未経験から始まった“丁寧な看護”の学び~訪問看護ステーションほのか 山口さんにインタビュー~

外科病棟と療養型病院で長く経験を積んできた山口さん。2025年2月、「訪問看護ステーションほのか」に未経験で入職しました。
初めての訪問看護に不安もあったという山口さんですが、先輩や所長からの丁寧なサポートに支えられながら、一歩ずつ経験を積んできました。
訪問看護の学びや気づき、看取りの経験を通して“ご家族を含めたケア”の大切さを実感したと話します。
今回は、初めて訪問看護に挑戦した山口さんのリアルな物語を伺いました。
【※本記事はNsPaceCareer が事業所向けに提供している「特集記事掲載サービス」によるものです。取材・撮影・編集はNsPaceCareer が担当しました。】
【常勤・台東区】年間休日120日以上でワークライフバランス良好!2023年2月開設の新しい訪問看護ステーションです!
事業所名
雇用形態
給与
就業場所
訪問看護への挑戦を決めた日
山口さんが“訪問看護に挑戦してみよう”と思うようになるまでには、長い臨床経験がありました。
-まず、これまでの看護師としてのご経歴を教えていただけますか?
「外科病棟で8年働いて、その後は結婚と出産で5年のブランクがありました。復帰後は長期療養型の病院で16年間勤務して、訪問看護は今年の2月から始めたところです」
外科と療養型での24年間の経験。その中で、ずっと心に残っている出来事があると振り返ります。
-訪問看護に挑戦しようと思われたきっかけは何だったのでしょう?
「病院で勤めていた頃、看護師3年目の他部署研修で訪問看護を経験しました。担当していた患者さんのご自宅に伺ったとき、病院とは全く違って本当に生き生きしていて…『本来の姿というのはこういうものなんだ』と気づかされた瞬間でした」
「訪問看護ステーションの静かな雰囲気にも驚きました。心電図もナースコールも鳴らない。看護師が静かに記録をしていて、時間になったら訪問に向かう…。働き方が病棟と全く違って新鮮でした」
ただ、その時は「もっと病棟で経験を積んでから」と思い、訪問看護へ進むことはありませんでした。
それでも、心に残った“訪問看護の風景”は消えなかったといいます。
「昨年、引っ越しを機に『今かな』と思いました。新しい場所で働くなら、思い切って訪問看護に挑戦したいと思ったんです」
-訪問看護ステーションほのかを選ばれた理由はありますか?
「面接に伺ったとき、とても落ち着いた雰囲気で…すぐに『ここだ』と思いました。入職前の同行訪問でも丁寧に対応してくださって、“新しいことを始めるならここしかない”と感じました」
訪問看護への一歩は、こうして自然に踏み出されました。

不安の中で始まった同行期間
-初めて訪問看護に入職された時、どんな不安がありましたか?
「1番は“一人で訪問に行く”ということでした。状態が変わった時に自分に判断できるだろうか…その不安は大きかったです」
その不安を支えたのが、“ほのか”のスタッフと所長の諏訪部さんでした。
「不安を話しやすい環境で、所長さんがとても近い存在でいてくださいます。利用者さんも一緒に見てくださるので、“ひとりではない”と感じられます」
-入職後、同行訪問の期間は1ヶ月あると伺いましたが、どんな学びがありましたか?
「1ヶ月間同行していただけるのが安心でしたし、その期間が終わった後も“不安なら同行するよ”と声をかけてくださいました。単独訪問の初日は本当に緊張しましたが、帰った時に“どうだった?”と迎えてくださって…あれは忘れられないです」
同行中に特に印象に残ったのは、先輩の生活ケアでした。
「先輩のケアは、細やかで本当に参考になりました。家庭にある物品を使って清拭をしたり、予防の視点で足浴をしたり…。病棟とは違う視点ばかりで、“こういう看護があるんだ”と驚きの連続でした」
“生活に寄り添う看護”との出会いは、新しい看護観の芽生えにつながったようでした。
初めての単独訪問と看取りの経験
入職して3ヶ月ほどたった頃、山口さんは初めて利用者さんの看取りを経験します。
-看取りの場面で、特に印象に残っていることはありますか?
「ご自宅での看取りは病院とは全く違いました。ご家族がすぐそばで支えていらっしゃる。その気持ちに寄り添う難しさを感じました」
その中で、所長の姿勢が強く心に残ったといいます。
「娘様も病気を抱えていらして…。所長さんから“娘さんの体調が整わないと、ご本人のケアを続けることが難しくなるんだよ”と教えてくださって。娘さんの受診時には利用者さんが一人にならないよう訪問したこともありました。所長さんが娘さんに温かく寄り添う姿勢に驚きました」
訪問看護は“生活を支える看護”。そこにはご家族の思いを支えるという、もうひとつの役割があります。
「ご家族を含めて支えていく看護を、これから自分の中で育てていきたいと思いました。訪問看護は本当に奥が深いです」
また、看取り後のミーティングも山口さんにとって大切な時間になっています。
「亡くなられた利用者さんのことも皆で振り返ります。“つらかったこと”“できてよかったこと”を共有して、泣きながら話すこともあります。看護師自身の気持ちを整えてくれる時間になっています」
“ほのか”で感じるチームの温かさと地域の魅力
-“ほのか”のチームの雰囲気について教えていただけますか?
「穏やかな雰囲気で、事務の方も看護師も、皆さんいいチームワークなんです。今まで働いてきた中でも、ここまで人間関係が落ち着いている職場はなかなかなくて…。規模が小さいからこその良さなのかもしれませんね。先輩は経験豊富な方ばかりで、相談もしやすい環境です」
“ほのか”では「みんなで看る」文化が根付いています。
「自分が訪問する利用者さんへ、所長さんや先輩が訪問してくださることもあります。私が気づけなかったことを他のスタッフが見つけてくださって、受診につながることもありました。一人で抱えないでいいのは、本当に安心です」
-働き方の面はいかがですか?
「私は子どもがまだ小学生で、学校行事や体調不良もあります。でも所長さんが勤務をすごく配慮してくださって、短時間だけ抜けることもできます。病院勤務では難しかったので、とても助けられています」
担当制に偏らず、柔軟に支えあえるチーム体制だからこそ、子育て中のスタッフも安心して働けていると感じているそうです。
また、“ほのか”には高齢者だけでなく小児の利用者さんもいます。
「子育ての経験が、小児のご家族と関わるときにも自然と活かされる場面があります」と話し、幅広く関わることが自分の成長にもつながっていると感じているようでした。
さらに、地域の景色も日々の訪問を後押ししてくれると言います。
「谷中の雰囲気が本当に好きで…。上野公園を通って訪問したり、スカイツリーを眺めながら移動したりと、季節を感じられる環境なんです。お昼休みに上野公園でご飯を食べるとリフレッシュできます」
その季節の風景は、利用者さんとの温かいやり取りにもつながっています。
「写真を撮って『今こんな季節ですよ』とお伝えすることもあります。外に出られない方にも季節を感じていただけたらと思って。喜んでくださるので、私も嬉しくなります」
地域に寄り添い、小さな暮らしの変化に寄り添う。
そんな“ほのか”らしい日常が広がっていました。

これから訪問看護を目指す人へ
-どんな訪問看護師を目指していきたいと感じていますか?
「利用者さんだけでなく、ご家族も大切に看護していけるようになりたいです。自宅での療養は、ご家族の負担や不安も大きいので、そこに寄り添える看護観を育てていきたいと思っています」
訪問看護を始めたことで、“看護観を語るのはむしろ難しくなった”と感じることもあるそうです。
新しい経験を重ねるほど視野が広がり、考えることが増えたといいます。
「訪問看護は奥が深いです。自分がどんな看護をしていきたいのか…これから経験を積みながら少しずつ見つけられたらと思っています」
-最後に、“ほのか”への入職を迷っている方へメッセージをお願いします。
「初めて訪問看護をする方でも、経験がある方でも、不安はあると思います。でも“ほのか”はその不安を受け止めてくれる場所です。丁寧に育ててもらえる環境がありますし、スタッフの雰囲気もすごくいいので、安心して来ていただけたら嬉しいです」
インタビュアーより
山口さんのお話から感じたのは、訪問看護に挑戦する不安が、丁寧なサポートと温かな仲間によって“育つ時間”へと変わっていくということでした。
利用者さんやご家族とまっすぐに向き合おうとする姿勢。所長・先輩方との関係性から伝わる“ほのか”の優しい空気。
経験豊富なスタッフに支えられ、地域の風景を楽しみながら日々の訪問へ向かう山口さんの姿は、これから訪問看護を目指す誰かの背中をそっと押してくれるのではないでしょうか。
事業所概要
事業所名:訪問看護ステーションほのか
所在地:東京都台東区谷中3-9-2 テラスハウスベル6
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
