派遣看護師の給料はいくら?派遣の方が稼げる理由3つと向いている人を解説
「派遣看護師は稼げるの?あまり正社員と変わらないのでは?」「派遣看護師で給料が高い職場はどう探せばいい?」
現在の職場への不満や悩みによっては、派遣看護師への転職を考えている看護師の方もいるのではないでしょうか。
しかし、派遣看護師で働いた経験がない方はさまざまな不安を感じるでしょう。
この記事では、派遣看護師が稼げる理由と向いている人を詳しく解説します。派遣看護師の働き方を検討されている方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてくださいね。
派遣看護師の給料とは
派遣看護師の給料について、ここでは次の3つを詳しく紹介します。
- 平均時給
- 平均月給
- 平均年収
それぞれをみていきましょう。
派遣看護師の給料|平均時給
派遣看護師の平均時給は、以下の通りです。
都市部の派遣看護師:1,500~2,400円
地方の派遣看護師:1,200~1,600円
一般の会社員と同じように、地方よりも都市部のほうが時給の相場は高くなる傾向です。ただし、派遣看護師の時給の相場は以下の条件により差が出ます。
- 勤務地
- 業務内容
- 病院や施設の規模
- 経験年数
- 保有資格
- 応募の緊急度
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると看護師の平均時給は2,662円です。(*経験年数9.8年、総支給額508万1,700円、所定内労働時間は月に159時間をもとに算出)
正職員の看護師に比べて、派遣看護師の時給が低いのはボーナスがないためといえます。
派遣看護師の給料|平均月収
ここでは、先述した資料と同じ勤務時間(所定内労働時間数:159時間)を想定して算出しました。
時給が1,800円と仮定すると、派遣看護師の平均月収は28万6,200円です。夜勤のある職場や、時給の高い職場で働くと、高収入を期待できます。
派遣看護師の給料|平均年収
先ほど紹介した派遣看護師の平均月収をもとに算出すると、派遣看護師の平均年収は343万4,400円です。
正職員の看護師と比べると、160万円ほどの差です。
ここから、派遣看護師の働き方やメリット、デメリットも解説しているためライフワークバランスと一緒に考えてみてくださいね。
派遣看護師の働き方
ここでは、派遣看護師としてどのような働き方があるのかを、次の4つの例から紹介します。
- 登録派遣型
- 単発派遣型
- 常用派遣型
- 紹介予定派遣
それぞれの働き方の特徴を踏まえ、派遣看護師として転職を検討する際の参考にしましょう。
登録型派遣
登録型派遣とは「派遣会社に登録した看護師に対して、派遣会社が仕事を案内し雇用契約を結ぶ働き方のこと」です。
登録型派遣では、派遣期間が終了したら雇用契約は終了します。登録型派遣の魅力は、以下のように働き方の選択肢が多いことです。
- 時間帯や曜日
- 短期か長期
- 時短希望
- 夜勤専従か日勤のみ
そのため、登録型派遣は自分のライフワークバランスに合わせて仕事を選べるといえるでしょう。
単発派遣型
単発派遣型とは単発で派遣される雇用形態です。
その日に人材が必要な会社から急に求人が出るため、高時給の求人が多いのが特徴です。ただし、人員不足や仕事内容がきつい恐れがあるため注意してください。
常用型派遣
常用型派遣とは「派遣会社と看護師が雇用契約を結んでいる働き方」のことです。
登録型派遣とは異なり、常用派遣型は派遣先での雇用期間が終了しても派遣会社との雇用関係が継続します。そのため、派遣会社から新たな派遣先を紹介してもらえる可能性があります。
とくに、看護や介護の専門知識を有した優秀な人材を活用したい企業側のニーズから採用されます。
紹介予定派遣
紹介予定派遣とは「派遣先の会社で、半年以内に契約社員や正社員の直接契約に移行することを前提とした雇用形態」のことです。
会社側は、試用期間として採用することで、採用のリスクが少なく看護師を雇えるメリットがあります。
紹介予定派遣の看護師は、働きながら、仕事内容や病院内の雰囲気、人間関係などを知ることができます。
紹介予定派遣は、会社と看護師、お互いのミスマッチを防げる雇用形態といえるでしょう。
看護師は派遣の方が稼げるといわれる3つの理由
「正社員よりも派遣の方が稼げる」という声を聞いたことがある方もいるでしょう。ここでは、派遣看護師の方が、正社員の看護師よりも稼げるといわれる理由をくわしく解説します。
- 急募であると時給が高くなるため
- 多忙な就職先であると時給が高くなるため
- 専門的な知識やスキルが必要であると時給が高くなるため
それぞれの理由をみていきましょう。
急募であると時給が高くなるため
現在は少子高齢化社会であり、どの業界でも人材は不足しています。医療現場も同じように、人手不足の状態です。
そのため、新規オープンに伴う急募や体調不良の看護師の補充などの募集であれば、なかには時給3,000円を超える求人も見つけられるでしょう。
多忙な就職先であると時給が高くなるため
現在は、医療現場において慢性的な看護師の不足が問題のひとつです。
そのため、派遣看護師の就職先にはさまざまなところがあり、多忙であると時給が高くなる傾向です。
- 医療機関
- 介護施設
- 訪問看護ステーション
- クリニック
会社の健康管理部門
在宅医療の推進により、介護施設や訪問看護ステーションの数は年々増える傾向にあります。訪問看護ステーションは令和5年4月1日時点で15,697件であり、前年より1,393件増加しています。
ただし、現場では看護師の正社員・非正規社員ともに不足しており、日雇い派遣看護師の導入をしている施設もあるのが現状です。
看護師数が足りず多忙な就職先であれば、時給は高くなるでしょう。
派遣看護師として短期間で稼ぎたい方は、このような求人をチェックすることをおすすめします。
専門的な知識やスキルが必要であると時給が高くなるため
専門的な知識やスキルを持った看護師は、病院や施設に求められる人材であるため時給が高いです。
専門的な知識や高いスキルを持っている派遣看護師は重宝され、時給が高くなります。
派遣会社に登録するときに、スキルや経験をくわしく伝えておくと、より時給が高い派遣先を紹介してもらえるでしょう。
派遣看護師に向いている人の特徴
派遣看護師の雇用形態を踏まえ、派遣看護師に向いている方の特徴をまとめました。派遣看護師に向いているか知りたい方は、以下の特徴に当てはまるかをチェックしてみましょう。
プライベートを優先したい人
プライベートを優先したい方は、派遣看護師に向いています。
派遣看護師は、その雇用形態からライフワークバランスをとりやすく、残業や夜勤をするか自分で選択できるためです。
残業や突然の勤務交代などに対応せずに済むため、プライベートが充実するでしょう。
家族や友人との時間を大切にしたい方に、派遣看護師はおすすめといえます。
決まった期間だけ働きたい人
派遣看護師を検討している方の中には、決まった期間だけしっかりと働いて、海外旅行に行きたいと考えている方もいるでしょう。
正社員の看護師は、長期の休みをとることは容易ではありません。派遣看護師のメリットは、自身で働く時間やその期間を選べることです。
ライフスタイルに合わせて高時給の派遣先を探し、一定期間しっかりと働いて稼ぐこともできます。
さまざまな職場で働いてみたい人
派遣看護師は、職場環境を柔軟に変えられるのもメリットの一つです。
人間関係は、多くの看護師の方の悩みです。人間関係が原因で転職した看護師の方も多くいます。
派遣看護師という働き方を選ぶと、新たな派遣先で働けるため人間関係の問題も解決しやすいです。
人間関係を一から作るのが得意な人
新しい職場やコミュニティに入り、人間関係を作るのが得意な方には派遣看護師は相性がいいです。
派遣看護師の雇用形態にもよりますが、派遣期間が終了したら次の会社へ変えられます。新しい環境で、新しい人間関係を構築していくことを楽しめる方は向いているといえるでしょう。
とはいえ、新しい人間関係への抵抗や、精神的に疲れてしまう方もいます。この場合は、派遣看護師の中でも紹介予定派遣を選ぶなど、雇用形態について情報収集することで、あなたに合った働き方になるでしょう。
正社員になる前にお試しとして働きたい人
派遣看護師として働きながら、職場を体験することが可能です。
雇用形態を選択し自分の求める職場環境と合っていたら、双方が合意すると直接雇用してもらえます。
自分の求める労働環境を事前にお試しできることは、正社員の看護師にはないメリットといえるでしょう。
派遣看護師になるメリット
ここでは、派遣看護師という働き方を選択することの次のようなメリットを紹介します。
- 派遣先が豊富であり選択肢が広い
- 柔軟な働き方ができる
- 時間外勤務が少ない
- 役割がなく負担が少ない
- 人材派遣会社に相談できる
それぞれをみて、自分のメリットになるのか考えてみてくださいね。
派遣先が豊富であり選択肢が広い
先ほども紹介したように、看護師の業界は人手不足です。
そのため、今後も派遣看護師の需要は伸びるため、派遣先は豊富でさまざまな職場で経験とスキルを培えるといえるでしょう。
さらに、看護師が少なくなることから、派遣看護師の待遇改善を見直す動きがあります。これらの政府の動きも派遣看護師として働くときのメリットとなるでしょう。
柔軟な働き方ができる
派遣看護師は下記のように自分で働き方を選べます。
- 時短勤務
- 夜勤なし
- フルタイム勤務
- 残業なし
- 出勤日の指定
環境や生活の状況により、それぞれの社会的な背景はさまざまです。
「子育てをしていて、毎週水曜日は習い事がある」「2人目の子どものことを考えている」「親の介護をしなければならない」などそれぞれ事情が違います。
派遣看護師であれば、事前に勤務希望の時間帯や曜日を伝えておけるため、あなたに合った働き方で活躍できるでしょう。
時間外勤務が少ない
「できれば残業はしたくない」「定時で帰りたい」と考える方も多いでしょう。
看護師の時間外労働は、近年問題になっています。
基本的に、正社員の看護師は交代の勤務で働きます。同僚の急な欠勤によるシフトの変更や、患者さまの急変対応で残業することも多いでしょう。
ただし、派遣看護師の場合は勤務時間が決まっていることが多いです。
そのため、正社員の看護師と比べて、残業時間が少ないことがメリットといえます。
役割がなく負担が少ない
派遣看護師は、委員会の活動や、看護師長などの役割を担うことがありません。
役割がなく負担が少ないことはメリットのひとつです。
人間関係に悩むことが少ない
正社員で長く勤めていると、人間関係に悩む看護師の方も多いでしょう。
実際に、「悪口ばかりの職場の人間関係に嫌気がさす」「とても苦手な人がいる」などの声が聞かれます。
派遣社員は雇用期間が決まっていることも多く、人間関係で困ったとしても一定期間が過ぎると離れられるので悩みにくいでしょう。
人材派遣会社に相談できる
派遣看護師は、派遣先の病院スタッフではなく派遣会社のスタッフ扱いになります。
そのため、派遣先で問題やトラブルに巻き込まれた場合も、派遣会社が仲介してくれるため、ひとりで悩まずに相談できます。
相談先があることは、派遣看護師として働くメリットといえるでしょう。
派遣看護師になるデメリット
派遣看護になるメリットがある一方で、デメリットもあります。
- 正社員より昇給しにくい
- 人気な求人ではスキルが求められる
- 更新制であり不安定である
- 派遣先の福利厚生は対象外となる
それぞれのデメリットも知っておき、派遣看護師として働きましょう。
正社員より昇給しにくい
正社員で働く看護師は、1年ごとの昇給がある病院や施設もみられます。
しかし、派遣看護師の場合は3年くらいで派遣先を移ることもあります。そのため、長期的にみたとき正社員よりも昇給しにくいといえます。
さらに、派遣先が変わるためキャリアアップしにくく、新しい仕事をその都度覚えなければならないため効率的に動けないこともデメリットです。
人気な求人ではスキルが求められる
派遣看護師で人気の求人では競争率が高くなり、即戦力となる人材やスキルの高い人材などが求められます。
高時給で人気の求人でも採用してもらえるように、日頃からスキルと経験を培っておくことが大切です。
常に新着の求人情報を確認しましょう。
更新制であり不安定である
派遣看護師は雇用形態にもよりますが、基本的には更新制の雇用です。
派遣看護師の契約更新は、2〜3か月に1回のことが多いです。
合わない職場はすぐに変えやすいというメリットもありますが、更新してもらえないリスクもあるため不安定に感じる方もいるでしょう。
一方で、それが派遣看護師のメリットでもあります。
自身の年齢やライフスタイルによって紹介予定派遣を選び、いい職場に巡り合えたら直接契約することも検討しましょう。
派遣先の福利厚生は対象外
派遣看護師は、派遣会社のスタッフであるため、派遣先病院の福利厚生は対象外です。
派遣先での福利厚生が整っていると、正社員が羨ましいと感じるかもしれません。
登録先での福利厚生はさまざまであるため、どのような福利厚生があるのかチェックしてみてくださいね。
派遣看護師で高い給料を目指す方法
ここでは、派遣看護師で高収入を目指す次の方法をくわしく解説します。
- 高時給の派遣先を探す
- 夜勤専従で働く
- ダブルワークをする
それぞれの方法を把握し、高収入を目指しましょう。
高時給の派遣先を探す
派遣看護師は、派遣先や勤務条件、勤務先などを十分に選ぶと、正社員よりも高収入が期待できます。
月収だけみると、残業や夜勤をせずに高時給で働ける求人もあります。
登録している派遣会社に任せてしまうのではなく、自身でも高時給の派遣先の情報を求人サイトから得るように心がけてください。
夜勤専従で働く
夜勤専従で働くと、時給にくわえて深夜割増や時間外労働割増などを得られるため高収入になりやすいです。
夜勤手当のほかに、交通費や資格手当などがもらえると給料が高くなるでしょう。また、夜勤専従の看護師は、日勤で働く看護師よりもニーズが高いため高時給の求人が多いといえます。
さらに、夜勤専従の看護師のメリットは勤務日数が少ないことです。夜勤専従であれば、2交代制で月8~9回くらいの出勤のみです。
ですが、夜勤により体調を崩す方もいるため、自身の体調と相談しながらお仕事を選んでください。
ダブルワークをする
ダブルワークで高収入を目指せるのも派遣看護師の特徴です。
体力に余裕があれば、夜勤の派遣看護師をしながら日中の高時給での派遣先とのダブルワークもできます。
なかには、単発で介護施設の派遣看護師として働く方もいます。
実際に、以下のような事業所の求人が掲載されています。
- デイサービス
- 特別養護老人ホーム
- デイケア
- 有料老人ホーム
- 訪問入浴
このような派遣先を上手く組み合わせてダブルワークをすることで、高収入を目指せるでしょう。
派遣看護師の求人の例
ここでは、派遣看護師の求人の例をいくつか紹介します。実際に、求人を探すときの参考にしてください。
訪問看護ステーション
訪問看護ステーションは、在宅医療が進められており訪問看護ステーションの求人が増えています。
求人数が増えると、より良い条件の求人が見つけやすいです。
訪問看護師では、夜勤はなく残業も少ない傾向であることから、自分のペースで働ける職場の一つです。
介護施設
病院や訪問看護ステーションよりも介護施設の求人数は少ないですが、なかには時給3,000円の高時給の求人もあります。
病院に比べて残業や夜勤も少ないため、介護施設も転職の候補として検討しましょう。
ただし、医療現場とは異なり、介護施設の仕事内容は利用者さまの健康管理であり、医療処置をする機会が減る恐れがあります。さらに、スタッフの一員として食事の介助や配膳、トイレ介助、入浴補助などを求められる場合もあります。
介護施設で働くことに興味がある方は、求人を探してみてはいかがでしょうか。
クリニック
クリニックの主な仕事内容は、診察の介助や患者さまの対応、処置などがあります。
しかし、クリニックの種類は多岐にわたるため、診療科目によって仕事内容はさまざまです。クリニックの求人によっては、手術の補助が必要なところもあります。
専門性やスキルが必要とされるクリニックでの派遣看護師であれば、高時給の求人が期待できます。
病院
派遣看護師として病院で働く場合は、病棟や外来で働く正社員の看護師と同じような仕事内容です。
総合病院や大学病院などの派遣看護師であれば、時給2,500円以上の好条件で働けるケースもあります。専門看護師や認定看護師などの専門性が高い資格を取得できると、より高時給が期待できます。
ただし、病院の規模が大きく機能が専門的になると、プレッシャーを強く感じたり忙しくなったりする恐れがあるため時給ばかりに目を向けないでくださいね。
まとめ
派遣看護師は、少子高齢化や看護師の人手不足などの理由により、高時給で働くことができます。
柔軟な働き方を選べるため、あなたのライフスタイルに合わせて勤務できます。
派遣看護師はボーナスの支給がなく、年収では正社員の看護師を超えることは難しいかもしれません。ただし、条件によって派遣看護師は、正社員の看護師を上回る収入を目指せます。
なかでも、訪問看護ステーションへの転職はおすすめです。国の方針として、病院から在宅へ療養の場が移っており、訪問看護師の役割は重要です。
「NsPaceCareer」では、全国から訪問看護師の求人を検索できます。この機会に自身のライフワークバランスを真剣にみつめ直し、派遣看護師への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
参考文献・サイト
「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。