訪問看護ステーションとは?役割やできること・できないことを解説

公開日:2024/12/06 更新日:2024/12/06
記事サムネイル画像

「訪問看護ステーションの役割って何?」「訪問看護ステーションでできることを知りたい」

近年、少子高齢化に伴い「在宅医療」の需要が増加し、訪問看護ステーションの数も増えています。

また、厚生労働省の「第8次医療計画における在宅医療の体制設備について」のなかで、訪問看護の需要の増加に触れ「地域包括ケアシステムの構築」を掲げています。

この記事では、訪問看護ステーションの役割やどんなことができるのか、逆にどんなことができないのかなどを解説します。

訪問看護ステーションとは

訪問看護ステーションとは、医師の指示書をもとに「訪問看護」を提供する事業所です。働く人は、看護師や理学療法士、作業療法士などで構成されています。ここでは、次のポイントを紹介します。

  • 訪問看護ステーションの役割
  • 訪問看護ステーションで働く職種と人員配置

訪問看護ステーションの利用に年齢制限はなく、必要な人であれば誰でも利用可能ですが、対応できる医療的ケアや訪問体制は事業所によって違いがあります。

訪問看護ステーションの役割

訪問看護ステーションの役割は多岐にわたりますが、大きく分けて3つです。

  • 療養支援と治療の継続
  • 利用者さまおよびご家族のサポート
  • 地域の医療機関や介護・福祉サービスとの橋渡し

医師の指示書をもとに利用者さまのご自宅を訪問し、療養上の世話や必要な診療の補助、看護を提供します。そのほかにも、利用者さまやご家族の悩みや困りごとを聴取し、必要な地域の医療機関や介護・福祉サービスとつなぐ役割を担っています。

具体的には、その人に合ったケア方法の助言や入退院(入所・退所)についてのご相談、必要に応じた在宅ケアサービスの紹介、関連機関との連携など、利用者さまのご希望に沿った療養生活を叶えるためのさまざまな支援や調整をおこないます。

訪問看護ステーションで働く職種と人員配置

訪問看護ステーションでは看護師または准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの職種が働いています。人員配置は以下のとおりです。

基準項目指定訪問看護ステーション病院または診療所である指定訪問看護事業所*
員数・ 看護職員が常勤換算で2.5以上(1名は常勤) ・ 理学療法士、作業療法士または言語聴覚士は実情に応じた適当数指定訪問看護を提供する看護職員を適当数
管理者専従で常勤の保健師または看護師で指定訪問看護の実施ために必要な知識および技能がある者

参考:介護給付費分科会 第220回 訪問看護  資料3|厚生労働省

働いている職種が訪問看護ステーションごとに違うためホームページを確認し、どんな部分に力を入れているか、特徴や強みを確認してみましょう。

*病院又は診療所である指定訪問看護事業所:介護保険のみ利用可能な事業所

訪問看護ステーションの施設数と利用者数とは?

訪問看護ステーションの施設数は年々増加し、少子高齢化に伴い利用者数も増えています。

  • 訪問看護ステーションの施設数と推移
  • 訪問看護ステーションの利用者数と推移

それぞれをみていきましょう。

訪問看護ステーションの施設数と推移

訪問看護ステーションの数は増え続け、2024年4月1日には約17,000カ所となり、2014年以降の10年間で2.3倍になっています。昨年から比べても約2,000カ所増加しています。

引用:令和6年度 訪問看護ステーション数 調査結果|厚生労働省

2010年の訪問看護ステーション数の調査開始から、右肩上がりで増えており、少子高齢化が進む今、さらに施設数が増えることが見込まれています。

訪問看護ステーションの利用者数と推移

訪問看護ステーションの利用者数も右肩上がりに増加し、平成24年の4月から令和4年の4月の10年間で約2.1倍になっています。

引用:介護給付費分科会(第220回)資料3 訪問看護 訪問看護利用者の推移|厚生労働省

表からも、要支援の方や要介護1、2の利用者さまが増えていることがわかります。利用者数の増加に伴い、訪問看護ステーション数も増加していると考えられるでしょう。

訪問看護ステーションの仕事内容とは?

訪問看護ステーションで働く看護師の仕事内容をご紹介します。

訪問看護師は、利用者の主治医が作成した「訪問看護指示書」に基づいて看護やリハビリをおこなうのがおもな仕事です。具体的な仕事内容は以下のとおりです。

  • 病状や健康状態の観察
  • 医師の指示による医療処置
  • 褥瘡管理・処置
  • 苦痛を緩和する支援(疼痛管理やマッサージ)
  • 日常生活の支援(服薬管理や生活環境の整備)
  • リハビリテーション
  • 利用者さまとご家族の相談対応や指導
  • 多職種との調整
  • ターミナルケア(看取りやエンゼルケア)
  • 緊急時の対応
  • 訪問看護計画書の作成・評価・カルテ記載
  • 訪問看護報告書の作成

訪問看護ステーションでは、基本的に疾患や年齢に関係なく必要とする人に看護を提供します。そのため、精神科や小児科などに特化している訪問看護ステーションでなければ、あらゆるケアのスキルや知識が求められます。

訪問看護ステーションの1日のスケジュールとは?

訪問看護ステーションの1日のスケジュールの一例をご紹介します。

時間業務内容
8:30 出勤・朝礼・訪問する利用者さまの記録を見て状態を把握 ・朝礼で訪問スケジュールや全員で利用者さまの状態を報告・確認 ※直行・直帰の場合、管理者からメールや電話で朝礼の内容を伝える
8:45 準備・出発・訪問バックの物品を確認・補充し、利用者さま宅へ向かう ・訪問前に身だしなみチェック(清潔感ある身だしなみ)
9:00~12:00 午前の訪問・午前中は2〜3件訪問(時間や日によって変動あり) ・ケアの前後に必ず手洗いか手指消毒 ・訪問時、利用者さまが希望する方法で家に入る(インターホンや鍵を開けて入る、別の場所から入るなど) ※近所に知られたくない利用者さまもいるため
12:00~13:00 昼食昼の休憩(嚥下評価のため食事介助に入る場合、時間がずれることも) ※場所は決まっていないことが多い(比較的自由)
13:00~17:00 午後の訪問・午後の訪問は約2〜3件 ・一般的に1日の訪問は4〜6件
17:00~17:30 帰社・ステーションに戻り、各種報告・記録 ※現在、電子カルテを導入しているステーションも多く、スマホやタブレットで訪問中や、移動の合間に記録ができることもある。 ・帰社後に多職種連携のために連絡することもある。
17:30 勤務終了・報告や記録 ・オンコール担当の場合、申し送りを受けて自宅待機

このスケジュールは一例であり、訪問看護ステーションによって異なります。施設見学や同行訪問をおこなっているところもあり、これらに参加できるとスケジュールが分かりやすいです。

関連記事:訪問看護師の服装のポイントとは?雨の日・日焼け対策も忘れずに

関連記事:訪問看護のオンコールとは?ストレスなく過ごす方法や実例も紹介

訪問看護でできること・できないこと

訪問看護では、病気や障害を持った人が住み慣れた地域で「その人らしく」療養生活を送れるようにさまざまな支援や社会資源の調整をおこないます。

  • 訪問看護でできること
  • 訪問看護でできないこと

下記の記事でも利用手順とあわせて書いているのでぜひ読んでみてください。

関連記事:訪問看護でできること・できないこと12選!訪問看護の対象者や利用する手順

訪問看護でできること

訪問看護でできることは、医師からの「訪問看護指示書」に沿ったケアです。また、介護保険を使用している場合はケアマネ―ジャーが作成する「ケアプラン」によって訪問看護の内容が変わります。具体的にできることは次のとおりです。

  • 清潔ケア
  • 排泄ケア
  • バイタルサインの測定
  • 薬の管理
  • 褥瘡のケアや予防
  • リハビリテーション
  • 緩和ケアや看取り
  • 療養生活の相談・連携

訪問看護は「利用者さまのご自宅でケアをする」という特性もあり、病院よりも比較的自由度が高い環境であるため、利用者さまやご家族の希望も取り入れて看護できることがメリットといえるでしょう。訪問看護師のやりがいについては、関連記事も参考にしてみてください。

関連記事:【事例あり】訪問看護師のやりがいとは?働き方のメリットまで解説

 

訪問看護でできないこと

訪問看護では「訪問看護指示書」や「ケアプラン」に記載されていないことはできません。

具体的に次のようなことは実施できないため、事前に利用者さまやご家族へ事前に説明しておくことが大切です。

  • 利用者さまのご自宅以外でケアすること
  • 家事全般(買い物代行や調理、掃除など)
  • 通院の付き添い

できることできないことをきちんと把握し、職場環境や業務内容にギャップが少なくしましょう。転職時に感じるギャップについては関連記事を参考にしてください。

関連記事:訪問看護転職調査レポート:訪問看護師が職場環境に抱くギャップとは? 

訪問看護ステーションで働くのに向いている人

訪問看護は利用者さまのご自宅でケアするため、病院のように資源や環境が整っておらず、それらを調整するために多職種とも連携を取る必要があります。

訪問看護ステーションで働くのに向いている人は次のとおりです。

  • 臨機応変な思考や対応ができる人
  • マナーが守れる人
  • 体力があり移動を苦と感じない人
  • 周囲の意見を受け入れられる人
  • 経営の視点を持てる人
  • 地域医療に興味がある人

訪問看護ステーションへ転職したい人は、以下の関連記事も参考にしてください。

関連記事:看護師が転職を成功させるための10のポイントとは?年代別でも解説 

まとめ:訪問看護ステーションとは訪問看護をおこなう看護職員がいる事業所のこと!訪問看護ステーションは、訪問看護をおこなう看護職員がいる事業所でさまざまな特徴があります。

この記事を参考に、訪問看護ステーションの役割や1日の流れを知り、少しでも入職前後のギャップを減らしましょう。

また、少子高齢化が進む今、厚生労働省は「地域包括ケアシステム」の構築を目指しています。そのため訪問看護の需要はさらに大きくなってくるでしょう。

訪問看護師への転職を考えている方は、訪問看護ステーションへの転職に特化したNsPaceCareerを活用し、あなたの理想の働き方が実現できるよう応援しています。

<参考サイト・文献>

「第8次医療計画における在宅医療の体制整備について」|厚生労働省

介護給付費分科会 第220回 訪問看護  資料3|厚生労働省

訪問看護ステーション 設置基準320 

SNSシェア

  • LINEアイコン
  • facebookアイコン
  • Xアイコン
記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。

関連する記事

NsPaceCareerとは-PCイメージ画像左 NsPaceCareerとは-SPイメージ画像左

NsPaceCareerとは

訪問看護・在宅看護に特化した
求人情報検索・応募のほか、
現役の訪問看護師や在宅経験者への無料相談や、
事業所への事前見学申し込みが可能です。

NsPaceCareerとは-PCイメージ画像右 NsPaceCareerとは-SPイメージ画像左