訪問看護の仕事で大切なこと8つ!より良い訪問看護ステーションの探し方を

公開日:2024/01/31 更新日:2024/01/31
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高齢化が進んでいる日本において欠かせない「訪問看護」。

近年、訪問看護ステーションの需要は高まっています。2010年の訪問看護ステーション数は全国で5.731カ所でしたが、2022年には14.304カ所となりました。12年間で約2.5倍増加しています。

訪問看護ステーションへの転職を考える看護師の方も、多いのではないでしょうか。

しかしながら、訪問看護での経験がなく「訪問看護で大切なことは何?」「どうすれば訪問看護師としてうまく働き続けられるの?」など疑問を持っているかと思います。

そこでこの記事では、訪問看護の仕事で大切なことや、より良い訪問看護ステーションの探し方を解説します。訪問看護への転職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

訪問看護の仕事で大切な8つのこと

ここでは、訪問看護の仕事を続けていくために大切な8つのことを解説します。

  • 利用者さまやご家族とのコミュニケーション能力
  • 多職種との連携
  • 社会資源を活用できる知識
  • 生活環境を把握できるスキル
  • 緊急時に対応できるスキル
  • 訪問看護師として学び続ける姿勢

それぞれのポイントを押さえることで、訪問看護師として活躍できるでしょう。

利用者さまやご家族とのコミュニケーション能力

利用者さまとご家族とのコミュニケーション能力は大切です。

というのも、訪問看護師の方は、利用者さまのご自宅に行って医療サービスを提供するためです。病院の看護師の方と比べ、利用者さまとの関係は密なものとなります。

さらに、利用者さまだけではなく、ご家族とのコミュニケーションもおこなう必要があります。コミュニケーションの中で以下の情報を得られると、利用者さまにとって必要な支援につながるでしょう。

  • どのような支援が必要か
  • 困っていることはないか
  • 今後どのようなことが問題となりそうか

ただし、利用者さまやご家族は、不安や悩みなどなんでも話せるわけではありません。そのため、訪問看護師が会話の中からくみ取ることが重要です。

このような情報を得られると、利用者さまやご家族の訪問看護への満足度が高まります。

多職種との連携

訪問看護では、医師や介護スタッフ、セラピストと連携しながら、ご自宅での看護ケアをおこないます。

社会資源が必要となるケースでは、ケアマネジャーやソーシャルワーカー、市区町村役場のスタッフとの連携が欠かせません。ほかにも、地域包括支援センターや医療機関とも調整をしながらケアを進めていくことが重要です。

なぜなら、在宅看護は、利用者さまにかかわるスタッフや関係機関との連携がスムーズでなければ、利用者さまへ統一したケアができないためです。たとえば、連携が取れていない場合は、利用者さまの方針で以下のようなケースが考えられます。

  • 訪問看護師「利用者さま本人が最期のときまで在宅での療養を希望していた」
  • 医師「入院したほうが治療できるから、もっと長く生きられるかもしれない」
  • ケアマネジャー「利用者さまのご家族より、自宅での介護がきつくなってきたから、施設に入ってもらいたいと聞いた」

利用者さまの方針が統一していなければ、ちぐはぐなサービスの提供となります。利用者さまやご家族が望まない結果となる恐れがあります。

そのため、利用者さまやご家族も含め、多職種と連携しつつ共通認識を持って介護・療養を支援していくことが重要です。

豊富な知識とスキル

訪問看護師には、豊富な知識とスキルが求められます。基本的には1人で訪問するためです。利用者さまの状況に合わせたケアが求められます。

実際に、訪問看護の場でよくおこなうケアは以下の通りです。

  • 病状観察
  • バイタルサインの測定
  • 入浴やシャワー介助などの清潔ケア
  • 浣腸や導尿などの排泄ケア
  • 口腔ケア
  • 気管内吸引
  • 在宅酸素療法
  • 経鼻経管栄養
  • 褥瘡ケア

ほかにも、ご家族への療養指導や支援、ご家族の相談への対応をおこない、利用者さまとご家族の生活を支えることが大切です。

タイムスケジュールを管理能力

訪問看護師は、1日に3~6件訪問します。

訪問時間やご自宅までの距離などで訪問件数は異なります。場合によっては処置に時間がかかったり、ご家族の相談事を聞いたりして訪問の時間が長引くこともあるでしょう。

時間通りに訪問できなければ、利用者さまからのクレームになる可能性があるため、スケジュール管理が重要です。ここでは、訪問看護師のおおよその1日の流れを紹介します。

(例として、車での訪問の場合)

<訪問看護師の1日の流れ>

時刻業務内容
9:00・訪問看護ステーションに出勤する
・電話やメールをチェックする
・訪問先の情報を確認する
9:30・訪問バッグ(血圧計・聴診器・体温計・ケア用品など)を持って1件目の訪問先へ移動する
・訪問先でケアや処置を実施する
・記録を書く
11:00・車で移動し2件目の訪問先へ
・訪問先でケアや処置を実施する
・記録する
12:00・移動用の車の中もしくは、訪問看護ステーションに戻り昼食をとる
13:00~17:00・3~6件目の訪問先でケアや処置を実施する
・記録を書く
・担当者会議やカンファレンスが開催されることもある
17:00・訪問看護ステーションに戻る
・訪問した利用者さまの記録を書く
・申し送りや計画書の変更・作成する
18:30業務終了

あくまで一例ではありますが、地域によって、自転車やバイクなどの場所もあります。また、1件当たりの訪問時間は、訪問看護師が自由に決められるわけではなく、利用者さまの状態に合わせてケアマネージャーなどが計画し決まります。

そのため、訪問時間は30分や60分、90分など様々な時間設定があります。

訪問件数が増えると調整が難しくなるため、スケジュールの管理は重要であるといえます。

社会資源を活用できる知識

訪問看護は、介護保険制度と医療保険制度に則り実施されます。訪問看護では、社会資源を活用できる知識が必要です。

というのも、利用者さまの状況によっては、社会資源を活用できれば在宅での療養に必要な支援を受けられるためです。介護保険制度を活用すると、以下のサービスを利用できます。

 サービス内容
居宅サービス・訪問看護 ・訪問介護 ・訪問入浴介護 ・訪問リハビリテーション   ・夜間対応型訪問介護 ・定期巡回・随時対応型訪問介護
施設サービス・介護老人保健施設 ・介護老人福祉施設 ・介護療養型医療施設 ・有料老人ホームや軽費老人ホーム
地域密着型サービス・認知症対応型共同生活介護(グループホーム) ・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 ・地域密着型特定施設入居者生活介護

出典元:介護事業所・生活関連情報検索|厚生労働省より一部抜粋

ほかにも、福祉用具貸与や特定福祉用具販売などを活用できます。

さらに、成年後見人制度や生活保護制度、障害者福祉制度などの制度も活用できると、利用者さまやご家族にとって、より状況に合わせた快適な生活を過ごすことができます。

そのため、訪問看護師の方は、利用者さまの状態やご家族のサポート状況により、必要な支援を検討し助言することが重要です。

生活環境を把握できるスキル

訪問看護師の方には、生活環境を把握できるスキルも大切です。厚生労働省の調査によると、国民の60%がご自宅での介護・療養を望んでいるとされています。

利用者さまがご自宅で生活し続けるために、生活環境がより良いものでなければなりません。健康問題を引き起こしそうな劣悪な環境であれば改善を促すことが大切です。

利用者さまやご家族にとって最適な生活環境であるのか、改善点はないのかを考えるためにも、まずは生活環境を把握しましょう。

緊急時に対応できるスキル

緊急時に対応できるスキルも訪問看護の仕事において重要です。

利用者さまには、さまざまな背景疾患があり、何らかの健康問題を抱えているため、利用者さまの容態が急変したり、悪化したりする可能性があります。

しかも、現場では基本的に1人で対応しなければならず、病院やクリニックのように設備が整っていません。緊急時の対応も起こり得ると想定したうえで訪問してください。救命措置のスキルは身につけておくと安心でしょう。

訪問看護師として学び続ける姿勢

訪問看護の仕事で大切なことは、訪問看護師として学び続ける姿勢です。

その理由は、近年在宅ケアの対象者は急増しており、しかも重度化・多様化・複雑化してきているためです。

具体的には、癌末期や人工呼吸器の装着、カテーテル類を挿入しているなど、医療ニーズの高い利用者さまが増えています。ほかにも、先天性疾患や障害のある小児、精神障害がある方、認知症の方など多様化しているのが特徴です。

利用者さまを取り巻く環境も多様化しており、独居や老々介護などでマンパワーが不足しています。

訪問看護師は、疾患や処置、ケアを学び続ける姿勢を持ち、利用者さまやご家族に適した介入をする役割が求められています。

訪問看護師になるために必要な3つのこと

訪問看護師になるためには、以下の3つが必要です。

  • 訪問看護師に必要な資格
  • 訪問看護師に必要な経験
  • 訪問看護師に必要なスキル

それぞれを詳しくみていきましょう。

訪問看護師に必要な資格

訪問看護師になるためには、前提として看護師資格が必要です。

看護師、もしくは准看護師の資格が必要であり、ほかに必要な資格はありません。

ですが、訪問看護ステーションが対象としている疾患や処置によっては看護師のみでの採用を行っている場合があります。

ほかにも、車での移動が基本となる訪問看護ステーションでは、普通自動車の資格を求められる場合もあるでしょう。

訪問看護師に必要な資格については以下の記事も参考にしてみてください。

関連記事:訪問看護師になるには?あると便利な資格も解説!

訪問看護師に必要な経験

先述したように、訪問看護師の方はほとんどの場合1人で訪問します。そのため、さまざまな事態に1人でも対応できるように、豊富な看護師経験があると良いでしょう。

ただし、訪問看護ステーションによっては、新卒で採用しているところもあります。自立するまで同行訪問を実施したり、定期的に研修会をおこなったりしているなど、充実した教育体制の訪問看護ステーションを選べると、より一層学びも深まり訪問看護師として活躍できるでしょう。

訪問看護師に必要なスキル

訪問看護師に必要なスキルは、コミュニケ―ション能力です。

訪問看護師の方は、利用者さまやご家族をはじめ、多職種のスタッフともコミュニケーションを図らなければならないためです。

とくに、利用者さまはコミュニケーションによって「この人は信頼できる看護師さんだ」「あまり信頼できないからいろいろ相談出来ないな」と判断する可能性があります。

利用者さまが困ったことをスムーズに頼めない訪問看護師であると、利用者さまやご家族に必要なケアを提供できません。

あいさつをしたり、利用者さまの疑問には丁寧に応えたり、相槌を打ち話しやすい環境を作ったりしましょう。ほかにも、訪問時間を守ったり、次回おこなうと約束したことを守るなどの積み重ねが大切です。

より良い訪問看護ステーションを探す方法

訪問看護ステーションを探す方法には、以下の2つがあります。

  • 自分で探す
  • 人材紹介会社を活用する

それぞれの方法を具体的に紹介します。より良い訪問看護ステーションを見つけ、働きやすい環境を手に入れましょう。

自分で探す

訪問看護ステーションを自分で探すと、自分にあった訪問看護ステーションを見つられるかもしれません。

具体的には、ネットで検索したり、ハローワークやeナースセンターを利用したりする方法があります。自分のペースやタイミングで進められ、応募から採用まで時間をかけずに転職活動ができるでしょう。

ただし、求人から情報を収集したり、転職先との日程を調整したり、条件交渉をしたりなど転職にかかわるやり取りを1人ですべておこなうのは大変です。

看護師として働きながら転職活動を進めている方は、勤務の合間に連絡したり、休日に採用面接を受けたりなどしなければなりません。

人材紹介会社を活用する

人材紹介会社を活用すると、希望条件に沿った求人を紹介してもらえ、自分で転職先を探すデメリットをカバーできるでしょう。

ほかにも、人材紹介会社は求人の紹介だけではなく、職場の雰囲気や募集の背景など、インターネット上ではわからない情報を提供してくれます。

NsPace Career(ナーススペースキャリア)」は、訪問看護専門の総合転職支援サイトです。全国の訪問看護ステーションから、あなたに最適な職場を選べます。

そのため、転職の経験がない方や仕事で忙しく時間がない方、さらには転職活動を成功させたい方は、ぜひ「NsPace Career」を積極的に活用してください。

まとめ

訪問看護師にはコミュニケーション能力をはじめ、豊富な知識とスキル、学び続ける姿勢が大切です。これらを踏まえて働くと、利用者さまやご家族に信頼されるでしょう。

より良い訪問看護ステーションを探すためには、人材紹介会社の活用をおすすめします。転職を成功させて、訪問看護師として活躍しましょう。

参考文献・サイト

令和4年度 訪問看護ステーション数 調査結果|一般社団法人全国訪問看護事業協会

介護事業所・生活関連情報検索|厚生労働省

在宅医療・介護の推進について|厚生労働省

訪問看護アクションプラン2025|公益社団法人 日本看護協会、公益財団法人 日本訪問看護財団、一般社団法人 全国訪問看護事業協会

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。

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