看護の全体像の書き方を5ステップで解説|例文付きで実習でも使える方法

公開日:2026/05/22 更新日:2026/05/26
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「実習記録の全体像、何を書けばいいのかわからない」「関連図と全体像は何が違うの?」

患者さまの全体像の作成に悩む看護学生や若手の看護師は少なくありません。看護の全体像は患者さまの病状や情報をまとめる大切な項目です。ただし、情報を詰め込みすぎて長くなったり、何を伝えたいのかわからなくなったりしがちです。

この記事では、看護の全体像の書き方や、例文、うまく書くためのコツを紹介します。全体像を迷わず書けるようになり、他者に正確に伝えられるようになるでしょう。

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看護における全体像とは?

まず、全体像とはそもそも何なのか、ほかの看護記録とどう違うのかを整理しておきましょう。

  • 全体像の意味
  • 関連図との違い
  • アセスメントとの違い

これらを正しく理解することで、情報の整理がスムーズになり、何を書くべきかが明確になります。定義をクリアにして、書く準備を整えましょう。

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全体像の意味

看護における全体像とは、「患者さまがどのような人で、どのような健康状態にあり、どのような看護を必要としているか」を要約した文章のことです。

初めてその患者さまを担当する看護師に紹介する場面をイメージしてみてください。病名だけではなく、患者さまの性格や生活の様子、困っていることも伝えることが不可欠です。

日本は超高齢化社会を迎えており、令和7年版高齢社会白書によると高齢化率は29.3%とされています。また、東京都の75歳以上を対象とした研究では、約8割が2疾患以上、約6割が3疾患以上の慢性疾患を併存していることが報告されています。

複数の疾患や生活背景が複雑になる中で、適切なケアを提供するためには患者さまを捉える視点が欠かせません。全体像を整理する力は、実習だけでなく臨床現場でも大切なスキルです。

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関連図との違い

関連図と全体像は、どちらも患者さまの情報を整理するためのものですが、表現方法が異なります。

  • 関連図:情報同士の原因と結果を「図と矢印」で視覚的に示したもの
  • 全体像:関連図で整理した情報をもとに、患者さまの特徴や看護の方向性を文章で要約したもの

つまり、関連図は「地図」で、全体像はその地図を読み解いて説明する「ガイド文」のようなイメージです。

一方で、実習では「関連図と全体像の区別ができていない」と指導される場面も少なくありません。たとえば、関連図をそのまま箇条書きにしたり、因果関係の説明ばかりしたりすると、「結局、この患者さまはどんな状態なの?」と指導者に問われるケースもあります。

全体像では、情報の羅列ではなく「この患者さまをどう捉えるか」という視点を示すことが大切です。

関連記事:看護で使う関連図の書き方を5ステップで解説!つまずきやすいポイントも紹介

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アセスメントとの違い

アセスメントと全体像も混同しやすいポイントの1つです。

  • アセスメント:収集した情報を分析・解釈し、患者さまにどのような問題や課題があるのかを考える過程
  • 全体像:患者さまの身体・精神・社会面の情報を関連づけながら、「どのような状態にあり、どのような看護が必要か」を整理してまとめたもの

アセスメントでは、S・Oデータといった情報を細かく分析します。一方、全体像ではそれらを統合し、患者さまの状態や生活背景、必要な看護の方向性を整理して示したものです。

実習では、S・Oデータを丁寧に書いたものの、うまくまとめきれずに「これはアセスメントであって全体像ではないね」と指導を受けることもあります。情報を並べただけで「あなたはこの患者さまをどう捉えているの?」と問い返されるケースもあります。

関連記事:看護師のアセスメントの書き方|新人でも迷わない4ステップと具体例

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看護の全体像の書き方【5ステップ】

実際に全体像を書く手順を見ていきましょう。いきなり文章を書き始めるのではなく、順を追って整理するのがコツです。

  • 情報を書き出して分類する
  • 問題と問題をつなげる
  • 原因と影響を書く
  • 優先順位を意識する
  • 看護として必要なことを文章でまとめる

この5ステップに沿って進めれば、情報の漏れがなく、全体像を組み立てやすくなります。

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1.情報を書き出して分類する

患者さまについての情報を書き出し、次の3つの側面に分類します。

  • 身体的側面:疾患、症状、治療内容、検査データ、バイタルサインなど
  • 精神的側面:性格、感情、病気への受け止め方、ストレス状況など
  • 社会的側面: 家族構成、職業、経済状況、生活環境、キーパーソンなど

情報を羅列するだけでなく、「患者さまが困っていること」や「今後の看護に関係する情報」を意識して整理することが大切です。

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2.問題と問題をつなげる

分類した情報同士のつながりを考えます。身体の状態が精神面や社会生活にどう影響しているかを見ていきましょう。

例:「骨折して足が痛い(身体)」→「トイレに行くのが大変(身体・生活)」→「家族や会社に迷惑をかけて申し訳ないと感じている(精神)」

このように、1つの出来事がほかの側面にどう影響しているか捉えることが重要です。

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3.原因と影響を書く

患者さまが抱えている問題の原因と、生活への影響を明らかにします。

  • 原因(なぜ?): なぜ問題が起きているのか(疾患・加齢・環境など)
  • 影響(どうなっている?): 問題によって、患者さまの生活や心がどう変化しているか

原因と影響がはっきりすることで、病状の説明ではなく、その人らしい背景が見えてきます。

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4.優先順位を意識する

患者さまが抱える問題の中で、何を優先して解決すべきかを考えます。

問題内容
生命にかかわる問題呼吸困難、出血、急変リスクなど
苦痛が強い問題痛み、発熱、強い不安など
今後の生活にかかわる問題退院後の生活への不安、リハビリの遅れなど

全体像を書く際は、優先順位の高いものから触れていくと、読み手も理解しやすくなります。

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5.看護として必要なことを文章でまとめる

これまでのステップで整理した内容を文章にまとめます。次の構成を意識するとスムーズです。

  • 導入:患者さまの基本情報(年齢、性別、主訴、疾患など)
  • 現状の課題:三側面(身体・精神・社会)の状態とそのつながり
  • 強み:患者さまができること、意欲、サポート体制
  • 看護の方向性:今後の必要な援助

「〜という疾患により〜という症状があり、〜な状態である。そのため、〜という看護が必要である」といった流れでまとめると、論旨が伝わりやすくなります。

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看護の全体像の書き方【例文】

ここでは、領域別に具体的な全体像の例文を紹介します。

  • 精神看護の場合
  • 在宅看護の場合
  • 母性看護の場合

それぞれの領域で重視すべき視点が異なるため、着目点の違いにも注目しながら読み進めてみてください。

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精神看護の場合

【事例】 統合失調症の慢性期で、退院を目指しているAさま
A氏は統合失調症の診断で入院中の40代男性である。薬物療法により幻聴や妄想などの陽性症状は落ち着いているが、陰性症状による意欲低下が見られ、日中は臥床して過ごす時間が長い(身体・精神)。セルフケアは概ね自立しているものの、整容への関心が薄く、声かけがないと入浴しないことがある。退院後は一人暮らしを希望しているが、金銭管理や服薬管理に不安があり、社会資源の活用を含めた支援体制の検討が必要な状況である(社会)。
一方で、「早く退院したい」という思いがあり、看護師との会話を楽しみにしている様子も見られる(強み)。
今後は、退院への意欲を支えながら、生活リズムを整えるための声かけや、服薬自己管理に向けた支援をおこなう必要がある。また、地域での生活を支えるため、精神保健福祉士と連携し、訪問看護などの社会資源の導入を検討していく。
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在宅看護の場合

【事例】 脳梗塞の後遺症があり、妻と二人暮らしのBさま
B氏は脳梗塞後遺症による左片麻痺がある70代男性である。屋内は杖歩行で概ね自立しているが、段差昇降時には転倒リスクが高く、見守りが必要な状況である(身体)。 妻が主介護者となっているが、妻も高齢であり慢性的な腰痛を抱えており、介護負担の軽減が課題となっている(社会)。B氏は「妻に迷惑をかけたくない」とリハビリに意欲的に取り組んでいる一方、思うように身体が動かないことへの苛立ちから、感情表出が強くなる場面もみられる(精神)。
訪問時にはバイタルサインや麻痺側の状態観察をおこなうとともに、生活動線や移動動作、福祉用具の使用状況を含めた安全確認をおこなう必要がある。また、妻の介護負担や精神的ストレス軽減のため、デイサービスの利用回数の見直しや、レスパイトケアの活用についてケアマネジャーと相談し、夫婦が安心して在宅生活を継続できるよう支援していく。
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母性看護の場合

【事例】 初産婦で授乳に不安を感じているCさま
C氏は経腟分娩で出産した2日目の初産婦である。分娩経過は順調で、母体の回復は良好だが、会陰切開部の疼痛により座位保持に負担がみられる(身体)。 本人は母乳育児を希望しているが、授乳がうまくいかず、「私には無理かもしれない」と涙ぐむなど、育児への不安が強まっている様子がみられる(精神)。夫は協力的である一方、仕事のため日中は一人で育児を担う時間が長く、孤独感や不安を抱えやすい状況にある(社会)。
今後は、鎮痛剤や円座の活用で疼痛緩和を図りつつ、授乳姿勢の調整や乳頭保護器の使用などを提案し、安心して授乳や育児に取り組めるよう支援するケアが必要である。また、地域の育児サークルや相談窓口の情報提供をおこない、退院後も安心して育児を継続できる体制づくりを支援していく。
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看護の全体像をうまく書くコツ

全体像を書く際に、内容が整理しやすく、指導者にも伝わりやすくなるポイントは次の4つです。

  • 全体像を三側面で捉える
  • 患者さまの生活背景まで捉えるようにする
  • 問題同士のつながりを意識する
  • 優先順位がわかるようにする

これらを意識するだけで、論理性と個別性のある全体像になります。順番に見ていきましょう。

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全体像を三側面で捉える

全体像を書く際には、次の情報の三側面を意識してまとめることが基本です。

  • 身体的側面:病気、症状、治療、食事、排泄など
  • 精神的側面:感情、性格、認知機能、ストレス、価値観など
  • 社会的側面:家族、仕事、経済力、居住環境、人間関係など

これらをバランスよく盛り込むことで、「患者さま全体」が見えてきます。病気や症状だけに注目した全体像では、生活背景や患者さまの思いが十分に捉えられていないと判断されることもあるため注意が必要です。

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患者さまの生活背景まで捉えるようにする

患者さまを「入院中の人」としてだけでなく、「これまでどのような生活をしてきた人か」という視点で見ることが大切です。

  • 仕事は何をしていたか?
  • 趣味や生きがいは何か?
  • 家族の中でどのような役割を担っていたか?

こうした視点があると、個別性のある看護計画になります。たとえば「元大工さんで手先が器用」であれば、リハビリに工作を取り入れる提案ができるかもしれません。

また、「自宅で1人暮らしをしており、買い物は徒歩で行っていた」という情報があれば、退院後の生活を見据えて歩行距離や体力の回復を目標に設定できます。

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問題同士のつながりを意識する

情報は互いに関連し合っています。「〇〇だから△△になっている」という因果関係を意識して文章をつなげると、論理的で説得力のある全体像になります。

  • 「足が痛い(身体)」から「イライラしやすい(精神)」
  • 「経済的な不安がある(社会)」から「治療に消極的(精神)」

「夜間不眠(身体)」が続くことで「日中の集中力低下(精神)」につながり、服薬管理が不十分になるといった関連も考えられます。

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優先順位がわかるようにする

患者さまに問題が複数ある場合、すべてを同じ重要度で書くと要点がわかりにくくなります。

「命にかかわること」や「患者さまがつらいと感じていること」を中心に据え、そのうえでほかの問題との関連を整理します。

「まずは疼痛コントロールをおこない、その後にリハビリへの意欲向上を図る」というように、看護の順序が伝わる書き方が理想です。優先順位が明確な全体像は、状況判断ができていることの表れでもあり、「この看護学生は状況を判断できている」と理解されやすくなるでしょう。

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看護の全体像の書き方についてのよくある質問

ここでは、看護の全体像の書き方についてよくある質問にQ&A形式で回答します。

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Q1:全体像は何文字くらいが適切ですか?

一般的には、全体像は400〜800文字が目安とされています。

ただし、看護学校や実習先によって指定がある場合は、それに従いましょう。長すぎると要約にならず、短すぎると情報不足になります。

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Q2:関連図があれば全体像は書かなくていい?

関連図があっても、全体像は書く必要があります。関連図はあくまで「思考のプロセスや関係性」を示すものです。

一方で、全体像は関連図を他者に伝えるための要約文としての役割があります。申し送りやカンファレンスでは、図を見せるだけでなく言葉で説明する場面も多いため、文章化するスキルは欠かせません。

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Q3:精神看護と在宅看護、全体像の書き方の違いはありますか?

基本的な構造は同じですが、注目するポイントが異なります。

  • 精神看護:病気の理解、対人関係、セルフケア能力など内面や生活技能
  • 在宅看護:ご家族の介護力、住環境、社会資源の活用など生活を継続するための環境面

それぞれの領域の患者さまやご家族を支えるためには、必要な情報が異なるため、書き方のコツを押さえることが大切です。

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Q4:看護の全体像を書くモデルはありますか?

看護の全体像を書く代表的な理論として、次の枠組みがあります。

  • ヘンダーソン:14の基本的欲求にもとづいて情報を整理
  • ゴードン:11の機能的健康パターンを用いてアセスメント

実習先や学校で指定された枠組みを使って情報を分類すると、全体像が書きやすくなります。

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Q5:看護の全体像はアプリで作成できますか?

文章作成やメモとして、スマホのアプリを活用するのは便利です。

ただし、患者さまの個人情報(氏名・住所・生年月日など)は絶対に入力しないでください。病歴等の医療情報は、個人情報保護法上の『要配慮個人情報』に該当し、取り扱いには十分な注意が必要です。

アプリを使用する場合は、個人が特定されない形に情報を加工したうえで下書きを行いましょう。また、クラウド上に保存されるアプリは情報漏洩のリスクがあるため、使用環境にも注意が必要です。構成を練る際には、マインドマップアプリなどを活用する方法もおすすめです。

実習施設や学校のルールを必ず確認し、個人端末への入力禁止規定がある場合は従ってください。

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看護の全体像の書き方を押さえて患者さまの背景を捉えよう!

看護の全体像は、患者さまの情報を「身体・精神・社会」の三側面から整理し、それらのつながりを文章化することで完成します。

このプロセスに沿って書くことで、患者さまの今の状態だけでなく、これまでの背景やこれから必要なケアが見えてきます。最初は難しく感じるかもしれませんが、まずは情報を分類することと、因果関係をつなげることから始めてみてください。全体像がしっかり書けるようになると、実習や日々のケアがより充実したものになるはずです。

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<参考サイト・文献>

令和7年版高齢社会白書|内閣府

Patterns of Co-Occurrence of Chronic Disease Among Older Adults in Tokyo, Japan, CME ACTIVITY — Volume 16 — January 31, 2019.

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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