看護学生とは?年間スケジュールやつらいといわれる7つの理由と乗り越えるコツ

「看護学生の生活って実際どうなの?」「実習は大変なの?」といった疑問や不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。
看護学生には、授業や臨地実習(以下、実習)、国家試験の勉強など、つらいと感じることがあるかもしれません。しかし、多くの看護師が同じ道をたどり、その経験を乗り越えてきました。
この記事では、看護学生の年間スケジュールやつらいといわれる理由、そのつらさを乗り越えるコツを詳しく解説します。この記事を読んで、看護学生の生活を具体的にイメージし、理想の看護師への第一歩を踏み出しましょう。
看護学生とは看護師を目指すために看護系の学校に通う学生
看護学生とは、看護師の資格を取得するために、大学や専門学校などの教育機関で学んでいる学生のことです。看護学生は、看護師国家試験の合格を目指して、専門的な知識やスキルを習得します。
4年制大学や3年制の専門学校で学ぶ
看護学生が学校に通う期間は、学校の種別によって異なり、大学では4年間、専門学校では3年間が一般的です。看護師になるには、おもに次のような進路コースをたどります。
- 看護大学:4年
- 看護短期大学:3年
- 看護師養成所:3年または4年
- 5年一貫看護師養成課程校
看護師になるための第一歩として、これらの学校で座学や演習、実習など、多岐にわたる学習に取り組みます。それぞれの学校によってカリキュラムが異なるため、自分の将来の目標や学びたい内容に合わせて進路を選ぶことが大切です。
看護師国家試験を受験する
看護学生は、卒業と同時に看護師国家試験を受験します。国家試験に合格することが、看護師として働くための必須条件です。
看護師国家試験は毎年2月頃に実施されており、卒業する年度で受験します。厚生労働省によると、2025年に実施された第114回看護師国家試験の合格率は90.1%と高いものの、出題範囲は人体構造や疾病、看護技術など幅広いため、計画を立てて取り組むことが重要です。
関連記事:看護師になるには?資格や学校、スキルまで完全ガイド【2025年度最新版】
看護学生の年間スケジュール
看護学生の年間スケジュールは、学年や学校のカリキュラムによって異なりますが、おもに「座学と演習」と「臨地実習」で構成されます。これらの学習で、看護師として必要な知識と実践的なスキルをバランスよく身につけます。
座学と演習では基礎知識を学ぶ
座学と演習では、看護の基礎となる知識を学びます。
座学の内容は、英語や心理学、倫理学といった「共通科目」と、解剖生理学や病態学、薬理学といった「専門科目」にわけられるのが一般的です。また、演習では、採血や注射、体位変換といった看護技術を練習します。
3~4年生になるにつれて、共通科目よりも専門科目の学習割合が増えます。
実習では臨床スキルを学ぶ
看護学生の実習は、病院や施設で実際に患者さまにケアをおこない、臨床スキルを学ぶ重要な期間です。学校の先生や看護師の指導を受けながら、学んだ知識や技術を現場で活用します。具体的に経験する看護業務は次のとおりです。
- バイタルサイン測定
- 清潔ケア
- 車椅子への移乗
しかし、厚生労働省「臨地実習において看護学生が行う基本的な看護技術の水準」で書かれているように、看護学生は、看護師資格を保有していないため、実施できる看護技術は限られます。
学年が上がるにつれて、実習の期間が長くなり、専門的な内容を学ぶようになります。
看護学生の1日のスケジュール例
看護学生の1日のスケジュールは、講義がある日と実習がある日で異なります。どちらの期間も、時間を有効活用することが求められます。
講義中心のスケジュール例
講義が中心の日は、一般的な大学生や専門学生と似たスケジュールです。
時間帯 | 内容 |
7:30 | 起床・朝食 |
8:30 | 登校 |
9:00 | 1限目授業 |
10:40 | 2限目授業 |
12:10 | 昼食 |
13:00 | 3限目授業 |
14:40 | 4限目授業 |
16:20 | 5限目授業 |
17:50 | 講義終了 |
18:00 | 夕食・アルバイト・サークル活動・授業の復習 |
21:00 | 帰宅・入浴 |
23:00 | 就寝 |
講義が中心の日は、9:00頃から始まり、18:00頃に終了するのが一般的なスケジュールです。講義が終わってからは、アルバイトやサークル活動などそれぞれの時間を楽しみます。
しかし、講義で課題が出されることも少なくないため、図書館で勉強したり、課題に取り組んだりする看護学生もいます。
実習中のスケジュール例
臨地での実習中は、講義中心の日とは異なり、8:00~17:00頃までは病院で学び、その後、学校で復習したり、先生に報告したりします。
時間帯 | 内容 |
7:00 | 起床・朝食 |
8:00 | 病院に集合し実習開始・実習担当の看護師と打ち合わせ |
9:00 | 患者さんへ挨拶、ケアの実施 |
12:00 | 昼食 |
13:00 | 実習再開 |
15:00 | カンファレンス |
16:00 | 実習担当の看護師と振り返り |
17:00 | 実習終了 |
17:30 | 担当の先生との振り返り |
19:00 | 夕食・入浴 |
20:00 | 実習の振り返り・レポートの作成 |
23:00 | 就寝 |
帰宅後も、実習を振り返り、翌日の看護計画を立案します。とくに、担当する患者さまが退院して変わったり、受け持ち数が増えたりしたときは、看護サマリーの作成や患者さまの情報収集によりレポートが山積みになりがちです。
実習が3週間から1ヶ月程度続く場合もあるため、乗り越えるためには体力と精神力が必要といえます。
看護学生の実習のリアルな体験談
看護学生の実習は、喜びや失敗などを経験する場です。ここでは、看護学生のリアルな体験談を紹介します。
初めてのバイタルサイン測定で手が震えた失敗談
私は初めての臨地実習で、患者さまのバイタルサイン測定を任されました。しかし、緊張しすぎて手が震え、聴診器をうまく使えませんでした。患者さまに「大丈夫だよ」と声をかけてもらいましたが、自分のスキルのなさに落ち込み、自信をなくしてしまいました。この失敗を教訓に、何度も練習を重ね、自信を持って測定できるようになりました。 |
この体験談は、看護学生が直面しやすい不安を乗り越えた例です。学校での演習の場とは異なり、実習という緊張する場面での失敗は誰にでもあります。失敗から学び、練習を重ねることで、スキルが身につくだけでなく、自信にもつながります。
患者さまの言葉に励まされた体験談
実習で受け持った患者さまに「あなたが来てくれてよかった」と声をかけてもらったことがあります。日々の業務や記録に追われ、精神的に疲れていた時期だったため、その言葉が胸に響きました。私は、自分のケアが患者さまの力になれていることを実感し、看護師になりたいという思いを再確認しました。 |
この体験談は、看護のやりがいを再認識した例です。患者さまからの感謝の言葉は、看護学生にとって大きな支えとなります。この経験を励みに、看護師になるという夢に向かって頑張れるでしょう。
看護学生はつらいといわれる7つの理由
看護学生は「つらい」といわれることがあります。その理由は、実習や将来へのプレッシャーなどの要因が絡み合っているからです。ここでは、具体的な理由を紹介します。
- 勉強する内容が難しい
- 病院や施設での実習が厳しい
- 国家試験へのプレッシャーが強い
- 自由時間が少ない
- 学費や教材費などの費用の負担が大きい
- 学生同士の人間関係が難しい
- 就活が独特で大変である
看護学生が抱える悩みは、多岐にわたります。しかし、これらの悩みを知っておくことで、心の準備ができ、乗り越えるための対策を立てやすくなります。多くの先輩が経験してきた道なので、1人で抱え込まず、周りに相談することも大切です。
勉強する内容が難しい
看護学生の勉強内容は、中学や高校と比べて専門的で難しくなります。膨大な量の専門用語や概念を習得する必要があり、ついていけないと感じる学生も少なくありません。
一例として、人体の複雑な仕組みを学ぶ解剖生理学や病気の成り立ちを学ぶ病理学など、疾患について病態や治療、看護ケアまでを深く学ぶ必要があります。
複数の科目のテストが重なる場合もあり、短期間で多くの知識を学ばなければならないため、ついていけないと感じてしまいがちです。
病院や施設での実習が厳しい
実習は、精神的にも身体的にも負担が大きく、きついと感じる学生が多くいます。先生や看護師からの厳しい指導、患者さまとのコミュニケーションに悩むことがあるからです。
たとえば、実習中に指導者から厳しいフィードバックを受け、自信をなくしてしまうことがあります。実習だけでなく、帰宅後の情報収集や記録、翌日の準備など、毎日やるべきことが山積みで、自由な時間がほとんどありません。
国家試験へのプレッシャーが強い
看護学生は、看護師国家試験の合格を目指す必要があります。合格しなければ看護師になれないというプレッシャーは、学生にとって大きな負担です。
実際に、模擬試験で点数が伸びず、合格できるか不安になったり、周りの学生が熱心に勉強している姿を見て、焦りを感じたりします。
自由時間が少ない
自由時間が少ないと感じている看護学生もいます。講義や課題、実習、国家試験の勉強など、毎日やることが多いためです。アルバイトや趣味、友人との時間を確保することが難しく、精神的なストレスを感じる学生もいるでしょう。
とくに、実習中は週末も実習の記録や課題に追われ、遊ぶ時間がほとんどないと感じる看護学生もいます。
学費や教材費などの費用の負担が大きい
看護学生は、学費や教材費、実習費などの費用がかかります。
専門学校や大学の学費に加え、教科書や聴診器などの費用も必要です。1人暮らしの方は家賃や食費などもかかります。一方で、看護学生はアルバイトをする時間も限られているため、費用の負担が大きくなりがちです。
学生同士の人間関係が難しい
看護学生は、グループワークや実習など、チームで取り組むことが多いため、学生同士の人間関係に悩むことがあります。意見の食い違いや、協力してもらえないといったトラブルが起こることもあります。
実際に、グループワークで意見が合わず、話し合いが進まないことがあるでしょう。実習では自分だけが記録に追われていると感じ、ほかのメンバーに不公平感を抱くことも珍しくありません。
就活が独特で大変である
看護学生の就職活動は、ほかの学生とは異なる独特なものです。一般企業とは異なり、病院の採用試験は、筆記試験や面接、小論文など独自の形式でおこなわれることがあります。
たとえば、病院ごとに異なる採用試験の対策に追われたり、複数の病院を並行して受験する学生も多く、スケジュール調整が難しくなったりしがちです。また、病院の業務を見て病棟の雰囲気を感じるために、病院見学会や説明会に参加する必要もあります。
学業や実習と両立しながらの就活は、精神的な負担も大きくなるでしょう。
看護学生のつらさを乗り越えるコツ
看護学生の生活はつらいと感じることが多いですが、いくつかのコツを実践することで、乗り越えられます。ここでは、つらさを乗り越え、充実した学生生活を送るためのコツを紹介します。
- 予習と復習をして授業に臨む
- 実習の振り返りを仲間と共有する
- 国家試験は早めに準備を始める
- 奨学金や学費のサポート制度を活用する
- 趣味やリフレッシュでストレスを解消する
これらのコツを実践することで、学業や実習の負担を軽減し、前向きな気持ちで学生生活を送れるでしょう。
予習と復習をして授業に臨む
予習と復習をすることで、授業の内容を深く理解し、スムーズに学習を進められます。わからないことをそのままにせず、疑問点を解消していくことが大切です。
具体例として、授業で学ぶ内容を事前に教科書や参考書で読んでおき、授業中は先生の話に集中して理解できるように努めることが重要です。授業後にその日の内容を振り返り、わからなかったところを調べなおすことで、知識が定着しやすくなります。
実習の振り返りを仲間と共有する
実習の振り返りを仲間と共有すると、客観的に自分の実習を評価できます。仲間と話し合うことで、新たな気づきや学びを得られるだけではなく、同じ悩みを抱えていることがわかり安心できるでしょう。
具体的には、実習の記録でつまずいたときに、同じ実習チームの仲間と「どうやってまとめた?」と相談してみることで、新たな視点が得られます。
国家試験は早めに準備を始める
国家試験は出題範囲が広く、覚えることが多いため、計画的に勉強を進める必要があります。
たとえば、専門学校3年生、大学4年生になったら、過去問を解き始め、自分の苦手な分野を把握することが大切です。早めに準備を始めることで、焦らずに学習に取り組め自信につながります。
関連記事:看護師国家試験の難易度は?試験内容や合格のポイントを解説
奨学金や学費のサポート制度を活用する
奨学金や学費のサポート制度を活用することで、経済的な負担を減らせ、安心して学業に専念できます。学校や自治体、病院などの制度があるため、情報収集してみてください。
一例として、日本学生支援機構の奨学金制度や、病院付属の看護学校が独自に設けている奨学金制度などがあります。
病院付属の看護学校の奨学金制度を利用すると、卒業後その病院に就職することで返済が免除される場合があるため、経済的な負担を軽減できます。
趣味やリフレッシュでストレスを解消する
趣味やリフレッシュでストレスを解消しましょう。心身の健康を保つことは、学業を続けるうえで重要です。
たとえば、実習記録に行き詰まったときは、好きな音楽を聴いたり、映画を見たりすることで、気分転換になり集中力が戻ってきます。また、休日に友人や家族と出かけて美味しいものを食べ、運動することで、ストレスを解消し、また次の日から頑張ろうという気持ちにもなれるでしょう。
看護学生についてのよくある質問
ここでは、看護学生が抱える疑問や不安について、よくある質問にお答えします。
Q1:看護学生はアルバイトできますか?
看護学生のアルバイトについては、学校ごとに規定が異なります。一部の学校では禁止されているため、まずは確認が必要です。
アルバイトが可能な場合でも、実習や国家試験の勉強で忙しくなるため、無理のない範囲で取り組むことが大切です。
Q2:看護学生は遊ぶ時間はありますか?
看護学生は遊ぶ時間はあります。
ただし、学年が上がるにつれて実習や国家試験の勉強で忙しくなるため、遊ぶ時間は減ります。計画的に時間を管理し、友人と過ごす時間や趣味の時間を作るようにしてみましょう。
Q3:看護学生で1番つらいときはいつの時期ですか?
看護学生で「1番つらい時期」として多く挙げられるのは、看護実習です。
ただし、どの時期が大変かは個人差があり、通常の講義や試験勉強を「とてもきつい」と感じる学生もいます。
共通しているのは、課題や記録、試験勉強などに追われ、精神的・身体的な負担を感じやすいという点です。
Q4:看護学生は英語も勉強しなければなりませんか?
多くの看護系の学校では、英語が共通科目や基礎科目として必修に設定されていることが一般的です。学校によっては選択科目となる場合もあります。
また、医療現場では外国人患者さまとの対応や、英語の文献・論文を読む機会もあるため、英語を学んでおくことは将来の大きな武器になります。
看護学生の生活や年間スケジュールをイメージして理想の看護師に近づこう!
看護学生の生活は、つらいと感じることも多いかもしれません。
しかし、多くの先輩たちが同じ道を通り、乗り越えて看護師になっています。看護学生の生活や年間スケジュールを具体的にイメージし、目標を立てて取り組むことで、理想の看護師に近づけます。
将来、ワークライフバランスを重視して働きたい方や、患者さま一人ひとりとじっくり向き合うケアがしたい方は、訪問看護師という選択肢もあります。訪問看護師は、利用者さまと深くかかわれるため、やりがいを感じやすい仕事です。訪問看護への転職を検討している方は、NsPaceCareerにご相談ください。訪問看護に特化した求人サイトで希望に合った求人を見つけられるでしょう。
<参考サイト・文献>

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