乳がん看護認定看護師になるには?仕事内容や資格取得の流れ、年収を解説

「乳がん看護認定看護師になるにはどうすれば良いの?」「どんな人が向いているの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
がん情報サービスの調査によると、2021年の乳がん罹患数は9万8,782名であり、女性のがん罹患数で第1位となっています。治療期間が10年以上になることも珍しくない乳がんにおいて、患者さまへ長期的に寄り添う乳がん看護認定看護師のニーズは高まっている現状です。
この記事を読むことで、乳がん看護認定看護師の役割や資格取得の流れ、気になる年収まで把握できます。「取得を目指しているが何から始めれば良いかわからない」という方が、自信を持って踏み出せるよう必要な情報をまとめました。
乳がん看護認定看護師とは?
乳がん看護認定看護師とは、患者さまとそのご家族に対し、診断直後の意思決定から手術・薬物療法、フォローアップまでを専門的に支えるスペシャリストです。
- 乳がん看護認定看護師の役割と仕事内容
- 乳がん看護認定看護師の人数
- 乳がん看護認定看護師の1日の流れ
乳がん看護認定看護師の役割や1日の流れなど、詳しく見ていきましょう。
乳がん看護認定看護師の役割と仕事内容
乳がん看護認定看護師のおもな役割は、「実践」「指導」「相談」の3つです。
- 実践:診断直後の意思決定支援から手術・薬物療法中のボディイメージケア、フォローアップまで専門知識とスキルで患者さまへケアを行う
- 指導:現場の看護師へ専門的な知識やスキルを伝える
- 相談:他職種や看護師からの相談に対応する
一般的ながん看護が苦痛の緩和や急性期ケアを中心とするのに対し、乳がん看護では「その人らしい外見と生活の再構築」に踏み込む点が特徴です。
乳がん看護認定看護師の人数
日本看護協会の調査によると、乳がん看護認定看護師(B課程)の認定数は2025年12月時点で68名です。
乳がん看護認定看護師は、認定看護師のなかでも希少な存在であり、乳腺外科を持つ病院やがん診療連携拠点病院では需要が高い人材です。
乳がん看護認定看護師の1日の流れ
乳がん看護認定看護師の活動の場は、乳腺外来や一般病棟などさまざまです。所属する病院の規模や体制によって異なるため、あくまでも一例としてご参照ください。
| 時間 | 内容 |
| 08:30 | 出勤。当日手術を受ける患者さまの回診 |
| 10:00 | 乳腺外来でのケアの実施。リンパ浮腫の予防指導や告知を受けたばかりの患者さまの面談 |
| 13:00 | カンファレンス。医師・薬剤師・ソーシャルワーカーと治療方針を共有 |
| 15:00 | 病棟スタッフへの指導・コンサルテーション。看護師へアピアランスケアの手技をレクチャー。学会発表の準備や最新エビデンスのチェック |
| 17:30 | 退勤。 |
外来に配属されている場合は、患者さまとの面談や指導が中心となります。病棟を兼務する場合はバイタルサインの測定や清拭ケアなど一般の看護師と同じ業務に加えて、回診やカンファレンスへの参加を求められます。
関連記事:認定看護師とは?認定看護師の種類と教育機関の一覧を詳しく解説
乳がん看護認定看護師になるには?
乳がん認定看護師になるためには、看護師の免許取得後に一定の実務経験を積み、指定の教育機関で専門教育を受ける必要があります。
- 乳がん看護認定看護師になるまでの流れ
- 乳がん看護認定看護師の教育機関一覧と研修内容
- 乳がん看護認定看護師の試験内容と合格率
2026年度でA課程の募集が順次終了し、特定行為を組み込むB課程となります。最新の教育体制を把握し、早めに準備を始めることが大切です。
乳がん看護認定看護師になるまでの流れ
これまでの実務経験や乳がん看護分野で働いた期間など、自身の経歴が受験資格を満たしているか確認しましょう。
| ステップ | 流れ | ポイント |
| 1 | 実務経験 | 看護師の免許取得後、通算5年以上の実務経験(うち3年以上は乳がん看護分野) |
| 2 | 教育機関へ出願・入学 | 日本看護協会指定の教育機関の入学試験(筆記試験、小論文、面接など)に合格 |
| 3 | 講義・実習 | 約1年間、特定行為研修を含むB課程の教育課程を履修 |
| 4 | 認定審査(試験)に合格 | 日本看護協会が実施する認定審査(筆記試験)に合格 |
| 5 | 認定登録 | 所定の手続きを経て認定看護師として登録後は、5年ごとに更新審査 |
最短でも5年間の臨床経験が必要なため、乳がん患者さまと関わり、アセスメント力を磨くことが合格には不可欠です。なお、実際の現場では、看護師10年目前後のタイミングで看護師長から受験を勧められるという声もあります。
自分から手を挙げるだけでなく、上司とのコミュニケーションを大切にしておくことも、資格取得への近道と言えます。計画的に症例を積み上げ、職場と早めに相談しておきましょう。
乳がん看護認定看護師の教育機関一覧と研修内容
乳がん看護認定看護師の教育機関は、2026年時点で静岡県にある静岡県立静岡がんセンターの1校(定員数:合計12名)のみです。
研修では、認定看護師の共通科目に加えて、「乳がん看護概論」「乳腺腫瘍学概論」などの専門科目や臨地実習を学ぶことができます。
なお、教育機関の開講の状況は年度によって変わるため、日本看護協会の公式ホームページで最新情報をご確認ください。
乳がん看護認定看護師の試験内容と合格率
公式な合格率は公表されていませんが、容易ではないとされています。
これは試験が簡単なのではなく、1年間の教育課程を修了した人だけが受験できるためです。試験はマークシート方式で、教育課程で学んだエビデンスにもとづく知識が問われます。
関連記事:認定看護師になるには?条件や取得までの流れ、資格取得によるメリットも解説
乳がん看護認定看護師になるために必要な費用と期間
乳がん看護認定看護師になるには、約1年間の学業専念と、110万円程度の資金準備が必要です。事前に職場の支援制度や日本看護協会の認定看護師教育課程奨学金、厚生労働省の教育訓練給付制度を確認しておくことが、経済的な負担を軽減するポイントになります。
必要な費用
認定看護師になるための合計費用は110万円程度となります。内訳は以下のとおりです。
| 費用の種類 | 目安 |
| 入学検定料 | 5万3,000円 |
| 入学金 | 5万3,000円 |
| 授業料 | 97万8,000円 |
| 認定審査料 | 5万1,700円 |
| 合計(学費のみ) | 113万5,700円 |
これらの費用に加えて、教材費や遠方から通う場合は交通費、宿泊費なども考慮する必要があります。
必要な期間
B課程の場合、研修期間はおよそ1年間です。静岡がんセンターで学ぶ場合、カリキュラムの合計時間数は799時間になります。
入学試験から研修修了、認定審査までを含めると、資格取得まで約2年かかると考えておくのが現実的です。

乳がん看護認定看護師の年収とキャリア
乳がん看護認定看護師の年収は、月給調査をもとに推計するとおよそ600万〜700万円と考えられます。
日本看護協会「2022年度専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」によると、乳がん看護認定看護師の月給は38万8,609円であり、この額をベースに賞与2〜4ヶ月分を加算した数字です。資格手当が加算されたり、役職についたりするため、一般の看護師よりも年収は高くなる傾向にあります。
ただし、勤務先や役職、夜勤の有無によって年収が異なる点に注意が必要です。
乳がん看護認定看護師になるメリット
乳がん看護認定看護師になるメリットは、次のとおりです。
- 乳がん看護のスキルアップにつながる
- チーム医療でリーダーシップを発揮できる
- キャリアアップの機会が広がる
仕事に自信が持てるようになるだけでなく、職場での信頼も厚くなり、裁量の大きな仕事ができるようになります。
乳がん看護のスキルアップにつながる
解剖生理から最新の薬物療法まで網羅的に学ぶことで、「なんとなく」の看護から、根拠にもとづいた看護へと変わります。
患者さまからの質問に対してもエビデンスを持って答えられるようになるため、信頼関係の構築につながります。
チーム医療でリーダーシップを発揮できる
乳がん看護認定看護師は、患者さまの生活背景をよく知る立場として、QOLの視点をチームに提供する役割を担います。
治療方針に意見を求められる場面が増え、多職種からの信頼を得られます。
キャリアアップの機会が広がる
乳がん看護認定看護師の資格は、病院内でのキャリアにとどまらず、活躍の場を広げます。
たとえば、乳腺外来での看護外来の開設、学会や研修会での講演活動、後進の育成など、一般の看護師では得られない経験を積むことができます。
また、乳がん看護のスペシャリストとしての実績は評価にもつながり、他施設からの声がかかるケースも珍しくありません。
乳がん看護認定看護師になるデメリットと注意点
乳がん看護認定看護師の資格取得は、専門性を高めるといったメリットがある一方で、現実的なハードルも存在します。後悔しないキャリア選択のために、事前に直面しうる課題を把握しておきましょう。
- 費用と時間がかかる
- 必ず年収アップするとは限らない
- 業務が圧迫して負担が増える
現場の乳がん看護認定看護師からは、通常の看護業務にカンファレンスへの参加や他の病棟からのコンサルテーション対応、研修会の企画などが加わり、やりがいとともに業務の負担が増えたという声もあります。これらの課題を乗り越えるには、職場の支援体制を確認することが不可欠です。
乳がん看護認定看護師に向いている人
乳がん看護認定看護師に向いているのは、高い共感力と冷静な判断力のバランスが取れる人です。
乳がんと診断された患者さまは悲しみや怒り、不安など強い感情を表出されることが多くあります。患者さまが抱える感情に寄り添い、支え続けられる忍耐強さが必要です。
また、乳がん治療の情報を継続的にアップデートし、探究心の強い方には最適な環境です。
乳がん看護認定看護師についてのよくある質問
乳がん看護認定看護師についてのよくある質問に回答します。疑問を解消しておくことで、迷いなく資格取得を進められるでしょう。
Q1:乳がん看護認定看護師になるのは難しいですか?
乳がん看護認定看護師になるのは、難しいと言えます。
2025年12月時点で、乳がん看護認定看護師の教育課程は全国に1校のみです。入学試験の倍率は公表されていませんが、高い志と専門的な知識を持つ受験者が集まる狭き門でしょう。
Q2:乳がん看護認定看護師の過去問はありますか?
静岡がんセンターの過去問は、一般公開されています。(2026年3月18日時点)
公式ホームページ「過去問題」ページにて、入学試験の過去問が公開されています。試験の問題の傾向を知り、試験対策の参考にしてみてください。
Q3:乳がん看護認定看護師とほかのがん看護分野の認定看護師はどう違いますか?
乳がん看護認定看護師の特徴は、アピアランスケア(治療にともなう外見の変化に対する苦痛を軽減するケア)と、長期フォローの比重が高い点です。
緩和ケアやがん薬物療法看護が痛みや副作用など身体的な苦痛の緩和を中心とするのに対し、乳がん看護では乳房の喪失や脱毛といった外見の変化も含めたケアが求められます。
たとえば、術後の補整下着の選び方や再建手術の選択肢を一緒に考えるなど、「その人らしく生きる」ための支援も重要です。また、再発リスクが続くため、ほかのがん看護分野と比べて患者さまとのかかわりが長期になることもあります。
乳がん看護認定看護師は心身に寄り添い、診断から療養生活まで支える専門職!
乳がん看護認定看護師は、患者さまの心身に寄り添い、人生の再出発を支える専門家です。
資格取得後のキャリアは病院だけにとどまらず、在宅医療や訪問看護の現場でも乳がん患者さまの長期フォローを担うスペシャリストとして活躍できます。
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<参考サイト・文献>
【目次】認定看護師【B課程】都道府県別登録者数(日本地図版)|日本看護協会
認定看護師教育機関別の開講状況・定員数一覧(特定行為研修を組み込んでいる教育機関:B課程認定看護師教育機関|日本看護協会
ナスキャリナビ 編集部 「ナスキャリナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「ナスキャリ」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
