看護師2年目の6つの課題!振り返りやすい目標設定のコツと目標例を解説

「看護師2年目の課題って何?」「目標設定をする前に、2年目に求められることを知りたい!」
このように考える看護師2年目の方もいるのではないでしょうか。
新人期間が終わり、業務に慣れてきたように見えても、看護師2年目ならではの責任や周囲からの期待に戸惑うことは少なくありません。
この記事では、看護師2年目の方が直面しがちな6つの課題と振り返りやすい課題設定のコツを解説します。
最後までお読みいただくと、看護師2年目に求められることが把握でき、ステップアップを視野に入れた目標が立てられるはずです。課題設定に悩む方は、ぜひ参考にしてください。
看護師2年目の課題6つ
看護師2年目は、新人時代とは異なる次のような課題に直面します。
- アセスメント能力が十分ではない
- 仕事でミスを起こしてしまう
- 業務を効率的に進められない
- 多職種とのコミュニケーションがうまくいかない
- 1年目看護師にしっかりと指導できない
- ストレスとうまく付き合えない
詳しく見ていきましょう。
1.アセスメント能力が十分ではない
アセスメント能力は、看護師の業務において重要な基礎能力のひとつです。
1年目で基本的なアセスメントを習得したとしても、2年目からはその質と理解度の向上が求められます。
「アセスメントができるようになる」と考えるだけでは、患者さまの異変に気づけなかったり、対応が遅れてしまったりする可能性があります。
患者さまの訴えや体調の変化と病気を関連づけたり、さまざまな情報から患者さまの状態を判断したりする能力は、看護師2年目にとって課題になる傾向です。
2.仕事でミスを起こしてしまう
患者さまの安全を確保するうえで、正確な看護技術の実践は不可欠です。
しかし、業務をひとりでおこない始める看護師2年目は「慣れ」が思わぬミスにつながるリスクもあります。
基本的な手技も「これで大丈夫だろう」と過信して、確認を怠ることで医療事故に発展する可能性もゼロではありません。
このように看護師2年目は、判断の迷いや間違いから仕事でミスを起こしやすくなるのです。
3.業務を効率的に進められない
看護師2年目になると、できることが増える分、任される業務量や責任が増えます。そのため、限られた時間のなかで質の高いケアをするには、もっと効率よく仕事を進めることが大切です。
しかし、看護師2年目の多くは、色んな業務を同時にこなすことが難しかったり、患者さまの急な対応が入ったりして、予定通りに仕事が終わらず残業が増えがちです。
たとえば、患者さまを検査に連れて行こうとしたら、別の患者さまから「トイレに行きたい」といわれることがあります。様々なタスクが同時に起こるため、ナースステーションと病室を行ったり来たりして、時間がかかる場合も少なくありません。
その結果、患者さまとのコミュニケーションの時間が減るといった問題が発生しやすくなります。
4.多職種とのコミュニケーションがうまくいかない
患者さまを支えていくには、医師や薬剤師をはじめリハビリテーションスタッフや栄養士など、チーム医療として多様な専門職が連携していくことが基本です。
看護師2年目になると、自分の役割を理解し、積極的に連携をとることが求められるものの、次の点がわからず課題となります。
- どのような情報を共有すれば良いのか
- どのタイミングで伝えれば良いのか
- 誰に伝えるべきなのか
- 自分の意見を言っても良いのか
こうした迷いは、チーム全体の連携に支障をきたす可能性もあります。
それぞれの専門職の役割や視点の違いを理解したうえで協力するには、経験の積み重ねが欠かせません。
ですが、看護師2年目ではその経験が浅いことから「連携がうまくいかない」と悩みがちです。
5.看護師1年目にしっかりと指導できない
看護師2年目になると、看護師1年目や看護学生の指導にかかわる機会が増えていきます。
「ダブルチェックはどうすれば良いですか?」「患者さまが息苦しいとコールがありましたが、どう対応すれば良いですか?」など質問される際には、先輩として後輩をサポートする姿勢が求められます。
しかし、実際に自分が教える場面になると「どう説明すれば伝わるんだろう?」と戸惑うこともあるかもしれません。
また、自分の業務をこなしながら後輩の教育もおこなうという状況は、精神的な負担にもなり得ます。
6.ストレスとうまく付き合えない
看護師2年目は、おもに次の理由で精神的な負担が増えやすい時期です。
- 後輩の指導
- 責任の増大
- 任される業務量の増加
看護師2年目は、1年目のような手厚い支援を受ける機会が減るため、自分で判断して動かなければならず、この点でプレッシャーや不安を感じやすくなります。
このような状況でストレスをうまくコントロールできないと、集中力や意欲の低下を招きます。
看護師として成長を続けていくためには、ストレスと上手に付き合う力を身につけることがポイントです。
看護師2年目は、ストレス対処のスキルが未熟なことが多く、これが課題となりやすい傾向です。
看護師2年目が感じやすい悩みや不安について、下記の記事でも詳しく解説しています。ぜひ、参考にしてみてください。
関連記事:看護師2年目で転職しても良い?看護師2年目で辞めたくなる理由や主な転職先とは
看護師2年目が課題を振り返りやすい目標設定のコツと目標例
看護師2年目の課題をただ挙げるだけでなく、きちんと振り返りができ、成長を実感できるような目標を設定することが重要です。
- 行動目標は具体的な数値を用いて書く
- 期間を明確に設定し定期的に見直す
- ポジティブな言葉で表現する
自身のキャリアアップを考える際のコツを解説します。
行動目標は具体的な数値を用いて書く
目標達成を振り返りやすくするためには、次のように行動目標に数値や頻度を入れることが重要です。
目標例 | 行動内容の例 |
チーム医療に積極的にかかわる | ・カンファレンスで月に2回以上発言する ・多職種との情報共有を週に3回以上実践する |
安全に看護技術を実践する | ・与薬時の「6R」を常に声出し確認する ・転倒・転落リスクの高い患者さまに予防策を立案し、その実施状況を日々記録する |
行動目標を具体的に書くことで、自分の取り組みを評価しやすくなり、目標達成への意識も高まります。日々の行動が成長につながっていることを実感しながら、着実にスキルアップできるでしょう。
期間を明確に設定し定期的に見直す
目標には「いつまでに達成するか」という期限を設定することが重要です。
たとえば「褥瘡予防の技術を習得する」と目標を挙げた場合「6ヶ月以内に褥瘡予防に関するe-ラーニングを3講座修了する」といった行動目標だと、評価しやすくなります。
また、目標を設定したあとも、定期的に見直しましょう。
- 計画どおりに進んでいるか
- 現状と目標にギャップはないか
- 計画の修正は必要か
目標までの途中経過を確認することで、軌道修正や対策ができ、結果として達成の可能性を高められます。
また、振り返りの過程で取り組みを見つめ直すことが、思考力や判断力の向上にもつながり、自己成長を促す貴重な機会となるでしょう。
ポジティブな言葉で表現する
目標は、前向きで肯定的な言葉で表現しましょう。
「~しない」といったネガティブな表現ではなく「~する」「~できるようになる」といったポジティブな言葉を使うことで、達成への意欲がわきやすくなります。
NG例:インシデントを起こさない OK例:安全確認を徹底し、インシデントを防ぐための行動を実践する |
前向きな目標は、成長に対する姿勢が上司にも伝わりやすくなり、高評価につながるはずです。
看護師2年目が課題をクリアするために大切なこと
目標を設定したら、達成するために具体的な行動を起こすことが重要です。
- 先輩看護師に相談する
- 主任看護師や看護師長などの上司に相談する
- 部署内外の勉強会や研修に積極的に参加する
- 自己学習の習慣を身につける
- 同期や他部署の看護師との交流も大切にする
- プライベートとのバランスを意識して心身の健康を保つ
ここでは、看護師2年目が課題を乗り越えるうえで参考となる行動のヒントを解説します。
先輩看護師に相談する
先輩看護師は、看護師2年目が直面しやすい悩みや課題を経験しており、実践的なアドバイスや具体的な解決策を示してくれる心強い存在です。
とくに、次のような場面で相談してみるのが良いでしょう。
- 目標に対するアドバイスがほしいとき
- 進捗状況を共有し客観的な評価を得たいとき
- 自分の目標や行動計画を見直したいとき
定期的に相談してフィードバックを受けることで、目標達成への意欲を維持しやすくなります。ひとりで抱え込まず早めに相談する姿勢が、課題クリアへの近道です。
主任看護師や看護師長などの上司に相談する
直属の先輩だけでなく、主任看護師や看護師長といった管理職にも相談することが重要です。
管理職は部署の状況を把握しているため、現場全体の視点からのアドバイスを受けられます。
相談内容によっては、部署のサポート体制を見直すといった対応を検討してもらえるかもしれません。
自らの成長意欲を表明することは、信頼や評価の向上にもつながるため、積極的なコミュニケーションが重要です。
部署内外の勉強会や研修に積極的に参加する
座学だけでなく、実践的なスキルアップの機会を逃さないようにしましょう。
部署内でおこなわれる勉強会や院外の研修には、新しい知識や技術を学ぶチャンスが豊富にあります。
とくに、自分の課題に直結するテーマのような勉強会には積極的に参加することをおすすめします。
また、知識と技術の向上だけでなく、ほかの病院や部署の看護師と交流し、情報交換できる貴重な場です。
異なる視点や経験にふれることで、新たな気づきや課題解決に向けたヒントを得られる可能性があります。
自己学習の習慣を身につける
業務時間外の自己学習は、自分の課題をクリアでき、成長するために重要です。
書籍や専門誌はもちろん、最近ではオンライン上で学習できるシステムも豊富にあります。
- e-ラーニング
- 看護系のWebサイト
- 動画コンテンツ
日々の業務で経験したことや学んだことを振り返る時間も、自己学習のひとつです。できることと課題を言語化することで、学びが深まります。
同期や他部署の看護師との交流も大切にする
看護師2年目の同期や、異なる環境で働く他部署の看護師との交流はストレスマネジメントに効果的です。
2年目ならではの悩みや葛藤は、同期も同じように抱えていることが多く、悩みを共有・共感し合うことで、精神的な負担を軽減できます。
また、ほかの部署の業務内容や仕事の進め方について知ることで、視野が広がり多職種連携への理解も深まります。
ときには、仕事以外の話題でリフレッシュする時間も、心身の健康維持には欠かせません。こうした交流を通じて、気分転換を図りましょう。
プライベートとのバランスを意識して心身の健康を保つ
どれほどに意欲があっても、心身の健康が損なわれてしまっては、看護師として働き続けることは難しくなります。
次の視点でワークライフバランスを意識し、自分の心と身体を大切にしてください。
- 睡眠時間を確保して疲労をため込まない
- 仕事から離れて趣味や友人・家族と過ごす時間をつくる
- イライラする、眠れないなどのストレスサインに気づく
ストレスを強く感じたり、疲れがなかなか抜けなかったりするときは、職場の相談窓口やカウンセリングを利用して、体調について相談してみましょう。
また、訪問看護師への転職を検討してみてはいかがでしょうか。これまでとは異なる分野で働くことで業務や人間関係における悩みが解決できるかもしれません。
訪問看護専門の転職支援サイト「NsPaceCareer」(ナースペースキャリア)では、豊富な求人を取り揃えているため、希望や条件にピッタリあった職場を見つけられます。ぜひ、一度活用してみてください。
看護師2年目の課題についてよくある質問
看護師2年目の課題について、よくある質問にお答えします。自身の成長につながるような課題を設定する際の参考にしてください。
Q1:看護師2年目のラダーの目標は何ですか?
日本看護協会の「看護実践能力習熟段階」において、看護師2年目は多くの場合で「レベルI(標準的な実践を自立しておこなう)」に相当する目標が設定されます。
新人レベルとは異なり「主体的で積極的な行動」が求められます。
この指標をベースに各施設で独自のラダー目標が設定されていることもあるため、所属する病院のラダー表を確認してみましょう。
Q2:看護師2年目の目標管理シートはどのように書けば良いですか?
振り返りやすい目標管理シートを書くためには「SMARTの法則」を意識することが重要です。
法則 | 説明 |
S(Specific:具体的) | 何をどうするのか明確に書く |
M(Measurable:測定可能) | 達成度を測れる数値や頻度を盛り込む |
A(Achievable:達成可能) | 努力すれば達成できる現実的な目標を設定する |
R(Relevant:関連性がある) | 自分の役割や部署の目標に関連した内容を書く |
T(Time-bound:期限がある) | いつまでに達成するか具体的な期限を設ける |
この法則にそって具体的な行動目標や達成基準を設定すると、自身も上司も目標の進み具合を正確に把握しやすくなります。
Q3:看護師2年目の役割は何ですか?
看護師2年目は、新人を卒業し「自立した看護師」としての役割が求められます。
- 他職種とスムーズに連携する
- 後輩の指導や育成にかかわる姿勢をもつ
- 基本的な看護業務を一人で確実にこなす
- 患者さまの状態変化に気づき、適切に判断・対応する
成長段階として、実践力と責任感が問われる時期といえるでしょう。
看護師2年目の課題を把握しステップアップを目指しましょう
看護師2年目は、1年目の経験を土台にさらなる成長が求められる重要な時期であるため、看護技術だけでなく、判断力や対人関係スキルの向上といった複数の課題があります。
自分に合った目標を持って日々の実践に取り組むことで、着実な成長につながる可能性があります。
課題に正面から向き合い、それを具体的な行動に落とし込むことが、看護師としての自信と成長へとつながるでしょう。
<参考サイト・文献>

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