【看護師の面接対策】貴院と御院、間違えるのはNG!使い分けを解説

面接を受ける際「貴院」の使い方に迷うことはありませんか。
貴院とは、応募先の病院やクリニックを指す丁寧な言い回しで「きいん」と読みます。この貴院と御院には、明確な使い分けのルールがあるのです。
この記事では、看護師が自信を持って面接に臨めるよう「貴院」と「御院」の適切な使い方と、面接で役立つ言葉遣いについて詳しく解説します。これから面接を控えている看護師は、ぜひお役立てください。
看護師の面接で貴院と御院を使い分けるポイント
看護師が面接で使う病院の敬称は、状況によって正しく使い分けることがマナーとして大切です。
厚生労働省「令和5年度能力開発基本調査」によると「実施したOFF-JT」のうち「ビジネスマナー等のビジネスの基礎知識」が43.4%と3番目に多く、ビジネスマナーの重要性は多くの企業で認識されています。
病院でもビジネスマナーは重視されるため、書き言葉と話し言葉で適切な表現を選びましょう。
履歴書やメールなどの書き言葉では貴院と呼ぶ
履歴書やメール、送付状といったフォーマルな書面で病院を指す際には「貴院」を使います。これは「貴」が相手を敬う意味合いを持つ書き言葉ならではの表現だからです。
たとえば、履歴書の志望動機欄に「貴院の地域医療への貢献に魅力を感じました」と記載したり、面接を終えた後のお礼をメールする際に「貴院の採用担当◯◯様」と書き出したりして使用します。
面接や病院見学などの話し言葉では御院と呼ぶ
面接や病院見学、電話など話す場合は「御院(おんいん)」を使います。
話し言葉において、相手の病院を丁寧に指すときに適した表現だからです。会話のなかでスムーズに敬意を示せます。
看護師の面接で「御院の患者さまに寄り添うケアに感銘を受けました」と話したり、病院見学の際に担当者へ「御院の教育制度について詳しく教えていただけますでしょうか」と質問したりする場面で役立つでしょう。
看護師の面接で御院を使った例文
相手に敬意を示しながら、自分の思いや考えを話すことが、看護師の面接においては重要です。次に「御院」を使った例文をチェックしましょう。
- 病院の理念に共感していることを伝える例文
- 病院のチーム医療に貢献したい気持ちを伝える例文
- 病院の看護方針に沿った自己PR例文
- 病院の特徴的な診療科を志望動機に盛り込む例文
- 病院でのキャリアプランを話す例文
実際の面接では、それぞれの例文を自分の状況に合わせて言い替えてください。
1.病院の理念に共感していることを伝える例文
<例文> 「患者さま中心の看護」という御院の理念に深く共感しております。私も患者さま一人ひとりに寄り添う看護を大切にしておりますので、御院でその思いを実現したいと考えております。 |
病院の理念に共感している点をアピールすることは、入職への熱意を示すうえで大切です。病院のホームページや求人票などで理念を確認し、自分の看護観と結びつけて説明しましょう。
2.病院のチーム医療に貢献したい気持ちを伝える例文
<例文> 御院のチーム医療への取り組みについて伺い、大変魅力を感じました。これまでの臨床経験で培ったコミュニケーション能力を活かし、チームのメンバーとして貢献したいと考えております。 |
チーム医療への貢献意欲を示すことは、協調性や積極性をアピールできます。看護師の仕事は多職種連携が不可欠であるため、経験や強みを踏まえて、チームの一員として働けることを強調してください。
3.病院の看護方針に沿った自己PR例文
<例文> 御院の「根拠をもとにケアを実践する」という方針に深く賛同いたしました。私は日頃から最新の医療知識の習得に努めており、患者さまに最良のケアを提供できるよう心がけております。 |
病院の看護方針にこれまでの努力を結びつけると、入職後に貢献できるイメージを持ってもらえます。看護方針への理解と共感を示すことで、ミスマッチが生じにくいと評価され、採用の可能性が高まります。
4.病院の特徴的な診療科を志望動機に盛り込む例文
<例文> 御院の心臓血管外科の専門性の高さに魅力を感じ、ぜひ私もその一員として専門性を高めたいと考えております。これまでに培った知識を活かし貢献したいです。 |
病院ならではの特徴的な診療科への関心を示すことで、採用担当者の印象に残りやすく、入職への意欲を伝えられます。事前に診療科の特徴を調べておきましょう。
5.病院でのキャリアプランを話す例文
<例文> 将来的には、御院で管理職としてチームをまとめ、より良い看護体制の構築に貢献したいと考えております。そのためにも、まずは現場で多くの経験を積みたいと考えています。 |
御院での将来像を明らかにすることで、長期的に貢献したいという意欲を示せます。御院の成長にもつながることをアピールできるように、病院の教育制度やキャリア制度などを調べておきましょう。
看護師が履歴書やメールで貴院を使うときの例文と注意点
履歴書やメールでは「貴院」を正しく使い、丁寧な印象を与えましょう。ここでは例文と注意点をご紹介します。
- 貴院を用いた志望動機の例文
- メール本文での貴院の自然な使い方例文
- 「貴院の求人を拝見し…」などの定型文を使いすぎない工夫
それぞれの例文を参考に、貴院を正しく使用して応募書類で好印象を与えましょう。
貴院を用いた志望動機の例文
<例文> 「地域医療に貢献したい」という方針に魅力を感じました。私も地域住民の皆さまの健康を支える一員として働きたいため、貴院を強く志望いたします。 |
志望動機は、病院への理解と入職への熱意を伝える重要な項目であるため「貴院」を使って、なぜその病院で働きたいのかをしっかりと表現しましょう。応募者の経験や価値観と貴院の強みを結びつけて書くことが、アピールには欠かせません。
メール本文での貴院の自然な使い方例文
<例文> 本日はご多忙の中、面接の機会を設けていただき、心より感謝申し上げます。改めて、貴院の「患者さまに寄り添う温かみのある看護」という方針に感銘を受け、貴院で働きたいという意欲がさらに強くなりました。この度は誠にありがとうございました。 |
メールでは、件名や本文で「貴院」を適切に使って、丁寧な印象を与えましょう。ビジネスメールの基本的なマナーであり、相手に失礼なく情報を伝えるために欠かせません。面接後のマナーについて、下記の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
関連記事:看護師の面接マナーとは?当日の流れや事前にできる4つのことを紹介
「貴院の求人を拝見し…」などの定型文を使いすぎない工夫
<例文> 貴院のホームページで、地域住民向けの健康教室に力を入れていることを拝見し、地域の健康に貢献したいという私の思いと重なり感銘を受けました。これまでの急性期病院での経験を活かし、予防医療の分野で貴院に貢献したいと考えました。 |
定型文だけでは熱意が十分に伝わらないため、自分の言葉で表現する工夫が必要です。多くの応募者が同じような表現を使うため、個性を出すことで採用担当者の印象に残すことができます。自分にしかないエピソードや経験を交えて伝えましょう。
関連記事:新卒看護師の志望動機はどうすれば良い?例文付きで解説
看護師の面接ではクリニックも貴院で良い?病院以外を受けるときの敬称の読み方
病院以外の医療施設や企業の採用試験を受ける場合、敬称の使い分けも大切です。
- クリニック:「御院」もしくは「御施設」
- 訪問看護ステーション:「御事業所」
- 介護施設:「御施設」
- 一般企業:「御社」
状況に合わせて適切な言葉を選びましょう。
クリニック:「御院」もしくは「御施設(おんしせつ)」
クリニックを指す場合は、話し言葉では「御院」または「御施設」を使うのが適切です。
たとえば、転職の面接で「御院の温かい雰囲気に惹かれました」と伝えたり、見学時に「御施設での患者さまへのきめ細やかな対応に感銘を受けました」と述べたりします。クリニックの志望動機については下記の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
関連記事:クリニック看護師の志望動機の書き方とは?例文付きで解説
訪問看護ステーション:「御事業所」
訪問看護ステーションは、事業所として運営されているため「御事業所(おんじぎょうしょ)」が正しい敬称です。
「御事業所の方針である在宅医療への貢献に共感しました」「御事業所で、利用者さまの生活の質向上に貢献したいと考えております」ということを伝える際にも適切な表現です。
介護施設:「御施設」
介護施設を指す場合は、原則として「御施設」と表現します。
これは、介護施設が病院やクリニックとは異なり「施設」という言葉が、より実態に合っているからです。面接の場では「御施設でのレクリエーション活動に魅力を感じ、利用者さまをサポートしたいです」と伝えることができます。
また「御施設の質の高い介護サービスに感銘を受けました」といった言葉も適切です。
一般企業:「御社」
一般企業を指す場合は「御社(おんしゃ)」を使用します。
具体的には、一般企業が運営する健診センターや医療系の企業に応募する際「御社の働きやすい環境に惹かれました」と説明できます。
また「御社が提供されているサービスに魅力を感じ、看護経験を活かして貢献できると考え志望いたしました」といったように企業の特徴と自身のスキルを結びつけて表現することも可能です。
看護師の面接で貴院以外に気をつけたい言葉遣い
面接では、敬称のほかにも気をつけたい言葉遣いがいくつかあります。適切な言葉遣いは、採用担当者に良い印象を与えます。
- 自分が働いている病院は「当院」と呼ぶ
- 自分の上司に敬称はつけない
- 謙譲語と尊敬語を正しく使い分ける
それぞれを意識して面接に臨むことで、より丁寧でプロフェッショナルな印象を与えられるため、面接を有利に進められるでしょう。
自分が働いている病院は当院と呼ぶ
自分が現在働いている、または以前働いていた病院を指す場合は「当院」と呼びます。
「当院では新人看護師の教育係でした」「当院での経験を活かし御院でも貢献したいです」と前職と志望先の関連性を説明したりする際に使うと良いでしょう。
自分の上司に敬称はつけない
面接の場面で自分の上司について話すときには、敬称はつけずに呼び捨てにします。これは、身内である自分の上司に敬称をつけることは、相手に対して失礼にあたるからです。
具体的には「上司の〇〇から業務について教わりました」「部長の〇〇には多くを学ばせていただきました」と話すのが正しい表現です。
これは、社内の人間を外部の人に対してへりくだって表現するという、日本のビジネスにおける慣習にもとづくマナーとされています。
謙譲語と尊敬語を正しく使い分ける
謙譲語と尊敬語を正しく使い分けることは、ビジネスシーンでの基本です。とくに、看護師の面接では、正確な言葉遣いが求められます。面接でよく使う言葉について、次の表にまとめました。
言葉 | 謙譲語の例 | 尊敬語の例 |
する | させていただく | なさる |
行く | 参る | 行かれる |
言う | 申し上げる | おっしゃる |
いる | おる | いらっしゃる |
それぞれの言葉を正しく使い分けることが好印象を与えるカギです。
看護師の面接についてのよくある質問
ここでは、看護師の面接に関するよくある質問にお答えします。
Q1:看護師の面接で貴院を使ったら不合格になりますか?
面接で貴院を使っても、それが直接的な不合格の理由になることは通常ありません。
しかし、話し言葉では御院を使うのが適切とされており、言葉遣いに配慮できないという印象を与える可能性はあります。
話し言葉では御院を使うように心がけ、丁寧な言葉遣いを意識することが重要です。貴院と話してしまっても、すぐに「失礼いたしました、御院でした」と訂正できれば、好印象につながることもあります。
Q2:面接で看護師を呼ぶときは何と呼びますか?
面接で看護師を呼ぶ場合、基本的に「看護師長の〇〇様」のように役職名をつけて呼ぶのが丁寧です。もしくは「〇〇看護部長様」「〇〇師長様」などが挙げられます。
看護師の面接では貴院を正しく使い分けて合格をつかもう!
看護師の面接において「貴院」と「御院」の使い分けは重要です。
書き言葉では貴院、話し言葉では御院を使い、相手への敬意を示しましょう。また、病院以外の施設や企業における敬称、謙譲語と尊敬語の正しい使い分けなど、面接での言葉遣いは、採用担当者に与える印象を大きく左右します。
この記事で紹介したポイントを参考に、自信を持って面接に臨み、合格を掴んでください。
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<参考サイト・文献>

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