看護師になるには費用はいくら?学費・生活費・学校別の総額と現実を解説

「看護師になりたいけれど、学費がいくらかかるかわからないから不安」「社会人からでも金銭的に目指せるのか知りたい」と悩んでいませんか。
看護師になるには専門学校や大学に入学する必要があり、費用を抑えられる場合は150万円程度で済む一方、800万円以上かかることもあります。しかし、学校の選び方や奨学金制度をうまく活用することで費用負担を減らすことが可能です。
この記事では、学校別の学費総額と生活費の実態、状況別のシミュレーション、学費を抑えられる支援制度を解説します。自分に合った最安のルートと使える支援制度が明らかになり、お金の不安を解消して看護師を目指せるようになります。
看護師になるために必要な費用
看護師になるための費用は、進学先によって異なります。まずは全体像を把握することで、予算に合わせた現実的な学校選びができるようになります。なお、ここで紹介する金額はあくまで目安であり、学校や地域によって異なります。必ず学校の公式情報を確認してください。
総額は約150万円〜800万円
看護師になるためにかかる費用の総額は、選ぶ学校によって約150万円〜800万円と幅があります。
同じ専門学校でも公立か私立か、どの地域かによって差があります。地元の公立専門学校に実家から通うと総額150万円程度で済む一方、私立大学に進学して1人暮らしをすると800万円になるケースもあります。
選ぶ学校や生活スタイルで大きく差が出る
学費だけでなく「実家から通うか」「1人暮らしをするか」によって、総額は数百万円単位で変わります。
たとえば、私立大学に進学した場合でも、実家から通えば学費だけで済みますが、1人暮らしをすると生活費が年間100万円〜150万円、4年間で400万円〜600万円が加算されます。
後述する奨学金制度をうまく活用すれば、費用の負担を減らすことも可能です。
看護学校別の費用比較
専門学校・短期大学・大学のどの学校を選ぶかで、費用の総額は変わります。それぞれの費用の目安と特徴を確認しておきましょう。
専門学校の費用の目安
専門学校は大学より学費を抑えやすいルートです。
東京都専修学校各種学校協会の調査(令和6年度)によると、都内私立専門学校の3年間の平均納付金は約340万円です。
一方、市区町村が運営する公立専門学校であれば3年間で100万円程度に抑えられるケースもあります。
短期大学の費用の目安
短期大学は2、3年で卒業でき、3年間の場合の費用は約300万円〜400万円が相場です。「短期大学士」の学位を取得できる点が専門学校との違いです。
看護師資格を取得でき、教養科目が充実しているため、医療知識だけでなく幅広い学びを得たい方に向いています。
ただし、文部科学省「文部科学大臣指定(認定)医療関係技術者養成学校一覧(令和7年5月1日現在)」によると、学校数が12校と少ないため選択肢は限られます。地域によっては通学圏内にない場合もあるため、進学先を検討する際は文部科学省の公式ページや各学校の情報を確認しておきましょう。
大学の費用の目安
大学に通う際の費用の目安は次のとおりです。
- 国公立大学:約250万円
- 私立大学:約520万円
大学ルートの強みは、保健師や助産師の受験資格を同時に取得できる場合があること、学士号が得られるため将来の昇進や大学院進学において有利になることです。費用は高くなりますが、将来の選択肢の広さを重視する方に向いています。
看護師になるために学費以外にかかる費用一覧
看護師を目指す際には、学費以外にも費用がかかります。
- 教材費や実習費
- 交通費や通学費
- 生活費
入学後に「こんなにお金がかかるとは思わなかった」と焦らないよう把握しておきましょう。
教材費や実習費
3〜4年間の在学中に、教科書代やユニフォーム・ナースシューズ代など教材費や実習関連の費用がかかります。
実際に、解剖学や薬理学、看護技術など教科書は科目ごとに異なり、1年で5万円分購入する場合もあります。ユニフォームやナースシューズは入学したとき、もしくは1年生の実習が始まるときに一括購入するケースが多く、合わせて3万〜5万円程度かかることもあります。
交通費や通学費
通常の通学費に加えて、実習期間は病院や施設への交通費が別途かかるため、想定より交通費が増えることがあります。
たとえば、自宅から学校まで定期代が月5,000円でも、実習先が別の駅であれば月1万円〜2万円になることがあります。とくに、大学の場合は病院実習だけでなく保健師のカリキュラムで地域包括支援センターや訪問看護ステーションなど、複数の施設で実習を行うケースもあるため、交通費がかさむことがあります。
3〜4年間の交通費総額が10万円を超えることもあるため、あらかじめ計算に入れておきましょう。
生活費
学費以外に食費や光熱費、日用品代など毎月の生活費も必要で、月5万円〜10万円程度が目安となります。
実家から通える学校を選ぶことで生活費の大部分を抑えられるため、通学可能な範囲の学校を優先して検討することをおすすめします。
状況別に見る看護師になるための費用
学校に通うときの状況によって、必要な費用は異なります。自分に近いパターンを確認して、現実的な計画を立てましょう。
- 実家通いの場合
- 1人暮らしの場合
- 准看護師から看護師になる場合
- 社会人から看護師になる場合
- 主婦から看護師になる場合
どのパターンでも、奨学金や給付金制度を活用することで自己負担を抑えられる可能性があります。
実家通いの場合
実家から通える学校を選ぶことが、費用を抑えられる方法です。
生活費が大幅に増えることはあまりないため、学費がおもな出費となります。地元に公立の看護専門学校がある場合は費用を抑えられ、奨学金を借りずに済む可能性もあります。
1人暮らしの場合
1人暮らしをする場合、生活費の負担が大きくなるため、資金計画を慎重に立てる必要があります。
学費に加えて家賃や食費、光熱費などが毎月発生します。在学期間が3〜4年あるため、生活費の積み上がりは想定よりも膨らみやすいです。
とくに注意が必要なのが実習期間です。朝から夕方まで病院や施設で実習するうえ、帰宅後も翌日の準備や記録作成に追われるため、アルバイトに入れる日数が減ります。アルバイトで稼いで費用負担を抑えると考えていても、実習が始まると思うように収入を得られない時期が数ヶ月単位で続くこともあります。
准看護師から看護師になる場合
すでに准看護師として働いている方は、2年制の進学コースを利用することで在学期間を短縮でき、費用を抑えられます。
准看護師として働きながら通学できるため、収入を途絶えさせずに資格取得を目指せます。実際に、平日の昼間は学校に通いながら、夜間や休日は病院で准看護師としてアルバイト勤務をするという形で両立している方も少なくありません。学費の負担を収入でまかないながら進められる点が、このルートの強みです。
関連記事:准看護師から正看護師になるには?流れやかかる費用、資格の違いを解説
社会人から看護師になる場合
社会人から目指す場合、学費に加えて収入が減る、もしくはなくなるという点をあらかじめ考慮する必要があります。昼間の授業や実習が中心となるため、フルタイムでの就労が難しくなります。
たとえば、月収30万円の会社員が退職して専門学校に入学した場合、アルバイトのみになると月収が5万円〜10万円程度に下がることも珍しくありません。
また、「働いていたころは気にしなかった外食費や交際費を削る必要が出てきた」「国家試験前の追い込み時期はアルバイトを休まざるを得なかった」という声もあります。
主婦から看護師になる場合
家事や育児と両立しながら目指す場合、学費に加えて子どもの預け先にかかる費用が発生しやすい点に注意が必要です。
実習期間は平日の昼間が中心となるため、保育所だけでなく祖父母や一時保育など、複数のサポートを組み合わせる必要が出てきます。具体的には次のような費用がかかる場面が挙げられます。
- 祖父母の家まで子どもを送迎する交通費
- 保育園のお迎えが間に合わないときの延長保育料
- 急な対応が必要なときのファミリーサポートの利用料
在学前にはかからなかった出費が、毎月積み重なることがあります。
関連記事:主婦が看護師になるには?学校ごとの特徴や費用、目指すためのポイントを解説
看護師になる費用を抑える方法
看護師になる費用負担を軽減する方法はおもに次の3つです。
- 奨学金を活用する
- 自治体の支援制度を利用する
- 病院就職型の学校に進学する
これらをうまく組み合わせることで、自己負担を大きく抑えられる場合もあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
奨学金を活用する
看護師を目指す際に活用できる奨学金は複数あります。
| 奨学金の種類 | 特徴 |
| 日本学生支援機構の奨学金 | ・広く利用されている奨学金制度 ・第1種(無利子)と第2種(有利子)があり学業の成績や家計状況により採用基準が異なる ・大学に通う場合の上限は、第1種:最大6万4,000円(通学形態や学校区分により異なる)、第2種:最大12万円 |
| 日本看護協会の奨学金 | ・看護師学校養成所2年課程(通信制)に進学する准看護師の方が対象 ・年額36万円または48万円(無利息) |
| 病院の奨学金 | ・病院に一定期間勤務することで返済が免除される制度 ・奨学金を受け取った病院以外に就職すると返済義務が生じる |
自分の状況に合った制度を組み合わせることで、自己負担を大幅に抑えられます。
自治体の支援制度を利用する
社会人経験がある方は、ハローワークの「専門実践教育訓練給付金」を活用することで、修了後の資格取得や就業状況などの条件を満たした場合、支払った学費の最大80%(年間上限64万円)が支給される可能性があります。
例えば、3年間で総額300万円の学費を支払った場合、各年で上限額を満額受給できれば最大192万円(上限64万円×3年)が支給される計算です。雇用保険の加入期間などの条件を満たす必要がありますが、条件に該当する方にとっては自己負担を抑えられる有効な手段です。
病院就職型の学校に進学する
病院が運営する看護学校に進学することで、系列病院への就職を前提に学費が減免されたり、返済不要の奨学金が用意されていたりするケースがあります。
たとえば、大学病院や地域の中核病院が運営する付属の看護学校では、在学中の学費が通常より安く設定されていることがあります。卒業後の就職先がある程度決まっている方には、費用と就職活動の手間を同時に抑えられる選択肢です。
費用で後悔しないための注意点
「学費が安いから」という理由だけで学校を選ぶと、後悔する恐れがあります。入学前に確認しておくべきポイントを3つ紹介します。
- 学費だけで判断しない
- 生活費までを含めた総コストで考える
- 国家試験の合格率も確認する
入学後に「想定より費用がかかった」と気づいても取り返しがつかないため、事前の確認が重要です。
学費だけで判断しない
学費が安い学校でも、通学費や生活費を含めると総額が高くなるケースがあります。
自宅から遠い公立専門学校を選んで1人暮らしをした場合、学費が抑えられた分が生活費で消えてしまうことは珍しくありません。学費の金額だけでなく「自宅から通えるかどうか」「生活していくうえでいくら必要なのか」を確認したうえで比較しましょう。
生活費までを含めた総コストで考える
学費や生活費、交通費、教材費をすべて合算した「卒業までの総額」を入学前に把握しておくことが大切です。
奨学金や給付金でいくらまかなえるかも合わせて計算しましょう。具体的には、「学費200万円+生活費300万円=総額500万円。奨学金200万円だから自己負担は300万円」という形で整理すると必要な金額がわかるため、計画を立てやすくなります。
国家試験の合格率も確認する
費用を抑えて入学しても、国家試験に合格できなければ看護師として働けません。直近3〜5年間の国家試験合格率が90%以上かどうかも確認しましょう。
合格率が低い学校を選んでしまうと、再受験のための時間と費用が余分にかかるリスクがあります。オープンキャンパスや学校説明会で国試対策の内容を質問したり、ホームページで合格率を確認したりすることをおすすめします。
看護師になるための費用についてのよくある質問
看護師を目指す方がお金について抱きやすい疑問をQ&A形式でまとめました。
Q1:奨学金だけで看護師の学校に通えますか?
可能です。
病院の奨学金と日本学生支援機構の奨学金などを併用することで、学費と生活費をカバーしている学生も少なくありません。
ただし、病院奨学金は卒業後の勤務先が指定されるため、就職先を選ぶ自由度が下がる恐れがあります。借りる前に「卒業後の勤務条件(年数・職種・勤務地)」をチェックしておくことをおすすめします。
Q2:費用を1番安く抑えられるルートはどれですか?
「地元の公立専門学校に実家から通い、病院奨学金を活用する」ルートが費用を最も抑えられる可能性があります。
このルートであれば、3年間の学費が抑えられ、病院奨学金で生活費をまかなえるため、自己負担を減らせるでしょう。
Q3:社会人は学費が免除されることがありますか?
「専門実践教育訓練給付金」の対象であれば、支払った学費の最大80%が支給される可能性があります。
雇用保険の加入期間や教育訓練給付金の受給の有無など、さまざまな条件があるためハローワークで確認してみてください。
看護師になる費用はルート次第で大きく変わる!費用負担を軽減して看護師を目指そう
看護師になるための費用は決して安くありませんが、奨学金や病院の制度などを活用すれば、費用負担を軽減できる可能性があります。
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<参考サイト・文献>
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