖尿病看護の認定看護師になるためにはどうすれば良いの?」「糖尿病看護の分野でもっとスキルアップしたい」
このように悩んでいる看護師の方はいらっしゃいませんか。糖尿病看護認定看護師は、糖尿病の患者さまに対して、専門性の高いケアを提供する認定看護師資格の1つです。
この記事では、糖尿病看護認定看護師の資格取得までの流れや費用、年収に加え、メリット・デメリットや向いている人の特徴を解説します。これから取得を検討している看護師の方は、ぜひ参考にしてください。
糖尿病看護認定看護師とは?
糖尿病看護認定看護師は、糖尿病の患者さまがその人らしい生活を送れるようにサポートするスペシャリストです。ここでは、役割や仕事内容、活躍する場所などをご紹介します。
糖尿病看護認定看護師の役割と仕事内容
糖尿病看護認定看護師には次の3つの役割があります。
- 実践:血糖管理やフットケアなどを実施
- 指導:ほかの看護師に知識や技術を教え、看護レベルを向上
- 相談:ケアに悩むスタッフに対し、専門的な視点からアドバイス
糖尿病は、さまざまな合併症を引き起こす可能性がある病気で、食事や運動などの生活習慣の改善が治療の中心となります。患者さまが無理なく治療を続けられるよう、医師や栄養士と連携して患者さまの生活を支えるのがこの仕事の特徴です。
糖尿病看護認定看護師が活躍する職場
2025年12月時点の日本看護協会の調査によると、B課程を修了した糖尿病看護認定看護師(353名)がおもに活躍している場所は次のとおりです。
- 病院:307名
- クリニック:26名
- 訪問看護ステーション:4名
具体的には、病院では糖尿病教室の講師やフットケア外来を担当し、訪問看護では自宅でのインスリン管理や食生活の確認を通じて、生活に合わせたアドバイスをおこないます。急性期から在宅まで、患者さまのセルフケア能力を高めるプロフェッショナルとして、さらに活躍の場が広がっていくでしょう。
糖尿病看護認定看護師の1日のスケジュール
糖尿病看護認定看護師の1日のスケジュール例をまとめました。ただし、所属する部署(病棟・外来・糖尿病センターなど)によって、業務の流れは異なります。
| 時間 | 業務内容 |
| 8:30 | 出勤・情報収集・チームでの打ち合わせ |
| 9:00 | 受け持ち患者さまのケア |
| 11:00 | 医師や管理栄養士との多職種カンファレンス |
| 12:30 | 休憩 |
| 13:30 | 他部署からの依頼(フットケア回診・インスリン指導) |
| 15:00 | スタッフへの勉強会や技術指導 |
| 16:30 | 記録作成・翌日のスケジュール調整 |
| 17:30 | 業務終了 |
所属部署の仕事をこなしつつ、院内の糖尿病ケアの質を上げるために動く1日になります。
糖尿病看護認定看護師になるには?
糖尿病看護認定看護師になるには、実務経験を積んだうえで指定の教育機関で学ぶ必要があります。
- 糖尿病看護認定看護師になるまでの流れ
- 糖尿病看護認定看護師の学校一覧と研修内容
- 糖尿病看護認定看護師の試験内容と合格率
- 認定看護師制度の変更点
まずは、資格取得までの流れを把握することから始めましょう。大まかな流れを知ることで、自分に必要なものが見えてきます。
糖尿病看護認定看護師になるまでの流れ
これまでの看護師としての経歴が、糖尿病看護認定看護師の受験資格を満たしているか確認してみてください。
| ステップ | 流れ | ポイント |
| ステップ1 | 実務経験 | 看護師免許を取得した後、通算5年以上の実務経験(うち3年以上は糖尿病看護の分野) |
| ステップ2 | 教育機関に入学 | 日本看護協会指定の教育機関の入学試験に合格(筆記試験、小論文、面接など) |
| ステップ3 | 講義・実習 | 約1年間、教育課程(講義や臨地実習)で糖尿病看護の知識と技術を習得 |
| ステップ4 | 認定審査に合格 | 日本看護協会が実施する認定審査(筆記試験)に合格 |
| ステップ5 | 認定登録 | 認定審査に合格し、所定の手続きをおこない登録 |
資格取得までの流れを把握することで、具体的な準備や行動をイメージできるでしょう。
関連記事:認定看護師になるには?条件や取得までの流れ、資格取得によるメリットも解説
糖尿病看護認定看護師の学校一覧と研修内容
2026年4月現在、糖尿病看護認定看護師を目指せる教育機関は、東京都にある日本看護協会の看護研修学校(定員数:30名)です。開講校は年度により異なるため、最新情報は日本看護協会の公式ホームページで確認してみてください。
また、研修内容には糖尿病看護概論や合併症の病態、治療法やフットケアなどが含まれています。カリキュラム時間数は829時間であり、約1年間かけて最新の糖尿病看護を学ぶことになります。
糖尿病看護認定看護師の試験内容と合格率
教育機関を修了した後に受ける認定審査は、筆記試験(マークシート方式・四肢択一)で、合格率は例年高めです。
カリキュラムで専門知識をしっかり習得した人が受験するため、学習内容が身についていれば合格できる可能性があります。試験では糖尿病の病態生理や合併症の知識、心理的サポートなど実践的な内容が問われます。
認定看護師制度の変更点
認定看護師制度は、2026年3月現在、従来の制度(A課程)から特定行為研修を組み込んだ新制度(B課程)への移行期間中です。
B課程を修了すると、医師が作成した手順書にもとづき、一定の条件下で血糖コントロールに関連する薬剤の投与量調整などの特定行為を実施できるようになります。これから資格取得を目指す方は、B課程で学ぶことになります。
糖尿病看護認定看護師になるために必要な費用と期間
ここでは、糖尿病看護認定看護師になるために必要な費用と期間についてご紹介します。
必要な費用
糖尿病看護認定看護師の資格取得に必要な費用の目安は、入学金や授業料を合わせて約114万円です。看護研修学校を一例に、その内訳を見ていきましょう。
| 費用の内訳 | 目安 |
| 入学検定料 | 5万円 |
| 入学金 | 5万円 |
| 授業料 | 99万4,000円 |
| 認定審査料 | 5万1,700円 |
| 合計 | 114万5,700円 |
これらに加えて、教科書代や実習の交通費、遠方から通う場合は宿泊費も必要です。休職や夜勤ができないことによる収入減の影響も忘れてはいけません。
病院の支援制度を活用することで、授業料や滞在費などが全額補助となる方もいれば、すべて自己負担という方もいます。所属先の支援制度の有無や内容によって、負担額が大きく異なるのが現状です。
また、費用の負担を抑えるために、日本看護協会の認定看護師教育課程奨学金の活用を検討してみましょう。
必要な期間
正式に認定看護師として登録されるまでには、おおよそ2年かかります。
出願の準備から始まり、教育機関での学習期間が約1年、その後の認定審査や登録手続きを合わせると2年が目安です。
たとえば、春に入学して翌年の春に修了し、秋頃に受験して登録という流れが一般的です。資格取得は長期にわたるため、ご家族の理解や職場の協力を事前に得ておくことをおすすめします。

糖尿病看護認定看護師の年収とキャリア
糖尿病看護認定看護師を取得することで、収入面や将来の選択肢にどのような変化があるのかを解説します。
糖尿病看護認定看護師の平均年収
糖尿病看護認定看護師の年収は600~700万円になると考えられます。これは、日本看護協会の調査による平均月収42万1,862円に、賞与2~4ヶ月分を加算したものです。
資格を取得した直後に収入アップできるわけではありませんが、長期的には年収が上がりやすい傾向があります。
糖尿病看護認定看護師を取得した後のキャリアパス
資格を取得することで専門性が評価され、看護主任や看護師長などの管理職への昇進につながりやすくなります。また、専門外来の立ち上げや地域の訪問看護など幅広いキャリアを描けるのも魅力です。
実際の事例として、「糖尿病看護外来」や「糖尿病フットケア外来」を担当したり、教育担当として院内のケアの質を高めるためのセミナー企画や運営の役割を担ったりすることもあります。とくに訪問看護では、糖尿病の在宅管理ニーズが高く、需要が伸びやすい分野です。
また、転職市場でも即戦力として評価されやすく、病院のスペシャリストから地域医療のリーダーまで自分の目指す働き方に合わせてキャリアを選択できます。
糖尿病看護認定看護師になるメリット・デメリット
資格取得にはやりがいがある一方で、乗り越えなければならない壁もあります。自分にとって目指す価値があるかどうか検討してみましょう。
糖尿病看護認定看護師になるメリット
糖尿病看護認定看護師になることで、ケアに自信が持てるようになり、スタッフから頼りにされる存在になれます。
- 患者さまの変化を実感できる
- ケアに悩む同僚から相談を受ける機会が増え、頼れる存在になれる
- 専門スキルを持つ看護師として転職や昇進で有利になる
専門的な知識と根拠にもとづいたケアを提供できるようになるため、患者さまの行動が変わる瞬間を間近で感じられます。たとえば、食事制限を守れなかった患者さまが「これならできそう」と前向きになり、検査数値が改善していく過程を見届けられることはやりがいにつながります。
糖尿病看護認定看護師になるデメリット
糖尿病看護認定看護師には、取得までの経済的負担に加え、取得後の役割の変化による多忙さが壁となります。
資格取得に向けた通学期間中は、夜勤手当の消失により一時的に収入が減少するほか、100万円前後の自己負担額の回収に5年以上を要するケースも珍しくありません。
また、他部署からのコンサルテーション依頼が増え、困難事例への介入やスタッフ指導が重なることで、資格取得前と比較して1回の勤務あたり1〜2時間の残業が発生する実例もあります。
「資格=即キャリアアップ」とは限らない現実を理解し、業務量と処遇のバランスを検討したうえで目指すことをおすすめします。
糖尿病看護認定看護師はどんな人に向いている?
糖尿病ケアは患者さまの生活にかかわるため、向き不向きがわかれる分野でもあります。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
糖尿病看護認定看護師に向いている人の特徴
糖尿病看護認定看護師は、患者さまの話をじっくりと聞き、歩調を合わせながら根気よく寄り添える人に向いています。
- 否定せず共感できる人
- 柔軟な提案ができる人
- 長期的な変化を喜べる人
患者さまの気持ちや生活背景を理解し、解決策を探す姿勢が求められます。また、これらの特徴に加えて、これから専門性を高めたい人や、教育・専門外来に興味がある人、キャリアアップを視野に入れている人にとっては、有力な選択肢の1つと言えるでしょう。
糖尿病看護認定看護師に向いていない人の特徴
糖尿病看護認定看護師は、年収アップを優先して考えている人や、短期間で成果を求める人には、向いていないかもしれません。
糖尿病ケアは、患者さまの長年の生活習慣に寄り添うことが求められるため、短期間での変化を期待すると、理想と現実のギャップに悩みやすいためです。
しかし、この結果を求める想いは、患者さまの健康を願う責任感の裏返しでもあります。対話するスキルを磨けば、そのもどかしさは「どう伝えれば、この人の生活に馴染むか」という、スペシャリストならではのやりがいに変わるはずです。
糖尿病看護認定看護師についてのよくある質問
糖尿病看護認定看護師を目指すにあたって、看護師が疑問に感じるポイントをQ&A形式でまとめました。
Q1:糖尿病看護認定看護師と糖尿病療養指導士の違いは何ですか?
糖尿病看護認定看護師と糖尿病療養指導士の違いは、次の表のとおりです。
| 項目 | 糖尿病看護認定看護師 | 糖尿病療養指導士 |
| 対象職種 | 看護師 | 看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士 |
| 受験資格 | ・看護師免許を取得した後、通算5年以上の実務経験(うち3年以上は糖尿病看護の分野) ・日本看護協会指定の教育機関を修了 | ・基準を満たした医療施設に勤務し、過去10年以内に通算2年以上糖尿病患者の療養指導業務に従事し、かつ通算1,000時間以上糖尿病患者の療養指導をおこなっていること ・上記の期間に、糖尿病療養指導の指導事例が10例以上あること ・日本糖尿病療養指導士認定機構が開催する講習(eラーニング)を修了していること |
| 費用 | 114万5,700円(2026年度看護研修学校の場合) | 5万5,000円(受講者用講習:3万3,000円、認定試験の受験料:2万2,000円) |
| 認定団体 | 日本看護協会 | 日本糖尿病療養指導士認定機構 |
糖尿病療養指導士は受験要件が比較的緩く、幅広い職種で共通の知識を証明するものであるのに対し、認定看護師は看護実践力と特定行為のスキルが求められます。高度な看護の実践とスタッフへの指導を担いたい場合は、認定看護師を目指すのが良いでしょう。
Q2:2026年度に開講している学校はどこですか?
2026年度の開講校は、日本看護協会の公式ホームページで最新情報を確認してください。
B課程への移行に伴い、開講状況や定員数は変わる可能性があるため、通える学校があるかチェックしましょう。募集要項は前年の夏〜秋頃に公開されることが多いため、早めに準備を進めることをおすすめします。
Q3:糖尿病看護認定看護師になると特定行為ができるようになりますか?
B課程の教育機関を修了していれば、一定の条件下で特定行為ができるようになります。
カリキュラムに特定行為研修が組み込まれており、血糖コントロールの状況に合わせてインスリンの投与量を調整するといった行為を、医師の手順書のもとで実施できるようになります。
Q4:糖尿病看護認定看護師が2026年に廃止されるって本当ですか?
資格自体が廃止されるわけではありません。
2026年度をもってA課程の教育機関が終了し、B課程に移行するため、これから目指す方は、B課程のカリキュラムでの受講となります。
関連記事:認定看護師制度はなくなるの?新制度への移行と資格を目指す人が知っておくべきこと
糖尿病看護認定看護師になるには5つのステップが必要!自分に合ったキャリアを選ぼう
資格取得には、実務経験から教育課程の修了、認定審査合格までのステップが必要です。長期的な挑戦になるため、周囲の理解や支援体制が整った環境選びが欠かせません。
現在の職場で「資格取得の支援が少ない」「専門性を発揮しにくい」と感じるなら、資格取得を応援してくれる訪問看護ステーションや、生活に寄り添ったケアができる職場に環境を変えるのも1つの手です。
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<参考サイト・文献>
認定看護師教育機関別の開講状況・定員数一覧(特定行為研修を組み込んでいる教育機関:B課程認定看護師教育機関)|日本看護協会
2026年度認定看護師教育課程特定行為研修を組み込んでいる教育課程(B課程)募集要項|日本看護協会看護研修学校
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