訪問看護師として働くメリット・デメリットとは?|仕事の特徴も解説
訪問看護師として働きたいと考えてはいるものの、働き始めて後悔しないためにメリット・デメリットを知りたい方もいるの訪問看護師は労働時間の調整がしやすく、利用者さまとじっくり向き合えるなどメリットがあります。一方、病院勤務とは異なる環境で仕事をするため、デメリットに感じることも少なくありません。
本記事では仕事の特徴とやりがいやメリット、大変なところやデメリットについて解説していきます。向いている人、向いていない人も紹介しますので、就職や転職をして後悔したくない方は、ぜひ参考にしてください。
訪問看護師とは
訪問看護師とは、利用者さまが住んでいる自宅や施設などを訪問し、療養上のお世話や医療処置などを行う看護師です。病気や障害があっても、住み慣れた自宅や地域で生活できるように利用者さま・ご家族をサポートする役割があります。
訪問看護師のおもな仕事は、健康状態の観察や医師の指示による医療処置、ターミナルケアなど多岐にわたります。「その人らしい生活」を支援できるため、やりがいを感じられる仕事といえるでしょう。
訪問看護師のメリット
訪問看護師のメリットは、おもに以下の4つです。
- 労働時間が調整しやすい
- 一人の利用者さまとじっくり関われる
- 基本的に夜勤がない
- 土日休みの事業所が多い
労働時間が調整しやすい
訪問看護師は日勤メインの仕事で、フルタイムのほかパート勤務や時短勤務など柔軟な働き方ができる事業所が多い傾向にあります。そのため、労働時間を調整しやすいメリットがあります。
直行直帰体制の事業所であれば、自分の家から直接利用者さま宅を訪問し、必要な看護ケアを提供したあとは自宅へ帰宅することも可能です。基本的に決められた時間単位で利用者の自宅を訪問するため、残業も少なめです。
一人の利用者さまとじっくり関われる
訪問看護では一人の利用者さまのために、じっくり看護を提供できる時間が確保できます。
利用者さまが住み慣れた環境で看護を提供できるため、得られる情報も多くなります。ご家族とコミュニケ-ションをとる機会も多く、ご本人からは聞けなかった重要な情報を得られることもあるでしょう。そのため、より利用者さまに必要とされる看護を導きやすくなります。
基本的に夜勤がない
訪問看護は基本的に夜勤がありません。生活リズムが崩れにくいため、体力的に夜勤がつらいと感じている場合、選択肢の一つになるでしょう。
ただし、施設内訪問看護師は夜勤が必要なところもあります。施設内訪問看護師とは、有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅などに入居する方を訪問して、看護を行う職種です。夜勤が苦手な方は、勤務条件をよく確認しましょう。
土日休みの事業所が多い
訪問看護ステーションは、土日休みの事業所が多い傾向にあるため、プライベートの予定が立てやすくなります。カレンダー通りの休みを取りたい方や、休日は家族との時間を確保したいといった方などは、働きやすい職場だといえるでしょう。
訪問看護師のデメリット
訪問看護師のデメリットは、おもに以下の6つです。
- 一人で訪問するプレッシャーがある
- オンコール対応がある
- 教育や研修プログラムが少ない
- 高度な医療処置スキルを発揮する場面は少ない
- 体力を必要とする
- 人間関係が大変だと感じる
それぞれ詳しくみていきましょう。
一人で訪問するプレッシャーがある
訪問看護は利用者さまの自宅に一人で訪問し、サービスを提供します。病棟勤務のようにすぐ周囲のスタッフに相談できず、自分一人でアセスメントや処置を行うため、プレッシャーを感じるときもあります。
実際には、管理者や他の看護師に電話やチャットで相談できる事業所がほとんどです。また、主治医に連絡し指示を仰ぐこともできます。すべての対応を自分だけでするわけではないので、対応に迷ったときは適切に相談することが大切です。
オンコール対応がある
訪問看護には、オンコール当番があります。電話相談に対応したり、体調に異常がみられた際は訪問したり、状況によっては救急搬送を要請したりするケースもあります。
事業所により頻度は異なりますが、月に数回担当するのが一般的です。当番の日はいつ電話がくるかわからないため、気持ちが休まらないこともあるでしょう。
また、オンコール当番で夜間訪問した場合でも、翌日は日勤で働かなければならないケースもあります。訪問看護で働きたい方は、オンコール当番の回数や緊急訪問の頻度、手当などを事前に確認しておきましょう。
教育や研修プログラムが少ない
訪問看護ステーションは、教育や研修プログラムが充実していない傾向にあります。小規模経営では人員に余裕がないため、先輩看護師に同行して手順や方法を学んだり、注意点を教えてもらったりしながら、一人で実践できるように経験を重ねます。
教育が充実していない場合、日本訪問看護財団のeラーニング研修や、各都道府県看護協会の研修などを活用し、学びを深めるのも一つの方法です。
eラーニングは、訪問看護の概論や展開論、在宅で行われる医療処置の知識や技術について学べる内容になっています。
参考:訪問看護eラーニング~訪問看護の基礎講座~/日本訪問看護財団
高度な医療処置スキルを発揮する場面は少ない
訪問看護の利用者さまは、比較的状態が落ち着いている方が多く、高度な医療処置は少なめです。
末期がんや難病の利用者さまは、人工呼吸器の管理やCVポートの管理など医療処置が多めですが、基本的に内服管理やおむつ交換など、日常生活の支援が中心です。
急性期医療に携わっていた看護師の方は、物足りなさを感じる可能性が考えられます。医療処置のスキルに対して、継続的なアップデートが難しい場合もあるでしょう。
体力を必要とする
訪問看護師は、体位交換やオムツ交換などを一人で行わなければならず、体力が必要です。看護師一人での訪問看護が困難な場合は、複数名で行う場合もありますが、基本は一人なので、身体的な負担を感じる場合があります。
また、利用者さまの自宅は病院のように整った環境ではないため、清潔ケアなどの際、腰に負担がかかる姿勢で介助を行わなければならないケースも少なくありません。
さらに、利用者さまの自宅や施設には、炎天下や悪天候の日でも訪問しなければならず、自転車や徒歩の移動には体力が必要です。
人間関係が大変だと感じる
訪問看護はさまざまな人と関わるため、人間関係が大変だと感じることもあるでしょう。利用者さまの中には、訪問看護の理解が得られず処置を拒む方もいます。その場合、対応の難しさを感じるときがあります。
主治医やケアマネジャー、他事業所のスタッフとの連携も大切です。利用者さまは他の介護サービスを利用している場合もあるため、体調に変化がみられた場合は、タイムリーに情報提供する必要があります。
職場内の人間関係が大変だと感じるケースもあります。とくに小規模の事業所の場合、限られた人数でトラブルがあると、居心地の悪さを感じてしまうでしょう。日頃からスタッフ間のコミュニケーションに配慮し、関係性を作ることが大事です。
訪問看護師に向いている人・向いていない人
訪問看護師に向いている人、向いていない人の特徴をみていきましょう。
向いている人のタイプ
訪問看護師に向いているのは、以下の3つの特徴がある人です。
- コミュニケーションが得意である
- 生活に寄り添った看護をしたい
- 地域医療に興味がある
訪問看護師は利用者さまやご家族、医師やケアマネジャーなど多くの人と良好な人間関係の構築が大切なため、コミュニケーションが得意な人に向いているといえます。また、訪問看護は、生活に寄り添った看護を行いたい方に向いています。病院と異なり、利用者さまの暮らしを重点とし、それぞれの価値観を大切にしたかかわりが必要です。
訪問看護師は、関係機関との連携の中でリーダー的な役割を求められるため、地域医療に貢献したい方に向いているでしょう。
向いていない人のタイプ
訪問看護師に向いていない人の特徴は、以下の3つです。
- 急性期医療に関わりたい
- 年収を下げたくない
- 衛生面が気になる
訪問看護では比較的状態の安定した方の援助が中心であるため、急性期医療に関わりたい人は物足りなさを感じるかもしれません。また、訪問看護師は夜勤手当がなく、総合的にみて年収は下がる傾向にあるため、年収を下げたくない人は不満に感じる可能性があります。
訪問看護を利用している人の自宅状況はさまざまで、病気や高齢者世帯では家事が行き届かないところもあります。潔癖症の人や衛生面を気にする方には向いていないでしょう。
以下の記事に訪問看護師に向いている・向いていない人の特徴についてより詳しく書いていますので、そちらも参考にしてみてください。
関連記事:訪問看護師に向いてる人とは?向いている人の特徴7選とその理由、向いていない人の特徴も解説!
まとめ
超高齢化社会を控え、訪問看護師のニーズは高まり続けています。一人ひとりに寄り添った看護ができ、ワークライフバランスが整いやすいなどメリットがあります。利用者さまから直接感謝の言葉をいただく機会も多く、やりがいを感じられる仕事です。看護師として長く働きたい場合は、キャリアの選択肢の一つになるでしょう。
ただし、訪問看護師は向き不向きがあります。就職や転職を希望する際は、自分の特徴を分析し検討するようにしてください。
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