助産師と看護師の年収の違いとは?手取りや年代別の給料も詳しく解説

公開日:2024/06/05 更新日:2024/11/15
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「助産師と看護師の年収は違うの?」「助産師と看護師で給料が違う理由を知りたい」

このように疑問を持たれている方はいませんか?

助産師と看護師は看護職であり、どちらも看護師の資格を持っています。ただし、助産師になるためには、看護師の免許に加えて、助産師の免許を取る必要があります。助産師は、女性しかなれません。

この記事では、助産師と看護師の年収の違いを年代別や都道府県別などさまざまな視点から紹介します。両者の年収の違いを詳しく知りたい方の理解が深まるきっかけになれれば幸いです。

助産師と看護師の年収の違い

まずは、助産師と看護師の年収や月収、賞与(ボーナス)の違いについて解説します。詳しくは以下の表を参考にしてください。

 平均年収平均月収平均賞与
助産師566万9,500円39万5,800円91万9,900円
看護師508万1,700円35万2,100円85万6,500円
保健師451万500円31万2,900円75万5,700円
准看護師407万1,100円28万6,800円62万9,500円

参照元:令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

年収や月収、賞与いずれも、助産師のほうが看護師よりも高く、年収だと約59万円の差があります。

というのも、先ほど紹介したように助産師として働くためには看護師の免許に加えて助産師の免許が必要であり、業務内容が異なるためです。

たとえば、看護師は病気やケガをした患者さまの診療やケアをおこないます。一方で、助産師は新生児を取り上げたり、妊産婦をはじめとした女性のライフステージに応じた健康指導やケアを行います。

看護師の資格にプラスして、助産師には高い専門性が求められ、分娩介助手当や資格手当などがあるため、この年収の差に関係していると言えるでしょう。

看護師の詳しい平均年収や賞与などについて知りたい看護師の方はこちらの記事も参考にしてみてください。

【年代別】助産師と看護師の年収の違い

ここでは、助産師と看護師の年収の違いを年代別で紹介します。

 助産師看護師
~19歳データなしデータなし
20~24歳401万9,700円401万4,700円
25~29歳513万1,500円474万1,500円
30~34歳517万9,300円487万1,500円
35~39歳573万5,200円485万3,100円
40~44歳570万2,400円521万6,200円
45~49歳612万8,300円551万8,700円
50~54歳684万5,300円566万6,100円
55~59歳662万1,200円585万9,300円
60~64歳604万9,200円477万8,600円
65~69歳データなし450万1,600円
70歳~376万3,200円407万2,800円

参照元:令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

こちらの表を見ると助産師の平均年収の水準は看護師よりも全体的に高いと言えるでしょう。

【規模別】助産師と看護師の年収の違い

次に、助産師と看護師の年収の違いを病院や施設の規模ごとにみていきましょう。

  • 職員数10~99人
  • 職員数100~999人
  • 職員数1,000人以上

それぞれ3つの規模別における年収の違いを詳しく紹介します。

助産師と看護師の違い|職員数10~99人

 平均年収平均月収平均手取り平均賞与
助産師580万7,000円41万8,000円36万6,600円79万1,000円
看護師452万6,900円32万1,100円30万3,400円67万3,700円

参照元:令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

職員数が10~99人の規模の病院や施設では、看護師よりも助産師のほうが平均年収は高く、その差は約128万円です。

さらに、助産師の平均年収は職員数10~99人のところが最も高くなっています。

この結果は、助産師は助産所(9人以下の入所施設)を開設でき、分娩に対応したり妊産婦へのケアを提供したりすることと関係しているかもしれません。

政府統計データによると、2022年度時点で助産所は2,870施設です。助産所の経営がうまくいくと、年収アップが期待できるでしょう。

助産師と看護師の違い|職員数100~999人

 平均年収平均月収平均手取り平均賞与
助産師555万3,500円37万8,600円34万8,800円101万300円
看護師486万4,000円34万2,300円31万2,200円75万6,400円

参照元:令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

職員数が100~999人のところでは、看護師よりも助産師のほうが平均年収は約69万円高いです。職員数10~99人のケースと比べると、その差は狭まっています。

というのも、この職員数の規模になると、多くの助産師は病院で働いているケースが多いからです。

病院では分娩介助手当や資格手当など手当がもらえるものの、1回あたり2,000円~10,000円の手当といわれています。

さらに、看護師の平均年収は規模が大きくなるほど高くなる傾向であり、職員数10~99人のところよりも34万円くらい上がっていることも影響していると考えられます。

助産師と看護師の違い|職員数1,000人以上

 平均年収平均月収平均手取り平均賞与
助産師557万3,600円37万9,900円34万3,500円101万4,800円
看護師557万1,200円37万6,500円33万4,500円105万3,200円

参照元:令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

職員数が1,000人を超えると、助産師と看護師の平均年収の差はほとんどなくなります。

その理由は、職員数100~999人のところと比べると、看護師の給料が約71万円上がっているためです。

とはいえ、助産師と看護師の平均年収は施設の規模でみても、いずれも助産師のほうが高い傾向です。

助産師の年収が看護師よりも高い4つの理由

ここでは、助産師の年収が看護師よりも高いとされる理由について、主に以下の4点が考えられます。

  • 助産師になるためには助産師の資格が必要であるため
  • 産婦人科の施設が減っているため
  • 助産師は助産所を開設できるため
  • 夜間の対応が多いため

それぞれの理由を詳しく紹介するため、ぜひ参考にしてください。

助産師になるためには助産師の資格が必要であるため

助産師の年収が看護師よりも高い理由のひとつは、助産師になるためには助産師の資格が必要だからです。

助産師の資格を習得する方法は、次のとおりです。

  • 看護師の資格を取得したうえで、1年、もしくはそれ以上の期間で助産師の養成課程で学んで助産師国家試験を受ける
  • 助産師養成コースも設置している大学や4年生の専門学校で学び、卒業するときに看護師と助産師の国家試験を受ける

このいずれかの方法で助産師になれます。看護師の資格に加えて、助産師国家試験に合格して助産師の資格を取得しなければならず、仕事の専門性が高まるため看護師よりも助産師のほうが年収が高くなります。

産婦人科の施設が減っているため

日本産婦人科医会の「産婦人科医療施設の動向」による2006年から2022年にかけての調査の結果は以下のとおりです。

  • 産婦人科の施設数:5,946施設から4,908施設(17%減)
  • 分娩を取り扱う診療所で働く医師:2,322名から1,888名(19%減)

このように分娩を取り扱える助産師の需要が高まっているため、看護師よりも年収の水準が上がっていると考えられます。助産師と看護師では役割が異なることも年収の差にあらわれているといえるでしょう。

助産師が助産所を開設できるため

助産師は助産所を開設できるため、開業後の経営が順調にいけば看護師よりも助産師のほうが年収は高くなることが期待できます。

一方で、助産所で分娩を取り扱ったり、妊産婦へのケアをおこなったりするため、高い専門性が必要です。

夜間の対応が多いため

分娩を取り扱うため、夜間の対応が多くなります。

そのため、手当がある勤務先であれば、年収が上がるでしょう。

助産師、看護師の年収アップが期待できる方法

助産師と看護師、ともに年収がアップする方法は以下の4つです。

  • 夜勤の回数を増やす
  • 管理職になる
  • 助産師は助産所、看護師は訪問看護ステーションを開設する
  • 待遇の良いところに転職する

それぞれの方法を知っておくと、助産師や看護師いずれでも年収アップが期待できるでしょう。

夜勤の回数を増やす

夜勤の回数を増やすと、夜勤手当や深夜勤務手当などがもらえるため年収アップできます。

ですが、夜勤の回数を増やすと生活が不規則となり、体調を崩すかもしれません。さらには、家族との時間が取れなくなったり、友人と会えなくなったりする恐れがあります。

そのため、年収アップばかり追うのではなく、自身の体調と相談してワークライフバランスを保てるどうかと合わせて考える必要があります。

管理職になる

管理職になると、役職手当が見込めたり基本給が上がったりするため年収アップできます。

ただし、大規模の病院になればなるほど、管理職になれる難しさが増すと考えられます。

というのも、管理職は狭き門であると言えるためです。具体的には、病院内に看護部長は1名、ひとつの部署に看護師長は1名で看護主任が2~3名のみしかなれません。さらに、管理職になるためには病院に長い間貢献し、病院から信頼してもらうことが重要です。

だからこそ、管理職になれると年収アップが期待できます。

助産師は助産所、看護師は訪問看護ステーションを開設する

助産師は助産所を、看護師は訪問看護ステーションを開設し、経営が順調にいけば年収アップできるかもしれません。

ただし「妊産婦が集まる助産所」「利用者さまが集まる訪問看護ステーション」でなければ、年収アップは期待できないでしょう。ほかにも、スタッフを集めたり、運営の知識を学んだりなど課題をクリアしなければなりません。

また、助産所を開設するためには5年以上の臨床経験が必要です。一方で、訪問看護ステーションを開設するために経験年数の条件はありませんが、臨床である程度の実績と経験を積まなければ経営していくことは難しいです。

そのため、助産師や看護師は、助産所や訪問看護ステーションを開設して経営がうまくいくと、高年収が見込めるでしょう。

待遇の良いところに転職する

助産師と看護師、いずれも待遇が良いところに転職できると、短期間で年収が上がる可能性があります。

この選択肢であれば管理職になったり、助産所や訪問看護ステーションを開設したりしなくて済むため、スキルアップやキャリアに時間をかけることができます。

訪問看護ステーションへの転職を検討している看護師の方は「NsPaceCareer(ナースペースキャリア)」を活用してみてください。

訪問看護業界に特化した求人サイトであり、全国の訪問看護ステーションの求人を検索できます。ほかにも、訪問看護としての働き方や転職活動に関する情報も得られるため、ぜひ活用してみてください。

助産師と看護師の年収に関するQ&A

助産師と看護師の年収に関するよくある質問を紹介します。

助産師で年収1,000万円は達成できる?

助産師で年収1,000万円を達成できる可能性があります。

病院で部長職になったり、助産所を開設して経営がうまくいったりすると達成できるかもしれません。

ただし、助産師の平均年収のピークは先述の通り50~54歳で約685万円であるため、相当な努力とスキルが必要であることが想像できます。

助産師と看護師はどっちが大変?

助産師と看護師はどちらが大変と一概に言えません。

というのも、助産師と看護師、両者は患者さまの命にかかわる仕事内容であり、プレッシャーを常に感じながら働いているためです。

単純に、勤務形態だけを見ると、看護師は交代制のシフトですが休みは決まっており、看護師ひとりが急に休んでもほかの看護師でカバーできるケースが多いです。

しかし、助産師は急な体調変化や長時間にわたる出産に対応しなければならないため不確定な要素が多く時間が読めません。さらに、助産師は所属している人数が少ないため、ひとりあたりの負担が大きいと考えられます。

そういった観点では、助産師のほうが大変だと言えるかもしれません。

まとめ

助産師と看護師の年収をさまざまな条件で比べると、いずれのケースでも助産師のほうが年収は高い傾向です。

というのも、助産師になるためには、看護師の資格に加えて助産師の資格が必要であったり、業務の専門性が高かったり、助産所を開設できたりするためです。

助産師と看護師は同じ看護職という職種ですがそれぞれで業務内容が異なり、専門性も違います。そのため、あなたにあった仕事を選び活躍することが大切です。

参考サイト・文献

令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

令和4年度(2022年度) 衛生行政報告例|厚生労働省

助産師を目指す方へ|公益社団法人 全国助産師教育協議会

産婦人科医療施設の動向|日本産婦人科医会

分娩を取り扱う助産所の開業基準|公益社団法人日本助産師会

訪問看護ステーションを開設したい方|一般社団法人 全国訪問看護事業協会

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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