看護師1年目はつらい?辞めたい理由や7つの乗り越え方を詳しく紹介

公開日:2025/02/19 更新日:2025/02/19
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「看護師として頑張りたいけど、もう無理かも…」

憧れの看護師として働き始めたものの、看護師1年目は、理想と現実のギャップに戸惑い、つらい気持ちを抱えやすい時期です。

この記事では、看護師1年目の方が直面する現状や辞めたいと感じる理由、それを乗り越えるための具体的な方法を紹介します。看護師1年目の方の心が軽くなり、少しでも前向きな気持ちになれるよう、役立つ情報をお届けします。

看護師1年目の現状

看護師1年目の方を取り巻く現状は、決して楽なものではありません。

慣れない環境での業務、人間関係の悩み、知識やスキル不足からくる不安など、さまざまなストレスを抱えながら日々働いています。

ここでは、看護師1年目の方の現状を具体的に見ていきましょう。

看護師1年目の離職率は10.2%

日本看護協会の「2023年病院看護実態調査」の結果によると、2022年度の看護師1年目の離職率は10.2%(対前年比010減)でした。

正規雇用の看護職員の離職率が11.8%(対前年比0.2ポイント増)であり、この数値と比べると新人看護師の方の離職率は低いです。

ただし、看護師養成所に通い国家試験に合格して看護師になった経緯を考えると、10人に1人が1年以内に職場を離れるという現状は、決して少ない数字とはいえないでしょう。

多くの看護師1年目の方が、悩みを抱えながら、苦労していることがわかります。

看護師1年目の給料事情

日本看護協会「2023年病院看護実態調査 報告書」によると、看護師1年目の給料は次のとおりです。

養成課程平均基本給平均給与総額
高卒+3年課程新卒20万4,950円26万6,558 円
大卒21万963円27万4,752 円
参考:2023年病院看護実態調査 報告書|日本看護協会(2023年度実績)

夜勤手当や残業手当などを含めても、手取り額は21~22万円前後という方が多いようです。

看護師1年目の方のボーナスは、一般企業と同じように夏と冬に支給されるのが一般的です。1年目の夏のボーナスは、入職してからの期間が短く、評価する期間も短いため満額支給されない場合があります。病院や施設によっては5万円程度、もしくは支給されないところもあります。

また、経験年数や勤務先によって給料に差があることも、1年目看護師の悩みのひとつです。

看護師1年目のスケジュール

看護師1年目は、看護師養成所で学んできたとはいえ、覚えることが多く、毎日が勉強の連続です。ここでは、1年間のスケジュールの一例を紹介します。

業務内容
4月入職、新人研修、部署紹介
5月~7月OJT開始、先輩看護師の指導のもとで業務
8月~9月患者さま受け持ち開始、指導を受けて難易度の高いスキルを身につける
10月~11月夜勤開始、ひとり立ちに向けて徐々に業務の幅を広げる
12月~1月夜勤ひとり立ち
2月~3月1年間の振り返り、2年目に向けて目標を設定

上記はあくまで一例であり、病院や施設によってスケジュールは異なります。

新人研修の内容や期間、OJTの進め方、夜勤開始時期などは勤務先によって大きく変わります。看護師1年目の方が技術をどのくらい獲得しているのか、精神面は安定しているのかなど状況を見ながら進められます。

看護師1年目が辞めたい理由

看護師1年目の方が辞めたいと感じる理由は、人それぞれです

  • 知識やスキル不足を実感する
  • 職場での人間関係に悩む
  • 周りの看護師1年目と比べてしまう
  • 理想とするケアができない
  • 看護業務でミスしないか不安がある
  • 夜勤の負担が大きい

ここでは、よくある理由を具体的に見ていきましょう。

知識やスキル不足を実感する

看護学生時代に教科書で学んだ知識やスキルが、実際の現場で通用しないもどかしさを感じる方もいます。

経験豊富な先輩看護師の方との差に圧倒され、自信をなくしてしまうこともあります。

とくに、1年目の時期は先輩看護師の方から指導される場面が多くあります。先輩看護師の方によっては注意したり、怒ったりすることがあり、新人看護師は看護師を辞めたいと感じてしまいやすいです。

職場での人間関係に悩む

看護師の方の人間関係は、複雑で難しいものです。

先輩看護師の方からの指導が厳しかったり、患者さまとのコミュニケーションがうまくいかなかったりすることもあります。また、職場の雰囲気が悪かったり、派閥があったりする場合もあります。

職場での人間関係に悩み「何で看護師になったのだろうか?」と悩む方も少なくありません。

周りの看護師1年目と比べてしまう

同期入社の看護師の方や同じ時期に看護師になった方と比べてしまい、焦りや不安を感じる看護師1年目の方もいます。

とくに、同じ病棟に配属された看護師1年目の方は知識やスキルが明らかになるため、自分が成長していないと感じ落ち込んでしまうこともあるでしょう。

理想とするケアができない

患者さまに寄り添いたくても、検査の時間が決まっていたり、ナースコール対応に追われたりして、理想のケアができないと感じる看護師1年目の方もいるでしょう。

たとえば、患者さまとじっくり話をしたいと思っていても、話の途中でリハビリテーション室やレントゲン室から呼ばれることがあります。また、患者さまが急変したり、緊急入院が入ったりときは、ほかの患者さまの清潔ケアをする時間が取れないこともあります。

患者さま一人ひとりに十分な時間を割けず、もどかしさを感じことが看護師1年目の方が退職を考えるきっかけのひとつです。

看護業務でミスしないか不安がある

看護業務は、常に命にかかわる責任を伴います。

とくに、点滴を投与する場面では、点滴の量や種類、投与する患者さまを間違えると、最悪の場合、死に至る恐れがあります。ほかにも、リハビリテーション中に頭を強く打ったり、トイレ介助中に転んだりして、ケガするかもしれません。

そのため「仕事でミスをしてはいけない」という不安を感じやすくなります。現場での経験が浅い看護師1年目の方にとって、このプレッシャーは大きいものです。

夜勤の負担が大きい

夜勤は、身体的にきついだけでなく、生活リズムが乱れる原因にもなります。

不眠や体調不良などに悩まされ、夜勤明けはぐったりしてしまうという看護師1年目の方もいるでしょう。

また、夜勤明けの時間を有効活用できず、自己学習や休息が十分に取れないという悩みもあります。

看護師1年目で辞めたいときの7つの乗り越え方

看護師1年目でつらくなり、辞めたいと感じたとき、そのまま退職するのではなく1度立ち止まって考えてみることが大切です。具体的には、次の7つを実践してみてください。

  • 自己分析をする
  • 頼りになる上司や先輩看護師に相談する
  • 研修や学会に参加して学ぶ
  • 割り切って考える
  • メンタルサポートを受けてみる
  • 一時的に休職する
  • 転職して職場を変える

身体や心の不調があったり、パワハラを受けていたりする場合は、早期退職が必要です。ただし、そのような状況ではなければ、この方法を試してみてください。

自己分析をする

まずは、なぜ自分が看護師になりたいのか、どんなケアがしたいのかなどを思い出してみましょう。

自己分析では、過去の自分と向き合い、看護学生時代の気持ちや実習での経験、尊敬する看護師像などを書き出すことから始めます。「患者さんが元気に退院していく姿がみたい」「がん患者さまの緩和ケアに携わりたい」など、自分の価値観や看護師として達成した目標が見えてくるでしょう。

自己分析することで、看護師として進むべき道が明らかになります。

頼りになる上司や先輩看護師に相談する

看護師1年目で辞めたくなったときは、1人で悩まずに上司や先輩看護師に相談することが大切です。

「こんなことで相談しても良いのだろうか」「先輩たちは忙しそうだから迷惑かもしれない」などと思うかもしれません。ただし、悩みを抱え込んだままでは、心身ともに疲弊してしまいます。

経験豊富な先輩たちも同じような思いをしてきているため、相談すると親身になって話を聞いてくれたり、具体的なアドバイスや解決方法を教えてくれたりします。

研修や学会に参加して学ぶ

知識やスキル不足を感じて看護師を辞めたくなったときは、研修や学会に積極的に参加しましょう。

その理由は、日々の業務に役立つだけではなく「うまくケアできた」「患者さまの状態が良くなった」など自信を取り戻し、モチベーションの向上につながるからです。

また、研修や学会では、同じ悩みを持つ仲間と出会えることもあります。ほかの病院の看護師や先輩看護師と交流することで、新たな視点や気づきが得られるかもしれません。

割り切って考える

看護師1年目で辞めたくなったときは「今は経験を積む時期」と割り切って考えることも大切です。

理想の看護師像を思い描いて入職したものの、現実とのギャップに苦しむ方は少なくありません。具体的には、患者さまに寄り添ったケアをしたいと考えていたものの、業務に追われて話を聞けず「こんなはずじゃなかった」と悩むこともあるでしょう。

しかし、このギャップは誰しもが経験する道です。先輩看護師に教えてもらいながら、少しずつできることを増やしていきましょう。

メンタルサポートを受けてみる

精神的につらい状況が続くようであれば、専門家のサポートを受けましょう。カウンセリングを受けることのメリットは、次のとおりです。

  • 自分の考え方のクセや長所に気づける
  • 問題点が整理できて気持ちが楽になる
  • 解決の糸口が見つかって気分がスッキリする
  • 自分の考え方を今の状況に合わせられる

職場の産業医やカウンセラー、心療内科や精神科の専門医などに相談すると良いでしょう。

一時的に休職する

心身ともに疲れてしまったら、無理せず一時的に休職することも選択肢のひとつです。

というのも、心身が健康でなければ正常な判断ができず、感情的に判断することで後悔する可能性があるからです。休職期間中に、本当に看護師を続けたいのか、別の道を進みたいのか、冷静に考えられます。

職場によって休職中の給与の支払いや社会保険の取り扱いなどが異なるため、まずは上司や人事課のスタッフに相談してみてください。

転職して職場を変える

どうしても今の職場に馴染めない場合は、転職を考えるのも良いでしょう。

自分に合った職場を転職して見つけることで、看護師としてのキャリアを長く続けられる可能性があるからです。転職を考える際には、次のポイントを明らかにすることが重要です。

  • 職場の雰囲気
  • 教育体制・フォロー体制
  • 人間関係
  • 給与・福利厚生

転職エージェントに相談もできます。転職エージェントは、あなたの希望や条件に合った求人を紹介してくれます。ひとりで悩まず、専門家の力を借りるのも一手です。

看護師1年目が転職するときのコツ

看護師1年目での転職は、珍しいことではないものの、希望によっては転職が難しくなる恐れがあります。「前の職場と同じようにすぐに辞めるのでは?」「すぐ辞めるってことは何か問題があるの?」など、採用担当者が感じるかもしれないからです。

しかし、次の転職のコツを押さえられると、理想の職場で働くことができるでしょう。

  • 退職する前に転職活動を始める
  • 「新卒歓迎」「第二新卒OK」という求人を選ぶ
  • 求人サイトや転職サイトを活用する

これらのコツを参考にして、自分に合った職場を見つけてください。

退職する前に転職活動を始める

在職中に転職活動を始めることで、じっくりと求人を探せます。

退職して転職活動を始めると、収入が途絶えてしまい、焦って転職先を決めてしまうリスクがあります。在職中に転職活動することで、じっくりと求人を探し、自分に合った職場を選べるでしょう。

また、転職先が決まってから退職することで、空白期間を作らずに済みます。有給休暇を利用して、転職活動をおこなうのがおすすめです。

関連記事:新人看護師でも転職できる?1年目看護師の主な転職先や転職理由とは

「新卒歓迎」「第二新卒OK」という求人を選ぶ

「新卒歓迎」「第二新卒OK」という求人は、看護師1年目の方にとって安心して働ける選択肢です。

経験の浅い看護師でも採用しているところであり、教育体制やサポート体制が整っている可能性が高いからです。たとえば、十分なスキルがある看護師の方が指導を担当したり、研修制度やOJT(職場内研修)が充実していたりします。

これらの求人を選ぶことで、看護師として自信をつけながら働けるでしょう。

関連記事:新卒訪問看護師に聞いてみました! vol.1 新人看護師が感じていること 

求人サイトや転職サイトを活用する

インターネット上の求人サイトや転職サイトは、多くの求人情報を掲載しています。

効率的に求人を探すためには、複数のサイトに登録し、比較検討することがおすすめです。

また、求人サイトや転職サイトを活用すると、非公開求人を紹介してもらったり、履歴書や面接対策などのサポートを受けたりできます。

看護師1年目は辞めたいと感じやすい時期!転職は慎重に検討しよう

看護師1年目は、誰しもが辞めたいと感じやすい時期です。

しかし、すぐに退職を決めるのではなく、まずはこの記事で紹介した方法を試してみませんか。それでもつらい状況が続くようであれば、休職したり、転職したりすることも視野に入れて考えることが大事です。

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<参考サイト・文献>

「2022 年 病院看護実態調査」 結果|日本看護協会

2023年病院看護実態調査 報告書|日本看護協会

こころもメンテしよう|厚生労働省

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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