特別訪問看護指示書の記入例を交付条件別に解説!看護師がチェックすべきポイントとは?

「特別訪問看護指示書が出るって聞いたけど、どんなときに交付されるの?」「訪問看護指示書と何が違うのか良くわからない」
そう感じたことはありませんか。
特別訪問看護指示書は、利用者さまに頻回な訪問看護が必要と主治医が判断した場合に交付されます。
特別訪問看護指示書が交付されると、適用される保険が変わることがあります。算定ミスや返戻につながる場合もあり、正しい記載内容や訪問の注意点はしっかり押さえておくべきポイントです。
この記事では、特別訪問看護指示書の実際の記入例や交付条件、通常の訪問看護との違いまで詳しく解説します。訪問看護師になって間もない方、特別訪問看護指示書の特徴をしっかり理解したい方はぜひ参考にしてください。
特別訪問看護指示書とは
特別訪問看護指示書は、利用者さまの状態が急激に変化し、通常の訪問頻度では対応が難しいと主治医が判断した場合に交付されます。交付は原則として月1回ですが、気管カニューレを使用している状態や真皮を越える褥瘡がある利用者さまに限り、月2回まで可能です。
特別訪問看護指示期間中は、介護保険適用の利用者さまであっても、医療保険が適用されます。通常の医療保険とは訪問可能回数や、訪問可能な訪問看護ステーションの数などが異なるため、注意しましょう。
特別訪問看護指示書は頻繁には交付されません。実際の記入例を確認して、交付の条件やルールも理解しておくと、記載内容を正しくチェックできます。
関連記事:訪問看護の特別指示書が交付される条件とは?期間や回数のルールも解説
【状態別】特別訪問看護指示書の記入例
特別訪問看護指示書の書式は別紙様式18で、厚生労働省のホームページや、各都道府県の看護協会の関連ページから確認できます。
「特別訪問看護指示書」「在宅患者訪問点滴注射指示書」の共通フォーマットとなっており、該当する方を〇で囲み記載します。記載項目は以下のとおりです。
- 特別訪問看護指示期間・点滴注射指示期間
- 患者氏名・生年月日・年齢
- 病状・主訴
- 一時的に訪問看護が頻回に必要な理由
- 留意事項および指示事項
- 点滴注射指示内容
- 緊急時連絡先等
- 発行日
- 医療機関名・住所・電話番号・医師氏名・捺印
- 事業所名
ここでは、特別訪問看護指示書が交付されるおもな状態別に、具体的な記入例を紹介します。
急性増悪時の記入例
急性増悪時における特別訪問看護指示書の記入例を見てみましょう。
重度の褥瘡や皮膚トラブルで頻回な処置が必要な場合は、指示事項の項目に軟膏名やドレッシング材などの処置内容が記載されているか確認しましょう。

悪性腫瘍以外の終末期の記入例
悪性腫瘍を除く終末期における特別訪問看護指示書の記入例をまとめました。
なお、悪性腫瘍の終末期は医療保険の対象となり、原則として週4日以上訪問できるため、一般的には特別訪問看護指示書の交付は不要です。

退院直後の記入例
退院直後の記入例は以下のとおりです。
退院直後、利用者さまの状態は不安定なことがあります。頻回な訪問看護で体調観察が必要な場合はもちろん、介護に不慣れなご家族のフォロー目的でも交付されます。

特別訪問看護指示書が交付されたらチェックするポイント
特別訪問看護指示書が交付されても、記載内容に不備があれば、指示書自体が無効になってしまいかねません。返戻にならないよう、交付時には記載内容に不備がないかを確認することが大切です。
記載ミスや不十分と思われる点は、速やかに医療機関へ問い合わせ、修正を依頼しましょう。
主治医からの交付か
主治医以外から交付された特別訪問看護指示書は無効となるため、発行元は必ず確認しましょう。
たとえば、「主治医は内科医師で、褥瘡について皮膚科を受診し指示を受けた」場合、皮膚科医師から特別訪問看護指示書は交付できません。診療科が異なる際は、該当診療科からの診療情報をもとに主治医が必要内容を記載し、特別訪問看護指示書を交付します。
指示期間は14日間以内か
特別訪問看護指示書の指示期間は、14日間を超えてしまうと無効となります。通常の訪問看護指示書の期間内であることも確認しておきましょう。点滴注射の指示は同一の特別訪問看護指示書に記載可能ですが、7日間が限度のため注意が必要です。
特別訪問看護指示書は主治医の診察後に交付されるため、通常は診察日と発行日、指示開始日は同日です。
訪問看護が頻回に必要な理由が記載されているか
特別訪問看護指示書は、急激な体調悪化や終末期、退院直後などで状態が不安定で、主治医が必要と判断した利用者さまが交付対象です。そのため、交付理由の具体的な記載が必須です。
記載内容が不十分な場合、頻回な訪問看護の必要性が認められず、返戻の対象となることがあります。交付理由が十分に記載されていない場合には、医療機関へ具体的な記載を依頼しましょう。
処置の内容や点滴の指示が具体的に記載されているか
看護師がおこなう処置の内容が、明確に記載されているかもチェックするポイントの1つです。
たとえば、褥瘡の処置であれば、使用する軟膏やドレッシング材の種類、処置の頻度などの記載が必要です。
点滴注射の指示の場合は、薬剤名・投与量・投与方法・投与時間・投与速度の記載があるか確認します。留意する副作用や、「血圧〇〇以下は投与中止」などの指示があれば、あわせて記載してもらいましょう。
誤字や主治医の捺印忘れはないか
事業所名は、記載忘れや表記ミスなど、意外に間違えやすいポイントです。パソコンで作成された特別訪問看護指示書の場合は、誤変換にも注意してください。
主治医の名前や捺印があるかも確認しましょう。
特別訪問看護指示書で起こりやすい記載ミス
特別訪問看護指示書が交付された際に、実際の現場で起こりやすい記載ミスを紹介します。
特別訪問看護指示書は主治医が記入しますが、不備を見落としたまま訪問してしまうのは避けたいところです。記載内容に不備があると、特別訪問看護指示書の有効性が認められず、後日返戻となることがあります。
特別訪問看護指示書を受け取ったら、以下のような間違いがないか確認してください。
- 15日以上の指示期間になっている
- 診察日や発行日、指示開始日がずれている
- 病状や頻回に訪問が必要な理由の記載がない、または不十分
- 指示内容が変更となったが、口頭指示のみで追記や再発行がされていない
特別訪問看護指示書の期間が月をまたぐ場合は、とくに14日間の計算を間違えやすいので注意が必要です。
実際の現場では、「特別訪問看護指示書を交付する」と連絡を受けても、診察時間が遅く当日の交付が間に合わない場合があります。後日、特別訪問看護指示書が届いたら、発行日と指示開始日がずれていないかチェックすることが返戻を防ぐポイントです。
利用者さまの状態変化により、主治医が指示内容を変更することもあります。口頭指示があった場合は、追記や再発行を依頼し、指示内容と実際の処置内容に相違がないよう注意しましょう。
特別訪問看護指示書と訪問看護指示書の5つの違い
特別訪問看護指示書が交付されると、保険の種類から訪問できる回数まで、通常の訪問看護とは異なるルールが適用されます。以下の一覧表で違いを把握したうえで、各項目を順に確認しましょう。
| 特別訪問看護指示 | 介護保険 | 医療保険 | |
| 適用の保険 | 医療保険 | 介護保険 | 医療保険 |
| 指示期間 | 原則14日間以内(最大月に2回まで交付) | 6か月まで | 6か月まで |
| 訪問可能日数 | 週4日以上の訪問可能 | 支給限度額以内 | 一部を除き週3日まで |
| 複数名の訪問の可否 | 複数名訪問看護加算の算定可能 | 複数名訪問加算の条件あり | 複数名訪問看護加算の条件あり |
| 複数ステーション介入の可否 | 週4日以上の訪問が計画されている場合可能 | ケアプランへの位置づけがあれば可能 | 条件付きで可能 |
1. 適用される保険の違い
介護保険で訪問看護を利用していた場合でも、特別訪問看護指示書が交付された期間は医療保険が優先して適用されます。
契約書を保険ごとに分けている訪問看護ステーションでは、医療保険での新たな契約手続きが必要です。料金体系も変わることから、訪問前に利用料金や加算の内容をご本人とご家族へ丁寧に説明し、同意を得ておきましょう。
2. 指示期間の違い
特別訪問看護指示書は、月1回を限度に交付されます。指示期間は交付日から最長14日間です。
たとえば4月28日に交付された場合、指示期間は5月11日までとなります。この場合、主治医が必要と判断すれば、5月12日から再度交付を受けられます。一方、通常の訪問看護指示書は介護保険・医療保険いずれも最長6か月間有効です。
3. 訪問可能日数の違い
週4日以上の頻回な訪問ができるのも、特別訪問看護指示書の特徴です。
介護保険では訪問回数の制限はありません。ただし支給限度額を超えた分は利用者さまの10割負担です。ケアマネジャーと連携し、ほかの介護保険サービスと合わせて支給限度額以内におさまるよう、訪問回数を調整します。
通常の医療保険で訪問できるのは、週3日が上限です。ただし、以下に該当する方は週4日以上の訪問が認められています。
- 特掲診療科の施設基準等別表第7の利用者(厚生労働大臣が定める疾病等の者)
例)末期の悪性腫瘍、筋萎縮性側索硬化症、頚髄損傷、人工呼吸器使用など
- 特掲診療科の施設基準等別表第8の利用者(特別管理加算の利用者)
例)留置カテーテル、在宅酸素、人工肛門・人工膀胱、真皮を越える褥瘡など
4. 複数の看護師が介入可能かの違い
特別訪問看護指示期間中は、必要に応じ複数名訪問看護加算を算定できます。
たとえば、利用者さまの麻痺の程度が強く、看護師1人では処置が困難といった身体的理由や自傷他害のリスクがある場合などが該当します。一定の条件を満たせば、介護保険の複数名訪問加算や医療保険での複数名訪問看護加算の算定が可能です。
複数名訪問が必要な理由を利用者さまやご家族へ説明し、同意を得ましょう。
5. 複数の訪問看護ステーションが介入可能かの違い
特別訪問看護指示書では、週4日以上の訪問が計画されている場合、2か所の訪問看護ステーションが介入可能です。
介護保険では、2か所の訪問看護ステーションが介入するのに特別な条件はありませんが、ケアプラン上の記載が必要です。
医療保険では、特掲診療科の施設基準等別表第7と、特掲診療科の施設基準等別表第8の利用者さまに限り、2か所の訪問看護ステーションが介入できます。
特別訪問看護指示書に関するよくある質問
特別訪問看護指示書の記入について、よく寄せられる質問をまとめました。
Q1. 特別訪問看護指示書に決まった書式はありますか?
はい。
厚生労働省や地方厚生局が公開している訪問看護関連様式内の「別紙様式18」です。
こちらのページから確認できます。
なお、別紙様式18に記載すべき項目がすべて含まれていれば、医療機関が独自に作成したフォーマットを使用することも認められています。
Q2. 特別訪問看護指示書に「褥瘡の悪化のため」と記載されていました。月に2回の交付は可能ですか?
褥瘡で月2回交付できるのは「真皮を越える褥瘡」の状態と記載されている場合に限ります。そのため「褥瘡の悪化」のみの場合、交付は月に1回となる可能性があります。
真皮を越える褥瘡であり、月2回の交付が必要だと主治医が判断した場合は、「真皮を越える褥瘡」と特別訪問看護指示書に記載してもらいましょう。
Q3. 毎日点滴をおこなう際の指示書期間の記載はどうなりますか?
毎日点滴をおこなう場合、特別訪問看護指示書と在宅患者訪問点滴注射指示書を同時に使用します。
在宅患者訪問点滴注射指示書は、週3回以上の点滴注射が必要な場合に交付される書類です。
特別訪問看護指示書の期間は最長14日間ですが、在宅患者訪問点滴注射指示書の期間は最長7日間です。
初回の特別訪問看護指示書交付時は「特別訪問看護指示書」と「在宅患者訪問点滴注射指示書」の両方が〇で囲まれ、それぞれの指示期間が記載されます。
7日間の点滴注射終了後に主治医が診察し、継続の場合は「在宅患者訪問点滴注射指示書」のみが〇で囲まれた指示書が交付されます。7日間が限度の指示期間が守られているか確認しましょう。
特別訪問看護指示書の記入例を理解して交付時も迷わず対応しよう
特別訪問看護指示書は、一時的に頻回な訪問看護が必要であると主治医が判断した際に交付されます。急な体調悪化や悪性腫瘍以外の終末期、退院直後などの状態で、すでに通常の訪問看護指示書を交付されている利用者さまが対象です。
特別訪問看護指示書は通常の訪問看護指示書と交付条件や指示期間、適用保険が異なります。そのため、記載内容に不備がないか、しっかり確認しなければなりません。
この記事で紹介した特別訪問看護指示書の正しい記入例を理解しておけば、実際の交付時も迷わず記載内容をチェックできます。
特別訪問看護指示書の不備による算定ミスや返戻などのトラブルを防ぎ、利用者さまへ適切な看護ケアを提供しましょう。
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<参考文献・サイト>
一般社団法人全国訪問看護事業協会,訪問看護実務相談Q&A令和7年版,2025年,中央法規出版株式会社
公益財団法人日本訪問看護財団,R7年版訪問看護お悩み相談室,2025年,中央法規出版株式会社
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
