集中ケア認定看護師になるには?資格取得の流れや学校の費用・年収を解説

クリティカルケア認定看護師(旧:集中ケア認定看護師)になるには、看護師として5年以上の実務経験を積み、約1年間の教育課程を修了したうえで認定審査に合格する必要があります。資格取得までにかかる費用は、およそ100万〜120万円程度です。
資格取得後は、ICUや救命救急センターなどで重症患者さまの全身管理や急変対応を担い、多職種と連携しながら高度な看護を実践します。
「ICUでの経験をもっと深めたい」「重症患者さまのケアに自信を持って臨みたい」と感じている看護師の方も多いのではないでしょうか。
集中ケア認定看護師は、現在「クリティカルケア認定看護師」として制度が再編されており、急性期医療を支える専門資格として注目されています。
この記事では、クリティカルケア認定看護師になるための流れや費用・年収、仕事内容をわかりやすく解説します。
※現在「集中ケア看護認定看護師」は制度改正により「クリティカルケア認定看護師」へ名称変更されています。本記事では、旧名称で検索された方にもわかりやすいよう、両名称を適宜併記しながら解説します。
集中ケア認定看護師とは?
集中ケア認定看護師とは、現在「クリティカルケア認定看護師」へ名称変更されています。生命の危機にある重症患者の全身管理と早期回復を支援するスペシャリストです。
- 集中ケア認定看護師は「クリティカルケア」に統合
- 集中ケア認定看護師の役割
- 集中ケア認定看護師のおもな活動場所
- 集中ケア分野が重要視されている理由
ICUや救急などの現場で、人工呼吸器や補助循環装置を使用している患者さまに対し、フィジカルアセスメントを実施して、症状悪化の予防や合併症の回避に取り組みます。
集中ケア認定看護師は「クリティカルケア」に統合
2020年度より始まった新たな認定看護師制度(特定行為を含むB課程)において、「集中ケア」と「救急看護」の分野が統合され、「クリティカルケア」分野になりました。
これまでは、「集中ケア認定看護師」と「救急看護認定看護師」にわかれていましたが、救急搬送からICUでの集中治療までを管理できる「クリティカルケア認定看護師」へと一本化されています。幅広い知識に加えて、特定行為を実践できる力が求められるようになっています。
集中ケア認定看護師の役割
認定看護師には共通して「実践」「指導」「相談」の3つの役割があります。集中ケア(クリティカルケア)分野では次のような形で発揮されます。
- 実践:生命の危機にある患者さまの呼吸・循環・代謝などを管理
- 指導:看護師に対し、根拠にもとづいたフィジカルアセスメントや人工呼吸器などの管理方法を指導
- 相談:医師やリハビリスタッフと連携し、治療方針や倫理的な問題について調整
このように、専門的な視点から現場を支えることで、患者さまの回復を後押しできます。チームの頼れるリーダーとして、質の高いケアを実現できるはずです。
集中ケア認定看護師のおもな活動場所
集中ケア認定看護師のおもな活躍の場は、高度な医療機器が揃った集中治療の現場です。
- ICU(集中治療室):全身管理が必要な重症患者のケア
- CCU(冠動脈疾患集中治療室):心筋梗塞や心不全など疾患の急性期ケア
- 救命救急センター:搬送直後の初療から集中治療への移行管理
日本看護協会の調査によると、2025年12月時点で1,034名のクリティカルケア認定看護師が活躍しています。資格の取得により活躍の場を広げることで、チームにとって欠かせない存在になれるはずです。
集中ケア分野が重要視されている理由
医療の高度化と重症患者の高齢化が進んでいることが、この分野が注目されている背景です。実際に、厚生労働省の調査によると、2025年から2040年にかけて2次医療圏では急性期の需要が増加することが見込まれています。
また、東京都の高齢者を対象とした研究では、複数の持病を持つ高齢者が多いことも報告されています。こうした患者さまは病状が複雑化しやすく、術後管理や急変対応には高度なアセスメント力が求められます。
そのため、急変徴候を早期に察知し、多職種と連携しながら重症患者を支えるクリティカルケア認定看護師の役割が重要視されているのです。
関連記事:認定看護師とは?認定看護師の種類と教育機関の一覧を詳しく解説
集中ケア認定看護師は現在も取得できる?
2026年度でA課程の教育が終了するため、「集中ケア認定看護師」を新規に取得することはできません。これから目指す方は、新制度の「クリティカルケア認定看護師」を取得することになります。
なお、すでに旧制度で資格を持っている方は、所定の手続きをおこなうことで、B課程の認定看護師名簿に移行できます。
クリティカルケア認定看護師になるには
クリティカルケア認定看護師の資格を取得するには、実務経験を満たしたうえで教育機関を修了し、認定審査に合格する必要があります。
- クリティカルケア認定看護師になるまでの流れ
- クリティカルケア認定看護師の教育機関一覧と研修内容
- クリティカルケア認定看護師の試験内容と合格率
それぞれ詳しく解説します。
クリティカルケア認定看護師になるまでの流れ
クリティカルケア認定看護師になるまでの流れは、次の5ステップです。まずは、自身の実務経験が受験資格を満たしているかチェックしてみてください。
| ステップ | 流れ | ポイント |
| ステップ1 | 実務経験の確認 | 看護師免許取得後、通算5年以上の実務経験、うち3年以上はクリティカルケア領域(ICU・CCU・救急外来など)での経験が必要 |
| ステップ2 | 教育機関の試験に合格し入学 | 認定看護師教育課程のある大学や研修センターの試験(筆記試験、小論文、面接)に合格し入学 |
| ステップ3 | 講義・実習 | 約1年間、特定行為研修を含むB課程の教育課程(講義、演習、実習)を履修 |
| ステップ4 | 認定審査(試験)に合格 | 日本看護協会主催の認定審査(筆記試験)に合格 |
| ステップ5 | 認定登録 | 所定の手続きをおこない認定看護師として登録 |
ステップ1~5を順にクリアすることで、クリティカルケア認定看護師の資格を取得できます。
クリティカルケア認定看護師の教育機関一覧と研修内容
クリティカルケア認定看護師の教育機関は次のとおりです。
- 青森県:八戸市立市民病院(定員数10名)
- 東京都:看護研修学校(定員数30名)
- 東京都:昭和医科大学(定員数16名)
- 大阪府:大阪府看護協会(定員数30名)
教育機関は全国に4校(定員数86名)です。臨床病態生理学やフィジカルアセスメントなどの「共通科目」、重症患者の病態管理や家族支援などの「専門科目」、呼吸器関連や循環動態の薬剤投与関連などの「特定行為区分」を学びます。
最新の教育機関一覧や研修内容は、変更になる可能性があるため、日本看護協会の公式ホームページをご確認ください。
クリティカルケア認定看護師の試験内容と合格率
教育課程を修了した後、日本看護協会が実施する認定審査を受験します。
試験は、マークシート方式(40問、150点満点)で実施されており、クリティカルケア領域に関する知識や判断力が問われます。なお、出題形式や配点は変更される場合があるため、最新情報は日本看護協会の公式ホームページをご確認ください。
合格率は公表されていません。ただし、認定審査は教育課程で学んだ内容をもとに出題されるため、日々の講義や実習で学習内容を理解しておくことが大切です。
また、クリティカルケア認定看護師の教育機関は全国でも限られているため、入学試験に向けた事前準備も大切になります。
関連記事:認定看護師になるには?条件や取得までの流れ、資格取得によるメリットも解説
クリティカルケア認定看護師になるまでに必要な費用と期間
クリティカルケア認定看護師になるには、約1年間の学業と100万〜120万円程度の資金準備が必要です。事前に職場の支援制度を確認しておくことが、経済的な負担を軽減するポイントです。
必要な費用
クリティカルケア認定看護師になるために必要な費用の総額の目安は次のとおりです。
| 費用 | 目安の金額 |
| 入学検定料 | 5万円 |
| 入学金 | 5万円 |
| 授業料 | 112万円 |
| 審査料 | 5万1,700円 |
| 合計 | 127万1,700円 |
これらの費用に加えて、教材費や交通費、パソコンの購入費などが必要となります。さらに、休職中の生活費も考慮が必要であるため、費用負担を軽減するために日本看護協会の奨学金や、勤務先の「認定看護師取得支援制度」を活用することをおすすめします。
必要な期間
B課程の教育期間は約1年(看護研修学校の場合は934時間)です。
ただし、教育機関によって講義時間が異なります。また、教育機関の出願や選考から審査合格までを含めると、資格取得まで約2年かかると考えておくのが現実的です。
特定行為研修が含まれる分、旧制度よりも期間は長くなりますが、卒業後の活躍の幅は広がります。
クリティカルケア認定看護師の仕事内容
資格取得後は、重症患者さまへの看護実践だけでなく、スタッフ教育やチーム調整など幅広い役割を担います。
- 重症患者への高度な看護実践
- 医療チームとの連携・調整
- スタッフ教育・指導
- 看護ケアの質向上のための活動
それぞれ詳しく見ていきましょう。
重症患者への高度な看護実践
医師の治療方針のもと、多職種と連携しながら、重症患者さまの早期回復に向けたケアを実践することが重要な役割です。
たとえば、人工呼吸器を装着している患者さまに、日中の覚醒を促しながら、医師の指示や施設のプロトコルに基づいて人工呼吸管理やリハビリを進めます。
こうした早期離床の取り組みは、ICU在室日数の短縮や筋力低下の予防につながるとされています。
医療チームとの連携・調整
患者さまにとってより良い方針をまとめるのが認定看護師の役割です。
現場では、朝8時30分頃にICUのベッドサイドを回り、患者さまの状態の確認から始まるところもあります。クリティカルケア認定看護師や受け持ち看護師、主治医、ICU専任医、リハビリスタッフが集まり、収集した情報をもとに治療方針や優先課題をカンファレンスで話し合います。
多くの職種がかかわるため、「胃ろうからの経腸栄養を開始するタイミングを医師や栄養士と検討する」「人工呼吸器からの離脱計画を医師と立案し、リハビリスタッフへ共有する」場面で調整役として関わることもあります。
スタッフ教育・指導
根拠にもとづいた指導で、病棟の看護師のスキルアップを図ります。
具体的には、「なぜこのアラームが鳴るのか」「なぜこの薬剤を使うのか」を解剖生理学にもとづいて伝えることが大切です。実際には、「SpO2が低下したとき、気道分泌物の貯留、無気肺、心不全の悪化などをアセスメントする」といった事例をもとに学習会を実施して、看護師の疑問を言語化し、対処できるようにします。
看護ケアの質向上のための活動
病棟全体の医療安全水準を引き上げるため、組織の活動にも携わります。
たとえば、「人工呼吸器関連肺炎の発生件数をデータで可視化し、口腔ケアの手順書を改訂してスタッフへ周知する」「入室患者の褥瘡発生率をモニタリングし、体位変換プロトコルを見直す」といった取り組みをおこないます。

クリティカルケア認定看護師の年収
クリティカルケア認定看護師の年収は、およそ600万〜700万円前後と試算できます。
日本看護協会の調査では月給は43万2,785円であり、この額をベースに賞与2〜4ヶ月分を加算した数字です。ただし、この額はあくまで目安であり、勤務先や役職・夜勤の有無によって変わります。
クリティカルケア認定看護師になるメリット
この資格を取得すると、次のようなメリットがあります。
- 専門性を高められる
- 資格手当で給与アップが期待できる
- キャリアアップにつながる
- 教育・指導の立場になれる
給与面での恩恵はもちろん、専門性を認められることで院内での信頼が高まり、チーム医療の中心として活躍できる場が広がります。資格取得は、看護師としての働きがいを高める転機になります。
クリティカルケア認定看護師に向いている人
次の3つの特徴に当てはまる方は、クリティカルケア認定看護師として活躍しやすいタイプといえます。
- 急性期看護が好きな人
- 学習意欲が高い人
- チーム医療を大切にできる人
それぞれの特徴を見ていきましょう。
急性期看護が好きな人
「自分の判断とケアが回復につながる」ことにやりがいを感じられる人に向いています。
たとえば、血圧が急低下した患者さまに対してすぐに原因をアセスメントし、医師への報告と同時に輸液の準備を進めるといった瞬時の判断と行動が求められる場面こそ、力を発揮できる人に適しています。
学習意欲が高い人
最新のエビデンスを現場のケアに取り入れ続けられる人に向いています。
具体的には、敗血症の治療指針が改訂されるたびに内容を確認し、病棟のマニュアルや指導内容に反映させるといった自発的な学習を苦にしない人に適しています。資格取得はゴールではなく、専門職としての出発点です。
チーム医療を大切にできる人
自分の意見を伝えつつ、他職種の視点も活かして患者さまの状態に応じたケアを選べる人に向いています。
たとえば、医師が提案した鎮静管理に対して「夜間、患者さまが自己抜管しそうになった」という情報から代替案を提示したり、リハビリスタッフから「離床を早めたい」と相談を受けて医師と調整したりする場面で立ち回れる人が求められます。
クリティカルケア認定看護師のよくある質問
クリティカルケア認定看護師について、よくある質問に回答します。
Q1:クリティカルケア認定看護師の難易度は高いですか?
認定審査の合格率は高いとされていますが、資格取得までの難易度は決して低くありません。
入学試験の倍率が高く、入学後の学習量の多さが資格取得のハードルです。とくに、働きながら学ぶ場合、課題レポートと実習をこなす体力と精神力が必要です。
Q2:クリティカルケア認定看護師は何年目で目指す方が多いですか?
臨床経験10年目以上の中堅層が多い傾向にあります。
受験資格は5年以上ですが、実際にはリーダー業務をある程度経験し、自分の看護観が固まったタイミングで挑戦する方が多いようです。
Q3:クリティカルケア認定看護師になると特定行為ができるようになりますか?
B課程でクリティカルケア認定看護師の資格を取得すると、所定の特定行為ができるようになります。
ただし、特定行為を実施できる範囲は教育機関で履修するカリキュラムによって異なるため、志望する教育機関のホームページを確認しておきましょう。
関連記事:認定看護師の種類一覧とは?19分野の一覧と難易度を詳しく解説
集中ケア認定看護師(クリティカルケア認定看護師)を目指して専門性を高めよう!
クリティカルケア認定看護師は、患者さまの命と生活を支える、やりがいのある専門職です。高度な知識と技術を身につけることで、チーム医療の中心として活躍できるキャリアが開けます。
近年は医療依存度の高い利用者さまが在宅療養を選ぶケースも増えており、ICUで培ったアセスメント力や重症管理の知識は、訪問看護の現場でも強みになります。
そのため、
- ICU経験を在宅で活かしたい
- アセスメント力を強みにしたい
- 医療依存度の高い利用者さまを支えたい
と考える看護師にとって、訪問看護はキャリアの選択肢のひとつです。
「今の職場では資格取得の支援がない」「ICUの経験を別の形で活かしたい」と感じているなら、働く環境を見直すことも、キャリアアップの方法のひとつです。
訪問看護に特化した求人サイトナスキャリ(NsPace Career)では、キャリアアップを目指す看護師の転職をサポートしています。まずはお気軽にご相談ください。
<参考サイト・文献>
【目次】認定看護師【B課程】都道府県別登録者数(日本地図版)|日本看護協会
認定看護師教育機関別の開講状況・定員数一覧(特定行為研修を組み込んでいる教育機関:B課程認定看護師教育機関|日本看護協会
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
