准看護師の平均年収は?低いといわれる3つの理由や年収アップの方法

公開日:2024/08/29 更新日:2024/08/29
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「准看護師の平均年収はいくら?」「准看護師の給料は低いっていわれることがあるの?」

このように不安を感じている准看護師の方はいらっしゃいませんか。

准看護師とは、「この法律において「准看護師」とは、都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、前条(、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うこと)に規定することを行うことを業とする者をいう。」と、保健師助産師看護師法の第6条に規定されています。

つまり、病院や施設で患者さまのケアをしたり、診療の補助をおこなったりする仕事です。基本的には、看護師の方と同じような仕事内容になりますが、准看護師の方にはできない業務もあります。

結果として、准看護師の方の平均年収は低くなる傾向です。

この記事では、准看護師の方の平均年収や低いといわれる理由などを解説します。准看護師の平均年収について分からず不安を感じているあなたの悩みを解消し、年収アップにつなげられれば幸いです。

准看護師の平均年収は407万1,100円

厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、准看護師の平均年収は407万1,100円です。その内訳は、次の表のとおりです。なお、年収は「月収(きまって支給する現金給与額の)12ヶ月分+賞与」で計算しています。

項目准看護師
年収407万1,100円
月収28万6,800円
賞与62万9,500円

参考:令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

月収28万6,800円から所得税や住民税などの税金や社会保険料などが引かれるため、准看護師の方の手取りは24万円くらいになるでしょう。

求人情報を確認するときは、記載されている総支給額に目がいきがちです。さらに、同じ給料でも扶養している家族の有無や手当の額、保険料率などによって手取り額に差が出ることは知っておくと参考にしやすいでしょう。

准看護師の平均年収の比較

ここでは、准看護師の方の平均年収を以下の切り口で比較します。

  • 年齢別
  • 施設規模別
  • 経験年数別
  • 性別

それぞれで准看護師の平均年収について詳しく解説します。自身の平均年収と比べてみると、実態を把握しやすくなります。なお、解説するデータは厚生労働省の調査結果を参考にしています。

准看護師の年収【年齢別】

まずは、年齢別で准看護師の方の平均年収を比べていきましょう。ここでの年収は「月収(きまって支給する現金給与)12ヶ月分+賞与」で計算したものです。

年齢年収月収賞与
~19歳229万3,200円19万1,100円0円
20~24歳280万1,400円21万4,600円22万6,200円
25~29歳375万800円27万2,000円48万6,800円
30~34歳367万3,000円26万5,000円49万3,000円
35~39歳388万1,700円27万3,500円59万9,700円
40~44歳408万9,500円28万9,700円61万3,100円
45~49歳423万100円29万9,200円63万9,700円
50~54歳437万5,400円30万4,400円72万2,600円
55~59歳437万500円30万800円76万900円
60~64歳406万4,000円28万3,600円66万800円
65~69歳339万3,300円25万2,800円35万9,700円
70歳~328万4,300円24万6,400円32万7,500円

参考:令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省 

准看護師の方の平均年収は50代でピークを迎え、その平均年収は約450万円です。50代は臨床での経験が豊富であり、知識とスキルを有した年代といえます。

しかし、60代を超えると再雇用での雇用形態となったり、夜勤や勤務の回数を調整したりするケースもあり、結果として平均年収がダウンする傾向があります。

准看護師の平均年収【施設規模別】

ここでは「10~99人」「100~999人」「1,000人以上」の3つにわけて、施設の規模別で准看護師の方の平均年収を比較します。表の年収は「月収(きまって支給する現金給与額)12ヶ月分+賞与」で計算しています。

施設規模年収月収賞与
10~99人386万7,600円27万4,200円57万7,200円
100~999人413万7,700円29万800円64万8,100円
1,000人以上433万9,000円30万4,200円68万8,600円

参考:令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

施設の規模が大きくなるほど、准看護師の方は高い年収を得やすいです。

なぜなら、規模が大きい病院は患者さまが集まりやすく、診療報酬を得やすいため経営が安定するからです。実際に、1,000人以上のところと比べると、10~99人規模の准看護師の平均年収は約47万円低くなっています。

高い給料を得たい准看護師の方は、転職する際に施設の病床数やスタッフの数などについての情報収集をすると良いでしょう。

准看護師の平均年収【経験年数別】

次に、経験年数別で准看護師の方の平均年収を比較してみましょう。平均年収は「手取りの月収(所定内給与額)12ヶ月分+賞与」で計算しています。

経験年数年収月収賞与
0年266万900円20万9,600円14万5,700円
1~4年338万3,000円24万1,200円48万8,600円
5~9年362万2,100円25万4,800円56万4,500円
10~14年380万6,900円26万6,800円60万5,300円
15年以上396万7,100円27万4,000円67万9,100円

参考:令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省 

准看護師の方の平均年収は、経験年数を重ねると上がりやすいといえます。

また、この平均年収の差は、勤続年数ではなく経験年数をもとに評価されていることが重要なポイントです。

なかには、年収を勤続年数で評価して「同じ病院に長く勤めていたほうが給料は上がりやすい」ところもあるからです。

経験年数で年収を評価する病院や施設であれば、准看護師の方も転職しやすいでしょう。

准看護師の平均年収【性別】

次に、性別で准看護師の方の平均年収を比較します。平均年収は「月収(きまって支給す

る現金給与額)12ヶ月分+賞与」で計算したものです

年齢年収
 男性女性
~19歳データなし229万3,200円
20~24歳297万9,500円278万6,600円
25~29歳424万9,300円366万3,200円
30~34歳390万9,800円360万4,900円
35~39歳450万100円369万4,400円
40~44歳442万8,700円402万5,900円
45~49歳469万9,900円415万2,300円
50~54歳488万8,300円431万9,400円
55~59歳435万5,000円437万1,400円
60~64歳408万4,100円406万2,200円
65~69歳336万1,900円339万6,000円
70歳~375万2,400円324万7,500円
年齢月収賞与
 男性女性男性女性
~19歳データなし19万1,100円データなし0円
20~24歳23万5,000円21万2,900円15万9,500円23万1,800円
25~29歳29万5,300円26万7,900円70万5,700円44万8,400円
30~34歳28万9,000円25万8,100円44万1,800円50万7,700円
35~39歳31万800円26万2,200円77万500円54万8,000円
40~44歳31万2,100円28万5,500円68万3,500円59万9,900円
45~49歳32万9,900円29万4,100円74万1,100円62万3,100円
50~54歳33万8,200円30万700円82万9,900円71万1,000円
55~59歳29万7,600円30万1,000円78万3,800円75万9,400円
60~64歳28万1,500円28万3,600円70万6,100円65万9,000円
65~69歳25万400円25万3,000円35万7,100円36万円
70歳~27万9,500円24万3,800円39万8,400円32万1,900円

参考:令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省 

性別で准看護師の方の給料を比較すると、多くの年代において「月給」「賞与」「平均年収」いずれも男性が高い傾向です。

年収の差が最もあらわれるのは35~39歳の年代であり、その差は約80万円です。

この年代は、女性は結婚や出産、子育てなどのイベントによって退職したり、パートや時短勤務など勤務形態を変更したりして、年収に影響しやすいからといえます。

准看護師と看護師の平均年収の比較

ここでは、准看護師の方と看護師の方の平均年収を比較します。下記の表を参考にしてください。平均年収は「月収(きまって支給する現金給与額)12ヶ月分+賞与」で計算したものです。

項目准看護師看護師
年収407万1,100円508万1,700円
月収28万6,800円35万2,100円
賞与62万9,500円85万6,500円

参考:令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省 

看護師の方と比べると、准看護師の方は年収が約100万円低いです。

というのも、看護師が厚生労働大臣の免許である一方で、准看護師は都道府県知事の免許であり、この免許の違いにより両者の業務範囲が異なるからです。

その結果、給料に差が生まれます。

准看護師の平均年収が低いといわれる3つの理由

ここでは、准看護師の平均年収が低いといわれる理由を紹介します。

  • 資格を取得する難易度が低い
  • 業務範囲が限定されている
  • 管理職に就くのが難しい

それぞれを詳しくみていきましょう。

資格を取得する難易度が低い

資格を取得する難易度が低いことは、准看護師の方の年収が低くなる一因です。

看護師の資格に比べて、准看護師の資格は取得しやすいからです。准看護師と看護師の免許取得に必要な要件は次のとおりです。

項目准看護師看護師
養成所への入学要件中学校卒業高校卒業
年限2年以上3年以上
単位や時間1,890時間以上102単位以上
卒業時の到達目標看護師が立案した看護計画をもとに看護を実践する能力根拠にもとづき、計画的に看護を実践する能力

参考: 准看護師制度について|日本看護協会 

中学校を卒業していると、准看護師を養成する学校に入学できます。さらに、看護師の資格と比べると、准看護師の養成所の年限や准看護師試験の受験資格を得るまでの期間も短くて済みます。

さらに、厚生労働省「令和4年度准看護師試験の実施状況を公表します」によると、令和4年度の准看護師試験の合格率は97.9%です。一方で、厚生労働省「第110回保健師国家試験、第107回助産師国家試験及び第113回看護師国家試験の合格発表」によると、令和4年度の看護師国家試験の合格率は87.8%です。

准看護師と看護師は、試験の内容やカリキュラムが異なるため、一概に比較はできませんが合格率だけを見ても准看護師の試験の難易度は、看護師試験よりもやや低いと推測できます。

この難易度の違いによって、准看護師の年収は低いといわれるのかもしれません。

業務範囲が限定されている

准看護師の方の年収が低いといわれる理由の一つに、業務範囲が限定されているという点が挙げられます。

前述した通り、基本的には准看護師と看護師、両者は関わる業務は変わらないことが多いです。

ただし、准看護師の方は看護師の方と比較して、業務範囲が狭く医療行為や業務上での判断が制限されます。

例えば、准看護師の方は医師や歯科医師、看護師からの指示を受けて業務をおこなうことが求められ、独自の判断で患者さまに医療行為を提供することはできません。

このように業務範囲が限定されるため、准看護師の方の給料水準は低いといわれているのでしょう。

管理職に就くのが難しい

管理職に就くのが難しいことも、准看護師の方の給料が低いといわれる理由です。

看護師の方は、勤続年数が長くなったり、専門看護師や認定看護師などの新たな資格を取得したりすると、役職に就くチャンスが巡ってくるでしょう。

ただし、准看護師の方は、看護師に対して指示を出すことができないため、看護師長や看護主任などの管理職のような部下に指示を出さなければならない立場にはなりにくいです。たとえ、自分よりも後に入職した看護師の方に対しても、准看護師の方は指導できません。

医療の現場では、看護師は判断を求められるケースが多いです。実際の業務のなかで、看護師の方に指示が出せない准看護師の方は、管理職に就くのは難しくキャリアアップの機会が少ない傾向にあります。

准看護師で平均年収をアップさせる方法

ここでは、准看護師で平均年収をアップさせる方法を解説します。

  • 現職でスキルアップする
  • 夜勤の回数を増やしてもらう
  • 看護師資格の取得を目指す
  • 待遇や給料が良い職場に転職する

それぞれの方法を把握して、年収アップを実現しましょう。

現職でスキルアップする

現職でスキルアップすることは、准看護師の方の年収をアップさせる効果的な方法です。

専門的な知識や技術を習得することで、職場内での評価が高まり昇給やボーナスの増額が期待できます。

また、研修に積極的に参加して、学び直しや新しい知識を取り入れることで、スキルアップのチャンスが広がります。

スキルを高めることで、准看護師のなかでより責任のある業務に従事できる機会が増え、それが結果として年収の向上につながるかもしれません。

さらに、現職でのスキルアップは、将来的に転職する際にも有利に働き、高い給与条件の職場を選ぶ際の強みとなります。

スキルの向上は、准看護師の方の年収アップに欠かせないといえるでしょう。

夜勤の回数を増やしてもらう

夜勤の回数を増やすことは、准看護師の年収をアップさせる効果的な方法の一つです。

一般的に、夜勤をすると夜勤手当が支給されるため、夜勤の回数を増やすことで年収アップが見込めます。

具体的には、月に数回の夜勤を増やすだけで、年収に影響を与えることが可能です。また、夜勤手当が充実している職場を選ぶことで、さらなる収入の増加が期待できます。

ただし、夜勤が増えると体力的な負担も大きくなり、生活のリズムが乱れやすくなります。

職場によっては、夜勤の上限回数を設定していることもあります。

そのため、健康管理には十分に注意して無理のない範囲で夜勤シフトを組むように看護師長に相談してください。年収アップと自身の健康維持のバランスを取っていくことが重要です。

看護師資格の取得を目指す

准看護師の方が年収をアップさせるためには、看護師資格の取得を目指すことが有効です。

看護師の資格を取得することで、業務範囲が広がったり管理職に就くことが可能になったりするからです。

これにより、基本給が上がり、さらに昇進や昇給の機会も増えるでしょう。

また、看護師の資格を持つことで、職場の選択肢が広がり、より良い条件の職場を見つけることができます。

看護師の資格取得には時間と労力が必要です。准看護師として働き続けながら、看護師を目指す場合は、簡単なことではありません。

ですが、長期的に見れば年収アップに直結する重要なステップとなるでしょう。

なお、准看護師の方が看護師の取得を目指すためには、専門学校や大学などの養成機関に通わなければなりません。准看護師から看護師になる方法については、下記の記事で詳しく解説しているため参考にしてください。

関連記事:准看護師とは?

待遇や給料が良い職場に転職する

准看護師が年収をアップさせるための一つの方法は、待遇や給料が良い職場に転職することです。

同じ准看護師の資格を持っていても、勤務する医療機関や施設によって給与水準や福利厚生は大きく異なるからです。

例えば、都市部の病院や特定の診療科では手当が充実している場合があり、年収の増加が期待できるかもしれません。

また、夜勤や残業が多い職場では、基本給に加えて夜勤手当や時間外勤務手当などが増え、結果として年収がアップする可能性があります。

転職活動をおこなうときは、自身のスキルや経験を活かせる職場を選びつつ、給与や待遇面でも納得のいく条件であるのか確認することが重要です。

特に、転職エージェントや求人サイトを活用することで、より良い条件の職場を見つけやすくなります。待遇や給料が良い職場に転職することは、准看護師としてのキャリアをより充実させるための効果的な手段です。

下記の記事では、都道府県別の准看護師の年収についても解説しています。転職するときの勤務地を選びに活用してくださいね。

関連記事:准看護師の平均年収相場は?パート・派遣社員の時給も解説 

まとめ

准看護師の平均年収は407万1,100円です。

ただし、年齢や経験年数、施設の規模などによって年収が異なります。さらに、准看護師は医師や看護師などの指示を受けなければならず業務範囲が限られることから、年収が低いとされています。

准看護師が年収をアップさせるためには、現職でスキルアップしたり看護師の資格取得を目指したりしなければなりません。

准看護師としてのキャリアをさらに発展させ、安定した収入を得るためには、継続的な努力と工夫が大切といえるでしょう。

参考サイト・文献

令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

令和4年度准看護師試験の実施状況を公表します|厚生労働省

第110回保健師国家試験、第107回助産師国家試験及び第113回看護師国家試験の合格発表|厚生労働省 

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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