訪問看護の褥瘡計画書とは?書き方や観察項目、看護計画の記入例を解説

公開日:2026/09/01 更新日:2026/09/01
訪問看護の褥瘡計画書とは?書き方や観察項目、看護計画の記入例を解説

「褥瘡計画書と訪問看護計画書、何が違うのか分からない」「観察する項目が多く、どこまで書けばいいのか自信が持てない」

訪問看護の現場では、こうした戸惑いを感じる方が少なくありません。褥瘡計画書とは、一般的に、褥瘡のリスクが高い利用者さまや褥瘡のある利用者さまに対して作成する「褥瘡対策に関する看護計画書」を指します。訪問看護では、生活環境やご家族の介護力もふまえて計画を立てるのが特徴です。

この記事では、褥瘡計画書の役割や作成が必要な対象者、書き方の3ステップ、場面別の記入例などを解説します。褥瘡の状態や危険因子を整理し、利用者さまの生活に合わせた看護計画を立てるためのポイントが分かります。

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訪問看護における褥瘡計画書とは

「褥瘡計画書」は、訪問看護の現場で一般的に使われている呼び方で、厚生労働省の資料では「褥瘡対策に関する診療計画書」という参考様式として示しています。必須な書類ということではなく、必要な内容を訪問看護記録に記載している場合は当該評価票の作成は不要です。事業所によって書類名や様式が異なる場合もありますが、褥瘡の危険因子を評価し、看護計画を作成・実施・評価するという目的は共通しています。

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褥瘡計画書が必要な理由

褥瘡計画書を作成する理由は、安全な看護提供体制を示すこと、自立度の低い利用者さまに対して褥瘡に関する評価を行い、適切なケアを提供するためです。

訪問看護では、訪問看護管理療養費の算定要件として、褥瘡に関する危険因子の評価を行い、危険因子がある利用者さまやすでに褥瘡がある利用者さまについて、適切な褥瘡対策の看護計画を作成・実施・評価することが求められています。

また、褥瘡の発生から悪化、治癒までの経過を客観的に記録しておくことで、実施したケアの根拠を示すこともできます。

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褥瘡計画書の作成が必要な対象者

褥瘡計画書は、先述したとおり日常生活自立度が低い利用者さまについて危険因子を評価し、危険因子がある場合やすでに褥瘡がある場合に作成します。

ただし、危険因子の項目で「あり」もしくは「できない」が一つ以上ある場合は、褥瘡対策の看護計画を立案する必要があります。

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褥瘡計画書と訪問看護計画書の違い

訪問看護計画書は利用者さまへの看護サービス内容を定める一方で、褥瘡計画書は褥瘡の予防・改善に特化した評価やケアを記載する書類です。

訪問看護計画書が入浴介助やリハビリなど、治療や生活全般を支えるための目標を示すのに対し、褥瘡計画書は褥瘡の観察項目や体位変換の頻度など、褥瘡ケアに絞った内容を記載します。

両方をあわせて確認することで、利用者さまのケアの目標と、褥瘡ケアの進め方を把握できます。

関連記事:訪問看護計画書の書き方は? 記入例や注意点も紹介

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訪問看護の褥瘡計画書に記入する項目

褥瘡計画書には、以下の4つの項目を整理して記載します。

項目記載内容
基本情報氏名、褥瘡の有無、褥瘡発生日、作成した看護師の氏名
危険因子の評価 日常生活自立度が低い利用者さまを対象に、各項目をチェックし、該当があれば計画立案
DESIGN-R ®による褥瘡の状態評価7項目を評価し合計点を算出
看護計画の内容圧迫・ズレ対策、スキンケア、栄養、リハビリ

基本情報で褥瘡の有無を把握し、危険因子とDESIGN-R ®で状態を評価したうえで、看護計画に落とし込む、という流れで整理すると記載しやすくなります。

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基本情報

基本情報には、利用者さまの氏名や褥瘡の有無、発生日、作成した看護師の氏名など褥瘡ケアのもととなる情報を記載します。

褥瘡がいつ、どの部位に生じたのかを明確にしておくと、その後の経過を追いやすくなります。すでに褥瘡がある利用者さまだけでなく、発生するリスクがある利用者さまについても、基本情報の欄で状況を整理しておくと、危険因子の評価にもつなげやすくなります。

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危険因子の評価

危険因子の評価では、日常生活自立度が低い利用者さまを対象に、褥瘡につながりやすい要因を各項目でチェックします。

  • 日常生活自立度(J1~C2)
  • 基本的動作能力:ベッド上 自力体位交換
  • 基本的動作能力:椅子上 座位姿勢の保持、除圧
  • 病的骨突出
  • 関節拘縮
  • 栄養状態の低下
  • 皮膚湿潤:多汗、尿失禁、便失禁
  • 皮膚の脆弱性:浮腫
  • 皮膚の脆弱性:スキン-テアの保有、既往

いずれかの危険因子に該当した場合は、褥瘡の発生・悪化を防ぐために、看護計画を作成・実施・評価します。また、評価は一度きりで終わらせず、利用者さまの状態変化にあわせて見直すことで、褥瘡の予防につなげやすくなります。

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DESIGN-R ®による褥瘡の状態評価

DESIGN-R ®は、日本褥瘡学会が開発した評価スケールで、褥瘡の状態を評価し、治癒の経過を数値で比較できます。深さ・滲出液・大きさ・炎症や感染の有無・肉芽組織・壊死組織・ポケットの7項目で構成され、定量的に評価できます。

褥瘡の状態に応じて同じ基準で継続的に評価しておくと、前回との違いを数値で比較できるため、悪化や改善のサインに気づきやすくなるでしょう。

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看護計画の内容

看護計画には、圧迫やズレへの対策、スキンケア、栄養管理、リハビリテーションなど褥瘡の改善・予防に必要なケアを記載します。

体位変換や除圧用具の使用といった対策に加え、皮膚を清潔に保つケア、食事内容の見直し、関節のこわばりを防ぐためのリハビリなど、複数の視点からケア内容を組み立てます。

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訪問看護の褥瘡計画書の書き方【3ステップ】

褥瘡計画書は、「状態のアセスメント」「目標設定」「訪問頻度や評価時期の決定」の3つのステップで作成すると、無理なくまとめられます。

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1.利用者さまの状態をアセスメントする

まず、褥瘡の発生部位や深さ、原因を確認し、栄養状態や日常生活動作などの全身状態とあわせて把握します。

危険因子やDESIGN-R ®を用いて評価すると、褥瘡の状態や発生リスクを整理しやすくなります。栄養状態や活動量、住環境なども確認し、褥瘡が生じた原因や悪化の要因を把握しておくことが大切です。

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2. アセスメント結果をもとに必要なケアを検討する

アセスメントの結果をもとに、褥瘡の状態や危険因子に応じて必要なケアを検討します。

たとえば、同じ姿勢が続く場合は体位変換や体圧分散用具の使用を考え、栄養状態に課題がある場合は食事摂取量の確認や主治医や栄養士との連携を計画します。

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3. 実施内容と評価のタイミングを決める

体位変換の頻度や創部処置の方法、栄養管理の方針などを決めたうえで、評価のタイミングを設定します。

利用者さまやご家族が無理なく実行できる範囲で計画に落とし込むことがポイントです。

評価の結果、状態や生活環境に変化があれば、ケアの内容や目標を見直し、現状に合った計画へ修正します。

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訪問看護師が実施する褥瘡ケア

褥瘡ケアには、除圧・体位変換、創部処置、栄養状態の改善支援、ご家族への介護指導などがあります。

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除圧と体位変換

除圧と体位変換は、皮膚への圧迫やズレを減らし、褥瘡の発生・悪化を防ぐための基本的なケアです。

除圧や体位変換の方法・頻度は、利用者さまの状態や皮膚の状態、使用する体圧分散用具などを踏まえて検討します。一定の間隔で体位を調整することが基本ですが、具体的な頻度は一律に決めるのではなく、個々の状態に応じて設定します。

訪問時だけのケアではなく、ご家族や利用者さまが実践できる方法や頻度を計画して提案しましょう。

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創部処置と皮膚管理

創部の状態に応じて、主治医の指示にもとづく洗浄や外用薬の塗布、被覆材・ガーゼの交換などを行います。褥瘡周囲の皮膚を清潔に保つためにスキンケアも欠かせません。

処置前後には、創部の大きさや深さ、滲出液の量・性状などを確認します。排泄物で皮膚が汚れた場合は、できるだけ早く洗って水分を拭き取り、皮膚の状態に応じて保湿剤や皮膚保護剤を使用しましょう。

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栄養状態の改善支援

褥瘡の改善には、治癒に必要な栄養を確保することも重要です。食事摂取量や体重の変化を確認し、栄養状態の低下が疑われる場合は、管理栄養士と連携して支援します。

食事量が減っている場合は、食べられる量や回数、食欲の有無を確認します。栄養補助食品の活用や食事内容の工夫も計画に反映することが大切です。

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ご家族への介護指導

ご家族が無理なく継続できる方法を伝えることが、褥瘡の予防・改善につながります。

体位変換やスキンケアなど、ご家族が行うケアは、実際に介助方法を示しながら伝えると理解してもらいやすくなります。ご家族の体力や生活リズムを確認して、一緒にケアを検討することが続けるコツです。

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訪問看護の褥瘡計画書 記入例

褥瘡の状態は利用者さまによって異なるため、場面に応じた記入例を2つ紹介します。

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もともと褥瘡がある利用者さまの記入例

仙骨部に褥瘡があり、長時間の臥床による圧迫が悪化の要因と考えられる利用者さまを例に紹介します。

記載項目記入例
体位交換の頻度2~3時間毎
関係職種が共同して取り組むべき事項ヘルパーが食事介助の際に、栄養補助食(ゼリー)を1個摂取できるようにサポートする
評価を行う間隔1週間毎
圧迫、ズレの排除定期的に体位変換を実施。体圧分散マットレスを使用する
スキンケア排泄後は皮膚を清潔に保ち、必要に応じて保湿剤を使用する
栄養状態改善食事摂取量を確認し、必要に応じて管理栄養士と連携する
リハビリテーション関節拘縮の予防を目的に、関節可動域訓練を実施する

看護計画を作成する際は、「定期的に体位変換を実施する」「体圧分散マットレスを使用する」など、担当が変わっても同じ方針でケアを継続できるように詳しく記載しましょう。

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褥瘡の発生リスクが高い利用者さまの記入例

ここでは、脳卒中後に左片麻痺があり、長時間同じ姿勢になりやすい利用者さまを例に、褥瘡の発生リスクを踏まえた計画の記入例を紹介します。

記載項目記入例
体位交換の頻度1時間毎
関係職種が共同して取り組むべき事項左側臥位を好むため、各サービス介入時は皮膚状態の確認と、体位変換の支援を行い、情報共有する
評価を行う間隔1週間毎
圧迫、ズレの排除左片麻痺があり、長時間同じ姿勢になりやすいため体位を調整する。車椅子乗車時はクッションを使用し、除圧を行う
スキンケア麻痺側の皮膚状態を確認し、発赤や湿潤がある場合は清潔を保ち、必要に応じて保湿や主治医へ指示を仰ぐ
栄養状態改善食事摂取量や体重の変化を確認し、栄養状態の低下がみられる場合は関係職種と連携する
リハビリテーション麻痺側の関節拘縮を予防するため、理学療法士と連携し、関節可動域訓練や姿勢調整を行う

片麻痺のある利用者さまの場合は、麻痺の部位や活動状況、同じ姿勢になりやすい場面を踏まえてケアを計画することが大切です。「車椅子乗車時はクッションを使用する」「麻痺側の皮膚状態を確認する」など、実際のケア内容が分かるように記載しましょう。

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訪問看護師が褥瘡計画書を書くときの注意点

褥瘡計画書を作成する際は、医師の指示内容の確認、経過が分かる記録、自宅の環境に合わせた計画という点に注意します。

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医師の指示内容を確認する

褥瘡処置は医師の指示にもとづいておこなうため、使用する薬剤や処置方法を主治医と共有しておく必要があります。

指示内容と実際に実施しているケアにずれが生じないよう、変更があった際はそのつど記録に残します。指示内容を明確にしておくことで、緊急時の対応や他のスタッフへの引き継ぎもスムーズになります。

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経過が分かる記録を残す

褥瘡の経過は、写真やDESIGN-R ®などの評価スケールを活用し、数値や画像で比較できる形で記録します。

前回の記録と見比べられるようにしておくと、治癒に向かっているのか、悪化しているのかを判断しやすくなるでしょう。また、褥瘡の状態を写真に残しておくこともあります。本人やご家族に撮影目的を説明して同意を得たうえで、事業所の個人情報保護・情報管理のルールに沿って撮影・保存します。

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自宅の環境に合わせた計画にする

病院と同じケアを自宅に当てはめるのではなく、ご家族の介護力や住環境に応じた計画にする必要があります。

たとえば、ベッド周りのスペースが狭く体位変換が難しい場合は、家具の配置を見直したり、高機能マットレスの導入を検討したりすることも選択肢です。

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訪問看護の褥瘡計画書に関するよくある質問

訪問看護の褥瘡計画書について、よくある質問にお答えします。

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Q1.訪問看護で褥瘡計画書は全員作成する義務がありますか?

すべての利用者さまに作成が必要というわけではありません。

日常生活自立度がJ1〜A2の場合や、必要な内容を訪問看護記録に記載している場合は、褥瘡対策に関する看護計画書を別途作成する必要はありません。

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Q2.褥瘡計画書はどのくらいの頻度で見直しますか?

決まった頻度は定められていませんが、褥瘡の状態に変化があったタイミングや、計画に定めた評価時期にあわせて見直すのが一般的です。計画の内容が現状に合っているかを繰り返し確認しましょう。

たとえば訪問看護が定期的に介入する場合、訪問の頻度にあわせて「毎週火曜日」と設定しておくと忘れずに評価できます。

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Q3.褥瘡ケアは訪問看護だけで対応できますか?

褥瘡ケアは訪問看護師だけで完結させるものではなく、主治医の指示のもと、ケアマネジャーやご家族と連携しながら進めます。

栄養状態の改善が必要な場合は管理栄養士、リハビリテーションが必要な場合は理学療法士など、他職種と協力する場面も少なくありません。

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訪問看護の褥瘡計画書は利用者さまの生活に合わせた継続的な管理が重要

褥瘡計画書は、褥瘡のある利用者さまの状態を継続的に把握し、悪化を防ぎながら改善につなげるために不可欠な書類です。危険因子やDESIGN-R ®による評価をもとに、利用者さまの生活環境やご家族の介護力に合わせて計画を立て、状態の変化に応じて見直すことが大切です。

褥瘡ケアでは、状態の評価やケア方法に迷ったり、医師やリハビリテーション職など多職種との連携が必要になったりする場面もあります。

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<参考サイト>

訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について|厚生労働省
褥瘡対策に関する看護計画書(例示)|地方厚生(支)局

褥瘡評価ツール 改定DESIGN-R ® 2020|一般社団法人日本褥瘡学会

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記事投稿者プロフィール画像 ナスキャリナビ 編集部

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