訪問看護指示書の傷病名コードとは?2024年改定内容・調べ方・注意点を解説

「傷病名コードはどこで調べれば良い?」「コードが記載されていない指示書が届いたら、どのように対応する?」
訪問看護ステーションで働く看護師や管理者のなかには、このような疑問を抱えている方もいるでしょう。
2024年度の診療報酬改定で訪問看護指示書に加わった「傷病名コード」ですが、必要性はわかっていても、実務での扱い方に戸惑いを感じるケースも少なくありません。
この記事では、傷病名コードの調べ方や確認時の注意点、不備があった際の対応について、現場で役立つ情報を紹介します。読み終えたあとには、傷病名コードの確認をスムーズに進められるでしょう。
2024年改定で訪問看護指示書に傷病名コード記載が必要となる
2024年度の診療報酬改定により、訪問看護指示書および精神科訪問看護指示書の様式が更新されました。「主たる傷病名」の欄に傷病名コードを記入する欄が新設され、原則として記載が求められています。
まずは、傷病名コードの概要と導入に至った背景を解説します。
訪問看護指示書の傷病名コードとは
傷病名コードとは、厚生労働省の「傷病名マスター」に登録された、病名ごとの識別番号です。訪問看護指示書の「主たる傷病名」欄の下に記載する、7桁で構成された数字です。
脳梗塞であれば「8838708」、高血圧症であれば「8833421」のように、病名ごとに対応するコードが割り当てられています。傷病名をコード化することで、オンライン請求において傷病名を統一的に取り扱いやすくなります。
傷病名コードが追加された背景
傷病名コードが追加されたおもな背景は、令和6年6月から始まった訪問看護レセプトのオンライン請求です。
厚生労働省の資料では、追加の目的を「より質の高い医療の実現に向けてレセプト情報の利活用を推進すること」と説明しています。傷病名コードの記載は、このオンライン請求の開始にあわせて導入された対応です。
コードが統一されることで医療機関・ステーション間の連携が正確になり、結果として利用者さまへのケアの質向上にもつながります。
傷病名コードは訪問看護指示書を発行する医師が記載
厚生労働省の資料では「原則として主たる傷病名コードを記載すること」と定めています。コードの未記載や傷病名との不一致に気づいた場合は、必要に応じて発行元の医療機関へ確認しましょう。
一方、訪問看護ステーションの役割は、受け取った指示書のコードが正しく記載されているかの確認と、不備があれば医療機関への修正依頼です。なかには、コード欄のない古い様式を使い続けている医療機関もあります。最新の様式を準備して渡すことも、ステーション側の対応の1つです。
関連記事:訪問看護指示書とは?ルールや記入例、算定要件を実務目線で徹底解説
訪問看護指示書に記載された傷病名コードの調べ方
傷病名コードを確認する際には、厚生労働省が提供している「診療報酬情報提供サービス(傷病名マスター検索)」の活用がおすすめです。常に最新のマスター情報が反映されているため、安心して業務に利用できます。
【検索手順】
- サイトを開き「傷病名名称」欄を選択する
- 調べたい傷病名(例:「脳梗塞」)を入力して検索する
- 表示された結果から7桁のコードを確認する
訪問看護の現場でよく登場する傷病名とコードの例を以下にまとめました。なお、これらはあくまで参考例です。実際の業務では、傷病名マスター検索でご確認ください。
| 疾患名 | 傷病名コード |
| 脳梗塞 | 8838708 |
| パーキンソン病 | 3320002 |
| 糖尿病 | 2500013 |
| 高血圧症 | 8833421 |
| 慢性心不全 | 4289018 |
| 慢性閉塞性肺疾患 | 8840399 |
| アルツハイマー型認知症 | 8842549 |
| 統合失調症 | 8841702 |
訪問看護指示書の傷病名コードを調べる際の4つの注意点
傷病名コードの検索の手順自体はシンプルですが、実際の業務では「どれが正しいコードか」と迷う場面が出てきます。以下のポイントを頭に入れておくと、確認作業がスムーズになるでしょう。
- 正式な病名で検索する
- 似た傷病名でもコードが異なるケースがある
- 「未コード化傷病名(0000999)」が記載されることがある
- 傷病名の表記によって保険適用が変わるケースがある
とくに「未コード化傷病名」と「保険適用の違い」については、事前に知っておくと安心です。
1. 正式な病名で検索する
傷病名マスター検索では、正式名称での入力が基本です。略称や通称を使うと検索にヒットしないか、別の病名のコードが表示されてしまうリスクがあります。
たとえば「パーキンソン」と入力すると関連する病名が複数表示されます。似たコードが並ぶため、表示されたなかから正しいものを選びましょう。
また「ADHD」は、傷病名マスターでは「注意欠陥多動障害」として登録されています。
2. 傷病名とコードが異なる場合は医師への確認が必要
病名が似ていても、重症度や分類が異なればコードも変わります。たとえばパーキンソン病の場合、以下のようにコードが分かれています(一部抜粋)。
| 傷病名 | 傷病名コード |
| パーキンソン病 | 3320002 |
| パーキンソン症候群 | 3320001 |
| パーキンソン病Yahr1 | 8843950 |
| パーキンソン病Yahr3 | 8843952 |
| パーキンソン病Yahr5 | 8843954 |
コードと傷病名に不一致がある場合、そのまま請求すると返戻になる可能性があります。迷ったときは自己判断せず、指示書を発行した医師に確認・修正を依頼しましょう。
3. 未コード化傷病名が記載されることがある
傷病名マスターに収載されていない病名を記録する場合は、「未コード化傷病名」のコード「0000999」が使用されます。
一方で、本来はコードが存在する病名でも、医療機関のシステム上での登録方法によっては「0000999」になってしまうケースがあります。「0000999」が記載されていても、直ちに誤りとは限りません。傷病名マスターに対応する病名があるにもかかわらず「0000999」となっている場合など、確認が必要と判断したときは発行元の医療機関へ問い合わせましょう。
4. 傷病名によって訪問看護に適用される保険が異なる場合がある
訪問看護では、利用者の年齢や要介護・要支援認定の有無、疾病・状態などによって、医療保険と介護保険のどちらが適用されるかが異なります。
たとえば「末期の悪性腫瘍」は、厚生労働大臣が定める疾病等(別表第7)に含まれます。そのため、要介護・要支援認定を受けている場合でも、訪問看護は医療保険の対象となります。
一方、末期ではない悪性腫瘍の場合、要介護・要支援者であれば原則として介護保険による訪問看護の対象となります。ただし、特別訪問看護指示書が交付された場合など、医療保険が適用されるケースもあります。
そのため、指示書を確認する際は、傷病名コードだけで判断するのではなく、記載されている傷病名や利用者の状態などを確認することが大切です。
なお、末期の悪性腫瘍のほかにも、別表第7には医療保険による訪問看護の対象となる疾病等が定められています。詳細は以下の記事をご確認ください。
関連記事:別表第7 | 訪問看護用語集
傷病名コードに不備がある訪問看護指示書を受け取った際の対応
指示書の確認をしていると、傷病名コードが未記載だったり、誤りがあったりするケースに遭遇することがあります。そのような場合、訪問看護ステーション側が自主的にコードを追記・修正することはできません。発行元の医療機関に確認し、必要に応じて訂正等を依頼します。
医療機関の診療時間や連絡ルールを確認し、業務に支障が出にくい時間帯に連絡しましょう。電話連絡の場合はFAXで依頼内容を送ることで、やり取りの記録を残しておけます。FAXには以下の内容を記載しておくと、医療機関側も対応しやすくなります。
| 記載項目 | 内容例 |
| 利用者の情報 | 氏名・生年月日 |
| 不備の内容 | 傷病名コードが未記載、またはコードと傷病名が一致していない |
| 依頼内容 | 正しいコードを記載した指示書の再交付依頼 |
| 返送先 | ステーション名・FAX番号 |
コード欄のない古い様式を使っている医療機関には、最新の様式を同封して切り替えを提案すると、その後のやり取りがスムーズになるでしょう。
訪問看護指示書の傷病名コードについてのよくある質問
訪問看護指示書の傷病名コードに関する疑問にお答えします。
Q1:傷病名コードは医師と訪問看護ステーション、どちらが記載する?
記載するのは、指示書を発行する医師です。訪問看護ステーションでの役割は、受け取った指示書のコードが正しく記載されているかを確認・照合することです。
コードの未記載や誤りを見つけた場合、ステーション側が独自に書き加えることはできません。医療機関に確認し、必要に応じて訂正等を依頼します。
関連記事:訪問看護でできること・できないこと12選!訪問看護の対象者や利用する手順
Q2:傷病名コードの一覧表はどこで見られる?
厚生労働省が提供する「傷病名マスター検索」が、実用的で確実な方法です。社会保険診療報酬支払基金が公開しているCSVデータ(傷病名マスターファイル)も活用できますが、内容が膨大なため、日常業務では傷病名マスター検索の利用をおすすめします。
Q3:傷病名コードとICD-10コードは何が違うの?
訪問看護指示書やレセプトに記載するのは「7桁の傷病名コード」です。
電子カルテで目にすることがある「ICD-10コード」は、世界保健機関(WHO)が定めた国際的な疾病分類で、英数字が混在する形式(例:アテローム血栓性脳梗塞「I633」)です。日本の傷病名コードとは管理する組織も用途も異なるため、混同しないよう注意しましょう。
2024年改定をふまえ訪問看護指示書の傷病名コードを正しく確認しよう
2024年度の診療報酬改定により、訪問看護指示書への傷病名コードの記載が必要となりました。傷病名コードの確認や不備への対応は細かい作業ですが、利用者さまを支えるうえで欠かせない確認のひとつです。
指示書を受け取った際のチェック項目として、コードの有無・桁数・病名との一致を確認する流れを習慣にしておくと安心でしょう。
訪問看護は、利用者さまの生活に寄り添いながら専門性を発揮できる働き方です。訪問看護の求人・職場探しには、訪問看護専門の求人サイト「ナスキャリ(NsPace Career)」をご活用ください。訪問看護に特化した求人情報を豊富に掲載しています。
<参考文献・サイト>
厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【在宅(在宅医療、訪問看護)】」
診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について|厚生労働省
傷病名・修飾語マスター 診療報酬情報提供サービス|厚生労働省
「0000999:(未コード化傷病名)」コードで記録した主な廃止傷病名(旧傷病名管理ファイルに収載の傷病名)に係る対応コードについて|社会保険診療報酬支払基金
ナスキャリナビ編集部 「ナスキャリナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「ナスキャリ」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
