NICUの看護師の年収はいくら？1年目の給料や年収アップする方法を解説
「NICUの看護師の年収はいくら？」「NICUの看護師で年収アップする方法はないの？」
このように感じている看護師の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
NICUとは、新生児集中治療室（Neonatal Intensive Care Unit）の略であり、生まれたばかりの新生児に専門的な治療やケアをおこなう集中治療室（ICU）のことです。
NICUの看護師の方は、早産児や低出生体重児もしくは先天性の疾患を持った赤ちゃんの治療やケアに対応します。
この記事では、NICUの看護師の年収や1年目の給料、年収アップに関連する方法を紹介します。NICUの看護師の年収事情を知りたい方の助けになれば幸いです。
NICUの看護師の年収は約540~550万円
NICUの看護師の年収は、約540~550万円といわれています。厚生労働省による令和5年統計調査では、一般的な看護師の平均年収は508万円とされており、
NICUの看護師のほうが年収は高くなる場合が多いようです。
というのも、NICUでは患者さま3名に対して常時1名の看護師の配置が義務づけられており、NICUの看護師のほうが夜勤の回数がおのずと増える傾向があるからです。
さらに、残業手当や特殊勤務手当がもらえるところでは、一般病棟で働く看護師よりもNICUの看護師は高年収が期待できるでしょう。
ただし、夜勤回数が増えてしまうことで体調管理が難しくなるだけではなく、繊細な赤ちゃんのケアに対してミスが起こる可能性が増える危険性もあるため、年収だけに注目しないようご注意ください。
NICUの看護師の年収アップに関わる方法
ここでは、NICUの看護師の年収アップに関わる方法を紹介します。具体的には、以下の4つの方法が挙げられます。
- NICUの看護師に関する資格を習得する
- 夜勤の回数を増やす
- 経験年数を重ねる
- 待遇の良いNICUに転職する
それぞれを知って、あなたに合った方法で年収アップを実現しましょう。
NICUの看護師に関する資格を習得する
NICUの看護師に関する資格を習得すると、年収アップが期待できます。以下、5つの資格とその特徴をまとめました。
| 資格 | 特徴や仕事内容 |
| 小児プライマリケア認定看護師 | ・日本看護協会の資格認定制度のひとつ 重篤な状態にある児もしくは医療的ケア児に対する重症化予防 外来及び地域等のプライマリケアの場におけるトリアージ 家族の家庭看護力・育児力向上に向けたホームケア指導 不適切な養育または虐待の予防、早期発見と、子どもの事故防止 身体所見及び気管カニューレの状態を病態判断し、気管カニューレの交換が行える知識・技術 |
| 小児看護専門看護師 | ・日本看護協会の資格認定制度のひとつ ・子どもたちが健やかに成長、発達できるように療養生活を支援し、他の医療スタッフと連携して水準の高い看護を提供する |
| 助産師 | ・日本看護協会に認められた看護職のひとつ ・妊娠から出産、育児まで母子の健康を支える ・女性のライフプランにおける健康相談や支援、講演などを行う ・助産所の開業権が認められている |
| 特定行為看護師 | ・日本看護協会がおこなう特定行為研修を修了し、一般の看護師よりも幅広い医行為ができる看護師 ・患者さまの状態を 見極め、タイムリーな対応をすることなどが期待されている |
| NCPRインストラクター | ・日本周産期、新生児医学会に認定された資格のひとつ ・新生児の蘇生法を普及するための役割がある |
これらの資格を取得できると、患者さまに専門的なケアができたり、NICUで看護師に教育できたりして、ほかのNICUの看護師にはない役割を担うことができます。
ただし、資格を取得をすると必ず年収がアップするとは限りません。というのも、働いているところに資格手当がなかったり、病院が求めている資格でなかったりするためです。
そのため、資格を取得する前に給料や待遇がどのように変わるのかについて確認してみてください。
夜勤の回数を増やす
夜勤の回数を増やすと、夜勤手当が見込めるため年収が上がります。
ただし、一般病棟の看護師と比べ、NICUの看護師はもともと夜勤の回数が多い傾向です。先述した通り、夜勤を増やすと自ずと勤務時間が長くなり、からだやこころの健康を損なう恐れがあります。その一方で「日勤ばかりは身体がつらい」「夜勤明けで自由な時間が欲しい」と感じる看護師の方もいます。
そのため、夜勤の回数を増やしたい場合は、自身の体調や生活のリズム、働きやすさなどを確認したうえで看護師長や看護部に相談しましょう。
経験年数を重ねる
看護師の年収は、年功序列の給与形態であり、経験年数を重ねると年収アップできます。
ただし、この方法であると年収アップを実現するためには長い年月を要します。そのため、短い期間でNICUの看護師が昇給したり、昇進したりするためには看護師長や看護部からの高い評価が欠かせません。
日頃の業務で病院に貢献し、ほかの看護師とは違う働き方を見せることであなたの評価を高めましょう。
待遇の良いNICUに転職する
NICUから別の職場に転職するケースでは、NICUでの実務経験を活かして年収アップが見込めることがあります。
NICUのある病院だけではなく、小児科や訪問看護ステーションへの転職でもNICUでの経験が活かせるため、待遇の良いところであれば年収アップが可能です。
病院や施設によって給料や待遇は大きく異なるため、事前に求人情報やホームページで情報を確認してください。
近年、専門分野に特化した訪問看護ステーションが増えています。そのひとつの分野が、小児の訪問看護です。需要が高まっているため、小児に特化した訪問看護ステーションに転職すると年収アップできる可能性があります。
小児の訪問看護ステーションを探している方はNsPaceCareerを活用してみてください。訪問看護業界に特化した求人サイトであり、全国からあなたに合った求人を見つけられるかもしれません。
さらに、小児の訪問看護について詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
NICUの看護師が転職して年収を上げたいときの注意点
ここでは、NICUの看護師が年収を上げたいときの注意点を3つ解説します。
- 年収だけを考えて転職するのは控える
- 身体的・精神的な負担を考える
- 給料の交渉は慎重におこなう
それぞれの注意点を前もって知ることで、リスクを避けて年収アップを狙いましょう。
年収だけを考えて転職するのは控える
NICUの看護師は、年収だけのことを考えて転職することは控えてください。
というのも、年収だけのことを考えると「ここは自分には合わない」「こんなはずではなかった」と感じて早期の退職が懸念されるためです。
- 病院の理念
- 看護部の方針
- 職場の環境
- 年間の休日数
- 有給休暇の取得率
- 研修や勉強会の開催の有無
- 夜勤の平均回数
- 病院までのアクセス
こういった情報も詳しく調べて求人を選ぶと、年収アップだけではなくあなたに合った働き方を実現できるでしょう。
身体的・精神的な負担を考える
一般的に、NICUは身体的・精神的な負担が大きい職場と言われていますが、その負担感は病院によって違います。
病院によって夜勤の回数は異なり、さらにNICUの特徴によってつらいと感じる場面が増える恐れがあるためです。
例えば、現在の職場よりも急変のリスクが高い赤ちゃんばかりの病院へ転職したことがきっかけで、赤ちゃんが亡くなる瞬間に立ち会う機会が増えるケースもあります。看護師の方にとっては「つらい」「苦しい」と精神的な負担を強く感じるでしょう。
そのため、NICUに入室している赤ちゃんの病気や特徴などを転職する前に知っておくと、身体的・精神的な負担を軽くできるでしょう。
給料の交渉は慎重におこなう
給料の交渉は希望額や条件などを一方的に伝えずに、慎重におこなうことが重要なポイントです。
転職活動で給料の交渉をすると、年収アップでき希望の年収に近づけられます。
ただし、自分の意見ばかり通そうとしたり、面接のときに給料の話ばかり出したりすると、採用担当者に悪い印象を与えかねません。結果として、採用されず年収アップどころの話ではなくなるかもしれません。
そのため、給料の交渉をするときには、あまり高額な額を伝えるのではなく、謙虚な姿勢を見せることが大切です。
NICUの看護師になるには
ほかの病棟の看護師と同じように、NICUの看護師になるために特別な資格は必要ありません。
ただし、NICUでは重篤な赤ちゃんばかりであり、我が子の状態に対して精神的な支援を必要とする親も看ていく必要があるため、専門的な知識が必要です。なかには、未経験の看護師の方をNICUに配属しないようにしているところもあります。
NICUの看護師には、具体的に次の業務にかかわる知識が求められます。
- 保育器管理
- 体温管理
- バイタルサインのチェック
- 人工呼吸器管理
- 人工呼吸器を離脱したあとのケア
- 清潔ケア
赤ちゃんが対象であり「痛い」「つらい」など赤ちゃんが自らの状況をうまく伝えられません。NICUの看護師が、赤ちゃんの表情やバイタルサインなどから状態を読みとることが大事です。
そのため、NICUの看護師になるには、専門的な知識や技術が必要であると言えるでしょう。
NICUの看護師に向いている人の特徴
NICUの看護師に向いている人の特徴を次の5つにまとめました。
- コミュニケーション能力が高い人
- ストレスに耐性がある人
- 細かい作業ができる人
- 意欲的に学べる人
- 看護師としての使命感が強い人
それぞれの特徴を見ていきましょう。
コミュニケーション能力が高い人
もともと看護師には、高いコミュニケーション能力が求められますが、とくにNICUではコミュニケーションスキルが大事です。
NICUでは重篤な状態にある赤ちゃんのケアをしながら、産褥期にあるご家族ともコミュニケーションを図らなければならないためです。
例えば、さまざまなショックや疲れがあるご家族に対して、不安を与えないように話をしたり、赤ちゃんとの愛着形成をサポートするように関わらなければなりません。
そのため、ご家族に寄り添いつつ、適切なコミュニケーションができる看護師の方がNICUに向いていると言えます。
ストレスに耐性がある人
ストレスに耐性がある人もNICUの看護師に向いています。
NICUは24時間体制であり、緊張感が高い職場です。先述したように、重篤な赤ちゃんばかりが入室しており、ときには死に立ち会います。
そのため、気持ちの切り替えがうまくなかったり、つらさに耐えられなかったりする看護師の方はNICUに向いていないかもしれません。
細かい作業ができる人
成人を対象とした病棟と異なり、NICUでは投薬の量や哺乳量は赤ちゃんの体重によって左右されます。
身体が小さければ、薬の量も少ないです。さらに、赤ちゃんに装着されている呼吸器のチューブやカテーテルなども細く、丁寧に固定できなければ抜けてしまい、最悪のケースでは生命にかかわる恐れがあります。
そのため、細かい作業を丁寧にでき、注意深く観察できる看護師の方がNICUに向いている可能性があります。
意欲的に学べる人
NICUに限ったことではありませんが、日々、医療は進歩しているため新しい医療機器や薬などが次々に生み出されています。
さらに、赤ちゃんの異常状態を素早く発見するためには知識やスキルが必要であり、これらを身につけるためには学び続けなければなりません。
そのため、意欲的に学べる看護師の方はNICUに向いているでしょう。
看護師としての使命感が強い人
NICUの看護師にはやりがいや充実感がある一方で、治療の経過が思わしくなく悲しい結果につながるケースもあります。
「赤ちゃんがかわいいから」「新生児のケアに興味がある」という安易な気持ちでは、NICUで働き続けられないでしょう。
責任感や緊張感に強いられながらも、「命を救いたい」という使命感がある看護師の方は心が折れにくく、NICUでの勤務を続けやすいです。
まとめ
NICUの看護師の年収は約508万円です。
一般病棟の看護師と年収は変わりませんが、NICUでは夜勤手当や特殊勤務手当、残業手当により、高年収になることがあります。
NICUは身体的、精神的にもタフな職場ですが、一方で達成感ややりがいを感じる機会も多いと思われます。今回紹介したポイントを押さえて、年収アップを実現しましょう。
参考サイト・文献
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