看護管理者の役割とは?求められる能力6つや課題、やりがいを解説

公開日:2025/02/10 更新日:2025/02/10
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看護師の方のなかには、経験年数が10年を超え中堅となり「そろそろ管理職として働きたい」と考えている方もいるでしょう。

看護管理者は、病院経営や訪問看護ステーション運営などに貢献できるやりがいのある仕事です。また、看護師の方をまとめ、患者さまが安心して治療を受けられる環境を整えるという大切な役割を担っています。

この記事では、看護管理者の役割や、なるために必要なこと、やりがいなどをわかりやすく解説します。マネジメント業務に興味がある看護師の方は、ぜひ参考にしてください。

看護管理者の役割は組織を円滑に動かすマネジメント

看護管理者の役割は、一言でいうと「組織のマネジメント」です。

病院や施設という組織のなかで、看護師の方がそれぞれの能力を最大限に発揮し、患者さまに質の高いケアを提供できるようにサポートします。

そのためには、次のような業務をおこなわなければなりません。

  • 看護師の教育や指導
  • 業務の効率化
  • 多職種との連携

看護管理者は組織を円滑に動かすことで、患者さまの安心・安全な治療を支える、とても重要な仕事です。

看護管理者の具体的な役割

看護師の管理職には、おもに看護主任・看護師長・看護部長の3つの役職があります。これらに加えて、訪問看護ステーションで管理者としての役割を担う場合があります。

病院や施設によっては、看護管理者の呼び方が異なることもありますが、仕事上の役割や立場は基本的に同じです。

  • 看護主任の役割
  • 看護師長の役割
  • 看護部長の役割
  • 訪問看護管理者の役割

それぞれの役割を詳しくみていきましょう。

看護主任の役割

看護主任の方は、看護チームのリーダーとして、現場の看護師の方をまとめ、指導する役割を担います。いわゆる中間管理職を指します。現場の看護師の方と看護師長のパイプ役として、次のような仕事をおこないます。

  • 業務のサポート
  • 新人看護師の教育
  • 看護師長への報告

看護主任の方は、現場の看護師の方にとって、頼りになる存在です。

看護師長の役割

看護師長の方の役割は、病棟や外来などの看護部門の責任者として、看護師の方のマネジメントをおこなうことです。具体的には、次のような役割があります。

  • 看護師のシフト管理
  • 教育計画の作成
  • 患者さまの受け入れ調整

また、病院全体の看護体制の改善や多職種との連携も重要な役割です。看護師長の役割をさらに深く知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。

関連記事:看護師長の役割と求められる資質は?身につけ方やめざす方法について解説

看護部長の役割

看護部長の方には、病院全体の看護部門の責任者として、また、病院の経営を担うひとりとして次のような役割があります。

  • 看護師の採用と育成
  • 看護体制の構築
  • 看護部門の予算管理
  • 地域社会や住民との連携

看護部長の方は、病院全体のケアの質を向上させるために重要な役割を担っています。看護部長のリーダーシップによって、病院の看護の質は大きく左右されるといえるでしょう。

関連記事:看護部長は年収1,000万円超えも?訪問看護ステーション転職で役立つ経験を解説

訪問看護の管理者の役割

訪問看護の管理者には、訪問看護ステーションの責任者として、次の役割が求められます。

  • 訪問看護師の採用と教育
  • 訪問看護師のスケジュール調整
  • 訪問看護ステーションの運営
  • 地域の医療機関や介護事業所などとの連携

訪問看護の管理者は、利用者さまが安心して在宅療療養できるように、多岐にわたる業務をおこないます。

関連記事:【完全版】訪問看護の管理者の役割とは?管理者になるための4つの条件解説 

看護師が管理者になるには

看護師の方が管理者になるには、いくつかのステップを踏む必要があります。具体的には、次のとおりです。

管理職になるためのステップポイント
看護師としての経験を積む・現場で知識やスキルを習得
・管理者になるには一定の経験年数が必要
上司からの推薦・上司が仕事ぶりや能力を評価
・管理者としての適性があると判断した場合に推薦
院内の認定試験に合格管理者になるための認定試験を実施
面談に合格看護部長や院長との面談で適性を判断

管理者になるためには、看護師としての経験だけでなく、マネジメント能力やリーダーシップが必要になります。これらの能力を身につけるためには、日々の業務で意識して行動したり、研修や勉強会などに参加したりすることが大切です。

看護管理者の役割を果たすために求められる能力

看護管理者としての役割を果たすためには、日本看護協会が定めている6つの能力が不可欠です。

  • 組織管理能力
  • 質管理能力
  • 人材育成能力
  • 危機管理能力
  • 政策立案能力
  • 創造する能力

それぞれの能力がどのように管理にかかわるのか、みていきましょう。

組織管理能力

看護師の方をまとめ、組織全体をスムーズに運営する能力は、看護管理者にとって欠かせません。具体的には、次の業務をおこなう必要があります。

  • 看護チームの目標設定
  • 業務分担
  • スケジュール管理
  • 情報共有

これらの業務を効率的に遂行すると、看護チームの生産性が向上します。

また、看護師の方のモチベーションを高め、チームワークを促進するためにはリーダーシップを発揮し、メンバーとの信頼関係を築くことが大切です。

組織管理能力は、看護管理者の重要な能力のひとつであり、患者さまへの質の高いケアを提供するために重要です。

質管理能力

患者さまに満足度の高いケアを提供するための体制を構築し、維持する能力も、看護管理者にとって必要です。たとえば、次の業務を管理することが求められます。

  • 看護手順の標準化
  • 看護記録の適切な管理
  • 患者さま満足度調査
  • 医療安全管理

常に最新の医療知識やスキルを習得し、看護の質の向上に努めることが看護管理者に欠かせません。研修や学会に参加したり、認定看護管理者といった新たな資格を取得したりなど自己成長を続けることが大切です。

人材育成能力

看護師の方の能力を高め、育成したり、働き続けられるようにサポートしたりする能力も、看護管理者に必要な能力です。

看護管理者は、看護師一人ひとりの個性や能力を理解し、それぞれの成長をサポートする必要があります。具体的には、次のような業務をおこない看護師の方を援助します。

  • 新人看護師の教育
  • キャリアアップ支援
  • 人事評価
  • メンタルヘルスケア

看護師の方とじっくり向き合い、成長をサポートしていく姿勢が大事です。

危機管理能力

緊急時や災害時など、予期せぬ事態にも冷静に対応し、被害を最小限に抑えるために次のような危機管理能力が求められます。

  • 緊急時の対応手順の作成
  • 災害時の避難誘導
  • 感染症発生時の対応
  • 医療事故発生時の対応

看護管理者は患者さまや看護師の方の安全を守るために、さまざまなリスクに対応できる能力を身につけておかなければなりません。

そのため、平時からの備えと、危機が発生したときの適切な対応が重要です。

政策立案能力

看護管理者の役割は、看護業務を管理するだけでなく、病院や施設の目標達成に向けた計画を立て実行することです。具体的には、次のような業務が含まれます。

  • 看護部門の目標設定
  • 予算の編成・管理
  • 人員配置の計画や
  • 新しい医療機器の導入

看護管理者には、病院経営についての計画を立案し、実行する責任があるため、高い政策立案能力が不可欠です。

この能力を磨き、病院全体の目標達成に貢献できるような看護体制を整えることが、看護管理者の大事な役割といえます。

創造する能力

看護管理者には、既存の枠にとらわれず、新しい発想でより良いケアを提供するための体制を作る能力が求められます。

看護現場は常に変化しており、患者さんのニーズも多様化しているからです。現状に満足せず、常に改善策を模索することが大事です。

具体的には、次のような業務をおこなわなければなりません。

  • 患者さまのニーズに応じた看護サービスの開発
  • 業務効率化を進めるためのシステム導入やDX化
  • 多職種連携の強化

在宅医療のニーズが高まっている地域であれば、訪問看護ステーションと連携した在宅看護サービスを提供したり、慢性的な病気のある患者さまの増加に対応するために、患者教育プログラムを開発したりすることが考えられます。

また、看護師の方の業務負担を軽減し、患者さまと向き合う時間を増やすためには、ITシステムや新しい医療機器などを導入し、業務の効率化を図らなければなりません。

さらに、患者さまの状態は、あらゆる専門職の視点から評価する必要があります。そのため、医師や薬剤師、リハビリテーションスタッフなど、チーム医療を推進することで、患者さまにとってより適切な医療を提供できるでしょう。

これらの能力をバランス良く身につけ、患者さまや看護師の方にとって、より良い環境作りに貢献することが、看護管理者の使命です。

看護管理者のやりがい

看護管理者の仕事は大変ですが、その分やりがいも大きいのが特徴です。

実際に、患者さまやご家族から感謝の言葉をもらったり、看護師の方の成長を間近で見たりできたときには、やりがいを深く感じられるでしょう。

看護管理者として活躍したい人のよくある質問

ここでは、看護管理者と活躍したい人のよくある質問に回答します。

Q1:看護管理者にはどのような課題がありますか?

看護管理者のおもな課題には、次のようなことが挙げられます。

  • 看護管理者のなり手の不足
  • 業務負担の増加
  • 医療費削減と看護の質の両立

これらの課題を解決するために、看護管理者は常に新しい情報やスキルを学び続けて対応しなければなりません。

Q2:認定看護管理者ってどういう資格ですか?

認定看護管理者とは、日本看護協会が認定する資格であり、認定看護管理者の教育課程を修了し認定審査に合格した方に資格が与えられます。具体的な教育課程の種類とその時間数は次のとおりです。

教育課程の種類時間数
ファーストレベル105時間
セカンドレベル180時間
サードレベル180時間
参考:認定看護管理者|日本看護協会

さまざまなヘルスケアニーズがある方に対して質の高い看護サービスを提供することを目指している資格です。

教育課程を修了するまでに時間がかかるものの、この資格を取得することで、専門的な知識やスキルを身につけ、看護管理の分野でリーダーシップを発揮できるでしょう。

Q3:看護管理者にはどういう人が向いていますか?

看護管理者には、次のような特徴はある方が向いています。

  • リーダーシップがある
  • コミュニケーション能力が高い
  • 責任感がある
  • 常に向上心を持っている

また、患者さまや看護師の方に対して、思いやりを持って接することができる人も適しています

看護管理者の役割は組織をマネジメントすること

看護管理者の役割は、組織をマネジメントすることです。

看護部門をスムーズに動かすことで、患者さまが安心して治療を受けられる環境を整えられます。大変な仕事ではありますが、その分やりがいも大きく、看護の現場を支えるうえで重要な役割を担っています。

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<参考サイト・文献>

認定看護管理者|日本看護協会

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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