夜勤専従の看護師の年収は600万円?常勤の手取りやきつい理由を解説

公開日:2024/05/16 更新日:2024/05/16
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夜勤専従の看護師は業務負担が大きく、生活のリズムもくずれやすいです。一方で、体や心への負担が大きい分、給与水準が高いことが夜勤専従で働く魅力といえるでしょう。

看護師の方のなかには、高い収入を期待して夜勤専従を検討している方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、夜勤専従の看護師の年収や手取り額、きついと言われる理由について解説します。

最後までお読みいただくと、夜勤専従で働く看護師の給料の平均や、夜勤専従という勤務が生活に与える影響がわかります。「夜勤専従になれば今より高い給料をもらえるかな?」「夜勤専従になりたいけど、体がついていくかな?」などと考えたり悩んだりする看護師の方の参考になれば幸いです。

夜勤専従の看護師の年収は約510万円

夜勤専従の年収は、正社員(2交代制16時間勤務)の場合、約511万円です。内訳は以下をご参照ください。

①所定内給与(月額):31万9,300円 ②夜勤手当:1回3,878円(1時間554円) ※時給:31万9,300円÷144時間=約2,217円で計算 ③賞与:年間85万6,500円   (①×12か月)+(②×9回×12か月)+③=年収510万6,924円

参照元:令和5年賃金構造基本統計調査(一般労働者 職種 第1表)|厚生労働省

なお、日本看護協会が推奨する「夜勤時間は月144時間以内」を参考に夜勤回数は月9回(16時間×9回=144時間)としました。

また、夜勤手当は労働基準法で定められている「割増賃金のみ」の計算です。

そもそも割増賃金とは、労働基準法で「労働者が22時〜5時の間に働く場合、通常勤務の25%増しの賃金を支払う義務がある」と決められている賃金のことです。

夜勤のある病院や施設では、割増賃金のほかに定額の手当を支給したり、割増賃金を含めた夜勤手当を支給したりしています。

そのため、実際の年収は510万円よりも多くもらえる可能性があります。

夜勤専従の看護師の手取りは約25~28万円

夜勤専従で働く常勤の看護師の手取りは、約25〜28万円です。

前項の計算から、夜勤専従の月収(控除前、手当含む)は35万4,202円。手取り額は総支給額の70〜80%であるため、夜勤専従の看護師は約25〜28万円の手取り額です。

夜勤専従の看護師のボーナス

夜勤専従で働く看護師のボーナスの金額は、はっきりとわかる調査がありません。

厚生労働省の調査によると、常勤の看護師のボーナスは85万6,500円であるため、それに近い額が期待できるでしょう。

一方で、夜勤専従の看護師はパートやアルバイトであることも少なくありません。パートやアルバイトの場合は基本的にボーナスがない傾向です。あったとしても、「寸志」と呼ばれる、「ボーナスや給与ではなく、お礼程度の額」が支給されるところもあります。

そのため、夜勤専従になりたい看護師の方は、夜勤専従になることで雇用形態や福利厚生などが変化するのか、一度病院やクリニックに確認しておくと安心です。

夜勤専従の看護師の常勤と非常勤の違い

夜勤専従の看護師は、常勤と非常勤で以下が異なります。

項目常勤非常勤
給与形態月給制日給制または時給制
ボーナスありなし、または寸志
有給常勤看護師と同じ労働時間が30時間未満の場合、労働時間によって決定

給与形態やボーナスの有無などから、常勤のほうが年収は高くなります。夜勤専従になることでより多くの年収を得たい場合は、常勤で働くほうがよいでしょう。

夜勤専従の看護師の過ごし方

夜勤専従の看護師の過ごし方をご紹介します。今回は、多くの病院で導入している2交代制(16時間勤務)の場合です。

あくまでこちらは一例ですので参考になさってください。

夜勤前
時間スケジュール注意点
6:00~起床、身支度、朝食普段と同じ時間に起きることで、生活リズムをくずしにくくなる
11:00~昼食・消化のよい食事をとる ・仮眠の2時間前に食事をとることが望ましい
13:00~仮眠仮眠のポイント ・寝だめをしない(寝すぎない)ほうが生活リズムが整いやすい ・生活リズムを戻すためにも、2時間程度を目安とする ・眠りにつきやすい環境を整えるため、アイマスクや耳栓を使用する ・仮眠がとりづらい場合はゆっくり自宅で過ごし体力を温存する
16:00~出勤情報収集する
夜勤中
時間スケジュール注意点
16:30申し送り、勤務開始カルテ上の情報をふまえて日勤看護師からの申し送りを受ける
19:00~休憩(30分程度)軽食で済ませる
0:00~4:00交代で仮眠(1~2時間程度)うまく仮眠をとるコツ ・なるべくスマホをみない ・自分の睡眠スイッチをもっておく ・手際よく寝支度する
8:00~日勤の看護師が出勤
8:30日勤の看護師へ申し送り・伝えたいことをあらかじめまとめておく ・事実と予測はわけて伝える
9:00~退勤朝日をあびる
夜勤後
時間スケジュール注意点
9:30帰宅、朝食、身支度、自由時間・暴飲・暴食をしない ・過度な活動をさける
13:00仮眠生活リズムをくずさないために短めの仮眠
16:00起床、自由時間リフレッシュの時間を設けて心身を休める
22:00~就寝生活リズムを整えることを意識して普段と同じ時間に就寝する

夜勤前後の過ごし方のポイントは、生活リズムをできるだけ崩さないことです。

夜勤中に仮眠がとりづらい看護師の方もいらっしゃるでしょう。そのようなときでも横になって体を休ませ、体力を温存させることが大切です。

夜勤後もリフレッシュの時間を設けて、体も心も休める環境を整えましょう。

夜勤専従の看護師はきつい?デメリット7つ

夜勤専従は、次のような理由で「きつい」といわれています。

  1. 体調を崩しやすい
  2. ワークライフバランスを保ちにくい
  3. 業務の負担が大きい
  4. 1回の勤務あたりの拘束時間が長い
  5. スキルアップの機会が少ない
  6. 患者さまの状態を覚えられない
  7. 転職しにくいケースもある

それぞれくわしく解説します。

1.体調を崩しやすい

夜勤専従の看護師は、体調管理が難しくなる傾向です。その理由のひとつとして、体内時計がずれることがあげられます。

体内時計がずれることで、睡眠の質が下がったり頭痛や倦怠感など体の不調があらわれたりします。

これの要因のひとつは、睡眠をうながすメラトニンの分泌がストップされるためです。

メラトニンは、一度分泌が止まってから14〜16時間後にまた分泌されて、眠気を引き起こします。

つまり、7時に起床して日光をあびると、21〜23時ごろに再分泌されるということです。

そのため、夜勤明けの翌日にも朝日をあびることで、体内時計がリセットされて体調をくずしにくくなることが期待できます。

夜勤専従の看護師は体調管理が重要です。意識的に日光をあびて体内時計を定期的にリセットしましょう。

夜勤が続くことによる体への影響はこちらの記事でもくわしく解説しているため、ぜひ参考にしてください。

2.ワークライフバランスを保ちにくい

夜勤専従の看護師は、夜間を中心に活動するため、ワークライフバランスを保ちにくいです。

というのも、一般的な会社員と働き方が異なるためです。

夜を中心に仕事をすることで、家族や友人と過ごす時間や趣味の時間が確保しにくくなります。

プライベートの時間を家族や友人と過ごしたいと思う看護師の方にとっては、ワークライフバランスを保つことが難しいといえるでしょう。

3.業務の負担が大きい

夜勤は日中と比べて少ない人数の看護師で患者さまのケアや業務をおこないます。そのため、看護師1人あたりの業務量が増え体に負担と感じやすいです。

また、緊急時の対応や重症度の高い患者さまのケアも少ない人数で対応しなければなりません。

これらが大きなプレッシャーとなり、看護師の方が「きつい」と感じる要因のひとつといえるでしょう。

4.1回の勤務あたりの拘束時間が長い

2交代制の夜勤は、多くの病院が16時間以上の勤務です。

そのため長時間勤務による疲労やストレスから、仕事が終わっても体や心が休まらず「つらい」と感じる看護師もいるでしょう。

疲れやストレスがたまることで、プライベートの時間を楽しく過ごせないこともあるため、夜勤後の過ごし方を工夫しましょう。

5.スキルアップの機会が少ない

夜勤専従では、勉強会や研修は日中におこなわれることが多いことから、スキルアップの機会が少ない傾向です。

勉強会や研修の多くは、日中におこなわれます。こうしたことから、夜勤専従の看護師は、スキルや知識を習得する機会が少なくなりがちです。

ただし、夜勤専従の看護師がまったくスキルアップしないわけではありません。夜勤は少ない人数で患者さまのケアにあたるため、常に多重課題に直面します。緊急入院や、予期せぬ患者さまの急変もあります。そのため、夜勤専従になることで、マルチに動く力や効率よく業務をこなす能力を身につけられるでしょう。

6.患者さまの状態を覚えられない    

夜勤専従のデメリットのひとつとして、患者さまとかかわる時間が、日勤帯の看護師よりも少ないことがあげられます。当然、夜間は患者さまも休まれており、コミュケーションを取る時間もおのずと少なくなります。

それにより「患者さまの普段の状況がわからない」というケースもあります。

看護師として働くうえで患者さまの状況がわからないというのは、患者さまの状態変化を予測できず思わぬ事故につながるかもしれません。

そのため「情報収集の徹底」は、とくに夜勤専従の看護師には不可欠です。カルテ上の情報だけでなく、日勤の看護師との積極的なコミュニケーションが必要となるでしょう。

7.転職しにくいケースもある

夜勤を長くつづけた看護師の転職は、難しいことがあります。その理由は以下のとおりです。

  • 日勤業務への切り替えが難しい
  • 夜勤専従を希望する場合、転職先が限定される
  • 技術面で慣れるまで一時的に不安を感じることがある

このように、夜勤専従の経験がかならずしも日勤業務にそのまま活かせるとは限りません。

そのため、夜勤専従の看護師は転職するのに不利となるケースがあります。

夜勤専従の看護師はラク?メリット5つ

夜勤専従の看護師になることで、以下のメリットがあげられます。

  • 人間関係がラク
  • 高収入を期待できる
  • 日中に活動できる
  • 連休をとりやすい
  • 看護ケア以外の業務が免除される

夜勤専従の看護師は、収入面だけでなく時間的な自由度もメリットです。それぞれくわしく説明します。

人間関係がラク

夜勤は医師や看護師の数が少なく、かかわるスタッフが限られやすいです。そのため、必然的に人間関係のトラブルに巻き込まれにくくなるでしょう。

また、夜勤は少ない人数の看護師で業務をこなさなければなりません。

それぞれが自分の業務に集中しやすいという夜勤独特の環境もトラブルを起こしにくいといえます。

高収入を期待できる

夜勤専従は、日勤のある常勤の看護師よりも高い収入が期待できます。看護師の年収は、夜勤手当や残業手当などの諸手当により代わります。

厚生労働省の調査にもとづいて計算すると、看護師は所定外給与(夜勤手当や残業手当などの諸手当)だけで月3万2,800円です。年間に換算すると39万3,600円です。

こうしたことから、夜勤専従の看護師になると仕事をするたびに手当がつくため、常勤の看護師よりも多くの収入を得られるでしょう。

日中に活動できる

常勤の看護師と比べて、夜勤専従の看護師は昼間の時間を自分のペースで過ごせるでしょう。

この時間を活用して、趣味の活動やリフレッシュにあてられます。ドライブに出かけたり、ゆっくりと休息をとったり、勉強をしたりとさまざまな過ごし方が可能です。
子育てや介護がある方は、日中の時間を有効活用するために、夜勤を選ばれることもあります。

そのため、夜勤専従になることで仕事とプライベートの両立がしやすくなり、充実した生活を送れるでしょう。

連休を取りやすい

夜勤専従の看護師は連休がとれやすいことがメリットです。というのも、夜勤専従の場合、常勤の看護師よりも出勤日数が少ないためです。

日本看護協会は「夜勤は月144時間以内を推奨」としています。多くの病院がこれを守っているため、2交代制の場合の夜勤回数は最大9回です。つまり、月に18日間働く計算となります。

一方、常勤の看護師の場合、年間休日数が平均116.6日であるため、月間休日数は平均で9.7日、出勤日数は約20日です。

このように、夜勤専従の看護師は出勤日数が少ないため、連続した休みをとりやすいといえるでしょう。

看護ケア以外の業務が免除される

夜勤専従の看護師は、常勤の看護師と比べて看護ケア以外の業務が免除されることがあります。

その理由は、夜勤の看護師の負担を軽減したり、委員会の活動が日中であり夜勤専属の看護師は参加しにくい事情があったりするためです。看護ケア以外の業務としては、次のような業務があります。

  • 委員会活動への参加
  • 看護学生指導、記録のチェック
  • 患者さまへの生活指導、退院指導

夜勤専従の看護師は、看護ケア以外の業務が免除される傾向であるため、業務の負担を軽減できるといえるでしょう。

夜勤専従の看護師で高い収入を得る方法

夜勤専従の看護師は、常勤の看護師より高い収入を得られます。ただし、さらに多くの収入を得る方法を知る看護師の方は少ないのではないでしょうか。

そこで、ここでは夜勤専従の看護師が、より高い収入を得る方法をご紹介します。

夜勤回数を増やす

夜勤専従の看護師が高収入を得るためには、夜勤回数を増やすことが早く効果的です。

夜勤の回数を制限する法律はないため、病院で決まりがなければ勤務日数を増やすことは可能でしょう。

ただし、先述したように日本看護協会は健康面への配慮から「月144時間以内の夜勤」を推奨しています。病院のほとんどはこれに則って夜勤回数を決定しているため、自分の勤務する病院の規定を確認してみてください。

夜勤手当が高い職場に転職する

夜勤専従にとって、夜勤手当の額は給料に大きな影響を与えます。

というのも、夜勤専従の場合は働くごとに手当がつくため、夜勤手当が多いほど給料へ反映される額も増えるためです。

たとえば、1回の夜勤手当が1,000円増えた場合、9回の夜勤をおこなうと手当だけで9,000円増えることになります。年収でいうと約10万円プラスされます。

基本給やボーナスが同じ程度であれば、夜勤手当が高い職場に転職することで高収入を得られるでしょう。

基本給とボーナスが高い職場に転職する

夜勤手当が同じ程度であれば、基本給とボーナスが高い職場に転職することで今より多くの収入を得られます。

看護師のボーナスは基本給をもとに計算されるケースがほとんどです。そのため、基本給が高ければ必然的にボーナスもあがります。

今より多くの基本給とボーナスがもらえるかが、より高い収入を得るカギとなるでしょう。

夜勤専従の非常勤を掛け持ちする

夜勤専従のアルバイトを掛け持ちすることも、多くの収入を得るための方法のひとつです。

日本看護協会では、ダブルワークについてはふれていません。

また、夜勤のある病院のほとんどが「自分の病院だけ」で月144時間以内としています。そのため、夜勤専従の非常勤を別の病院で掛け持ちすることで、より多くの収入を得ることが期待できます。

ただし、先述したように夜勤は身体的にも精神的にも負担が大きいため、自分の体調を気遣いながら働き方を考えましょう。

まとめ

夜勤専従の看護師の年収は、約510万円であり、毎月の手取り額は、約25~28万円です。

夜勤専従の看護師は、日勤の常勤の看護師よりも多くの収入を得られるでしょう。さらに、夜勤の回数を増やしたり、ダブルワークをしたりすることでより高い収入を得られます。

ただし、夜勤は少ない人数の看護師で業務をこなしたり患者さまのケアにあたったりするため、身体的もしくは精神的な負担が大きくなりやすいです。

まずは自分が働く病院の夜勤手当の額や夜勤専従になった場合の給与を知るとよいでしょう。その結果、相場より低いときは転職を視野にいれることもひとつの方法です。

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参考サイト・文献

夜勤専従者の「過重負担」を防ぎましょう!|日本看護協会

2023年病院看護実態調査報告書|日本看護協会

令和5年賃金構造基本統計調査(一般労働者 職種 第1表)

眠りのメカニズム|e-ヘルスネット 厚生労働省

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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