40代から准看護師になるには?方法や注意点の解説

公開日:2024/02/07 更新日:2024/06/16
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「40代から准看護師になるにはどうしたらいい?」「社会人から准看護師になれる?」といった疑問を抱えている人は多いのではないでしょうか。実際、医療現場では40代から准看護師の資格を取得して働いている人は少なくありません。

この記事では、准看護師の仕事や看護師との違い、40代から准看護師になるための方法と注意点を解説します。

准看護師とは

准看護師とは看護職の資格の1つで、保健師助産師看護師法によって、以下のように定められています。

“都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、前条に規定することを行うことを業とする者”

出典:保健師助産師看護師法第6条|准看護師の定義

厚生労働省が公開している「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、2022(令和4)年末の時点で約25万人が准看護師として働いており、おもな就業先は病院が36.6%と最も多く、次いで診療所(31.5%)、介護保険施設等(24.2%)となっています。

参照元:厚生労働省|令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況

准看護師と看護師の違い

准看護師と看護師はいずれも「看護職」ではありますが、別の資格です。准看護師と看護師の主な違いは、以下の表の通りです。

 准看護師看護師
資格都道府県知事資格国家資格
定義「医師・歯科医師又は看護師の指示のもと」で、傷病者若しくは褥婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行う (保助看法第6条)傷病者若しくは褥婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行う (保助看法第5条)  
業務自らの判断による看護業務はできない自らの判断により、看護を提供できる
入学要件中学校卒業高校卒業
年限2年以上3年以上
キャリアアップ看護師保健師・助産師・特定看護師・専門看護師・認定看護師・診療看護師

上記のように、国家資格である看護師に対し、准看護師は都道府県知事資格となります。看護師が自らの判断で看護業務を行えます、准看護師は「指示を受けてから」でなければ看護業務はできない点が大きな違いです。

准看護師の仕事

准看護師は、医師・看護師の指示のもと、診療補助や患者の療養上の世話を行います。ただし、看護師が行う以下のような業務にはたずさわることができません。

  • 看護計画の立案・評価
  • リーダー業務を含む看護管理
  • 新人看護師の指導
  • 看護学生の実習指導 など

准看護師が行う具体的な仕事は、患者の検温・清潔ケア・食事や排泄介助・点滴管理・ナースコール対応などが挙げられます。

准看護師は40代からでもなれる?

准看護師になるための年齢制限は、特に設けられていません。そのため、40代からでも准看護師を目指すことは可能です。

准看護師になるためには、都道府県知事が交付する資格を取得する必要があります。その専門教育を受けるため、2年間の養成所に入学して学んでいる人も少なくありません。入学時の試験内容は中学卒業レベルなので、40代でも合格できる可能性はあるでしょう。

また、准看護師試験の合格率は全国平均97〜98%と非常に高く、養成所でしっかり勉強すれば、合格のハードルは決して高くはありません。

40代から准看護師になるには?

40代から准看護師になるためには、まずは専門教育を受けて試験に合格したのち、都道府県知事免許を取得する必要があります。具体的な流れは、以下の通りです。

  1. 准看護師学校養成所に入学する
  2. 准看護師学校養成所で2年間学習する
  3. 准看護師試験を受験する
  4. 試験に合格後、免許申請する

それぞれ詳しく解説します。

准看護師学校養成所に入学する

准看護師になるため、まずは准看護師学校養成所に入学します。

2022年9月30日の時点で、全国の准看護師学校養成所は182校あります。働きながら准看護師を目指す場合は、自分の生活スタイルに合わせ、全日制と半日制のいずれかを選びます。

全日制と半日制の特徴は、それぞれ以下の通りです。

 全日制半日制
授業朝から夕方まで平日の午後・夜間
日数週3〜5日 ※学校により異なる週5日
期間2年間(2年次に病院で実習)

入試科目は、学校により異なります。国語・数学・社会・理科・英語・作文などから2〜3科目程度の出題が多いようです。受験を検討している学校の募集要項等で確認してみましょう。全国の准看護師学校養成所のリストは、以下を参考にしてください。

>>一般社団法人日本准看護師連絡協議会|准看護師養成所一覧

准看護師学校養成所で2年間学習する

准看護師学校養成所に入学したら、受験資格を取得するために2年間学習します。1年目は履修科目・2年目は病院での実習科目となります。

准看護師学校養成所は、看護師よりも資格取得までの期間が短いため、なるべく早く資格を取得し働きたい、という方には最適の資格だといえるでしょう。

准看護師試験を受験する

養成所で2年間の履修・実習科目を終えたら、全国の都道府県が実施する准看護師試験を受験します。准看護師試験は毎年2月に2回実施されており、複数の県で受験することも可能です。

受験を希望する会場によって試験日が異なる場合があるため、必ず以下の受験要項を確認しましょう。

  • 試験日
  • 会場
  • 書類提出期限
  • 必要書類
  • 手数料
  • 提出先 など

なお、准看護師試験の出題科目は以下のうち150問で、マークシートによる選択式です。

  • 人体の仕組みと働き
  • 食生活と栄養
  • 薬物と看護
  • 疾病の成り立ち
  • 感染と予防
  • 看護と倫理
  • 患者の心理
  • 保健医療福祉の仕組み
  • 看護と法律
  • 基礎看護
  • 成人看護
  • 老年看護
  • 母子看護及び精神看護

試験に合格後、免許申請する    

准看護師試験に合格したら、都道府県知事への免許申請手続きを行います。試験に合格しても申請手続きを行わなければ、准看護師として仕事にたずさわることはできないため、注意が必要です。

申請して免許証が発行されるまで数か月かかることがあるため、速やかに手続きを行いましょう。また、免許申請に必要な書類などは各都道府県によって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。

40代から准看護師を目指す場合の注意点

40代から准看護師になるためには、以下3点に注意しておく必要があります。

  • ゼロから学ぶ覚悟を持つ
  • 周囲のサポートを受けられる体制を整える
  • 准看護師を目指す際の費用補助を活用する

それぞれ解説します。

ゼロから学ぶ覚悟を持つ

40代から准看護師を目指す場合、ゼロから学ぶ覚悟を持つことが大切です。

養成所に通い、2年目には病院での実習が始まるため、自分より年下の看護師スタッフに指導を受ける機会が多くなります。自分の娘と同じくらいの看護師スタッフから指導されることに、抵抗を感じる人も少なくないでしょう。

しかし、40代から准看護師を目指すのであれば「自分のほうが年上なのに」というプライドは忘れる必要があります。今は学びを深める期間なのだと割り切る勇気も大切です。

周囲のサポートを受けられる体制を整える    

40代から准看護師を目指す場合、家族や職場など周囲のサポートを受けられる体制を整えておくことが重要です。

准看護師になるためには、養成所に通いながら勉強の時間を確保したり、実習のための記録を作成したりしなければなりません。

働きながら養成所に通う人は、体力的にも精神的にも辛さを感じるかもしれません。これまで医療に携わった経験がない場合、大きなギャップを感じ、精神的に負担となるかもしれません。

家族や友人などに精神的准看護師になりたい旨をはっきりと周囲に伝え、そのための協力を得ましょう。

家事や業務のサポートを受け、学習のための時間を確保するようにしましょう。

准看護師を目指す際の費用補助を活用する    

准看護師になるためには、養成所の学費や資格取得の費用がかかります。准看護師を目指す際、給付金や奨学金制度など、費用補助を活用するとよいでしょう。

准看護師資格の取得費用に活用できる制度は、主に以下の2つです。

  • 専門実践教育訓練給付制度
  • 奨学金制度

それぞれ見ていきましょう。

専門実践教育訓練給付制度

専門実践教育訓練給付制度は、一定の要件を満たす人が、厚生労働大臣の指定する専門実践教育訓練を受講・修了した場合、その施設に支払った訓練費用の一部を支給する制度です。

准看護師養成所も給付の対象講座となっており、養成所の入学費用や授業料などを半年ごとに支給されます。ただし、支給対象者は雇用保険の加入期間などの条件が定められているため、制度を利用できるかハローワークで確認してみましょう。

以下、具体的な内容です。

給付内容教育訓練経費の50%(上限年間40万円)を6ヶ月ごとに支給
支給の対象者雇用保険の被保険者(在職者) または 被保険者だった人(離職者)のうち、被保険者資格を喪失した日以降、受講開始日までが1年以内の人 かつ 受講開始日までの雇用保険の被保険者期間が3年以上(初回の場合は2年以上)ある人
申請手続き年に2回 ※厚生労働省HP上で告知

参照元:厚生労働省|専門実践教育訓練給付制度のご案内

給付金の活用を検討される方は、厚生労働省のサイトを確認しておきましょう。

>>専門実践教育訓練給付金の申請手続

奨学金制度

准看護師の養成所では、以下のような奨学金も活用できます。

  • 都道府県や自治体の奨学金
  • 病院附属学校の奨学金
  • 日本学生支援機構の奨学金

住んでいる都道府県や自治体の奨学金は、毎月の授業料程度の金額が支給され、卒業後、指定の病院で一定期間働けば返済が免除されるのが一般的です。

病院に附属している准看護師養成学校の奨学金は、病院により条件が異なります。一定の期間、病院勤務が条件である場合や、特に条件を設けていないものもあるため、事前に確認しておきましょう。

独立行政法人日本学生支援機構の奨学金には、貸与型と給付金の2つがあり、准看護師養成所の場合、返済が必要な「貸与奨学金」を利用できます。貸与奨学金には、利子のつかない第一種奨学金、利子のつく第二種奨学金、さらに入学時特別増額貸与奨学金などがあります。

奨学金を利用できるかどうか、養成所を選ぶ段階で事前に確認しておくと安心です。奨学金に関する問い合わせは、以下相談センターへ連絡してみましょう。

日本学生支援機構|奨学金相談センター:0570-666-301 海外からの電話、一部携帯電話、一部IP電話からは03‐6743‐6100 月曜~金曜:9時00分~20時00分(土日祝日・年末年始(12月29日~1月3日)を除く) (奨学金に関する来訪による相談は受け付けておりません)

出典:日本学生支援機構

まとめ

今回は、准看護師の仕事や看護師との違い、40代から准看護師になるための方法と注意点を解説しました。

准看護師は「看護職」ではあるものの、看護師とは異なる点がいくつかあります。40代から准看護師を目指すためには、周囲のサポートが必要不可欠です。また、これまで培ってきた社会人としてのプライドも一旦忘れ、ゼロから学び直す姿勢も必要となるでしょう。

これから准看護師になろうとしている人の中には、不安や迷いを感じている方もいらっしゃるかと思います。まずは自分に適した養成所はどういったところがあるか、費用負担を軽減するために活用できる制度など、調べるところから初めてみましょう。

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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