看護師は一般企業へ転職できる?5つのポイントや年収、求人探しのコツを解説

「一般企業に転職したいけど、看護師でも転職できるの?」「一般企業への転職を成功させるポイントを知りたい」
そんな疑問を持つ看護師の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、看護師が一般企業に転職する際の仕事内容やメリット、転職を成功させるポイントを解説します。「自分は一般企業に転職すべきか」を判断できる状態になるため、転職を検討している方はぜひ最後まで読んでみてください。
看護師は一般企業へ転職できる?
看護師が一般企業へ転職することは可能です。厚生労働省の調査によると、看護師全体の8割が病院やクリニックで働いており、一般企業で働く看護師はまだ少数派です。しかし、看護師免許を活かせる職種から、医療の知識や経験を別の形で役立てられる職種まで企業で働く選択肢は複数あります。
看護師が一般企業に転職する理由
看護師が一般企業への転職を検討する理由は、おもに以下の3つです。
- 不規則な勤務から解放されたい:夜勤や変則シフトによる体力的・精神的な消耗が限界に達しているケース
- ワークライフバランスを整えたい:土日休み・日勤のみの勤務体制で、プライベートを充実させたいケース
- 看護師以外のキャリアを築きたい:医療の知識を別の形で社会に活かしたい、新たな分野に挑戦したいケース
ただし、環境を変えることだけを目的とした転職は、別の悩みを生むリスクもあります。転職理由を明らかにして、自分のキャリアプランと照らし合わせて検討することが重要です。
看護師が一般企業で働く難易度
一般企業への転職は、職種や年齢によって難易度が異なるのが現状です。
たとえば、20代前半であれば臨床経験が浅く評価されにくい傾向がありますが、20代後半や30代前半は専門性が評価され即戦力として採用されやすくなります。
ただし、年齢制限を設ける一般企業もあることから、30代後半以降は未経験職種への転職の難易度が上がるため、早めに動き出すことをおすすめします。
また、産業保健師や治験コーディネーターなど看護師資格を活かせる職種は転職しやすく、キャリアアドバイザーやフィールドナースは求人数が限られるため競争率が高くなる点に注意が必要です。事前に希望職種の求人状況を確認しておきましょう。
看護師が一般企業で働ける職種と仕事内容
看護師の資格を活かしながら企業へ転職して働ける職種は、下記の通りです。
● 産業看護師
● コールセンター
● 治験コーディネーター(CRC)
● キャリアアドバイザー
● フィールドナース
それぞれどのような仕事か、解説します。
産業看護師
産業看護師とは、企業の医務室や健康管理室に勤務し、社員の健康管理と予防医療を担う看護職です。求人の多くは保健師資格が求められますが、看護師資格のみで応募できる求人もあります。
おもな仕事内容は、健康相談・メンタルケア・健康診断・ストレスチェック・感染予防指導など、社員が健康を維持しながら働けるようサポートすることです。病院のような高度な医療行為はほとんど発生しません。
勤務体制は基本的に日勤のみで土日休みが多く、夜勤のある病棟からの転職先として働きやすい環境が整っています。
関連記事:産業看護師とは?仕事内容や求人を見つける4つのコツを紹介
コールセンター
感染症流行の中でさらに注目が高まったのが、コールセンターでの勤務です。
看護師としての医療知識をもとに、顧客に対応します。
主に健康相談やメンタルケアを行うコールセンターが勤務先としてあげられ、看護師として患者さまの悩みや不安などを伺い、必要に応じて受診などの促しを行います。
他にも医療機器メーカーや医薬品メーカー、医療保険の会社で、問い合わせや健康相談などの対応があります。企業で働く選択肢の中で、求人数や募集人数が多い傾向にあることもメリットといえるでしょう。
ただし、電話での対応になるため、理不尽な物言いをされる場合や、企業によっては相談できる人がおらず、看護師としての判断力が試される場面もあります。業務内容はマニュアル化され、CSVという看護師長のようなリーダー役がいることが基本ではありますが、条件として、「臨床経験5年以上」など長めの臨床経験を求める企業も多く見受けられます。
治験コーディネーター(CRC)
被験者と医療機関や製薬会社の間に立ち、治験が円滑に進められるように調整する役割が、治験コーディネーター(CRC)の仕事です。
被験者への説明はもちろん、治験実施計画書(プロトコル)を理解しながら治験を進め、データ入力なども実施していきます。
看護師としてのアセスメント力を問われる場面や、電子カルテの内容や医師の記録を理解する必要があるため、看護師の資格を十分に活かせる働き方です。
また被験者への説明を行う場面でも、臨床で患者さまへ寄り添ってきた経験を活かせるでしょう。そして医療に貢献できるため、やりがいを感じる方も多いのではないでしょうか。
ただし、前述した治験実施計画書(プロトコル)は治験ごとに異なり、専門用語が多く理解が進まないこともあります。またデータ入力の際も英語を使用することが多いため、英語に抵抗感が強い方には難しいかもしれません。
医療系人材紹介会社のキャリアアドバイザー
医療系人材紹介会社のキャリアアドバイザーは、医療系求人に特化して、求職者をサポートする仕事です。
転職先の医療機関との連携を行ったり、看護師の要望を聞きながら転職先を提示したりしていきます。
医療機関や看護の現場について知っている分、求職者の悩みを理解して寄り添って対応できるため、これまでの経験を活かして活躍できる点が働くメリットです。
ただし、キャリアアドバイザーの働くペースは、求職者である看護師へ合わせるため、土日や遅い時間での対応が必要な場合もあります。
フィールドナース
フィールドナースは主に医療機器メーカーや製薬会社で勤務し、看護師の視点で自社製品のPRやアフターフォローを行います。
医療機関を対象に、説明会や展示会を実施する必要があるため、医療機関での経験や看護師としての知見を活かして働くことができます。医療機関のニーズを把握し、自社の製品がどのように貢献できるかを考えられるため、やりがいに繋がりやすいのではないでしょうか。
ただし各地の医療現場やクリニック、企業などに足を運ぶ必要があるため、体力的な負担や疲労を感じる方もいるかもしれません。
看護師が一般企業へ転職するメリット
看護師が一般企業へ転職することで、病院やクリニックにはないメリットがあります。転職を検討している方は、以下を参考にしてください。
夜勤なし・土日休みの働き方がしやすい
一般企業では、基本的に日勤のみで土日休みの勤務体制が整っています。
夜勤や変則シフトによって生活リズムが乱れていた看護師にとって、規則正しい生活を取り戻せる点はメリットです。育児や介護などプライベートとの両立を重視したい方にも働きやすい環境と言えます。
身体的負担が少なくなる
一般企業への転職で、身体的な負担を大幅に軽減できます。
病棟での看護業務は長時間の立ち仕事や患者さまの移乗介助など、体力的な消耗が大きい仕事です。一般企業ではこうした負荷の高い業務はほとんど発生しないため、体力的な限界を感じている看護師にとって環境を変える理由になります。
デスクワーク中心の仕事もある
治験コーディネーターやキャリアアドバイザーなど、デスクワーク中心で働ける職種が一般企業には多くあります。
パソコンを使ったデータ入力や書類作成、電話・メール対応など病院とは異なるスキルが身につく点も魅力です。ただし、パソコン操作に不慣れな方は、基本的なスキルを習得しておくとスムーズに業務に取り組めます。
看護師経験を別の形で活かせる
看護師としての経験は、一般企業でも十分に活かせます。 病院で培った医療知識やアセスメント能力、患者さまとのコミュニケーション経験は、職種を問わず高く評価される強みです。たとえば、治験コーディネーターでは医療知識が役立ち、キャリアアドバイザーでは現場経験が求職者への共感につながります。
看護師が一般企業への転職を成功させるポイント
一般企業への転職は、事前の準備が合否を左右します。以下の3つのポイントを押さえて転職活動に臨みましょう。
転職理由を明確にする
転職理由の明確化は、採用担当者にアピールする大切なポイントです。
「病院がつらかったから」「人間関係や雰囲気が合わないから」という理由だけでは納得してもらえません。「看護師として培った〇〇の経験を、この職種でこのように活かしたい」という形で前向きな理由を書くことで、志望動機や自己PRにも一貫性が生まれ、採用担当者に好印象を与えられます。
ビジネスマナーを事前に身につける
ビジネスマナーの習得が、一般企業への転職活動を有利に進めるために必要です。
医療現場では当然とされる言葉遣いや立ち振る舞いが、企業では通用しないケースがあります。次のような基本的なマナーを転職活動前に習得しておきましょう。
- 敬語の使い方
- 名刺の受け渡し
- メールの書き方
書籍やビジネスマナー研修を活用することで基礎を身につけられます。
臨床経験をどのように活かすか言語化する
臨床経験を企業の仕事内容と結びつけて言語化することが、採用に近づくポイントです。
看護師としての経験をそのままアピールしても伝わりにくいため、「傾聴経験がコールセンターでの顧客対応に活かせる」「多職種連携の経験がチームワークの強みになる」など、応募職種ごとに整理しておきましょう。面接でも自信を持って伝えられるようになります。
看護師が企業へ転職する際の注意点
最後に企業へ転職したいと考えている方に向けて、看護師が企業へ転職する際の注意点を解説します。
企業への転職を考えている看護師の方は、ぜひ参考にしてください。
ビジネスマナーに気をつける
企業へ転職する際に気をつけたいのが、ビジネスマナーです。
一般企業で働く方と比較すると、看護師の言葉遣いや身だしなみなどが整っていないと言われることもあるように、ビジネスマナーが身についていない看護師の方も少なくありません。
企業への転職活動をする時点で、言葉遣いや身だしなみ、名刺のやりとりなど基本的な礼節を身につけておく必要があるでしょう。
医療機関への復帰が難しくなる場合がある
企業で働く期間は臨床経験としてカウントされず、いわゆる「ブランク」が生じることになります。
医療機関でまた働きたいと考えた時に「ブランクのある看護師の方はNG」とする転職先もあるため、応募可能な転職先が狭まる可能性もあるでしょう。
特に、急性期などの病棟ではフットワークの軽さや体力などが重視されるため、復帰が難しいケースが多いと考えられます。
医療機関でまた働きたいと感じている方は、企業への転職を再検討した方が良いかもしれません。
看護業務以外の業務も増える
前述したように、企業での仕事では看護業務以外に、書類作成やデータ入力等の業務が、医療機関で勤務していた時よりも増える傾向にあります。
特に、パソコンを活用した業務が増えるケースが多いため、パソコンに苦手意識のある方は、入職前にパソコンを購入して慣れておく必要もあるでしょう。
求人倍率が高い
企業で働きたいと考えている看護師の数が求人数とマッチせず、求人倍率が高い傾向にあります。
特に、産業看護師の募集人数は一企業当たり1〜3人程度とかなり少なく、競争率が非常に高くなっています。そのため書類選考や面接なども厳しく見られる傾向にあると考えられるでしょう。
企業へ転職したいと考えた時点で、業界調査はもちろん、入念な書類作成や面接準備を行う必要があります。また、少し遠方の企業でも応募してみるなど、妥協点を増やして求人を探すことも、転職を成功させるには必要な視点かもしれません。
看護師が一般企業の求人を探すコツ
一般企業への転職は求人数が限られるため、効率的な求人の探し方を知っておくことが重要です。コツを参考に転職活動を進めましょう。
「未経験歓迎」「医療業界経験者優遇」で検索する
一般企業の求人を探す際は「未経験歓迎」「医療業界経験者優遇」といったキーワードで検索するのが効果的です。
看護師資格を必須としない求人でも、医療知識や対人スキルを評価する企業は多くあります。逆に、「看護師 一般企業」だけで検索すると、産業看護師の求人に偏りやすいため、職種名を変えながら幅広く検索することをおすすめします。
企業求人が増える時期を狙う
一般企業の求人は、1〜3月と9〜10月に増える傾向があります。
この時期は企業の採用活動が活発になるため、求人数が増え選択肢が広がります。転職を検討している方は、この時期に合わせて転職活動を本格化させると、希望に近い求人を見つけやすくなるでしょう。
職務経歴書は看護技術より対人スキルを書く
一般企業の採用担当者は、看護技術の専門性よりも対人スキルやビジネスへの応用力を重視する傾向があります。
職務経歴書には「患者さまへの傾聴・コミュニケーション」「多職種との連携・調整経験」「データ管理・記録業務」など、企業でも活かせるスキルを前面に出して記載しましょう。看護師としての経験を企業目線で言語化することが採用につながります。
転職エージェントを活用する
一般企業への転職には、転職エージェントの活用が有効です。
非公開求人を多数保有しているエージェントを利用することで、求人サイトには掲載されていない企業の求人に応募できます。
また、履歴書・職務経歴書の添削や面接対策など、転職活動全般のサポートを受けられる点もメリットです。医療業界に特化したエージェントであれば、看護師の転職事情を踏まえたアドバイスが期待できます。
関連記事:産業看護師になるには?大手企業の求人を逃さない5つのコツも紹介
看護師の一般企業転職に関するよくある質問
看護師の一般企業転職を検討する中で、よく寄せられる疑問をまとめました。年収や年齢の条件、病棟復帰など、転職前に気になるポイントをまとめて確認してみてください。
Q1:一般企業へ転職すると年収は下がりますか?
職種によって異なりますが、夜勤手当がなくなる分、転職直後は年収が下がるケースが多いです。
ただし、治験コーディネーターや製薬会社のフィールドナースなど、専門性の高い職種では病院勤務と同水準以上の年収を得られる場合もあります。転職前に希望職種の給与相場を確認し、年収だけでなく働き方や将来のキャリアも含めて判断することが重要です。
Q2:看護師から一般企業への転職は何歳まで可能ですか?
明確な年齢制限はありませんが、未経験職種への転職は20代後半〜30代前半が転職しやすい時期です。
一般企業の求人には「30歳前半まで」の年齢条件が設けられているケースもあり、30代後半以降は選択肢が狭まる傾向があります。
ただし、看護師としての専門性を活かせる産業保健師や治験コーディネーターであれば30代後半以降でも転職できるケースがあります。年齢が上がるほど即戦力としての経験やスキルが求められるため、希望職種で活かせる強みを明らかにして転職活動に臨みましょう。
Q3:一般企業から病棟の看護師へ戻れますか?
一般企業で働いた期間は臨床経験としてカウントされないため、企業勤務が長くなるほど看護師への復帰は難しくなりがちです。とくに、急性期病棟といった即戦力を求める現場では、採血や処置などの看護技術にブランクが生じていることがネックになるケースは少なくありません。
ただし、近年ではブランク明けの看護師を対象とした研修が実施されており、日本看護協会でも復職支援研修を提供しています。
こうした研修を活用することで、スムーズに現場復帰できる可能性があります。また、訪問看護や介護施設などブランクに寛容な職場を選ぶことで復帰しやすくなるでしょう。
Q4:トヨタのような大企業でも看護師求人はありますか?
トヨタをはじめとした大企業でも、社員の健康管理を担う産業看護師・保健師の求人があります。
ただし、大企業の求人は募集人数が少なく競争率が高いため、求人が出た際に素早く応募できるよう準備しておくことが重要です。大企業の求人は非公開で募集されるケースも多いため、求人サイトに登録して情報をすぐに得られるようにしましょう。
看護師の企業への転職はメリットとデメリットがある!今後のキャリアを考えてよく検討しよう
一般企業への転職は、ワークライフバランスを整えたい看護師にとって魅力的な選択肢です。一方で、臨床経験のブランクや求人倍率の高さなど、事前に把握しておくべき点もあります。今後のキャリアをよく考えて転職活動を進めましょう。
なお、一般企業ではなく「訪問看護」への転職を検討している方には、訪問看護に特化した求人サイト「ナスキャリ(NsPaceCareer)」がおすすめです。
夜勤なしで働ける事業所も多く、ワークライフバランスを重視しながら看護師としてのキャリアを継続できます。ぜひ一度求人を探してみてください。
<参考サイト・文献>
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
