看護師になるには?必要な資格やステップ、求められるスキルを紹介!

公開日:2023/12/26 更新日:2024/01/23
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高齢化が進み医療や介護を必要とする人が増えていく中で、看護師の需要は今後さらに高まり続けていくでしょう。

病気を抱えた方や身体に障害を抱えた方、介護を必要とされる方のケアなど、さまざまな人たちを支えられる「看護師」になりたいと考えている方も多いでしょう。

ここでは看護師になるにはどうすれば良いのか、看護師になるまでの流れや必要な資格、看護師に求められるスキルを解説していきます。

看護師を目指している、看護師を目指すか悩んでいるという方もぜひ最後までご覧ください。

看護師になるにはどうすればいい?3つのステップを解説

まずは看護師になるための過程を、下記の3つのステップに分けて解説していきます。

  • 看護専門学校もしくは大学に入学する
  • 看護専門学校や大学を卒業
  • 国家試験に合格して看護師免許を取得

それぞれ段落ごとにみていきましょう。

看護専門学校もしくは大学に入学する

看護師になるためには、まず看護専門学校や短期大学、4年生大学の看護学科などに入学しなければなりません。

高校生から最短で看護師になる道を目指す、高等学校専攻科の5年生の学校に行く道もありますが、高校生の段階では看護師になるかどうかまだ決めていない学生も多いです。そのため一般的に多いのは高校卒業後に3年制の看護専門学校に行く道か、4年制大学の看護学科に行く道の2種類でしょう。

参照:厚生労働省「看護師になるには」

看護学校の選び方|専門学校と大学どっちがおすすめ?

看護師になりたいという高校生の中には、専門学校と大学のどちらにするか悩んでいるという声もしばしば聞かれますが、どちらに行っても看護師になるという道であることには変わりはありません。

4年制大学の場合、看護師になるための勉強と合わせて保健師の学習もするため、保健師資格の取得も可能です。そのため将来的に看護師だけでなく、保健師としての資格を活かして働きたいという方には、4年制大学の方がおすすめです。

ただし4年制大学は3年制の専門学校よりも、1年長く学生生活を送る必要があり、専門学生よりも現場に出るのが遅くなります。また専門学生としては、1年早く大学生よりも働けるのはメリットともいえるでしょう。

どちらにもメリットとデメリットがあるため、どんな道を目指すか考えて学校を選ぶようにしましょう。

看護専門学校や大学を卒業

看護専門学校や大学に入学後は、看護や薬理、医学や心理学などのさまざまな科目の勉強をして期末試験を受けて単位を取得する必要があります。

また座学だけではなく、開始時期は大学か専門学校かによって異なるものの、1年制の夏終わり頃からは(※専門学校の場合)看護実習に行かなければなりません。

次の章で解説しますが、看護師になるのに必要な看護師国家試験を受験する資格として厚生労働省は「看護師になるのに必要な学科を修めて卒業した者」を要件としています。

そのため看護師になるには大学や専門学校へ入学後、多くの勉強や実習を乗り越えて単位を獲得し卒業する必要があります。

参照:厚生労働省「看護師国家試験の施行」

国家試験に合格して看護師免許を取得

実習を終えて単位を取得したら、看護師資格を取得するための国家試験に臨みます。看護師国家試験の実施時期は毎年異なりますが、卒業年度の2月中旬が一般的です。

参考までに第113回(2023年度)の看護師国家試験は、2024年2月11日に試験が行われる予定で、2024年3月22日の午後2時にホームページか受験地にて、受験番号を確認する形で合否を確認するという流れです。

この試験に合格して看護師免許を取得すると、看護師として働けるようになりますが、看護師国家試験は受験を終えて合否の確認をするだけで終わりではありません。合格だと確認した後に看護師免許の申請をして受理される必要があります。

心身の状態を確認するための健康診断を受けて、申請のための書類を揃えたら保健所や県庁などへ書類を提出します。

その後郵送で通知が届いたら、保健所や県庁へ資格証を取りに行くという流れです。

3月に合否がわかり、その時点で申請をしてから2〜3カ月要するため、一般的な入職月である4月に間に合わないケースがほとんどですが、申請後は希望すれば登録済証明書を発行できます。

詳しくは厚生労働省のページをご確認ください。

看護師になるにはスキルが必要?求められる6つのスキル

ここまで基本的な看護師になるためのステップや資格の解説をしましたが、看護師になり働いていくにはいくつかのスキルが必要です。

この段落では看護師に必要とされる6つのスキルを解説します。

ただし、看護師になる前に必ず身に付けなければならないものばかりではなく、働く中で身に付けていけば良いものもあるため、まずはどんなものが必要なのか知っておきましょう。

①コミュニケーション力

看護師として仕事をしていく上で、患者さまやそのご家族はもちろん、先輩や後輩、他職種の方など、さまざまな方とコミュニケーションをとっていく必要があります。

自分から話題を出したり相手を敬ったりなど、ある程度のコミュニケーション力は大切です。

看護実習を1つでも済ませた看護学生であれば、コミュニケーションを取らなければ看護実践は難しいと感じたという方もいるのではないでしょうか。

「自分は人見知りだ」という方でも明るく振る舞うようにするなど、看護師として働きながら苦手を克服するために努力していく必要はあるでしょう。

病院だけでなく、地域で働く訪問看護師やクリニックの看護師など働く場所がたくさんあり、それぞれで求められるスキルは異なっても、コミュニケーションは看護の基本です。

②体力や精神的な気力

看護師の現場は病棟内を歩き回ったり、介助のために患者さまを支えたり抱えたりする場合もあるため、体力的な疲労を感じる人も多いです。

また、患者さまの死を目の当たりにしたり、体調が芳しくない患者さまから辛い言葉をかけられたりすることもあり、精神的な辛さを感じる人もいるでしょう。

体力や精神的な気力は、看護師として長く現場で働くためには必要なスキルといえます。

体力については、入職前に運動習慣をつけるなどして身に付けておくと良いでしょう。

精神的な気力の部分は個々によって異なりますが、看護実習をこなしていったり、現場で働いたりしてからある程度鍛えられた、という看護学生や看護師もいます。

ただし無理して心身ともに壊してしまうのはよくないため、辛い時は周期に打ち明けて発散したり休息を取ったりするようにしましょう。

③素直に話を聞き入れる力

患者さまや先輩看護師はもちろん他職種からも、たくさんの指摘を受けるケースがあります。

どんな人からの意見であってもプライドを振りかざしたり、「あの人は私たち看護師のことを知らないから」というように立場で差別心を抱えたりせず、素直に話を聞き入れる力が大切です。

ある意味心の余裕とも言えるでしょう。高いプライドを抱えすぎずにどんな立場にも素直に接することができる人は、現場で非常に大切にされます。

④積極性と謙虚さ

積極と謙虚という矛盾している2つの言葉ですが、どちらも重要でバランスよく持っていた方が良いでしょう。

患者さまへ提供する医療ケアは看護師1人で行うものではなく、さまざまな看護師や医師、その他の他職種との連携で行っていくものです。

他職種と連携をとるにあたって協調性ももちろん大切ですが、時には自分が「こうしてみるのはどうか」「こういう案も良いのではないか」と感じたことを伝えてみるというような積極性も大切です。

また、自分で分からないことや不安なことは、「先輩は今忙しそうだし聞きにくいから自分でやってしまおう」と考えないようにしましょう。少しでも不安を感じた場面ではミスを防ぐために、必ず誰か先輩に確認してもらってから実践する必要があります。

そのために看護師として何年経っても、「積極」的に疑問を伝えて解決する力と、傲慢にプライドを持たずに「謙虚」でいる力が重要です。難しいかもしれませんが、働く中でどちらもバランスよく持ち続けるようにしましょう。

⑤明るく振る舞える力

①のコミュニケーション力の章で少し解説しましたが、周囲に対して明るく振る舞える力はとても大切です。

もし人見知りだからといって言葉がうまく出てこなくても、明るく振る舞うことで患者さまを元気付けていたという場合もあるでしょう。

ただし明るく振る舞っている様子が「いつもヘラヘラしている」と受け取られないように注意が必要です。

時と場所を弁えて、明るく振る舞うようにしましょう。

⑥マルチタスクをこなす能力

看護師は1つの仕事をこなすのではなく、さまざまな医療ケアを行い、時には緊急入院を受け入れたり、患者さまの急変対応をするなど、突然のタスクも含めてマルチタスクをこなす必要があります。

1つだけに集中してしまうと、業務が終わらなくなるだけでなく周囲に負担をかけたり、自分自身が残業をしなければならなくなるため働くのが辛いと感じてしまう可能性もあります。

最初は難しいと感じても周囲を頼りにしながら、徐々に仕事に慣れてマルチタスクをこなす能力を身に付けていくようにすると良いでしょう。

看護師になりたい方が抱える疑問を看護師が解決!Q&A

ここからは実際に、看護師を志望している看護学生や高校生たちが、よく抱える疑問を実際の看護師が回答していきます。

<回答者プロフィール>
鬼頭 怜那
(正看護師・産業心理カウンセラー)
小児科総合病院の産科に就職。障害を持って生まれる胎児を身篭る母体の管理の病棟で勤務後、翌年精神科病棟の急性期、慢性期で勤務。さまざまな精神疾患の患者の看護や薬理病理の勉強、身体疾患の患者も多く全身管理も行う。
その後精神科特化の訪問看護ステーションにて勤務。地域で生きる精神科疾患の患者の看護と地域連携、他職種連携を行う。
現在は看護師ライターとして医療記事の執筆や編集を行っている。

Q.看護師になりたいですが、実習が不安です。どうやって乗り越えましたか?

A.看護師になる過程で必須の看護実習ですが、実習先の指導者の看護師が怖い、カンファレンスが不安、アセスメントがわからない、記録が終わらない、など多くの悩みを抱えている看護学生が多いものです。

ただ看護実習は大変ですが、実習を乗り越えるのは精神的にも鍛えられる上、自分の看護観を形作ったり看護師になりたい思いを強固なものにしたりするきっかけにもなります。

実習の乗り越え方は人それぞれですが、同期の看護師たちは目標を掲げるようにしていました。例えば「この実習の最終日に美味しい焼き肉を食べに行こう」「みんなで打ち上げをしよう」のような楽しみとも言える目標を掲げるのも一つの乗り越え方といえます。

また、なるべく辛いと感じた場面や悩んだ場面は、実習グループや担当の教員に打ち明けるようにしましょう。

実習は、一人で乗り越えるものではなく皆で協力しながら乗り越えるものという認識で、支え合いながら頑張ることが大切です。

その経験が、ゆくゆくは「チーム医療」で働く一員としても必ず役立つことでしょう。。

Q.社会人ですが、看護師になることはできますか?仕事との両立は可能ですか?

A.社会人から看護専門学校へ編入し、看護師を目指して実際に看護師となった人も同期にいました。

社会人として、仕事をしながら看護専門学校の授業や実習に取り組むことは大変かもしれませんが、看護師になりたいという強い思いを抱えていれば、

実際に社会人経験を経てから看護師となった方は、看護師に身につきにくいビジネスマナーや上司との関わり方などが身についており学ばせていただく場面も多く、とても頼りになりました。看護師としてはぜひ一緒に働きたいと感じます。

Q.実習が辛くて挫けそうなので、看護師として働く中でやりがいを感じた時を知りたいです。

A.辛い実習期間を過ごしていると、看護師になりたいという気持ちよりも辛さの方が勝ってしまい、心が挫けそうになるかもしれません。

看護師として働く中で感じたやりがいは、よく言われることかもしれませんが、「患者さまから感謝されること」がやはり一番だと感じます。

他の科で働く看護師仲間も、感謝されるとやりがいを感じると話している方が多い印象です。

看護学生時代の看護実習でも、受け持ちをした患者さまから「ありがとう」のような感謝の言葉をもらうことがあるかもしれません。その言葉を大切に心に留めておくようにしてください。

その心に留めておいた言葉を辛いときに思い出すことで、きっと辛い実習期間も乗り越えられるでしょう。

Q.どのくらい働けば一人前の看護師だと実感できますか?

それぞれの看護師にとって一人前と感じる基準は異なるため、一概に判断しにくいのが正直なところです。

病院によっては看護師が成長した基準としてクリニカルラダー(JNAラダー)を設けていたり、独り立ちの基準を設けていたりする場所もあるため、それぞれの項目の到達目標を達成できていたら一人前との判断をする方もいるでしょう。

とはいえ看護師にとって一人前というのは難しく、一生一人前とは言えないのではないかとも考えています。

自分が一人前と認めて奢ってしまい高いプライドを抱えてしまって、周囲と衝突して働きにくさを感じてしまっている看護師もしばしば見かけるためです。

一人前になろうと考えて努力するよりも、患者さまにとってより良い看護師となるにはどうすれば良いかと考えていた方が看護師として成長できるのではないでしょうか。

参照:日本看護協会「教育計画」

看護師になるためには知っておきたい2つの注意点

最後に看護師になるためには知っておきたい注意点を、2つ解説します。

ここで紹介する注意点は看護師になってからも常に心得ておきたいことであるため、しっかり覚えておきましょう。

余計なプライドを持たない

看護師として働いていくと、さまざまな知識を得たり臨床現場を見て知識を蓄えていくでしょう。

しかし看護師という仕事は前述のQ&Aの章の通り、何年経っても一人前とは言いにくい業種です。「自分は知っている、見てきたから」というようなプライドや傲慢さを持つようになってしまうと、周囲との関係が悪くなるのはもちろん、自分自身も成長できなくなってしまいます。

気づくと気が強くなり、患者さまにも強く当たってしまうようになっている可能性もあるでしょう。

看護師として長期的に働いていくためには何年経っても奢らずに、後輩の意見も受け入れながら働く必要があります。

看護学生の中にも、プライドを抱えて周囲の意見を受け入れないような方もいるかもしれませんが、看護学生は実習を乗り切るためにも必ず周囲と協力する必要があります。余計なプライドは看護学生の時から手放せるようにしましょう。

先輩や後輩、学校の教師とも良い関係を築くようにする

看護学生の時はもちろん、それ以前の高校生の時にも先輩や後輩、学校の教師が周囲にいるでしょう。

周囲の方々と喧嘩をしたり険悪な関係になったりしていた、という経験がある方は要注意です。

看護師の現場はすぐに周囲に悪い話が広がりやすく、他職種にも伝わりやすいです。

自分が先輩や後輩など周囲の方へ強く当たったり、悪口を言ったことは必ず返ってくるため、トラブルになりやすく、居心地が悪くなってしまうでしょう。

患者さまに最適なケアを提供するためにも、医療従事者同士が良い関係を築くことは医療ケアの基本です。

高校生や看護学生の時から、周囲と良い関係を築けるように心がけてみると良いでしょう。

看護師になるにはさまざまなスキルが必要!働いてからでもOK!少しずつスキルを身に付けていこう

今回は看護師になるにはどうすれば良いのか、看護師になるまでのステップや必要な資格、看護師に求められるスキルを解説しました。さらに知っておくと良い注意点も最後に解説しています。

看護師は地域包括ケアシステムの構築が進む中で、病院の場だけでなく在宅など地域の環境下でも求められており、需要は高まる一方です。

在宅という環境下での看護提供にあたって、柔軟性や思考力など求められるスキルも増えていく傾向にありますが、働いてから身につけることも十分可能です。看護師として働く中で少しずつスキルを身に付けていくようにしましょう。

参照:厚生労働省「1.地域包括ケアシステムの実現へ向けて」

参照:厚生労働省「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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