看護における家族構成の書き方|ジェノグラムとの違いと評価される記載例

「患者さまの家族構成を書いたけど、これで合っているのかわからない」「キーパーソンや離婚などの書き方で指摘された」と悩んでいませんか。
看護実習や記録で、家族構成の書き方に悩む新人看護師や看護学生は少なくありません。家族構成は、患者さまの生活やサポート体制を知るための大切な情報です。適切に書けなければ、退院支援や緊急連絡時に支障をきたす恐れがあります。
この記事では、看護現場における家族構成の基本ルールや実習で評価されるコツ、ジェノグラムとの違いを解説します。書き方の基本を押さえて、毎日の記録や看護計画の立案に役立てましょう。
看護における家族構成とは?
看護における家族構成とは、患者さまを中心に、次の情報を一目で把握できるようにした図のことです。
- 誰と同居しているか
- 誰が支援できるか
- 緊急時の連絡先は誰か
患者さまにとって「どのようなサポート体制があるか」を確認するための、看護における大切な情報源となります。具体的にどのような場面で必要になるのかご紹介します。

在宅復帰を目指す際に欠かせない情報
退院して自宅へ戻る際、誰がどのように患者さまをサポートできるのかを把握するための情報として、家族構成が必要です。
現在、日本で独居(1人暮らし)の高齢者が増えています。内閣府の調査『第1章高齢化の状況(第1節 3)』(2020年時点)によると、65歳以上で独居の方の割合は男性で15.0%、女性で22.1%となっており、この数字は今後もさらに増えていくと予測されています。
こうした背景があるからこそ、家族構成から「退院後にどのような支援が必要か」を正しく見極めることが重要です。
「日中は誰が家にいて見守りができるのか」「独居であれば、公的な介護サービスを導入すべきか」といった生活の実態を読み取ることで、退院計画を立てるヒントになります。
ただし、先述した通り独居の方や内縁関係にいる方、友人と暮らしているなど様々な家族の形があります。ご家族が必ずしも支援者であるわけではないため、注意しましょう。
緊急連絡に必要な情報
患者さまの体調が急変した際、誰に優先して連絡を取るべきか判断するためにも、家族構成は重要です。連絡先だけでは、情報として不十分です。
もしも、家族の中で誰がキーパーソン(意思決定の相談や緊急時の連絡窓口となる人)なのかが分からない場合、片っ端から連絡をしていくことになってしまいます。「キーパーソンの記載がなく、誰に説明すべきかわからない」という状況がトラブルの原因になりがちです。
家族構成にキーパーソンを明記しておくことで、夜間や緊急時でもスタッフが迷わず迅速に対応できます。
看護における家族構成の基本的な書き方5ステップ
患者さまの情報を把握できる家族構成にするためには、基本の記号とルールを覚えることが不可欠です。実習や臨床では、支援体制が読み取れるかが評価のポイントになります。ここでは、実習でも臨床でも使える5つの手順を解説します。
- 患者さま・子ども・両親を配置する
- キーパーソンと記載する
- 人物同士を線でつなぐ
- 年齢や情報を記載する
- 同居しているご家族を囲む
これらの手順を進めることで、情報の抜け漏れを防げます。ただし、病院や施設によって書き方のルールが異なる場合もあるため、現場のマニュアルを確認しましょう。

1.患者さま・子ども・両親を配置する
患者さまを中心に配置して、そこから子ども、両親、兄弟姉妹へと広げていきます。性別や本人を表す記号は、一般的に次のように使いわけます。
- 男性:四角(□)
- 女性:丸(〇)
- 患者さま:二重囲み(男性は回、女性は◎)
家族構成で兄弟姉妹を書く際は、年齢順に左から右へ並べるのが基本です。

2.キーパーソンと記載する
ご家族のキーパーソンを明確にします。同居している人が必ずしもキーパーソンとは限らない点に注意が必要です。
患者さまの体調が急変した際や、緊急の処置をおこなう際、どのご家族に連絡し、方針を相談すべきかを看護師が判断できるようにするためにキーパーソンの明記は欠かせません。
記号の横に「※」「キーパーソン」と書いて、一目でわかるように強調しましょう。
3.人物同士を線でつなぐ
配置した人物を線でつなぎ、関係性を表します。夫婦関係は横線で結び、そこから下へ縦線を引いて子どもをつなげます。
ルールに沿って線を引くことで、複雑な家族関係もすっきりと整理されます。
4.年齢や情報を記載する
記号の近くに、年齢や現在の健康状態、職業などの情報を書き込みます。
たとえば、「75歳、高血圧で通院中」「35歳、会社員であり日中不在」など、ケアや支援に関連する情報を書くことが、看護計画に活かせる情報となります。
5.同居しているご家族を囲む
患者さまと同居しているご家族を実線、または点線で囲みます。
これにより、離れて暮らすご家族との区別がつきやすくなり、「現在、家の中でどれくらいのサポートが受けられるか」をすぐに理解できるようになります。
家族構成とジェノグラムの書き方の違い
家族構成とよく似たものに「ジェノグラム」があります。それぞれの特徴を次の表にまとめました。
| 項目 | 家族構成 | ジェノグラム |
| おもな目的 | 現在のサポート体制の把握 | 家族の歴史や心理的関係の把握 |
| 記載範囲 | おもに同居家族やキーパーソン | 原則として3世代以上 |
| 内容の詳細 | 年齢、病状、職業など | 遺伝疾患、親密度、対立関係など |
| 活用場面 | 退院調整、緊急連絡先の確認 | 家族背景の深い分析、意思決定支援 |
家族構成は、同居家族やキーパーソンを中心に現在の支援体制を把握する図で、実習や臨床の場では基本的にこちらを作成します。一方、ジェノグラムは3世代以上を記載し、遺伝的背景や心理的関係を分析します。
実習で迷った場合は「現状把握が目的なら家族構成、意思決定が難航している場合はジェノグラム」と判断するとわかりやすいです。
看護における家族構成の書き方の記載例
ここでは、よくある家族構成をパターン別に、書き方の例を紹介します。患者さまの状況に合わせて活用してみてください。
- 独居の場合
- 夫婦で暮らしている場合
- 夫婦と子どもで暮らしている場合
- 離婚しているご家族がいる場合
- 死別しているご家族がいる場合
これらの例を参考にすることで、迷わず書けるようになります。患者さまの環境を正確に書いて、チームで共通のイメージを持てるようにしましょう。
独居の場合
独居の場合は、患者さまの記号を書き、同居枠で本人だけを囲みます。
近くに住んでいる親戚や、サポートしてくれているご近所さん、利用している介護サービスなどがあれば、情報を書き添えておくと親切です。
夫婦で暮らしている場合
患者さまと配偶者を横線で結び、2人を線で囲みます。夫婦関係が内縁の場合は、夫婦間の横線を点線にして対応する場合もあります。
同居していても、介護力が十分とは限らないため、配偶者の年齢や健康状態を書きましょう。配偶者も高齢で介護が難しい状態になっていないかといった生活の実態を把握するために重要な情報になります。
夫婦と子どもで暮らしている場合
患者さまと配偶者を結んだ線から下へ線を引き、子どもを年齢順(左から長子)に配置します。
また、患者さまの兄弟姉妹からサポートが得られる場合は、別世帯として点線の枠外に配置し、関係性と連絡先を記載しておくと安心です。
離婚しているご家族がいる場合
家族構成では、離婚している事実も現在の生活状況や支援体制を正しく把握するための重要な情報となります。そのため、事実に基づいて適切に記載しましょう。
離婚している場合は、夫婦をつなぐ横線に斜線を2本(//)引いて表すこともあります。別れた配偶者と同居していない場合は、同居の線から外します。

死別しているご家族がいる場合
すでにお亡くなりになっているご家族がいる場合は、その方の記号(〇や□)の中にバツ印(×)を書くか、黒く塗りつぶします。
さらに、記号の近くに「◯◯歳で死亡」や「心筋梗塞のため死亡」などを書き添えることで、病気のリスクを予測する手がかりになります。
看護学生が実習で評価される家族構成の書き方のコツ
実習記録で指導者から「よく書けているね」と評価される家族構成を書くためには、整っているだけの図では不十分です。私も実習中に、家族構成は書いていたものの、ご家族の支援力や生活背景まで十分に情報収集できておらず、「アセスメントが足りない」と指導された経験があります。評価されるためには、次の2つの視点が欠かせません。
ご家族の支援力を読み取って書く
「このご家族は患者さまを助ける力(支援力)があるか」を考えながら書くのがコツです。長女や長男と書くのではなく、生活背景を添えてみましょう。
たとえば、「長女は近くに住んでいるが育児中で多忙」「同居している長男は会社員で日中は不在」といった背景を書き、実際の生活では誰が動けるのかまで見えていると家族関係の状況を理解し、評価されます。
アセスメントで活用できるように記載する
家族構成で得た情報を、アセスメントや看護計画にどう活かすかを意識しましょう。具体例を挙げると、図から次のようなケアや介入が見えてきます。
- キーパーソンの夫も持病があり老老介護の状態
→退院後は訪問介護やヘルパーの導入を検討する
- 独居ではあるが近隣に叔母が住んでいる
→本人は自宅に戻る希望があり、叔母が支援できる
このように、家族構成から読み取れる生活の課題と解決策をセットで考え、記録に反映させることができると、アセスメント力が高いと評価されます。
関連記事:看護アセスメントの書き方!4つの手順と例文でわかりやすく解説
看護における家族構成の書き方のよくあるNG例
家族構成を書いても、必要な情報が抜けていては現場で役に立ちません。よくある失敗例を確認してみましょう。
- 年齢だけを書いて終わっている
- キーパーソンが誰かわからない
- 死別や離婚していることを記載していない
これらのNG例に共通するのは、家族構成が形だけになっている点です。この図を見て、ほかのスタッフが迷わず動けるかを意識することが大切です。
年齢だけを書いて終わっている
記号と年齢だけしか書かれていない家族構成は、情報として不十分です。具体的には、次の情報を追記しましょう。
- 健康状態:要介護1、認知症あり
- 仕事の有無:フルタイム、日中不在
- 患者さまへの介護に対する意欲:介護に積極的、育児で多忙
「75歳」とだけ書くのと、「75歳・要支援1・日中在宅」と書くのでは支援の見え方が異なります。退院後の生活が想像できるかどうかが重要です。
キーパーソンが誰かわからない
看護の家族構成の書き方で、キーパーソンの印が抜けているのは、実習では評価が下がる可能性があります。
実際に、医療現場では看護学生に対して「キーパーソンの記載がないから、誰がこの患者さまの窓口になるかわからない」と指導している場面もありました。目立つように印をつけましょう。
死別や離婚していることを記載していない
事実を書き忘れると、「配偶者がいるはずだから、家でのサポートは大丈夫だろう」といった、存在しない支援をあてにした計画を立ててしまう恐れがあります。
厚生労働省の調査によると、2020年の離婚件数は約19万3,000件にのぼります。また、籍を入れない内縁という形で生活する夫婦も珍しくありません。こうした多様なご家族の形を正確に把握していないと、緊急時の連絡や同意を誰に求めるべきかで現場が混乱してしまいます。
離婚や死別は患者さまに聞きづらい内容ですが、入院時情報の聴取段階で確認するのがおすすめです。
家族構成の書き方についてのよくある質問
家族構成の書き方について、現場や実習でよく疑問に持たれるポイントをまとめました。
Q1:看護記録や看護過程によって家族構成の書き方は変わりますか?
家族構成を書く際の基本的な記号やルールは同じですが、目的によって求められる情報の深さが変わります。
看護記録での家族構成の書き方は、キーパーソンやご家族の年齢などの情報が求められますが、看護過程における家族構成の書き方では、ご家族の心理状態やサポート力など、よりアセスメントに活かせる情報まで掘り下げることが求められます。
関連記事:看護評価の書き方がわかる!例文・記入の流れ・注意点を解説
Q2:家族関係が悪い場合はどう書けば良いですか?
家族関係が悪い場合は、メモ書きで「長男とは疎遠」「長年交流なし」と客観的な事実のみを記載しましょう。
関係性の悪化は退院支援に支障をきたすことになるため、無理に隠さず、正確に記録しておくことが重要です。
Q3:病院や施設によって家族対応の書き方は違いますか?
病院や施設によって、家族構成の書き方に独自のルールが設けられていることがあります。
記号の意味が違ったり、電子カルテのシステムで書き方が決まっていたりするため、配属先の病院や施設のマニュアルを確認してから書き始めましょう。
家族構成の書き方を押さえてアセスメントに役立てよう!
家族構成は、患者さまが安心して生活していくためのサポートを形にする大切なツールです。基本の書き方を押さえることで、ご家族の状況を正確に把握でき、患者さまに寄り添ったケアができるようになります。
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<参考サイト・文献>
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