小児の認定看護師とは?2つの種類と資格の取得方法【2026年制度対応】

「子どもの急な発熱やケガに落ち着いて対応できる力を身につけたい」
「医療的ケア児や不安を抱える家族に、もっと寄り添える看護がしたい」
このように考えたとき、有力な選択肢のひとつが小児の認定看護師です。
小児の認定看護師には、「小児プライマリケア認定看護師」と「新生児集中ケア認定看護師」の2種類があり、いずれも5年以上の実務経験が求められます。取得までのハードルは決して低くありませんが、その分、小児看護の専門性を高め、キャリアの幅を広げられる資格です。
この記事では、小児の認定看護師の役割や資格取得までの流れ、給与の目安などをわかりやすく解説します。自分に合ったキャリアかどうか判断できる内容になっているので、ぜひ最後までご覧ください。
小児の認定看護師とは?2つの種類と役割
小児の認定看護師とは、子どもとそのご家族を支える看護師です。病院だけではなく、地域で子どもたちを守り、質の高いケアを現場に広める存在です。ここでは、2つの種類と詳しい役割をご紹介します。
小児の認定看護師の2種類
小児の認定看護師には「小児プライマリケア認定看護師」「新生児集中ケア認定看護師」の2種類があります。
小児プライマリケア認定看護師は、病気だけでなく育児相談や虐待予防など、子どもの成長を支え、地域や学校など幅広い場面で活躍したい方に向いています。
一方で、新生児集中ケア認定看護師は、NICUや小児科など生まれたばかりの赤ちゃんの命を守る専門家です。高度な医療機器を扱い、集中管理を行う高い技術が求められます。
小児の認定看護師の役割
小児の認定看護師の役割は、日本看護協会が定義する「実践・指導・相談」の3つにわけられます。
- 実践:専門的な知識と高度なスキルを活かし、子どもに寄り添いケアを提供
- 指導:子どもの発達段階に合わせた適切な声かけやケアのコツを看護師に指導
- 相談:地域の看護師や医師などのスタッフと連携して適切なケアを検討
このようにケアから周囲のスタッフ指導まで幅広く行い、子どもとご家族が安心して過ごせる環境を作るのが特徴です。
小児の認定看護師が活躍している場所
小児の認定看護師は、病院だけでなく地域のさまざまな場所で活躍しています。
- 小児科やNICUのある総合病院・大学病院
- 地域の小児科クリニック
- 訪問看護ステーション
- 保育園や学校
- 児童福祉施設
病院内にとどまらず、地域で子どもを支える中心的な存在として期待されています。
小児の認定看護師になるには?資格取得の方法
認定看護師の資格を取るためには、日本看護協会が定めた次のステップを順番に進める必要があります。教育課程は約1年ですが、準備期間を含めると1〜2年程度かかる場合が多いようです。また、教育機関の定員が少なく競争率が高いため、入学段階の難易度は高い傾向があります。
- 資格取得の要件を確認する
- 教育機関を受験する
- 教育課程を修了する
- 認定審査を受ける
- 認定看護師の名簿への登録を申請する
現在は、特定行為研修が組み込まれたB課程に移行しており、高度な判断力が求められます。
1.資格取得の要件を確認する
まずは、受験資格を満たしているかを確認しましょう。
- 看護師として5年以上の実務経験
- うち3年以上の小児看護分野にかかわる実務経験
小児科病棟や外来、NICU、小児在宅分野などが対象になります。十分な臨床経験がなければ、教育機関を受験することはできません。
2.教育機関を受験する
受験資格を満たすと、日本看護協会が認定する教育機関の入学試験を受験できます。2025年12月時点では、小児プライマリケア認定看護師の教育機関は、神奈川県「済生会横浜市東部病院(定員11名)」、新生児集中ケア認定看護師は栃木県「獨協医科大学(定員16名)」の1校ずつのみです。ただし、教育機関数は年度ごとに変動するため、最新情報は日本看護協会の公式サイトで確認が必要です。
定員が少ないため、倍率は高くなる傾向があります。試験内容は筆記(専門知識)、小論文、面接などが一般的で、専門知識だけでなく論理的な思考力や資格取得後のキャリアビジョンが問われることもあります。とくに、面接では「なぜ小児領域で専門性を高めたいのか」「資格取得後にどのように現場へ還元するのか」といった点が重視されます。
3.教育課程を修了する
入学後は約1年間、カリキュラムを履修します。小児プライマリケア認定看護師のカリキュラムは次のとおりです。
- 共有科目:380時間
- 専門科目:243時間
- 演習・実習:165時間
2026年度の例を紹介すると、4月に入講式、9月まで対面講義とeラーニングでの講義があります。10月から約5週間の実習が始まり、ケースレポートや修了試験を経て3月に修了式を迎えます。
4.認定審査を受ける
教育課程を修了すると、毎年1回の「認定看護師認定審査」を受験します。教育機関を卒業しただけでは資格はもらえず、この審査に合格する必要があります。
5.認定看護師の名簿への登録を申請する
合格発表後に送られてくる案内に従って、登録費用を支払い、必要な書類を提出します。
手続きが完了すると、日本看護協会のホームページの認定看護師の名簿に掲載され、小児の認定看護師として活動できるようになります。
関連記事:認定看護師になるには?条件や取得までの流れ、資格取得によるメリットも解説
小児の認定看護師の試験内容と難易度
小児の認定看護師の認定審査の内容は、次のように決められています。
- 試験時間:100分
- 試験形式:筆記試験(マークシート方式・四肢択一式)40問、150点満点
筆記試験の合格基準は150点満点で105点以上ですが、日本看護協会から合格率についての正式な発表はありません。
教育機関の受験に合格して、教育課程で専門科目や実習に取り組んできていることを考えると、難易度は低くはないでしょう。
小児の認定看護師の仕事内容
小児の認定看護師は、子どもの権利を守りながら、身体と心の両面から専門的にサポートします。おもな5つの仕事内容は次のとおりです。
- 病気の子どもへの専門的なケアの提供
- 子どもの事故防止と虐待の早期発見
- ご家族のケア
- 多職種連携やほかの機関との連携
- 病棟の看護師への教育と指導
子どもの成長に合わせた生活支援や事故予防の啓発まで多岐にわたります。働く場所によって役割は異なり、病院では重症化予防や早期回復のための実践が中心ですが、クリニックや訪問看護では生活の中での病気管理や育児相談、学校との調整が重要になります。
医療と暮らしの両面から子どもを支え、現場の質を高める責任とやりがいのある仕事です。

小児の認定看護師の給与事情
日本看護協会の調査(2022年度)によると、小児プライマリケア認定看護師の給与は月額平均37万円です(新生児集中ケア認定看護師のデータは公表されていません)。
厚生労働省の調査によると、一般の看護師の平均給与(月額)は約35万円前後(手当含む)とされているため、小児プライマリケア認定看護師の給与は高めになります。ただし、実際の給与は働く施設や病院の規模に左右されます。
たとえば、夜勤回数の多い総合病院と、日勤中心の小児科クリニックや訪問看護ステーションでは、手当の違いにより収入に差が生じやすい傾向があります。
また、認定看護師は専門的な知識や指導力が評価され、看護主任や看護師長などの役職に就くケースもあります。ただし、昇進や待遇は施設の方針やポスト状況によって異なるため、一概に給与が上がるとは限りません。
役職に就いた場合は、基本給や役職手当が加算されることで、結果的に年収アップにつながる可能性があります。
小児の認定看護師になるメリット
ここでは、看護師としてのキャリアアップに直結するメリットについて解説します。
- 小児領域の専門性が高まる
- キャリアの選択肢が広がる
- 地域医療での需要が高い
専門的なスキルを得ることで、自信を持ってケアできるようになり、職場での信頼も厚くなります。また、転職時にも高く評価されるため、自分らしい働き方を実現しやすくなります。
小児領域の専門性が高まる
小児の認定看護師になるメリットは、小児看護の専門知識と技術が身につき、自信を持って毎日のケアを実践できるようになることです。
たとえば、言葉で痛みを訴えられない新生児のわずかなサインから苦痛を評価したり、処置を怖がる子どもに対し発達段階に合わせた事前説明を工夫したりできるようになります。
その結果、子どもやご家族からの信頼が目に見えて向上します。専門性を磨くことで現場での迷いが減り、安全で質の高いケアを提供できることが魅力です。
キャリアの選択肢が広がる
資格を持つことで、働く場所や役職の選択肢が広がるメリットもあります。
看護主任や看護師長などの管理職に就けるほか、小児専門病院の管理職候補として迎えられることもあります。また、小児科クリニックや訪問看護ステーションでは、指導者として好条件で採用されるケースも少なくありません。
自分のライフステージや、チャレンジしたいことに合わせて、理想とするキャリアを進めることが可能です。
地域医療での需要が高い
病院だけでなく、地域医療の現場で必要とされることもメリットです。
総務省の調査によると、重い病気や障害を抱えながら自宅で生活する「医療的ケア児」は増え続けており、2022年時点で2万385名となっています。
人工呼吸器や胃ろうを使用しながら通学・生活する子どもが安全に過ごすためには、認定看護師の高度な知識が欠かせません。訪問看護ステーションや保育所、学校などから「専門家のアドバイスがほしい」と頼りにされる場面が増えるでしょう。
地域の子どもと家族を支える中心人物として活躍でき、社会に貢献していることを実感できることが特徴です。
小児の認定看護師になるデメリット
資格取得は素晴らしい目標ですが、挑戦する前に現実的な苦労を知っておく必要があります。
- 100万円を超える費用がかかる
- 認定審査の難易度は低くない
- 仕事と学業の両立が難しい
ここでは、認定看護師を目指す人が直面するデメリットや注意点をお伝えします。経済面や学習時間の確保など負担は大きいですが、奨学金や休職制度の活用で解消できる場合もあるため、職場と相談し、協力体制を整えることが大切です。
100万円を超える費用がかかる
資格取得には、入学金や授業料として100万円前後、もしくはそれ以上に費用がかかる点がデメリットです。済生会横浜市東部病院の教育課程で、入学に必要な費用は次のとおりです。
- 入学金:5万円
- 授業料:110万円
この費用に加えて、遠方から通う場合は家賃や交通費などの生活費まで二重にかかる場合もあります。そのため、勤務先の支援制度や日本看護協会の奨学金が使えるか事前に確認し、資金計画を立てておくことが不可欠となります。
認定審査の難易度は低くない
認定審査の合格率の公式発表はありませんが、難易度は低くない点に注意が必要です。
2025年12月時点で教育機関が開講しているのは、新生児集中ケア認定看護師・小児プライマリケア認定看護師、いずれも1校のみであり、定員が少ないため入学試験の倍率が高くなる傾向にあります。また、入学後もレポート提出や現場実習があり、場合によっては睡眠時間を削って勉強する日々が続きます。
仕事と学業の両立が難しい
長期間にわたり、仕事と学業を両立させることが難しい点もデメリットです。
決められた課程をこなすため、まとまった休みを取るか、多忙な業務の合間を縫って通学する必要があります。私が取材したところ、数週間にわたる実習期間は仕事を休むことになり、周囲の理解を得るまでに苦労したという意見もあります。また、資格を取得してからも、通常の業務に加えてコンサルテーションやチームでの活動も求められるため、残業している認定看護師も少なくありません。
こうした負担を軽減するためにも、看護師長や同僚に自分の熱意を伝え、応援してもらえる協力体制をあらかじめ整えておくことが重要です。
小児の認定看護師に向いている人の特徴
小児の認定看護師の資格を取得した後も、専門知識を学び続ける必要があるため、誰でも簡単に働けるわけではありません。性格や価値観によって、資格を活かして働けるかどうかがわかれます。
- 子どものケアが好きで、変化に敏感な人:子どもの顔色や泣き方の違いなど根気強く観察し、ケアを工夫できる人が向いている
- ご家族の不安に寄り添い、対話を大切にできる人:子どもだけでなく、看病に悩むご家族の理解者として、解決策を考えられる人が適している
- 感情のコントロールができ冷静に判断できる人:理不尽な病気や厳しい病状に直面しても、子どもとご家族にとって最善の選択をサポートし続けられる人が求められる
これらの特徴に当てはまる方は、資格取得後も高い意欲を持って活躍できるはずです。まずは自分の看護観を振り返り、目指すべき理想の看護師像をイメージしてみましょう。
関連記事:看護師が子どもとかかわる仕事とは?小児科以外の選択肢と仕事に就く方法
小児の認定看護師についてのよくある質問
ここでは、看護師からよく寄せられる質問について、わかりやすくお答えします。
Q1:小児の認定看護師はなくなりますか?
小児の認定看護師の資格は、現時点で廃止予定はありません。
A課程が2026年で終了し、特定行為を含むB課程に一本化されるため、一部で誤解が生まれていると考えられます。
Q2:小児の認定看護師と専門看護師との違いは?
小児の認定看護師と小児看護専門看護師は、どちらも小児看護の専門家ですが役割や取得方法などが異なります。
| 小児の認定看護師 | 小児看護専門看護師 | |
| 実務経験 | 通算5年以上(うち3年間以上は専門看護分野の実務経験) | |
| 教育課程 | 1年間で教育カリキュラムを受講し修了 | 看護系の大学院で修士課程を修了し、38単位の取得 |
| 役割 | 実践・指導・相談 | 実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究 |
| 登録人数 (2025年12月) | ・50名(小児プライマリケア認定看護師:B課程) ・32名(新生児集中ケア認定看護師:B課程) | 337名 |
現場のケアや指導をおこないたい場合は認定看護師、複雑な調整や研究を進めたい場合は専門看護師がおすすめです。
Q3:小児の認定看護師は働きながら取れますか?
小児の認定看護師は、工夫次第で働きながら取得できます。
しかし、病院での実習は数週間にわたり通学が必要です。事前に看護師長や人事担当者と実習中の働き方を相談して、協力してもらうことが不可欠です。
実際に、私が取材したところ、夜勤を免除してもらったり、講習がない日のみの勤務にしてもらったりなど、看護師長や同僚に協力してもらい、働きながら授業を受けている看護師もいました。
受験前に「なぜこの資格が必要か」を職場に伝え、サポート体制を相談しておくことが重要ポイントとなります。
小児の認定看護師になるには専門的な知識とスキルが必要!
小児の認定看護師は、子どもとご家族の生活を支えるやりがいのある資格です。資格の取得は簡単ではありませんが、専門家として成長できる機会となります。
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地域医療のニーズが高まる今、小児領域での専門性は、訪問看護の現場で求められているスキルです。「子どもたちを支えたい」という想いに合った職場が見つかるでしょう。
<参考サイト・文献>
認定看護師教育機関別の開講状況・定員数一覧(特定行為研修を組み込んでいる教育機関:B課程認定看護師教育機関)|日本看護協会
小児プライマリケア認定看護師教育課程 | 済生会横浜市東部病院
「2022年度専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」報告書|日本看護協会
医療的ケア児とその家族に対する支援に関する調査-小学校における医療的ケアの実施体制の構築を中心として-|総務省
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