訪問看護の理念は「伴走」 人生に寄り添う看護とは ~LIVING訪問看護ステーション 吉村さんにインタビュー~

東京都港区高輪に2025年4月に開設された「LIVING訪問看護ステーション」。ICUで長年経験を積んできた代表・管理者の吉村さんは、「人生の良き伴走者になる」という理念を掲げ、利用者や地域に寄り添う訪問看護を実践しています。本記事では、吉村さんのこれまでの看護師としての歩みや、ステーション名に込めた想い、スタッフとともに実践する“伴走する看護”の考え方について伺いました。地域とのつながりやチームづくりの工夫も含め、訪問看護のリアルな魅力に迫ります。
【※本記事はNsPace Career が事業所向けに提供している「特集記事掲載サービス」によるものです。取材・撮影・編集はNsPace Career が担当しました。】
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事業所名
雇用形態
給与
就業場所
ICUで培われた「人を見る看護」
看護師として約20年。大学病院のICUで重症患者さんと向き合う日々を経験してきた吉村さんは、そのなかである思いを抱くようになったといいます。
-まずは、これまでの看護師としてのご経験について教えてください。
「たぶん今20年目くらいになると思います。最初はICUに興味があって、大学病院のICUで働いていました。救命というよりは、内科系のジェネラルなICUですね。大学病院を3つくらい経験して、そのうち一つは立ち上げの部署だったので、そこでは8年くらい勤務していました」
長くICUで患者さんと向き合う中で、吉村さんの看護観は少しずつ形づくられていきました。
「人間って、生きる力がすごいなと思うんです。医療でできることって、本当にごくわずかで。だからこそ、その人がもともと持っている力を大事にしながら支えていくのが、看護師の役割なんじゃないかと感じていました」
その後、知人からの誘いをきっかけに在宅医療の世界へ。訪問看護を経験し、現在は自ら法人を立ち上げ、訪問看護ステーションを運営しています。
「ICUと訪問看護って、一見まったく違うように見えるんですけど、実はすごく近い部分もあると思っています。数値だけでなく、患者さんを総合的に見ていくところとか、見えない部分を想像しながらケアしていくところは、共通している部分が多いんですよね」
病院でも在宅でも、患者さんそのものを見ること。吉村さんの看護観の根底には、その姿勢が一貫して流れているようでした。

「LIVING」という名前に込めた想い
ステーション名である「LIVING」という言葉にも、吉村さんの想いが込められています。
-「LIVING」という名前には、どのような意味があるのでしょうか。
「高齢の方にも覚えてもらいやすい名前にしたいなと思ったんです。みんなが知っている言葉で、呼びやすいものがいいなと」
そう語りながら、吉村さんは少し照れたように笑います。
「それと、僕は“リビング”っていう場所がすごく好きなんですよ。テレビを見ている人がいたり、家事をしている人がいたり、みんなが自然に交わる場所ですよね。ごちゃごちゃしているけれど、どこか平和な空気が流れている」
医療者が管理する場所ではなく、日常の延長線にある生活の場。そのイメージが、訪問看護のあり方とも重なっていたのだといいます。
「医療者が何かを管理するというよりも、生活の中で自然に健康と向き合えるような関わり方ができたらいいなと思って。そういう意味で、“LIVING”という名前がしっくりきました」
理念は「人生の良き伴走者になる」
LIVING訪問看護ステーションの理念は「人生の良き伴走者になる」。吉村さんが大切にしているキーワードが「伴走」です。
-「伴走」という言葉には、どんな意味を込めているのでしょうか。
「伴走ってよく使われる言葉なんですけど、僕の中では“共に痛みを負う覚悟”みたいなものだと思っているんです。ただ横にいるだけじゃなくて、その人の状況を一緒に味わいながら、歩くスピードを合わせていく」
ときには前に進むこともあれば、立ち止まることもあります。
「”調子が良くないときでも、伴走してくれる人がいるから安心だね”と思ってもらえたらいいし、逆に良い状態のときは、一緒にいることでより楽しく歩けるかもしれない。そういう存在でありたいと思っています」
その考え方は、日々のケアの姿勢にも表れています。
「“やってあげる看護”はあまりしてほしくないとスタッフにも伝えています。看護師が管理するのではなくて、本人がどうしたいのかを一緒に考えていく。希望がすべて叶うわけではないけれど、きちんと話し合ってすり合わせながらケアしていくことが大事だと思っています」
病院とは違い、訪問看護では生活そのものに関わります。だからこそ、患者さんと看護師の関係もより対等なものになります。
「”生きるって何だろう”と、よく考えるんですよね。家ではだらっとしている自分もいるし、看護師として働く自分もいる。そういう人間らしさを含めて関わっていくのが、訪問看護の面白さだと思っています」
地域とつながる訪問看護のかたち
LIVING訪問看護ステーションでは、地域とのつながりも大切にしています。
高輪エリアでは、地域包括支援センターと協力しながら勉強会や交流の場づくりにも関わっているそうです。
「地域連携って、名刺交換だけで終わってしまうことも多いんですよね。でも、それだと本当に困ったときに連携できない。だから、もっとラフに話せる関係をつくりたいと思っています」
吉村さん自身、近隣の事業所を訪ねては「お茶だけ飲みに行く」こともあるといいます。
「営業というよりも、最近どうですかっていう感じで顔を出すんです。みんな忙しいので、体調大丈夫かなと思って」
訪問看護ステーション同士も、地域の中では大切な仲間だと吉村さんは言います。
「患者さんを取り合うというより、地域を一緒に支えていく存在だと思っています。急な対応が必要なときに声をかけ合ったり、状況に応じてスタッフ同士でサポートし合ったりすることもあります」
また、地域でのユニークな取り組みとしてneighborという団体で「コーヒーと血圧計」というイベントも行っています。商店街でコーヒーを配りながら血圧測定を行い、住民と気軽に会話する場です。
「元気そうに見える人でも、話してみると健康診断に行っていないとか、子育てで自分の体を後回しにしているとか、いろいろな話が出てくるんです。そういうきっかけで医療につながることもあります」
実際に、この活動を通して医療機関を受診するようになった人や、後に訪問看護につながったケースもあるそうです。
「壊れてから直すのは大変ですからね。壊れる前にできることがあるということを、少しでも伝えられたらと思っています」
そして吉村さんは、訪問看護の未来についても静かに語ります。
「最終的には、こうした取り組みを地域の中でしっかり根付かせていきたいと思っています。まずは港区で信頼されるステーションになり、その先には東京、そして全国へと広げていけたらいいですね」
在宅医療には、まだまだ可能性があると吉村さんは言います。
「もし自分の家族が在宅医療を受けることになったとき、“ここなら任せられる”と思える場所が増えていくといいなと思っています。その基盤づくりに関わっていけたら嬉しいですね」
チームで患者さんを支えるステーションづくり
現在、ステーションには看護師やリハビリスタッフが在籍しています。吉村さんが大切にしているのは「みんなで患者さんを看る」という文化です。
「うちで診ている患者さんは、みんなの患者さんだという考え方でやっています。担当だけが抱え込むのではなくて、みんなで看ていく」
週に1回、2時間ほどの時間を確保し、カンファレンスや勉強会を行っているそうです。
「患者さんの共有をしたり、勉強会をしたり、時には映画を見たりすることもあります。医療や倫理に関わるテーマの映画を見て、みんなで感想を話すこともありますね」
その時間の最初には、必ずアイスブレイクも行います。
「ここ1週間で良かったこととか、最近見たニュースとか、何でもいいので話してもらっています。そういう時間があると、お互いの価値観も自然とわかってくるんですよね」
そして吉村さんは、少し笑いながらこう続けます。
「スタッフからは“この時間が一番好きです”って言われることもあるんですよ(笑)」
何気ない会話の時間が、チームの雰囲気づくりにもつながっているようです。
また、LIVING訪問看護ステーションでは、スタッフが安心して働き続けられる環境づくりも大切にしています。
働き方については、時差出勤などできるだけ柔軟に対応できる体制を整えています。
スタッフの育成についても、理念である「伴走」を意識しているといいます。
「スタッフに対しても伴走だと思っています。できるようになるまで、一緒についていく。患者さんのケアを一緒にやりながら、少しずつ経験を積んでもらっています」
その結果、最近ではスタッフ同士の意識にも変化が見えてきました。
「最初は自分の担当患者さんの相談が多かったんですけど、最近は担当じゃない患者さんのことも気にしてくれるようになってきました。そこはすごく成長を感じるところですね」

求職者の方へメッセージ
―最後に、求職者の方へメッセージをお願いします。
「僕は、看護学生の頃の看護観ってすごく好きなんです。実習のときって、純粋に“この人のために何かしてあげたい”と思うじゃないですか」
しかし、働く中で忙しさや環境の変化によって、その気持ちが薄れてしまうこともあります。
「もちろんそれも自然なことなんですけど、あの頃の気持ちを大事にできる場所があってもいいんじゃないかなと思っています」
訪問看護は、一人ではなくチームで支える仕事です。
「子育てで大変な時期があったとしても、いつかまた支え合えるかもしれない。みんなでお互いを気遣いながら働けたら、もっと楽しく仕事ができるんじゃないかなと思っています」
静かに語る言葉の端々から、看護という仕事への深い思いが伝わってきました。
「一緒にこの地域を支えていける仲間が増えたら嬉しいですね」
インタビュアーより
吉村さんの言葉はどれも哲学的でありながら、どこかユーモアがあって、聞き手として肩の力がすっと抜ける感覚がありました。とくに「伴走は共に痛みを負う覚悟」という表現は、訪問看護の本質をまっすぐに言い当てているように感じます。
法人としての歩みはまだ5年、訪問看護ステーションとしては開設から1年、地域とのつながりを少しずつ築きながら精力的に活動されている姿も印象的でした。LIVING訪問看護ステーションが、この街でどんなふうに根を張っていくのか。これからが楽しみです。
事業所概要
事業所名:LIVING訪問看護ステーション
住所:東京都港区高輪1-26-20 アムス高輪9F
事業所紹介ページ:https://ns-pace-career.com/facilities/18600
【港区・常勤】年収500万円以上可◎土日祝休み/フレックス対応・オンコール週1回~OK!
事業所名
雇用形態
給与
就業場所
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
