看護師に学歴は関係ない?給料やキャリアへの影響と5つのコンプレックス解消

公開日:2025/10/03 更新日:2025/10/03
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「専門卒だから給料が低いのでは」「昇進で不利になるかもしれない」など、学歴による差があるのではないかと不安に感じる看護師の方は多いでしょう。

看護師の仕事は学歴よりも現場での技術や経験が重要だといわれます。しかし、実際には、初任給やキャリアアップにおいて、大卒と専門卒で差があるのも事実です。

この記事では、看護師の学歴による給与やキャリアへの影響を解説します。学歴コンプレックスを解消し、自分らしいキャリアを築くヒントが見つかるでしょう。なお、ここでは専門卒は、3年課程の看護師養成所を卒業した方を指すこととします。

看護師の学歴の現状

看護師の学歴は多様化しており、近年では大卒の割合が増加しています。学歴による現状を知ることで、自分の強みを見つける手助けになるでしょう。

さまざまな学歴の人が国家試験を受験できる

看護師になるには、大学もしくは3年以上の教育を受けて、看護師国家試験に合格する必要があります。

<高等学校を卒業>

  • 看護大学4年
  • 看護短期大学3年
  • 看護師養成所3年または4年

<中学校を卒業>

  • 5年一貫看護師養成課程校

どのルートを選んでも看護師国家試験に合格すると、看護師として働けます。また、現場でできる業務に違いはありません。

関連記事:看護師になるには?資格や学校、スキルまで完全ガイド【2025年度最新版】

大卒看護師が専門卒看護師よりも増えてきている

現在、看護師を目指す学生の進路は、専門学校から大学へと変わりつつあります。

日本看護協会「2021年看護職員実態調査」によると、すでに働いている看護師の学歴は大卒18.5%に対して、専門卒52.2%であり専門卒が多い状況でした。

しかし、厚生労働省「看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査」によると、2024年度の大学の入学者は2万6,044人で、専門学校の入学者は2万1,724人です。

このため、病院の採用でも大卒看護師の割合が増加しています。看護師の資格を取るなら、大学進学が主流になっている現状を知ることは、進路やキャリアを考えるうえで役立ちます。

看護師の学歴がキャリアに与える影響

看護師は大卒と専門卒ではキャリアの初期の頃に違いが出る可能性があります。とくに、大学卒の看護師は、管理職候補や専門職への移行が早い傾向にあります。

  • 給料や初任給の違い
  • 離職率の違い
  • 昇進や役職の違い

看護師の仕事は学歴がすべてではないものの、これらの違いを知っておくことが今後のキャリアアップには必要です。

給料や初任給の違い

看護師の初任給は、大卒の方が専門卒よりも高い傾向にあります。実際の初任給の違いは、次の表のとおりです。

 大卒専門卒
平均基本給月額21万7,934円21万2,077円
平均税込給与総額28万2,453円27万4,840円
参考:2024年度「看護職員の賃金に関する実態調査」結果|日本看護協会

大卒は専門卒に比べて、初任給(給与総額)で7,613円高く、年収に換算すると約9万円の差となります。

離職率の違い

看護師の学歴による離職率の差はほとんどありません。日本看護協会「2024年病院看護実態調査」による、大卒と専門卒の離職率は次のとおりです。

  • 大卒:8.0%
  • 専門卒:8.1%

現場での仕事内容は学歴による差はなく、仕事の厳しさや責任の重さは変わらないと考えられるからです。また、看護師全体の離職率が8.3%であるため、いずれも低い傾向であるといえます。

昇進や役職の違い

看護師がキャリアアップを目指す際、大卒の方が有利になる傾向があります。

大学では、高度な知識と論理的な思考力が養われるため、病院側は管理職や専門看護師を目指す土台ができていると評価しやすいのです。

また、「専門看護師」の認定要件には修士課程修了が含まれるため、学士号がないと進学の時点で制限を受ける可能性があります。大卒と専門卒の違いをさらに知りたい方は、下記の記事でも詳しく解説しているため、ぜひご覧ください。

関連記事:看護師の大卒と専門卒での違い!給料の違いともったいないとされる理由

看護師の学歴別のメリットとデメリット

大卒と専門卒では、学校での学習期間や卒業後のキャリアに違いがあります。自分がどのような看護師になりたいか、どのような働き方をしたいかによって、どちらのルートを選ぶべきかが変わります。自分の目標を明らかにして、進路を慎重に選びましょう。

大卒看護師のメリットとデメリット

大卒看護師のメリットは、次のとおりです。

  • キャリアアップのチャンスが広い
  • 昇進や管理職に有利である
  • 給与に差が出やすい
  • 幅広い知識を学べる

大学では、養護教諭や保健師、助産師の資格を取れるようにコースを設けているところもあります。また、一般企業の募集要項に「4年制大学卒業以上」と決められている場合もあるため、大卒はさまざまな場面でキャリアアップできる可能性があります。

一方でデメリットは、専門卒よりも1年長く学校に通う必要があるため、学費が多くかかることです。長期的なキャリアと金銭的な負担を比較して、進路を決めることが大切です。

専門卒看護師のメリットとデメリット

専門卒看護師のメリットは、次のとおりです。

  • 早く現場で経験を積める
  • 学費の負担が比較的少ない
  • 実習時間が多く即戦力になりやすい
  • 地域に密着した学校が多く就職先を見つけやすい

これらのメリットがあるのに対して、大卒に比べて初任給が低い傾向にあり、キャリアの選択肢が狭くなる可能性があることがデメリットです。

ただし、実績や学士取得で補えるため、自分のキャリア目標に合わせて、専門学校の強みを活かし進路を選びましょう。

看護師の学歴コンプレックスを解消する5つの方法

学歴コンプレックスは、現場での努力や自己成長によって解消できます。

  1. 専門卒看護師の強みを再認識する
  2. 現場での実績を積み重ねる
  3. 資格取得やスキルアップに努める
  4. 通信制大学や大学院への進学を検討する
  5. 働き方や転職先を見直す

学歴を気にしすぎるよりも、自分の強みを再認識し、業務に誠実に取り組むことが、自信を持つために大切です。

1.専門卒看護師の強みを再認識する

専門卒看護師は、自分たちが「即戦力」である強みを再認識することが大切です。専門学校の教育が臨床現場ですぐに役立つ実践的なスキルの習得に特化しているためです。

そのため「自分は現場で通用するスキルがある」と自信を持つことが、コンプレックスを解消する一歩になります。

2.現場での実績を積み重ねる

現場で実績を積み重ねることがコンプレックス解消につながります。看護師の仕事は、学歴よりも患者さまからの信頼や同僚からの評価が重要になりがちです。

具体的に、難しい症例の患者さまに率先してケアしたり、急変時にも冷静に対応し、チームをサポートしたりといった実績は評価を高めます。

3.資格取得やスキルアップに努める

学歴に関係なく、資格取得やスキルアップに積極的に努めましょう。

専門的な資格を取ることで、特定の分野の知識やスキルが病院に認められ、評価が高くなります。

たとえば、認定看護師や特定行為研修を修了することで、高度なケアを提供できるようになり、給与や役職に反映されることがあります。資格を取ることは、学歴コンプレックスを解消するだけでなく、給与アップやキャリアアップにも直結するのです。

4.通信制大学や大学院への進学を検討する

もし学歴コンプレックスが解消できなければ、働きながら通信制大学や大学院への進学を検討する方法もあります。

多くの大学が社会人向けの通信教育課程や大学院の進学制度を設けています。これらをうまく活用すると、時間や費用がかかりますが、仕事を辞めずに学歴の差を解消できるでしょう。

5.働き方や転職先を見直す

学歴が強く影響する職場であれば、働き方を見直したり、別の職場を探したりすることが解決策になります。

大規模な大学病院では学歴が重視されやすい一方、クリニックや訪問看護ステーションでは現場での経験やスキルが重視されがちです。職場が変われば、学歴の評価基準も変わります。

このため、自分のスキルや経験が正しく評価される職場に転職することで、学歴を気にする必要がなくなるでしょう。

看護師の学歴についてのよくある質問

ここからは、看護師の学歴についてのよくある質問に答えていきます。

Q1:学歴が低いと看護師になれませんか?

看護師になるには、大学や専門学校などで教育を受けて、看護師国家試験に合格する必要があります。そのため、最終学歴によっては国家試験の受験資格を満たさない場合があります。

Q2:社会人から看護師になるにはどの学歴が必要ですか?

社会人から看護師になるためには、最終学歴の確認が必要です。

高校卒業以上の学歴があれば、看護師の養成課程に進学できます。大学や専門学校によって入学条件が異なるため、自分の学歴に合った進路を選ぶことが大切です。

Q3:学歴が高い方が転職に有利ですか?

看護師の転職では、学歴よりも臨床経験や資格、コミュニケーション力が重視される傾向にあります。実際に、求人票には学歴条件が明記されている場合は少なく、多くは実務能力や人柄で評価されます。

現場で培ったスキルをどう伝えるかが転職成功には欠かせません。

看護師は学歴よりも自分に合った進路選びが大切!

看護師として働くうえで大切なのは、学歴の高さよりも「どのように学び、どのように患者さまに向き合うか」です。

大卒や専門卒、社会人から看護師を目指す場合も、自分に合った職場を選ぶことで道が開けます。

訪問看護に興味がある方は、求人を幅広く掲載している NsPaceCareer を活用してみてください。豊富な求人から、あなたの希望や条件に合った職場を見つけられるでしょう。

<参考サイト・文献>

2021 年 看護職員実態調査|日本看護協会

看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査|厚生労働省

2024年度「看護職員の賃金に関する実態調査」結果|日本看護協会

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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