認定看護師の給料は?資格手当や給料アップにつながる条件を解説

「認定看護師を取っても、給料は変わらないと聞いたことがある」「教育課程に100万円近くかけて、手当がつかなかったらどうしよう」
資格取得を検討するなかで、こうした不安を感じている看護師はいらっしゃいませんか。
認定看護師の資格が給料に反映される職場がある一方で、実際に資格手当を支給している病院は約半数にとどまり、取得すれば必ず給料が上がるわけではありません。
この記事を読むと、認定看護師の平均給料や資格手当の実態が、公的な調査データで確認できます。領域別・勤務先別の違い、給料が上がらないケースとその理由まで分かるため、「自分の職場で取得する価値があるか」を判断できるようになります。

認定看護師の給料は?
まずは、公的な調査から認定看護師の給料の水準を確認しましょう。
認定看護師の給料は平均42万9,892円
日本看護協会の調査によると、認定看護師の給与総月額は平均42万9,892円です。給与総月額の分布は次のとおりです。
| 給与総月額 | 割合 |
| 30万円未満 | 3.4% |
| 30万〜40万円未満 | 30.8% |
| 40万〜50万円未満 | 45.6% |
| 50万〜60万円未満 | 17.4% |
| 60万円以上 | 2.9% |
40万〜50万円未満の層が全体の半数近くを占めます。30万円台の人も3割おり、認定看護師といっても給料の水準には幅があることが分かります。ただし、資格取得前後の給与差を示すものではなく、調査時点の給与水準を表す数値です。 また、勤務先によって給料は異なるため、あくまで目安として捉えましょう。
認定看護師になったからといって給料が上がるとは限らない
日本看護協会の調査では、資格取得による昇給・昇格・昇進などについて「特にない」と回答した認定看護師が82.7%にのぼりました。
8割以上が、資格を取得しても処遇に変化がなかったということです。同じ調査で給与総月額に対する満足度を尋ねたところ、70.8%がやや不満・不満と回答しており、処遇が変わらない現状が満足度の低さにつながっていると考えられます。
資格取得を検討する際は、「平均給料がいくらか」ではなく「自分の勤務先で給料に反映されるか」を確認することが重要です。
関連記事:【2025年版】看護師の平均年収はいくら?ボーナスや給与の内訳を解説
領域別の認定看護師の給料
認定看護師の分野は、 2019年度に認定看護師制度が改正され、従来の21分野(A課程)から新たな19分野(B課程)へ移行しています。ただし、日本看護協会ではB課程の回答数が少ないため(A課程延べ3,502件、B課程481件)、A課程のおもな領域の給与総月額を紹介します。
| 領域 | 給与総月額 |
| 集中ケア | 45万7,061円 |
| 小児救急看護 | 45万3,221円 |
| 救急看護 | 44万9,699円 |
| 感染管理 | 44万8,663円 |
| がん性疼痛看護 | 44万7,993円 |
| 訪問看護 | 44万4,993円 |
| 手術看護 | 43万4,567円 |
| 皮膚・排泄ケア | 42万8,545円 |
| 糖尿病看護 | 42万1,565円 |
| 緩和ケア | 41万2,854円 |
集中ケアと緩和ケアでは、月額で約4万4,000円の差があります。
ただし、この差は領域による資格の価値の違いではありません。領域別の給与差には、勤務先や職位、夜勤回数、各種手当などの違いが影響している可能性があります。ただし、このデータだけでは領域ごとの給与差の要因を特定できません。
領域を選ぶ際は、給料ばかりではなく「自分がどの分野で専門性を発揮したいか」を軸に考えることをおすすめします。
認定看護師になると給料はいくら上がる?
資格取得による上乗せ額は、勤務先によって大きく異なります。資格手当のデータから、実際の金額を見ていきましょう。
病院の資格手当は月平均1万1,228円
日本看護協会の2024年度調査によると、認定看護師を配置する病院のうち、資格手当がある病院は49.5%でした。手当がある病院の平均支給額は、月1万1,228円です。
年間に換算すると、約13万5,000円の上乗せになります。
訪問看護ステーションの資格手当は月平均1万3,574円
訪問看護ステーションでは、資格手当がある事業所は44.3%でした。支給している事業所の平均額は月1万3,574円です。支給している割合は病院よりやや低いものの、支給される場合の金額は病院を上回ります。
ただし、この調査で認定看護師を配置していた訪問看護ステーションは115事業所、うち手当があるのは51事業所です。対象となる事業所数が限られるため、目安として考えましょう。
資格手当以外に給料へ反映される場合もある
資格手当がなくても、基本給や等級が上がることで給料に反映されるケースがあります。
日本看護協会の調査では、認定看護師の基本給の評価方法(複数回答)として最も多かったのは「賃金表では特別な評価をしていない(59.9%)」でした。ただし、「非管理職と同じ賃金表で等級を上げる(12.6%)」「非管理職と同じ賃金表で号俸を上げる(8.5%)」「スタッフより上位職の賃金表で評価する(6.3%)」といった回答があります。
「資格手当がない=給料に反映されない」とは限りません。確認する際は、手当の有無だけでなく、基本給や賞与など給与制度のどこに資格取得が反映されるのかまで見ておきましょう。
関連記事:資格取得で看護師の給料はアップする?高収入につなげる方法を解説
認定看護師の給料が上がる3つのケース
認定看護師の資格が給料につながる3つのケースをご紹介します。
資格手当が支給される
分かりやすいのが資格手当です。
認定看護師を対象とした手当制度がある職場では、資格取得後に毎月の給料へ上乗せされます。金額や支給条件は勤務先によって異なり、常勤のみが対象だったり、特定の部署に配置された場合のみ支給されたりする職場もあります。
資格取得後に役割や職位が変わる
認定看護師として専門的な役割を担うことで仕事内容が変わり、給料に反映される場合があります。
たとえば、病院では感染管理認定看護師として感染対策チームの中心を担い、院内をラウンドするなど、教育・指導や相談対応を任されるケースです。
訪問看護でも同様です。さがみはら訪問看護ステーション結様の江藤さんは、訪問看護師として働きながら皮膚・排泄ケア認定看護師を取得しました。取得後は、褥瘡が治りにくいときに根拠をもって医師へ伝えられるようになり、医師から相談を受けることもあるそうです。
役割が評価されて看護主任や看護師長に昇進すれば役職手当も見込めますが、資格取得だけで職位が上がるとは限りません。
関連記事:質の高い看護を求めて〜利用者の価値観を尊重する姿勢を大切に〜さがみはら訪問看護ステーション結 江藤さんにインタビュー~
認定看護師の資格や経験を評価する職場へ転職する
現在の職場で資格が給料に反映されない場合、転職によって待遇が変わる可能性があります。同じ資格を持っていても、手当がある職場とない職場では、年間での差が平均で約13万5,000円です。
実際に、クリスタ訪問看護ステーション様のように、「がん性疼痛看護認定看護師が在籍している」とホームページで明記している事業所もあります。これらの情報からも、資格を評価する姿勢のある事業所かどうかを読み取れるでしょう。
関連記事:「訪問看護は一人じゃない」支え合う看護の現場 ~クリスタ訪問看護ステーション 大岩さんにインタビュー~
認定看護師になっても給料が上がらないケース
資格を取得しても給料が変わらないケースもあります。取得前にパターンを知っておきましょう。
資格手当の対象になっていない
勤務先に資格手当の制度がなければ、資格を取得しても給料は変わりません。
2024年度の調査では、資格手当が「ない」と回答した病院は46.9%でした。約半数の病院には制度そのものがないため、まずは自分の勤務先に手当があるかを確認しましょう。
資格を取得しても仕事内容や役割が変わらない
資格を取得しても、勤務先の賃金制度や配置・役割によっては、給料に反映されない場合があります。 給料は資格そのものではなく、担う役割に対して支払われるためです。
実際、認定看護師の働き方は職場によって大きく異なります。
- 専任・専従として配属される:感染対策室や医療安全管理室などに所属し、コンサルテーション対応や院内マニュアルの作成を担う
- 病棟スタッフとして兼務する:通常の病棟業務をこなしながら、認定看護師としての業務を一部担当する
後者の場合、日中は通常業務に追われ、勤務時間が終わってから残って認定看護師としての業務をおこなうというケースも見られます。役割に応じた時間が確保されていないと、負担だけが増えることになりかねません。
資格取得後にどの部署で何を担当するのか、上司と事前に話し合っておきましょう。
基本給や賞与に反映されない
資格手当がなく、基本給にも加算がなければ、給料は取得前と変わりません。
前述のとおり、等級や号俸を上げて評価する病院もあれば、賃金表では特別な評価をしていない病院もあります。賞与の算定基準に資格や役職が含まれるかも確認しておきましょう。
夜勤・当直・残業などの勤務条件が変わる
資格手当がついても、夜勤回数が減れば給与総月額は変わらないことがあります。
認定看護師の活動は、院内のラウンドや他部署からのコンサルテーション対応など、日勤帯におこなうものが中心です。そのため、活動時間を確保する目的で夜勤の回数が減る場合があります。
なかには専任配置にともなって夜勤がなくなり、資格手当がついたにもかかわらず、給与総月額が取得前より下がったというケースもあります。給料に占める夜勤手当の割合は決して小さくありません。
資格取得後の勤務条件がどう変わるかも、事前に確認しておきたいポイントです。
認定看護師の給料を確認するときに見るべきポイント
資格取得や転職を検討する際は、次の4点を確認しましょう。
- 資格手当はいくら支給されるか
- 基本給や賞与に反映されるか
- 認定看護師としての役割・配置があるか
- 異動や更新後も手当の支給が続くか
役割や配置が決まっていなければ、専門性を発揮する機会がなく、給料への反映も期待しにくくなります。上司との面談の機会に、資格取得後の配置や役割まで詳しく話し合っておきましょう。
関連記事:看護師がスキルアップできる資格一覧25選!プラスの資格を取るメリット
認定看護師と専門看護師の給料・資格手当の違い
認定看護師と専門看護師との、給料や資格手当の違いを以下の表にまとめました。
| 項目 | 認定看護師 | 専門看護師 |
| 給与総月額(月額) | 42万9,892円 | 43万5,291円 |
| 平均手当額(月額) | 1万1,228円 | 1万1,857円 |
| 資格手当がある病院の割合 | 49.5% | 47.0% |
調査年度・対象が異なるため単純比較はできませんが、平均給料は専門看護師がやや高く、資格手当の平均額も上回っています。ただし、手当を支給している病院の割合は認定看護師のほうが高い結果でした。
専門看護師は大学院修士課程の修了が必要で、取得の負担は認定看護師より大きくなりがちです。給料だけで選ぶのではなく、どのような役割を担いたいかで判断する必要があります。
関連記事:専門看護師の給料は約549万円?資格手当や認定看護師との給料の違いを解説
認定看護師の給料に関するよくある質問
認定看護師の給料について、よく聞かれる質問にお答えします。
Q1.認定看護師になると給料はどれくらい上がりますか?
一律に増加するわけではありません。
手当がある職場は半数程度であり、その額も異なります。そのため、資格取得前に、勤務先の給与規程を確認することが大切です。
Q2.認定看護師になれば年収1,000万円を目指せますか?
資格取得だけで年収1,000万円に到達するのは、現実的ではありません。
日本看護協会によると、認定看護師の給料は月額で平均42万9,892円です。給与総月額から年収の分布は判断できませんが、 賞与を含めても年収は500万〜600万円台が中心です。年収は資格だけでなく、役職・勤務先・勤務条件に大きく左右されます。収入を大きく上げたい場合は、管理職を目指すキャリアも選択肢になるでしょう。
Q3.認定看護師の資格を活かせる求人はありますか?
あります。「認定看護師歓迎」「認定看護師優遇」といった記載がある求人は、資格を評価する姿勢がある職場と言えます。
給料に反映される職場を探す場合は、資格手当の有無と金額、認定看護師としての役割があるかまで確認することをおすすめします。記載がなければ、面接時に質問してみましょう。
Q4.認定看護師になるメリット・デメリットはありますか?
メリットは、特定の看護分野について専門的な知識・技術を身につけられることです。資格を活かして教育・指導や相談対応などの役割を担い、組織の看護の質向上に関われる可能性もあります。
反対にデメリットは、資格取得に時間と費用がかかる点です。教育課程の受講には数か月から1年程度を要し、教育課程や教育機関によって 費用は100万円前後かかります。さらに、取得しても必ず給料が上がるわけではありません。
そのため、資格取得を給料だけで判断せず、「その分野でどんな看護を実践したいか」を軸に検討することが大切です。
認定看護師の資格を給料・キャリアアップにつなげよう
認定看護師の給料は月額平均42万9,892円、資格手当は支給されている職場で月1万1,228円(病院)というのが公的調査から見える実態です。
ただし、資格手当がある職場は約半数であり、昇給・昇格がない職場も少なくありません。収入面を重視するなら、資格よりどの職場で働くかが大きく影響します。取得前には手当の支給条件、基本給への反映、資格取得後の役割まで確認しておきましょう。
資格を活かせる環境があり、正当に評価される職場を探したい方は、訪問看護専門の求人サイトであるナスキャリ(NsPace Career)もあわせて活用してみてください。
<参考サイト・文献>
「2022 年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」報告書|公益社団法人日本看護協会
2024年度看護職員の賃金に関する実態調査報告書|公益社団法人日本看護協会
| 監修:飛鳥馬 沙耶(あすま さや)/訪問看護ステーション 管理者 HCU・高度急性期病棟にて約6年間、循環器・心臓外科・脳外科領域を中心とした急性期看護に従事。2023年より訪問看護ステーションの管理者として、在宅医療の現場に携わる。専門領域は、訪問看護・在宅医療、急性期看護。 |
ナスキャリナビ編集部 「ナスキャリナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「ナスキャリ」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
