ICU看護師とは?向いている人の特徴や仕事内容・平均年収を解説

公開日:2024/05/22 更新日:2024/06/17
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集中治療室と呼ばれるICUは、重篤な患者さまの全身管理やケアを行なう病棟です。ICU看護師の働き方に興味のある方もいるでしょう。

この記事では、ICU看護師の仕事内容や平均年収、向いている人の特徴を解説します。自分に向いているかを判断する参考にしてください。

ICU看護師の役割とは?

ICU看護師の役割は、24時間体制で集中治療が必要な患者さまへ看護を行なうことです。

ICUは生命の危機に直面するどのような状態の患者さまでも受け入れる特性があり、対応する症例は以下のように多岐にわたります。

  • 心筋梗塞や急性呼吸不全
  • 意識障害やショック
  • 自傷による心停止

その他、病棟で急変された患者さまや、大きな手術後の周手術期管理などが挙げられます。

ICUに入院している患者さまは急変するリスクも高く、さまざまな医療機器も使用しています。

そのため、ICU看護師は全身管理を適切に行なえるよう、身体の解剖生理や病態、薬剤、医療機器などに関する知識を身に付け、対応していくスキルが必要です。

ICU看護師の主な仕事内容

ICU看護師の主な仕事内容は、以下のとおりです。

  • 医師の指示による薬剤投与
  • 輸液管理
  • 医療・看護処置
  • 全身状態のモニタリング
  • 医療機器の管理・操作
  • 手術前・後の準備
  • 日常生活のケア
  • ご家族へのケア

ICUに入室している患者さまは、手術前後や重篤な状態にあり、意識がないケースも珍しくありません。

そのため、ICU看護師は患者さまのわずかな兆候も見逃さないよう、細かなモニタリングと管理を行ないます。

ICU看護師は、常に患者さまのベッドサイドで医療機器のモニタリングや全身状態を観察します。

患者さまの容態に変化がある場合には、迅速に医師へ報告したり、薬剤師などと連携を取ったりしなければなりません。

ICU看護師の人員配置

厚生労働省の「集中治療室(ICU)における安全管理指針」では、ICUでの安全な医療提供を確保するため、看護師の人員配置を定めています。

この指針によると、ICUでは患者さまの重症度等に応じて、患者さま2人に対し1人以上の看護師を常に配置しなければなりません。

また、同指針では事故防止に配慮して、以下のような勤務体制を整えるよう定めています。

・新人や部署異動直後の職員に対しては、医療安全に関する初期研修を提供すること

・職場内教育においては、経験者と組み合わせるなどの工夫をするとともに、現場での指導・監督が可能となる人員配置等の余裕ある人事管理を行うこと

・特に夜間など人員が少ない際には適切な人材を配置するように留意すること

引用元:厚生労働省|集中治療室(ICU)における安全管理について

このように、ICU看護師になる場合には、研修やフォロー体制が整えられていることが多く、初めてICUに配属しても、すぐに2人の重症患者を1人でみることはあまりないでしょう。

ICU看護師の平均年収

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、令和5年度における看護師の平均年収は508万1,700円ですが、ICU看護師に特化した平均年収のデータはありません。

とはいえ、職場によってはICU勤務で危険手当や手術室等勤務手当などの特殊業務手当がつく場合もあります。

参照元:令和5年度賃金構造基本統計調査

また、ICU看護師は一般病棟の看護師に比べ、夜勤が多い傾向にあります。

日本医療労働組合連合会の「夜勤実態調査結果」によると、2023年度における看護師の夜勤回数は以下のとおりでした。

勤務形態看護師全体の
平均夜勤数
2交替4.28回 ※月4.5回以上は39.4% (ICU・CCU等44.2%)
3交替7.75日 ※月9日以上は27.5% (ICU・CCU等56.2%)

※看護師等の人材確保の促進に関する法律の基本指針に抵触する夜勤数

「看護師等の人材確保の促進に関する法律の基本指針に抵触する夜勤数」を、ICUやCCUなどでみると、3交替で44.2%、2交替で56.2%にものぼります。

ICU看護師は夜勤回数が多い分、夜勤手当もつきやすくなり、一般病棟の看護師に比べて収入が多くなる可能性があるでしょう。

参照元:日本医療労働組合連合会|2023年度夜勤実態調査結果

関連記事:ICU看護師の年収は約520万円!病棟より高い理由3つや向いている人を解説

ICU看護師に向いている人の特徴

  • ICU看護師に向いている人は、以下のとおりです。
  • 観察力があり、的確なアセスメントができる人
  • 非常時でも、迅速かつ冷静に対応できる人
  • 勉強熱心で成長意欲の高い人
  • チームで協力できる人
  • 人を支えたい想いの強い人
  • ストレス耐性がある人

それぞれ解説します。

観察力があり、的確なアセスメントができる人

ICU看護師は、少しの変化も見逃さない観察力があり、的確なアセスメントができる人が向いています。

対応する患者さまは集中治療により鎮静が必要な場合もあり、自分で訴えることができないこともあるでしょう。

モニタリングやデータの変化、些細な患者さまの反応を素早くキャッチし、アセスメントしたうえで多職種へ連携がとれるスキルがあると、ICUで活躍しやすくなります。

非常時でも、迅速かつ冷静に対応できる人

非常時でも、迅速かつ冷静に適切な対応ができる人は、ICU看護師に向いているといえます。

ICUは、全身管理が必要で状態の不安定な重症患者さまが多く、急変などが起こる可能性が高いです。

直接患者さまの命に関わることもあるため、どのような事態でも冷静に素早く対応できる精神力をもつ人は活躍できるでしょう。

勉強熱心で成長意欲の高い人

ICUは、救急看護や高度医療などの専門知識が必要な分野であるため、勉強熱心で成長意欲の高い人に向いています。

現場では全身管理のほか、さまざまな医療機器の知識・技術も必要です。

特に、集中治療を行なうICUでは、最先端の医療機器を導入していることも少なくありません。

医療機器をはじめ、技術やケアは日々アップデートされているため、学ぶ意欲がある人は、進化していく医療にもついていけるでしょう。

チームワークを大切にして協力できる人

ICUは、チーム医療を行なう現場であり、連携をとれる看護師の方は向いているでしょう。

ICUには内科や外科など、領域を問わずさまざまな患者さまが入院するため、スタッフ間の情報共有がとても重要です。

多職種回診が行なわれるICUも多く、医師や看護師のほか、薬剤師・理学療法士・管理栄養士・臨床工学技士などチームで患者さまをみています。

モニタリングの変化から必要な職種につなげていくことが、ICU看護師にとって重要な役割です。

誰かを支えたい、想いの強い人

誰かを支えたい想いが強い人も、ICU看護師に向いています。

ICUでは患者さまはもちろんのこと、大切な家族の状態が不安定で心配している、ご家族の方に対しても、精神的な支援が求められます。

また、チーム医療の現場では、同僚や多職種へのサポートが必要となるケースも出てきます。

誰かを支えたい気持ちがある人は、ICU看護師にやりがいを感じられるでしょう。

ストレス耐性がある人

ICUでは、生命の危機に瀕した患者さまを担当したり、急変や緊急入院・手術などに対応したりと、緊迫した状況が日常的にあります。

こうした状況下では、ストレス耐性がある看護師が向いているといえるでしょう。

状態が不安定で、急変リスクの高い患者さまを担当するときには、緊張感が続く状況もあるため、ICU看護師はうまく切り替えてストレスに対処していくことが大切です。

ICU看護師に向いていない人の特徴

以下の特徴をもつ人は、ICU看護師に向いていないかもしれませんが、苦手なことや考え方を変えることで、ICU看護師として活躍できる可能性はあります。

  • 勉強が苦手な人
  • プレッシャーに弱い人
  • 患者さまと長期的に関わりたい人

それぞれ解説します。

勉強が苦手な人

勉強が苦手な人は、ICU看護師として働くことに困難を感じる可能性があります。

ICUでは、先進医療技術を駆使して治療を行うため、看護師は日々進化していく医療やそれに伴う看護技術、医療機器の操作などに対応していかなければなりません。

また、ICUにはさまざまな疾患の患者さまが入室しています。

ICU看護師は、これまでに対応したことがない症例を担当することもあるでしょう。

モニタリングや処置などを的確に行なうために、日々の学習が重要になります。

一般病棟と比較して、先輩看護師から、ゆっくりと指導を受けることは難しく、自ら学ぶ姿勢がとても大切です。

プレッシャーに弱い人

集中治療を行なうICUでは、緊迫感のある場面も多いため、プレッシャーを感じやすい人はICU看護師に向いていないかもしれません。

ICUの状況や仕事に慣れるまでは、緊急時にうまく対応できなかったり、スピードについていけなかったりするかもしれません。

プレッシャーに潰されやすい人は精神的に疲れてしまう可能性があり、まずは一般病棟で経験を積み、自分の得意分野を見極めるのも一つの方法です。

患者さまと長期的に関わりたい人

一般的に、ICUの平均入院日数は3~4日の場合が多く、患者さまと長期的に関わることは難しいでしょう。

集中治療が必要な患者さまを対象とするICUでは、一般病棟よりも入院期間が短くなります。

時間をかけて患者さまとコミュニケーションを図りたい人や、病状の変化に合わせてじっくり関わりたい人は、内科や慢性期病棟、訪問看護ステーションなどが選択肢の1つとなるでしょう。

まとめ

重症度の高い患者さまが集中治療を受けるICUでは、看護師は全身状態のモニタリングや管理を行ないます。

対応する症例や年齢はさまざまで、ICU看護師は幅広い視野や、知識が必要です。

そのため、ICU看護師は患者さまの急変や緊急入院の際、迅速かつ冷静に対応できる人や、勉強熱心で成長意欲の高い人などが向いているといえるでしょう。

また、医師や薬剤師などとのチーム医療が重要なため、チームワークを大切にできる人も向いています。

一方、勉強が苦手な人やプレッシャーに弱い人、患者さまと長期的に関わりたい人は、やりがいをもってICU看護師を続けることが難しいかもしれません。

自分の性格や得意分野、看護師としてどう活躍していきたいかなどを分析し、ICU看護師が選択肢の1つとなるか、よく検討しましょう。

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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