特別訪問看護指示書の回数制限は?1日複数回・週4日以上の訪問が可能かを解説

「特別訪問看護指示書が出た場合、何回まで訪問して良いの?」「1日に何度も訪問しても問題ないの?」と悩んでいませんか。
特別訪問看護指示書が交付されると、通常の週3回という上限がなくなり、1日複数回・週4日以上の訪問が可能になります。
この記事では、特別訪問看護指示書が出た際の訪問回数のルールや具体的なケース、注意点を解説します。「何回訪問できるか」「どのケースで何回が適切か」について自信を持って判断でき、利用者さまの急な状態変化にも落ち着いて対応できるようになります。
特別訪問看護指示書が交付された場合の回数制限
特別訪問看護指示書が出ると、医療保険での通常の訪問看護で設けられている「週3回まで」という制限がなくなります。
- 必要性に応じて1日複数回の訪問が可能
- 1日複数回・週4日以上の訪問が可能
- 主治医の判断と指示が必要
特別訪問看護指示書による頻回訪問は、指示があった日から起算して14日を限度として算定できます。集中的にケアできるため、「いつ・何回・何の目的で訪問するか」などを明確にした訪問計画を事前に立てておくことが重要です。
必要性に応じて1日複数回の訪問が可能
特別訪問看護指示書の期間中、利用者さまの状態に応じて1日に複数回訪問することが可能です。
ただし、特別訪問看護指示書が交付されていれば、無制限に何度でも訪問できるという意味ではありません。利用者さまの病状や医療上の必要性を踏まえ、主治医の指示や訪問看護計画に基づいて必要な頻度で訪問することが大切です。
頻回の訪問が必要な場合は、利用者さまの状態や実施したケア、訪問が必要となった理由などを訪問看護記録書に具体的に記録し、訪問の必要性を確認できるようにしておきましょう。
1日複数回・週4日以上の訪問が可能
特別訪問看護指示書が出ると、1日に2回・3回と訪問したり、週4日以上訪問したりすることが可能になります。
医療保険が適用されるため、集中的なケアを提供できる点が特徴です。特別訪問看護指示書の期間中は通常の週3回までという制限にとらわれず、利用者さまの状態に応じた訪問計画を組み立てられます。
主治医の判断と指示が必要
頻回の訪問看護を行うには、主治医が利用者の急性増悪などを踏まえてその必要性を認め、特別訪問看護指示書を交付する必要があります。
訪問看護ステーションは、指示内容と利用者の状態を踏まえて訪問看護計画を作成し、主治医と連携しながら必要な頻度で訪問します。日頃から主治医と連絡を密にとり、利用者さまの状態をこまめに共有しておくことで、必要なときにスムーズに特別訪問看護指示書を依頼できます。
関連記事:訪問看護の特別指示書が交付される条件とは?期間や回数のルールも解説
特別訪問看護指示書が交付された場合の訪問回数の具体例
特別訪問看護指示書が活用される代表的なケースを4つ紹介します。
- 1日2回以上の訪問回数になるケース
- 週4日以上の訪問が必要なケース
- 毎日訪問が必要になるケース
- 2つの事業所での対応となるケース
自分の担当する利用者さまに当てはまる状況がないか、確認しながら読んでみてください。
1日2回以上の訪問回数になるケース
| Aさん(80代・女性)は蜂窩織炎により両下肢に広範な炎症があり、朝と夕方の1日2回、創傷処置とガーゼ交換が必要な状態でした。痛みも強く、疼痛コントロールのため鎮痛薬の効果確認も朝夕に実施しました。主治医と相談のうえ、特別訪問看護指示書を取得し1日2回訪問の体制を組みました。 |
1日に2回以上の訪問が必要になるのは、医療的な処置を複数回おこなう必要がある場合です。処置の内容と実施時間を記録に残し、訪問回数の必要性を明らかにしておくことが、算定トラブルの防止につながります。
週4日以上の訪問が必要なケース
| Bさん(70代・男性)は誤嚥性肺炎で入院後に退院したものの、自宅での服薬管理や吸引処置に不安が強い状態でした。ご家族も高齢で介護に不慣れなため、退院直後の14日間は週5回訪問し、状態観察と家族指導をおこないました。 |
週4日以上の訪問が必要になるのは、状態が不安定な時期に集中したケアで支える必要がある場合です。こうした時期を乗り越えることで在宅での生活がスムーズになるため、計画を立ててケアしていくことが大切です。
毎日訪問が必要になるケース
| Cさん(90代・女性)は終末期の心不全で、浮腫や呼吸状態が日によって大きく変動していました。夜間の急変リスクも高く、ご家族の精神的負担も限界に近い状態であったため、主治医と相談のうえ特別訪問看護指示書を取得し、毎日の訪問体制を整えました。 |
毎日の訪問が必要になるのは、日々の状態変化が激しく、命にかかわるリスクがある場合です。毎日訪問することで状態変化を早期に察知でき、利用者さまとご家族の安心感にもつながります。
2つの事業所での対応となるケース
| Dさん(80代・男性)は誤嚥性肺炎の状態であり、1日2回の点滴投与が必要でした。しかし、担当の事業所が訪問に対応できない状況でした。近隣の別事業所と連携し、午前・午後で訪問を分担することで、必要なケアを継続できました。 |
特別訪問看護指示書の交付中など、一定の要件を満たす場合には複数の訪問看護ステーションが関わることがあります。ただし、複数事業所の利用可否や同一日の算定には細かな要件があるため、単純に午前・午後を別事業所で分担すれば双方が算定できるわけではありません。実際の運用では最新の算定要件を確認する必要があります。
特別訪問看護指示書が出て運用開始するまでの流れ
特別訪問看護指示書を受け取り、実際に訪問回数を増やして対応するまでの流れは次の5ステップです。
- 利用者さまの状態変化を把握する
- 主治医に速やかに報告・相談する
- 特別訪問看護指示書の交付を受ける
- 訪問回数や内容を再調整する
- 期間終了後の評価と通常指示への移行を相談する
各ステップをスムーズに進めるためには、日頃から主治医や事務スタッフとの協力体制を整えておくことが重要です。
1.利用者さまの状態変化を把握する
まず、利用者さまの状態が変化したことを把握します。
発熱や痛みの増強、バイタルサインの変化などを見逃さず、ご家族から「いつもと違う」という声があれば積極的に聞き取りましょう。些細な変化でも記録に残しておくと、主治医への報告が正確になります。
2.主治医に速やかに報告・相談する
変化に気づいたら、すぐに主治医に報告し、相談しましょう。利用者さまの現在の状態を伝え、頻繁な訪問が必要な理由を具体的に説明することが重要です。
「いつから」「どのように」変化したかを整理してから連絡すると、主治医も判断しやすくなります。
3.特別訪問看護指示書の交付を受ける
主治医が必要と判断したら、特別訪問看護指示書を発行してもらいます。受け取ったら、期間・指示内容・記載漏れがないかをすぐに確認しましょう。
とくに、指示書の有効期間の開始日と終了日はレセプト請求にも影響するため正確に把握しておく必要があります。厚生労働省のホームページにあるような、専用フォーマットを事前に準備して主治医に記載してもらえるようにするとスムーズです。
関連記事:特別訪問看護指示書の記入例を交付条件別に解説!看護師がチェックすべきポイントとは?
4.訪問回数や内容を再調整する
特別訪問看護指示書が出たら、すぐに訪問スケジュールを組み直しましょう。1日何回・週何回訪問するかを決め、スタッフのシフトを調整します。
新しいスケジュールはご家族にも丁寧に説明し、同意を得ておくことが大切です。複数のスタッフが対応する場合は、申し送りや記録の共有方法も確認しておくと情報の抜け漏れを防げます。
5.期間終了後の評価と通常指示への移行を相談する
特別訪問看護指示書の期間(最長14日間)が終わる頃に、利用者さまの状態を振り返り、主治医に結果を報告しましょう。
状態が落ち着いていれば通常の訪問に戻すことを含めて相談します。期間終了後もケアが途切れないよう、移行のタイミングをご家族にも伝えておくことが大切です。
特別訪問看護指示書がなくても頻回に訪問できるケース
特別訪問看護指示書がなくても、週4日以上の訪問看護を利用できる場合があります。代表的なのは次のケースです。
- 厚生労働大臣が定める疾患(別表第7)に該当する利用者さま
- 介護保険で訪問看護を利用しており、ケアプランに必要な訪問が位置づけられている利用者さま
医療保険による訪問看護は原則として週3日までですが、別表第7に該当する利用者はこの制限の対象外となり、週4日以上の訪問が可能です。
一方、介護保険の訪問看護には「週3日まで」という一律の回数制限はありません。利用者さまの状態や主治医の指示を踏まえ、ケアプランや訪問看護計画に必要性が位置づけられていれば、週4日以上訪問することも可能です。ただし、介護保険では要介護度に応じた区分支給限度基準額なども踏まえてサービス全体を調整する必要があります。
なお、別表第8に該当することだけを理由に、医療保険の訪問看護で週3日の上限がなくなるわけではありません。別表第7と別表第8では、訪問看護制度上の取り扱いが異なるため注意しましょう。
特別訪問看護指示書の回数についての注意点
訪問看護の回数制限がなくなるとはいえ、次の3点には注意が必要です。
- 過剰訪問と判断されるリスクがある
- 月またぎで訪問する際に回数を正しくカウントできない
- 指示期間の認識ズレで算定漏れが起きる
いずれも請求トラブルや返戻に直結するため、チームで事前に把握しておくことが重要です。
過剰訪問と判断されるリスクがある
状態が落ち着いているのに週4日以上訪問していると、審査の際に「過剰訪問」とみなされ、請求が認められないリスクがあります。
ケアの内容に対して訪問回数が多すぎると判断されるケースもあるため、訪問のたびに根拠を記録しておくことが重要です。利用者さまの状態の改善に合わせて、主治医に報告しつつ訪問回数を見直す姿勢が大切です。
月またぎでは指示期間と請求月の管理に注意する
特別訪問看護指示書の期間が月をまたいでも、「月が変わったから新たに14日間」という扱いになるわけではありません。指示日から起算した期間を正確に管理するとともに、各月の実施日を請求時に確認しましょう。
月が変わると計算が複雑になりやすいため、事務スタッフと連携し、どちらの月に何回訪問したかを正確に記録しておきましょう。月またぎの具体的なケース別の対応方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:【看護師向け】特別訪問看護指示書は月またぎできる?ケース別や注意点を解説
指示期間の認識ズレで算定漏れが起きる
主治医が意図した指示期間と、訪問看護師が把握している期間にズレが生じると、期間外の訪問が請求できなくなる算定漏れが起きます。
とくに、月またぎのケースや特別訪問看護指示書が再交付されるときはズレが生じやすいため、指示書を受け取ったら、期間の開始日と終了日をスタッフで確認し、カレンダーや記録システムに入力しておきましょう。疑問があれば必ず主治医に確認することが大切です。
特別訪問看護指示書の回数についてのよくある質問
訪問看護の現場で特別訪問看護指示書の回数について疑問を感じやすい点をQ&A形式でまとめました。
Q1:特別訪問看護指示書が交付されたら毎日訪問できますか?
はい、毎日訪問できます。
特別訪問看護指示書の期間中は週の回数制限がなくなるため、状態に合わせて毎日訪問することが可能です。ただし、主治医の指示があること、実際の病状に見合った回数であることが条件になります。
Q2:特別訪問看護指示書が交付されるとリハビリテーションの回数も変わりますか?
特別訪問看護指示書が交付されたからといって、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問回数を機械的に増やすわけではありません。訪問看護ステーションからのリハビリ職による訪問も指定訪問看護に含まれるため、利用者の病状や医師の指示、訪問看護計画に基づいて必要性を判断します。
特別訪問看護指示書は、単にリハビリの回数を増やす目的ではなく、急性増悪などにより一時的に頻回の指定訪問看護が必要な場合に交付されるものです。
Q3:特別訪問看護指示書は途中でやめられますか?
はい、途中でやめることは可能です。
指示期間が14日間あっても、主治医の指示があれば通常の回数に戻せます。利用者さまの状態の改善を確認したうえで、主治医に報告してから通常の訪問に移行しましょう。
特別訪問看護指示書が交付されると1日複数回・週4日以上の訪問が可能になる
特別訪問看護指示書が交付されると訪問回数の制限が緩和され、集中的なケアが可能になります。ただし、主治医の指示が必須であること、必要な回数に留めること、記録をしっかり残すことの3点を忘れずに運用しましょう。
この仕組みを正しく理解することで、利用者さまが急に体調を崩したときでも、自宅での生活をしっかり支えられます。
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<参考サイト・文献>
ナスキャリナビ編集部 「ナスキャリナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「ナスキャリ」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
