ICU看護師の役割7つ!スケジュールや年収、向いている人の特徴

公開日:2025/06/12 更新日:2025/06/12
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「毎日、バタバタの病棟勤務…でも、もっと専門性の高い看護がしたい」
「ICUに興味はあるけど、自分にできるのか不安で踏み出せない」

そんなモヤモヤを抱えていませんか?

ICU(集中治療室)は、生命の危機に直面する患者さまを24時間体制で支える、看護の最前線。
緊張感のある現場だからこそ、看護師としての成長スピードも圧倒的。
しかし、求められるスキルや適性も高く、「どんな働き方なのか」「自分に向いているのか」を事前に知ることが重要です。

この記事では、ICU看護師の役割・1日のスケジュール・平均年収・向いている人の特徴まで網羅的に解説。
「やってみたいけど不安」なあなたが、自信を持って一歩踏み出すためのヒントがきっと見つかります。

ICU看護師の7つの役割

ICU看護師の役割は、患者さまの生命を維持するための医療技術やケアの提供から、精神的なサポートまで広範囲におよびます。

  • 重症患者さまの観察と管理
  • 重症患者さまの日常生活援助とケア
  • 重症患者さまのリハビリテーションと呼吸訓練
  • 治療や検査のサポート
  • 医療機器の管理と操作
  • 多職種との連携や調整
  • ご家族へのケア

それぞれのICU看護師の役割を詳しく見ていきましょう。

重症患者さまの観察と管理

重症患者さまの状態を細かく観察し、適切に管理するのは、ICU看護師の重要な役割のひとつです。

ICUには術直後や病状が安定しない患者さまが入室しており、ちょっとした変化を見逃すことで、さらに状態が悪化する恐れがあるからです。

看護師はバイタルサインの変動や意識レベルの変化などモニターを見て24時間体制で注意深く観察します。これらの情報を医師に報告し、治療方針の決定や変更に貢献するのです。

患者さま一人ひとりの状態に合わせたきめ細やかな観察と、異常の早期発見が患者さまの予後を左右するといえます。

医療機器の管理と操作

ICUでは、生命維持に必要な多くの医療機器が使用されています。これらの医療機器を安全かつ適切に管理し、操作することもICU看護師の重要な役割です。たとえば、次のような医療機器です。

  • 人工呼吸器
  • 血液浄化装置
  • 輸液ポンプやシリンジポンプ
  • 心電図モニター

これらの機器が正常に作動しているか常に確認しなければなりません。アラームが鳴った際には、何らかの異常が起こっている可能性が高く、アラーム対応を間違えると患者さまの命にかかわることもあります。

そのため、高度な医療機器を使いこなす知識とスキルが求められます。

重症患者さまの日常生活援助とケア

重症患者さまの日常生活を援助し、質の高いケアを提供することも、ICU看護師の大切な役割です。

患者さまは病状や身体の状況から自分で身の回りのことができない状態にあるため、看護師があらゆるケアをおこないサポートします。

  • 清拭やおむつ交換
  • 体位変換による褥瘡予防
  • 食事のサポート、口腔ケア

これらのケアは、患者さまの安楽を保ち、合併症を防ぐうえで不可欠です。患者さまが快適に過ごせるよう支援します。

重症患者さまのリハビリテーションと呼吸訓練

重症患者さまの機能回復を促すリハビリテーションや呼吸訓練のサポートも、ICU看護師の役割です。

リハビリテーションは、患者さまのADL(日常生活動作)の維持・向上につながり、回復を促します。一方で、患者さまの周りには多くの点滴やドレーン、医療機器があるため、慎重に進めなければ、重大な事故につながるリスクがあります。

そのため、理学療法士や作業療法士と連携して、医師の指示や患者さまの状況を確認しながら、リハビリテーションを進めることが大切です。

治療や検査のサポート

医師が治療や検査を円滑に進めるためのサポートも、ICU看護師の役割です。

創部の処置や胸腔ドレーンの挿入など、さまざまな処置がスムーズにおこなわれるように準備や介助をおこないます。

また、血液検査やレントゲン検査、細菌培養の検査もおこないます。CTやMRIなど患者さまを別室に移しておこなう検査の場合は、一時的に人工呼吸器を外してアンビューバッグを使用したり、移動用モニターに切り替えたりしなければなりません。

そのため、患者さまの安全に細心の注意を払いながら、検査室への移動や準備をおこなうことが重要です。

多職種との連携や調整

患者さまにとって最善の医療を提供するために、多職種との連携や調整をおこなうのもICU看護師の役割です。

医師や理学療法士、作業療法士のほかに栄養士や薬剤師、ソーシャルワーカーなど多くの専門職と情報を共有し、協力して患者さまのケアを進めます。

カンファレンスを通じて、それぞれの専門的な視点から意見を出し合い、より質の高い医療の提供を目指します。

ご家族へのケア

重症患者さまのご家族の精神的なサポートも、ICU看護師の重要な役割です。

患者さまの容態の不安や心配を抱えるご家族に、説明や心のケアをおこないます。患者さまの状態をわかりやすく伝え、ご家族の疑問や不安に寄り添います。

また、患者さまやご家族の意思決定をサポートできるように思いを聞き取り、ケアに反映できるようにすることもICU看護師の仕事です。

ICU看護師の1日のスケジュール

ICU看護師の1日のスケジュールは、勤務体制によって異なります。ここでは、一般的な日勤と夜勤のスケジュールを紹介します。

日勤のスケジュール

日勤帯は、患者さまのケアや治療が中心となる時間帯です。状態が安定した患者さまが病棟へ移ったり、手術後の患者さまが入室したりなど患者さまの入れ替わりも、おもに日勤帯でおこなわれます。ポイントは、2時間おきに体位変換と病状の観察をおこなうことです。

ただし、体位交換は患者さまの病状によっては、頻度を増やしたり減らしたりすることもあります。

時間帯業務内容
8:00出勤・情報収集
8:30夜勤者からの申し送り・朝礼
9:00患者さまのラウンドと状態観察・点滴準備・記録・ケア(清拭・病衣交換など)・転棟の準備
10:00医師の回診準備・診療介助
12:00昼食の配膳・食事介助・投薬
12:30交代で休憩
14:00患者さまのラウンドと状態観察・記録
15:00カンファレンス
16:00夜勤者へ申し送り
17:00退勤

これはあくまで一例です。患者さまの状態や業務内容によって、スケジュールは変動します。

夜勤のスケジュール

夜勤のスケジュールは二交代制、三交代制にわかれます。夜勤帯でも、日勤帯と同じように2時間おきに体位変換と病状観察をおこないます。
(日勤同様、体位交換は患者さまの病状によっては、頻度を増やしたり減らしたりすることもあります。)

時間帯業務内容
16:00出勤、情報収集
16:30日勤者からの申し送り
17:00患者さまのラウンド・状態観察
18:00夕食の配膳・食事介助・投薬
19:00交代で休憩
21:00睡眠薬投与・消灯の準備
22:00消灯・交代で仮眠休憩
0:00ラウンド・尿やドレーンの廃液の廃棄
 定期的に巡回・状態の観察・ケア
7:00レントゲン検査のサポート
8:00朝食の配膳・食事介助・投薬
8:30日勤者へ申し送り
9:00退勤

夜勤でも、日勤と同じスタッフの人数で患者さまのラウンドやケアをおこないます。夜間でも、救急搬送された患者さまや院内で急変した患者さまの受け入れなどに対応する場合があります。

ICU看護師の年収

ICU看護師の平均年収は約520万円前後になります。

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、一般の看護師の平均年収は519万7,000円であり、ICU看護師はこれに加えて特殊勤務手当が支給されるケースがあります。

ICU看護師の年収について、より詳しい情報は下記の記事をご覧ください。

関連記事:ICU看護師の年収は約520万円!病棟より高い理由3つや向いている人を解説 

ICU看護師になるメリットとやりがい

ICU看護師として働くことには、多くのメリットとやりがいがあります。

  • 幅広い症例からスキルアップできる
  • 急変時にスムーズに動けるようになる
  • 医療機器の操作や管理に強くなる
  • 患者さまが回復していく過程を見守れる
  • 多種多様な職種とコミュニケーションを図れる

それぞれのメリットややりがいを見ていきましょう。

幅広い症例からスキルアップできる

ICUでは、さまざまな疾患や状態の重症患者さまを受け入れるため、幅広い症例を経験し、高度な知識やスキルを習得する機会に恵まれています。

実際に、ICUでは心臓血管外科や脳神経外科のほかに、血液内科や消化器内科などあらゆる診療科の重症患者さまが入室していることがあります。

学ぶ意欲が高い看護師にとっては、成長を実感しやすい環境といえるでしょう。

急変時にスムーズに動けるようになる

重症患者さまの状態は常に変化するリスクがあり、ときには急変することもあります。

そのような状況に何度も立ち会うことで、冷静に対応する能力が身につきます。緊急時において、的確な判断と行動ができるようになるのは、ICU看護師として働くメリットです。

医療機器の操作や管理に強くなる

ICUでは、人工呼吸器や血液浄化装置など、高度な医療機器を使用します。

これらの機器の操作や管理は、一般病棟で扱うことはないでしょう。ICUで日常的に管理することで、専門的なスキルが自然と身につきます。

患者さまが回復していく過程を見守れる

重症患者さまが、治療やケアによって徐々に回復していく過程を間近で見守れるのは、ICU看護師にとって大きなやりがいです。

「助かってよかった」「元気になって退院できて嬉しい」という患者さまやご家族の言葉は、何にも代えがたい喜びになるでしょう。

多種多様な職種とコミュニケーションを図れる

ICUでは、医師や理学療法士、放射線技師、薬剤師など多くの専門職と協力して患者さまをケアします。

それぞれの専門知識を共有することで、より質の高い医療を提供できます。多様な職種とのコミュニケーションを通じて、自身の視野も広がることはメリットといえます。

ICU看護師にデメリットとつらさ

ICU看護師の仕事は、やりがいがある一方で、いくつかのデメリットやつらさもともないます。

  • 患者さまの死に立ち会う機会が多い
  • 患者さまの情報収集が大変である
  • 患者さまの生死にかかわるというプレッシャーが強くてつらい
  • 夜勤や残業が多く体力的にきつい

ICU看護師を目指している方は、メリットだけではなくデメリットも検討したうえで、異動や転職を検討してください。

患者さまの死に立ち会う機会が多い

ICUは、生命の危機に瀕した患者さまが入室している場所です。

そのため、患者さまの死に立ち会う機会も少なくありません。患者さまやご家族の悲しみに寄り添うことで精神的な負担となる場合があります。

患者さまの情報収集が大変である

重症患者さまは、さまざまな医療機器に囲まれて治療を受けているため、把握すべき情報量が多くなる傾向です。

あらゆる診療科の患者さまの状態を正しく理解するためには、多岐にわたる情報を整理し、アセスメントする能力が求められます。その分、研修に参加したり、自己学習したりしなければなりません。

患者さまの生死にかかわるというプレッシャーが強くてつらい

ICUでは、患者さまの生命を預かるという重い責任があります。

わずかな判断ミスや投薬の間違いが患者さまの命にかかわるリスクがあるため、一般病棟と比べると、プレッシャーを感じやすくなります。

このプレッシャーは精神的な負担であり、つらさを感じる看護師もいるでしょう。

夜勤や残業が多く体力的にきつい

ICUは24時間体制で患者さまをケアする必要があるため、夜勤は避けられません。また、その回数は一般病棟よりも多くなりがちです。

また、患者さまの状態や緊急入院の受け入れによっては、予定外の残業が発生することもあります。体力的な負担が大きく、大変さを感じるかもしれません。

現在の職場での勤務がつらいと感じる方は、訪問看護師として働くことを視野に入れてみてはいかがでしょうか。訪問看護師は、利用者さまとじっくり向き合え、日中の勤務が基本であるためワークライフバランスが維持しやすいです。「NsPaceCareer」で、自分に合った働き方を見つけてみてください。

ICU看護師に向いている人の特徴

ICU看護師には、特定の能力や特性を持つ人が向いています。

  • 観察力がありアセスメントができる人
  • 非常時でも迅速かつ冷静に対応できる人
  • 勉強熱心で成長意欲の高い人
  • チームワークを大切にして協力できる人
  • 誰かを支えたい、想いの強い人
  • ストレス耐性がある人

詳しくは関連記事で解説しています。ICU看護師になりたいと考えている看護師は、ぜひご覧ください。

関連記事:ICU看護師とは?向いている人の特徴や仕事内容・平均年収を解説

ICU看護師の役割を果たすための資格

日本集中治療医学会「集中治療室における安全管理指針」では、重症患者さまをケアするために次の資格取得を推奨しています。

  • 急性・重症患者看護専門看護師
  • クリティカルケア認定看護師

ICU看護師になって、より専門的な知識やスキルを深めたいと考える方は、次の資格取得を検討することもおすすめです

急性・重症患者看護専門看護師

急性・重症患者看護専門看護師は、複雑で重篤な状態にある患者さまに対し、質の高い看護を提供します。高度な知識と技術や倫理的視点を持ち、患者さまやご家族にとって最善のケアを実践します。

クリティカルケア認定看護師

クリティカルケア認定看護師は、集中治療を必要とする患者さまに対し、熟練した看護技術と知識を用いて、質の高いケアを提供します。患者さまの変化を予測し、合併症を予防しながら、早期回復を支援します。

ICU看護師の役割に関するQ&A

ここでは、ICU看護師の役割についての質問やその回答を紹介します。

Q1:ICU看護師は新卒でもなれますか?

ICU看護師として新卒で働くことは可能です。

しかし、多くの病院では、ある程度の臨床経験がある看護師をICUに配属する傾向があります。なぜなら、ICUでは重症度の高い患者さまをケアするため、一定の臨床経験と判断力が必要とされるからです。

たとえば、ICU看護師の配置基準を経験年数3年以上としているところもあります。

もし新卒でICUを目指すのであれば、新卒看護師へのフォロー体制が充実しているところを選んだり、病院見学やインターンシップでICUの雰囲気を知ったりすることが大切です。

Q2:ICU看護師で優秀な人の特徴は何ですか?

ICU看護師として優秀な人には、いくつか共通する特徴があります。

  • 注意深く観察しわずかな変化も見逃さない観察力
  • 急変時にも冷静かつ迅速に対応できる判断力
  • 常に新しい知識や技術を学び続ける向上心
  • 多職種と円滑に連携できるコミュニケーション能力

何よりも患者さまやご家族に寄り添う温かい心を持っている人が、周囲からも信頼される優秀なICU看護師といえるでしょう。

まとめ:ICU看護師の役割を知って自分に合った職場を探そう

ICU看護師は、重症患者さまに高度な知識と技術をもってケアを提供する専門性の高い仕事です。

その役割は多岐にわたり、患者さまの生命を支える重要な存在といえるでしょう。

ICU看護師の仕事は大変な面もありますが、患者さまの回復を間近で見守れるといったやりがいを感じられる仕事でもあります。

もしあなたがICU看護師の仕事に興味を持ったなら、ぜひ今回の情報を参考に自分に合った職場を探してみてください。

<参考サイト・文献>

令和6年賃金構造基本統計調査|厚生労働省 

集中治療室における安全管理指針|日本集中治療医学会

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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