看護師が知っておくべきクリニックと病院の違い!どちらがいいのか特徴の違いも解説

「クリニックと病院の違いって何?」「夜勤がつらいから転職したいけれど、クリニックってどうなんだろう」と悩んでいる看護師は多いのではないでしょうか。
クリニックと病院は、看護師に期待される役割や働き方、キャリアへの影響が異なります。しかし、厚生労働省の調査によると、看護師の65.7%が病院勤務で、クリニック(診療所)勤務は21.6%です。病院勤務が多数派であるため、身近にクリニックの実態を知る機会が少なく、具体的なイメージを持ちにくいのが現状です。
この記事では、仕事内容や給料、キャリアへの影響などの観点から、クリニックと病院の違いを比較しました。病院からクリニックへの転職を考えている看護師が、後悔しない職場選びの判断軸が明らかになるでしょう。
看護師が知っておくべきクリニックと病院の違い!
クリニック(原則として病床数が19床以下の診療所)と病院(20床以上)との違いを7つの項目で比較します。
- 仕事内容の違い
- 1日の流れの違い
- 給料や待遇の違い
- 看護スキルの違い
- 働きやすさの違い
- キャリアへの影響の違い
- 人間関係や職場の雰囲気の違い
これらは、生活の質や将来のキャリア形成に直結する重要な要素です。なお、実際の働き方や業務内容は、病院やクリニックの規模・診療科・運営体制などによって異なるため、あくまで一般的な傾向としてご覧ください。
仕事内容の違い
| 項目 | クリニック | 病院 |
| おもな役割 | 診療介助や外来対応 | 入院患者さまの療養生活の援助 |
| 業務範囲 | 受付や清掃などの雑務を含む | 看護業務に専念しやすい |
クリニックの看護師の仕事は、医師の診察を支える診療介助が中心です。クリニックの多くは少人数体制のため、採血や点滴などの看護業務に加え、受付や清掃、備品管理など運営全般を担うケースもあります。
一方、病院では入院患者さまの24時間のケアが主軸となります。医療事務や理学療法士などさまざまな職種が働いているため、看護師は清潔ケアやバイタルサインの測定、処置など本来の看護業務に専念しやすい環境です。
関連記事:クリニック看護師の仕事内容4つ!診療科別の仕事内容とメリットを紹介
1日の流れの違い
| クリニック | 病院 |
| 08:30 出勤 09:00 午前診開始 12:30 休憩 15:00 午後診開始 19:00 診療終了・退勤 | 08:30 出勤・申し送り 09:00 清潔ケア・点滴 12:00 交代で休憩 13:00 清潔ケア・カンファレンス・記録 17:30 退勤 |
クリニックは外来診療の時間に合わせ、午前診と午後診にわかれる勤務形態が一般的です。長い中休みがあり、診療時間によっては120分を超える場合もあります。ただし、診療時間が延びると拘束時間が長くなりやすい点には注意が必要です。
病院は24時間体制のため、2交代や3交代のシフト制で休憩は60分が基本となります。

給料や待遇の違い
| 項目 | クリニック | 病院 |
| 平均年収 | 病院より低い傾向 | 比較的高い傾向 |
| 福利厚生 | 最小限 | 手厚い |
厚生労働省の調査によると、看護師の平均年収は519万7,000円です。ただし、この金額には夜勤の有無や勤務先の規模、雇用形態などが含まれており、実際の年収は働く場所によって大きく異なります。
クリニックは夜勤がないケースが多いため、夜勤手当が含まれる病院勤務と比べると、年収は平均を下回る傾向にあります。また、小規模な施設では福利厚生が社会保険完備など最低限に留まる場合もあります。一方で、美容クリニックやAGAクリニックなどの自費診療を行うクリニックでは、高給与が期待できるケースもあります。
病院では夜勤手当や各種手当が支給されるため、看護師全体の平均年収と同等程度、もしくはそれ以上になることが一般的です。住宅手当や退職金制度など福利厚生が整っている病院も多く、長期的に安定して働きたい人にとっては大きな魅力といえるでしょう。
看護スキルの違い
| 項目 | クリニック | 病院 |
| 得意分野 | 専門領域・接遇・調整力 | 急性期対応・幅広い症例 |
| 習得技術 | 特定疾患への深い知識 | 高度な医療機器の操作 |
クリニックでは、小児科や消化器内科といった特定の診療科の知識と接遇スキルが磨かれます。
一方で、病院では、人工呼吸器の操作や急変対応などを体系的に習得でき、幅広い症例に触れる機会が多いのが魅力です。
働きやすさの違い
| 項目 | クリニック | 病院 |
| 休日 | 日祝固定休・平日と土曜日の半休 | シフト制 |
| 休みの調整 | 人数が少なく調整が難しい場合がある | カバーし合えることもある |
クリニックは日祝日・平日と土曜日の半休が固定されていることが多く、家族や友人と予定を合わせやすい特徴があります。ただし、スタッフ数が限られているため、急な欠勤時には一人あたりの負担が大きくなる場合があります。
病院はシフト制のためプライベートの予定を調整しにくい反面、平日休みが取りやすく、役所手続きや通院などを平日に済ませやすいメリットがあります。また、クリニックに比べてスタッフ数が多いため、急な体調不良時もカバーし合いやすい安心感もあるようです。
キャリアへの影響の違い
| 項目 | クリニック | 病院 |
| 将来性 | 地域医療・特定の診療科を深められる | 認定看護師・専門看護師・管理職を目指しやすい |
| 転職への影響 | 専門性を活かしやすい | 汎用性を活かしやすい |
クリニックでの経験は、地域医療や特定の診療科のスペシャリストとしての市場価値を高められます。将来的に訪問看護へ転身する際にも役立つ経験です。
病院勤務は、さまざまな診療科の看護スキルを得られます。教育制度や資格取得支援が充実している傾向にあるため、認定看護師の資格取得や管理職への昇進などステップアップを目指しやすい環境にあります。
人間関係や職場の雰囲気の違い
| 項目 | クリニック | 病院 |
| 関係性 | アットホーム・固定メンバー | 異動もあり流動的 |
| 相性の影響 | 合わないと逃げ場がない可能性がある | 異動やシフトで調整可能 |
クリニックは少人数の家族的な雰囲気で、信頼関係を築ければ安心して働くことができますが、相性が悪いと逃げ場がないリスクも考慮すべきです。
病院は多職種が在籍し、退職や異動などスタッフの入れ替わりも多い傾向にあるため、新しいスタッフとうまく働くためにコミュニケーション能力が求められます。苦手な人がいても、異動によって環境を変えられる柔軟性があります。
関連記事:新卒看護師はクリニックで働けるの?5つのメリットや求人を探すコツ
クリニックと病院はどちらが良い?向いている看護師の特徴の違い
クリニックと病院に「絶対的な正解」はありません。大切なのは、自分が「今」優先したいのが生活の安定か、看護師としての成長かを明確にすることです。それぞれの特徴を把握し、重視する条件と照らし合わせることで、後悔しない職場選びになります。
クリニックに向いている看護師
クリニックには、次のようにワークライフバランスを重視し、地域に密着した看護を志す人に適しています。
- 規則正しい生活を送りたい人
- 採血や点滴などのルーチン業務をこなすのが得意な人
- 地域に根ざした看護をしたい人
- 医療業務以外も柔軟にこなせる人
私生活を安定させつつ、身近な方の健康を支えたい看護師に最適な環境といえます。一方で、急変期での対応力や高度な医療技術の習得を最優先したい場合は、希望する経験と合わないと感じることもあります。
病院に向いている看護師
病院は、多様な症例や最新の設備が揃っており、教育体制も充実しているところが多いため、看護師として着実にステップアップしたい人に最適です。
- 多くの症例を経験し、看護スキルを高めたい人
- 年収をアップさせたい人
- 教育体制が整った環境でキャリアアップしたい人
- チーム医療の中で多職種と連携して働きたい人
成長意欲が高く、看護の専門性を武器に長く活躍したい方におすすめの職場です。ただし、夜勤や業務量の多さによる負担は避けられないため、体力やライフステージとの相性も慎重に考える必要があります。
クリニックと病院、それぞれのメリットとデメリットの違い
それぞれの職場の強みと弱みを比較し、自分に合った職場を探す際の参考にしてください。
クリニックのメリットとデメリット
クリニックのメリットとデメリットは次のとおりです。
- メリット:夜勤がない、日祝休みが多い、特定の疾患に詳しくなれる
- デメリット:夜勤がない分、年収が下がる場合がある、人間関係が固定されやすい、看護以外の業務が発生することがある
とくに、少人数体制のクリニックでは、受付対応や清掃なども看護師が担うケースがあります。そのため、「看護業務に専念したい」「評価制度のある環境で働きたい」と考える人は、
ギャップを感じやすい点に注意が必要です。
病院のメリットとデメリット
高い報酬と成長環境が手に入る半面、多忙さによる負担は覚悟しなければなりません。具体的な病院のメリットとデメリットは次のとおりです。
- メリット:福利厚生が充実している、教育制度がある、給与水準が高い
- デメリット:体力的・精神的負担が大きい、残業や委員会活動が多い、夜勤がある
病院では急変対応や夜勤、委員会活動などが重なり、ライフステージによっては働き続けること自体が負担になる場合もあります。そのため、成長環境だけでなく「今の生活との両立が可能か」を基準に考えることが重要です。
転職でクリニックや病院を選ぶときの注意点
転職でクリニックと病院を選ぶ際は、ミスマッチを防ぐために慎重な情報収集が欠かせません。同じ「病院」「クリニック」という区分でも、働き方や負担が大きく異なるケースが少なくありません。職場環境を正しく知るために、次のポイントを意識しましょう。
- 求人票だけでは判断しない
- 診療科や規模による違いを理解しておく
- 将来のキャリアから逆算して選ぶ
後悔しないためには、表面的な条件だけでなく、実際に働くイメージが持てるレベルまで現場の情報を掘り下げることが不可欠です。それぞれの注意点について、具体的にどのように確認すべきか解説します。
求人票だけでは判断しない
職場の文化や雰囲気は施設ごとに異なるため、求人票に書かれている給与や勤務時間などの条件面だけで判断するのは危険です。同じ条件でも働きやすさには差が出るため、次のポイントを確認してください。
- 休憩はきちんと取れているか
- 残業がどのくらい発生するのか
- 看護師の定着率や離職理由はなにか
ただし、これらは求人票の情報だけではわかりません。病院見学で実際の雰囲気を確認することで、入職後のギャップを減らせます。条件だけでなく、「ここで無理なく働き続けられるか」という視点で判断しましょう。
診療科や規模による違いを理解しておく
「病院=忙しい」「クリニック=楽そう」といったイメージだけで判断するのは避けるべきです。実際の忙しさや求められるスキルは、診療科や施設規模によって左右されます。
たとえば、病院であっても療養型や回復期リハビリテーション病棟は、急性期に比べて患者さまとじっくり向き合える傾向にあります。一方で、クリニックでも透析や美容などの分野では高度なスキルやスピード感が求められることが少なくありません。
イメージに捉われず、自分の目指す看護が実践できる環境かどうかを見極めましょう。
将来のキャリアから逆算して選ぶ
転職先を選ぶ際は、数年後の自分はどうありたいかという視点を持つことが大切です。ライフステージの変化によって、看護師に求められる役割や最適な働き方は変わります。
「数年後に結婚や出産を考えているから、今のうちに急性期でスキルを学びたい」「将来、美容に特化して働きたいから美容クリニックで働きたい」など戦略的な視点が必要です。
将来の自分から逆算して「今選ぶべき職場」を決めることが、長期的な満足度につながります。
看護師が知っておくべきクリニックと病院の違いについてのよくある質問
ここでは、看護師が知っておくべきクリニックと病院の違いについて、転職や働き方で悩む方からよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。
Q1:クリニックは採血できないと働けませんか?
クリニックの看護師にとって、採血スキルは必須です。
外来診療が中心となるクリニックでは採血が日常的な業務になります。そのため、即戦力として採血ができることを前提に採用している施設もあります。
ただし、すべてのクリニックで高度な採血スキルが必須というわけではありません。採血の頻度が比較的少ない診療科や、教育・フォロー体制が整っているクリニックもあります。
Q2:病院からクリニックに転職すると戻れませんか?
病院からクリニックに転職しても、その後に病院へ戻ることは可能です。
ただし、クリニックでの勤務期間が長くなると、急性期看護や高度な医療機器操作から離れる期間が生じます。そのため、採用担当者から「手技や知識がどの程度維持されているか」を確認されるケースがあります。
そのため、最新のガイドラインを確認したり、学会に参加したりして最新の医療知識をアップデートし続ける姿勢が大切です。その取り組み自体が、病院へ再挑戦する際の評価につながることもあります。
関連記事:クリニックに転職したい看護師必見!メリットデメリットや年収情報まとめ
Q3:ブランクがあってもクリニックで働けますか?
ブランクがあってもクリニックで働くことは可能です。実際に、出産や育児を経てクリニックに復職する看護師も多くいます。
ただし、クリニックは教育担当が固定されていなかったり、研修制度が十分に整っていなかったりする場所もあります。スムーズに復帰するためには、復職支援研修が用意されているか、現場でのフォロー体制があるかを事前に確認しておくと安心です。
Q4:新卒看護師はクリニックと病院どちらを選ぶべきですか?
どちらを選んでも問題ありません。大切なのは、「将来のキャリアから逆算して選ぶ」視点を持つことです。
一般的には、基礎的な看護技術を体系的に学べる病院をおすすめすることが多いですが、最近では教育に力を入れているクリニックも増えている傾向にあります。
プリセプター制度や定期的な勉強会など、新人向けの研修制度があることを事前に確認しておくと安心です。
Q5:クリニックの看護師はなぜ「スキルが偏る」と誤解されることがあるのですか?
これは、病院とクリニックでは求められるスキルの種類が異なることによる誤解が背景にあります。
病院、特に急性期では、高度な医療機器の操作や救急対応など、スピードと専門性が求められます。そのため、クリニック勤務が長い看護師が病院へ転職した場合、環境や業務内容に慣れるまで一定の時間がかかることがあります。この過程が、「スキルが不足している」と誤解される要因になることがあるのです。
しかし、実際には、クリニックの看護師は、次のような病院とは異なる強みを持っています。
- 限られたスタッフ数の中で業務を回す調整力
- 患者さまに安心感を与える接遇スキル
- 診療の流れを見極め、優先順位を判断する実践力
病院からクリニックへ、あるいはその逆に転職をした直後は、求められる「スキルの種類」が異なるため、戸惑いを感じることもあるでしょう。ただし、それは能力の優劣ではなく「経験領域の違い」にすぎません。
どちらの経験もキャリアにおいて価値のあるものといえます。
クリニックと病院の違いを知ることが後悔しない選択につながる!
病院とクリニック、それぞれに魅力と大変さがあります。自分がどのような看護師になりたいのかを整理し、将来像から逆算して職場を選ぶことが大切です。
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<参考サイト・文献>
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
