訪問看護師の給料は高い?手取りや給料を上げる4つの方法を徹底解説
「訪問看護師の給料は高いの?」「訪問看護師で給料を上げる方法ってあるの?」など、訪問看護師の給料に疑問を持っている方は多いでしょう。
看護師の方の中には、プライベートと仕事を両立させやすい訪問看護師に魅力を感じている方もいるはず。
とはいえ、多くの看護師の方は、訪問看護師の経験がないため、給料や実態など詳しく知らない可能性があります。
そこでこの記事では、訪問看護師の方の給料や実態を解説します。手取りや給料を上げる方法も紹介するため、訪問看護師への転職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
訪問看護師の給料はいくら?
ここでは、訪問看護師の方の平均月収や手取りについて解説します。
具体的な金額を紹介するため、訪問看護師への転職を検討する際に「給料が下がったらどうしよう」と悩んでいる方は、ぜひみてください。
訪問看護師の平均月収は36万7,775万円
日本看護協会が公開している「2021年看護職員実態調査」によると、2021年の訪問看護師の平均月収は36万7,775円でした。
また、厚生労働省が公開した「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、2021年の看護師の平均ボーナス額は85万4,000円でした。
つまり、これらの調査結果から訪問看護師の方の平均年収は、526万7,300円であるといえます。
ただし、訪問看護師の方の給料は、働いている場所により大きく異なります。一般的に、規模が大きくなるほど、給料は高くなる傾向です。ほかにも、経験年数や勤続年数、保有資格など雇用条件により異なるため、ひとつの目安としてください。
訪問看護師の手取りは?
訪問看護師の方は、平均年収である約526万円を全額もらえるわけではありません。
というのも、多くの訪問看護師の方は源泉徴収をおこなうため、税金や社会保険料などが引かれたあとに給料が支給されるためです。
一般的に15%~20%程度が天引きされるため、訪問看護師の方の手取り年収は、約395万円~420万円といえます。
訪問看護師の給料は高い?|他施設の看護師との比較
訪問看護師の方の給料は高いのでしょうか。ほかの施設で働く看護師の方と比較します。
- 病院の看護師
- 介護施設の看護師
- 看護系の教育機関
それぞれ具体的な金額を紹介します。訪問看護師の方の給料実態を把握しましょう。
病院の看護師
先述した資料によると、病院の看護師の平均月収は38万6,046円です。
訪問看護師の方と比較すると、病院の看護師の方が約2万円高いです。年間では、約20万円の差があります。
なぜなら、病院の看護師の方は、夜勤業務をおこなうためです。夜勤業務は、1回あたり1万円前後の手当が支給されます。夜勤手当が多いところでは、1回あたり2万円以上支給されるところもあるでしょう。
訪問看護師の方は、オンコール手当があるものの、夜勤手当はありません。この手当の違いが、年間20万円の差を生む理由のひとつといえます。
介護施設の看護師
介護施設の看護師の平均月収は、34万6,236円です。
介護施設の看護師の方と比較すると、訪問看護師の方が約2万円高いです。
その理由は、介護施設の中には、入居者さまの要介護度や医療のニーズが低い場合、看護師が夜間いなくても問題のない場合、医療的なケアが少ない場合があるためと考えられます。
看護系の教育機関
看護系の教育機関で働く看護師の方の平均月収は、40万6,168円です。
訪問看護師の方よりも、約4万円高い傾向です。看護師の方が働く場所のうち、給料が最も高いのは看護系の教育機関でした。
看護系の教育機関には、専門学校や大学の先生、小学校の養護教諭などが含まれます。看護系の教育機関で働く場合、多くは公務員扱いとなるため、給料が高くなるのかもしれません。
訪問看護師が給料を上げる4つの方法
ここでは、訪問看護師の方が給料を上げる以下の4つの方法を解説します。
- オンコールの回数を増やす
- 資格を取得する
- 管理職になる
- 規模が大きい事業所に転職する
4つの方法を実践し、給料アップを実現しましょう。
オンコールの回数を増やす
訪問看護師の方は、オンコールの回数を増やすと給料が上がる可能性があります。
また、1ヶ月あたり4~8回オンコールを担当します。1回あたりの手当は、以下の通りです。
オンコール1回あたりの手当 | 割合 |
1,000円未満 | 6.6% |
1,000円~2,000円未満 | 34.2% |
2,000円~3,000円未満 | 31.0% |
3,000円~4,000円未満 | 10.1% |
4,000円以上 | 7.9% |
その他・未回答 | 10.1% |
出典元:訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業|一般社団法人 全国訪問看護事業協会(四捨五入しており合計100%にはならない)
訪問看護ステーションのオンコールは、多くの場合は専用の携帯電話を持ち帰って自宅待機となります。普段通りの生活を送っても問題ありません。
とはいえ、電話がかかってきた際にすぐに対応できるように「事業所から〇Km以内で待機」「電話がきて〇分以内で迎える場所で待機」と条件を設定する事業所があります。
休日や夜間に利用者さまから連絡があった際に電話対応、もしくは状態を確認するために緊急訪問を実施し、利用者さまの自宅でケアする場合もあります。
緊急訪問に対応すると、緊急訪問手当が支給される場合があります。緊急訪問を実施する訪問看護ステーションは、全体の71.6%です。
利用者さまから電話がない場合は、業務は発生しません。
ただし、オンコール待機では行動が制限され、精神的なストレスがかかる恐れがあります。そのため、オンコールの回数を増やしすぎないように注意しましょう。
資格を取得する
資格を取得すると、給料アップが期待できます。
働いている訪問看護ステーションが、どの分野に特化しているのか、どのような疾患のある利用者さまが多いのかなどを把握しましょう。
というのも、訪問看護ステーションが必要とする資格であると、給料アップに反映されやすいためです。
たとえば、褥瘡ケアの機会が多い場合は皮膚・排泄ケア認定看護師、精神科訪問看護の利用者さまが多い場合は精神看護専門看護師(リエゾンナース)などの資格が挙げられます。
給料アップを実現したい方は、訪問看護ステーションに必要な資格の取得を目指しましょう。
管理職になる
訪問看護ステーションの管理職になるための条件は、大きくわけて3つです。
- 看護師または保健師の資格を保有している
- 専従かつ常勤で勤務できる
- 医療機関で一定期間以上の勤務経験がある
多くの看護師の方にとって、これらの条件をクリアすることは難しくありません。管理職になると、事業の経営もおこなうため、努力次第では大幅の給料アップが見込めるでしょう。
ほかにも、スタッフのマネジメント業務を担ったり、地域の施設や医療機関との連携を図ったりなど、管理者の業務は幅広いといえます。
規模が大きい事業所に転職する
事業所の大きさにともない、看護師の方の給料は増える傾向です。訪問看護ステーションでも、同様の傾向であるとえます。
とはいえ、訪問看護ステーションの看護職員は、5人未満の事業所が全体の53%であり、大きい事業所は少ないです。
そのため、設置主体が大きく、経営が安定している病院を選ぶと給料アップが期待できるでしょう。訪問看護ステーションの設置主体は以下の通りです。
設置主体 | 割合 |
医療法人 | 34.7% |
営利法人 | 31.5% |
社会福祉法人 | 7.4% |
医師会 | 6.0% |
看護協会 | 3.6% |
その他の社団・財団法人 | 7.0% |
協同組合 | 3.8% |
地方公共団体 | 2.1% |
特定非営利活動法人 | 1.6% |
その他 | 2.6% |
出典元:訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業|一般社団法人 全国訪問看護事業協会(未回答は0.3%)
医療法人が運営する病院に併設される形で訪問看護ステーションを設置しているケースが多いです。
転職を検討する際は、医療法人が運営しており、かつ規模が大きい訪問看護ステーションを選べると、給料アップしやすいでしょう。
訪問看護師は今後給料が上がるの?
訪問看護師の方は、今後給料が上がる可能性があるといえます。
というのも、日本では高齢化が進んでおり、訪問看護師の需要が高まっているためです。内閣府の調査によると、2023年10月1日時点での高齢化は29.0%です。
今後、さらに高齢化は進行し2070年には38.7%に達し、2.6人に1人が65歳以上になると推測されています。
この現状に対応するために、医療政策として、病院での診療から在宅療養へのシフトが進められています。在宅療養では、訪問看護師の存在が欠かせません。
そのため、訪問看護師の方の給料は、今後上がる可能性があるといえます。
これから給料が上がる訪問看護師に転職しよう
訪問看護師の平均月収は36万7,775円、平均年収は526万7,300円です。
ほかの場所で働く看護師の方と比較し、訪問看護師の方の給料は高いとはいません。さらに、規模が大きい事業所も少ない現状です。
ただし、高齢化の進行にともない訪問看護ステーションに需要は高まるといえます。今後、給料アップが期待できるでしょう。
高い給料を得たい方は、訪問看護ステーションを選択するのも一手です。
参考サイト・文献
訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に 関する調査研究事業|一般社団法人 全国訪問看護事業協会
「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。