看護師になるには?資格や学校、スキルまで完全ガイド【2025年度最新版】

超高齢社会が進む日本では、医療や介護の現場で活躍する看護師のニーズが高まっています。病気や障害を抱える方、介護を必要とする方など、さまざまな人を支える看護師は欠かせない職種です。
この記事では、看護師になるにはどうすれば良いのか、その具体的なステップや必要な資格、求められるスキルなどをわかりやすく解説します。高校生・社会人問わず、看護師を目指している方にとって役立つ情報をまとめました。「看護師になりたい」という思いを現実にする第一歩として、ぜひ最後までお読みください。
看護師になるにはどうすればいい?3つのステップを解説
まずは看護師になるための過程を、下記の3つのステップに分けて解説していきます。
- 看護専門学校もしくは大学に入学する
- 看護専門学校や大学を卒業
- 国家試験に合格して看護師免許を取得
それぞれ段落ごとにみていきましょう。
看護専門学校もしくは大学に入学する
看護師になるためには、まず看護専門学校や短期大学、4年生大学の看護学科などに入学しなければなりません。
中学卒業後、最短で看護師になる道を目指す場合、5年制一貫教育課程の学校に行く道もありますが、高校生の段階では看護師になるかどうか決めていない学生も多いでしょう。そのため、高校を卒業した後に3年制の看護専門学校に行く道か、4年制大学の看護学科に行く道の2種類が多い傾向です。
看護学校の選び方|専門学校と大学どっちがおすすめ?
看護師になりたいという高校生の中には、専門学校と大学のどちらにするか悩んでいるという声もしばしば聞かれますが、どちらに行っても看護師になるという道であることには変わりはありません。
4年制大学の場合、看護師になるための勉強と合わせて保健師の学習もするため、保健師資格の取得も可能です。そのため将来的に看護師だけでなく、保健師としての資格を活かして働きたいという方には、4年制大学の方がおすすめです。
ただし4年制大学は3年制の専門学校よりも、1年長く学生生活を送る必要があり、専門学生よりも現場に出るのが遅くなります。また専門学生としては、1年早く大学生よりも働けるのはメリットともいえるでしょう。
どちらにもメリットとデメリットがあるため、どんな道を目指すか考えて学校を選ぶようにしましょう。
看護専門学校や大学を卒業
看護専門学校や大学に入学後は、看護や薬理、医学や心理学などのさまざまな科目の勉強をして期末試験を受けて単位を取得する必要があります。
また座学だけではなく、開始時期は大学か専門学校かによって異なるものの、1年制の夏終わり頃からは(※専門学校の場合)看護実習に行かなければなりません。
次の章で解説しますが、看護師になるのに必要な看護師国家試験を受験する資格として厚生労働省は「看護師になるのに必要な学科を修めて卒業した者」を要件としています。
そのため看護師になるには大学や専門学校へ入学後、多くの勉強や実習を乗り越えて単位を獲得し卒業する必要があります。
国家試験に合格して看護師免許を取得
実習を終えて単位を取得したら、看護師資格を取得するための国家試験に臨みます。看護師国家試験の実施時期は毎年異なりますが、卒業年度の2月中旬が一般的です。
参考までに第113回(2023年度)の看護師国家試験は、2024年2月11日に試験が行われる予定で、2024年3月22日の午後2時にホームページか受験地にて、受験番号を確認する形で合否を確認するという流れです。
この試験に合格して看護師免許を取得すると、看護師として働けるようになりますが、看護師国家試験は受験を終えて合否の確認をするだけで終わりではありません。合格だと確認した後に看護師免許の申請をして受理される必要があります。
心身の状態を確認するための健康診断を受けて、申請のための書類を揃えたら保健所や県庁などへ書類を提出します。
その後郵送で通知が届いたら、保健所や県庁へ資格証を取りに行くという流れです。
3月に合否がわかり、その時点で申請をしてから2〜3カ月要するため、一般的な入職月である4月に間に合わないケースがほとんどですが、申請後は希望すれば登録済証明書を発行できます。
詳しくは厚生労働省のページをご確認ください。
看護師を目指せる学校の種類と選び方
看護師を目指せる学校にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴やメリットが異なります。
- 4年制の看護大学の特徴とメリット
- 3年制の看護短期大学・専門学校の特徴とメリット
- 5年制一貫教育課程校について
- 社会人から看護師を目指すルート(再進学)
自分の状況や将来の目標に合わせて、最適な学校を選ぶことが大切です。ここでは、看護師を目指せる学校の種類と特徴、選び方のポイントを紹介します。
4年制の看護大学の特徴とメリット
4年制の看護大学では、看護師資格と学士の学位を取得できます。専門知識や技術に加えて、研究や国際的な視点も養うことができるのが特徴です。メリットには、次の点が挙げられます。
- 幅広い知識と教養:看護専門科目と一般教養科目を学ぶため看護を捉える力が身につく
- キャリアの選択肢の広がり:将来的に大学院進学や研究職、教育職など臨床以外の分野で活躍できる
- 認定看護師や専門看護師への道:大学での学習経験が役立つ
- 初任給や昇給の優遇:病院によっては大卒者に対して初任給や昇給で優遇される
ほかにも、大学のカリキュラムによっては、保健師や助産師といった国家資格の受験資格を得られるメリットがあります。専門性と広い視野が評価されるため、多様な進路が選べる可能性が高まるでしょう。
3年制の看護短期大学・専門学校の特徴とメリット
3年制の看護短期大学や専門学校では、看護師になるための実践的な知識と技術を効率的に学べます。短期間で資格取得を目指せるのが特徴です。メリットは次のとおりです。
- 実践的なカリキュラム:実習の機会も豊富で現場で活かせるスキルを習得できる
- 短期間での資格取得:3年間で国家試験の受験資格が得られるため早く現場で働きたい方に適している
- 経済的な負担の軽減:大学に比べて通学期間が短く学費を抑えられる
- きめ細やかな指導:少人数制の学校では、教員からのきめ細やかな指導を受けやすい
現場に必要な実践力を短期間で身につけたい方に向いています。即戦力として活躍できるスキルを養えるでしょう。
5年制一貫教育課程校について
5年制一貫教育課程校は、中学卒業後すぐに看護師を目指せる課程です。高校卒業と同時に看護師国家試験の受験資格が得られるイメージです。メリットには、次のような点が挙げられます。
- 早期からの専門教育:中学卒業後すぐに専門教育を受けられるため、将来の目標が明らかな方に向いている
- 一貫した教育:一貫したカリキュラムで看護を学べる
- 学費の負担軽減:大学や専門学校に比べてトータルの学費が抑えられる
早い段階から専門的な内容を学べるため、自分の将来像を描きやすくなります。目指す姿がはっきりしている人にとっては、集中して学べる環境といえるでしょう。
社会人から看護師を目指すルート(再進学)
社会人からの再進学では、おもに3年制の看護短期大学や専門学校を選ぶ方が多い傾向です。次のようなメリットがあります。
- 社会人経験:コミュニケーション能力や問題解決能力などの経験が活かせる
- 明確な目標:看護師になりたいという強い意志を持って学ぶためモチベーションを維持しやすい
- 給付金や奨学金制度の活用:自治体や各学校が社会人向けの給付金や奨学金制度を設けている場合がある
自分のライフスタイルや学習方法、将来の目標を考えて、最適な学校を選びましょう。気になる学校があれば、オープンキャンパスや個別相談で、詳しい情報を得ることをおすすめします。
看護師の主な仕事内容
看護師の仕事は多岐にわたり、働く場所によってその内容は大きく異なります。
- 病棟看護師
- 外来看護師
- 手術室看護師
それぞれの部署には専門的な役割があり、看護師は患者さまの命と健康を守るために尽力しています。ここでは、働く場所ごとの看護師の仕事内容について解説します。
病棟看護師の仕事
病棟看護師は、入院している患者さまの療養生活全般をサポートしています。24時間体制で患者さまをケアするため、交代勤務が基本となります。おもな仕事内容は次のとおりです。
- バイタルサインの測定と状態観察
- 点滴・投薬・処置の実施
- 検査・手術の準備と付き添い
- おむつ交換や入浴介助などの日常生活の援助
- 退院支援・ご家族への説明
- カンファレンス・記録
病棟看護師のケアは患者さまの回復に大きく影響し、安心して入院生活を送るために欠かせません。さらに、詳しい仕事内容については下記の記事で解説しているため、チェックしてみてください。
関連記事:病棟看護師とは?役割と7つの種類、外来看護師との違いを解説
外来看護師の仕事
外来看護師は、病院を受診する外来患者さまへケアを提供します。一般的に日勤のみの勤務で、予約制のところが多い傾向です。おもな仕事内容は次のとおりです。
- 患者さまの案内と誘導
- 問診と身体計測
- 医師の診察介助
- 検査の介助と説明
- 点滴・投薬・処置の実施
- 生活指導と服薬指導
患者さまが最初に接する存在として、看護師は病院の印象を左右する大切な役割を担います。限られた時間のなかで、的確な対応と安心感を与えることが求められます。
手術室看護師の仕事
手術室看護師は、手術が安全かつ円滑に進行するようサポートする重要な役割を担っています。業務は『器械出し看護師』と『外回り看護師』にわかれておこないます。
<器械出し看護師>
- 手術器械の準備と管理
- 医師への器械渡し
- 器械カウント
<外回り看護師>
- 患者さまの入室と退室準備
- 手術環境の管理
- 医師や麻酔科医の補助
- 記録業務
手術室看護師は、高い集中力と冷静な判断力、そしてチームワークが求められる専門性の高い仕事です。手術室看護師の仕事内容について、さらに詳しく知りたい方は下記の記事を読んでみてください。
関連記事:手術室看護師に向いている人とは?オペナースの仕事内容や向いていない人の特徴も解説
病院以外にも広がる看護師の活躍の場
看護師は病院だけでなく、地域医療や高齢化社会のなかでも必要とされており、さまざまな場所で専門性を活かして活躍しています。
- クリニック・診療所
- 訪問看護ステーション
- 介護施設
- 企業・学校の医務室
- その他(研究機関、行政機関など)
ここでは、看護師がどのような役割を担い、患者さまや地域社会に貢献しているか、具体的な仕事内容を詳しくご紹介します。
クリニック・診療所
クリニックや診療所は、地域に密着した医療を提供する場であり、患者さまにとって看護師は身近な存在です。入院施設がなく、軽症の患者さまを対象とすることが多い傾向です。おもな仕事内容には、次のようなものが挙げられます。
- 問診や身体計測
- 医師の診察のサポート
- 検査と処置の実施
- 健康相談と指導
- 医療器具の準備と管理
クリニックや診療所の規模によっては、受付や会計業務を看護師がおこなう場合があります。日勤が中心で残業が少ないため、ワークライフバランスを重視する看護師にとって魅力的な選択肢です。
訪問看護ステーション
訪問看護ステーションでは、在宅で療養する利用者さまの自宅を訪問し、主治医の指示にもとづいてケアを提供します。近年、住み慣れた場所で暮らしたいというニーズが高まっており、訪問看護の重要性は増しています。おもな仕事内容は次のとおりです。
- 健康状態の観察と管理
- 医療処置の実施
- 日常生活の援助
- 服薬管理と指導
- リハビリテーションの支援
- 精神的ケアと家族支援
訪問看護は、利用者さまとじっくり向き合い、その人らしい生活を支えられるやりがいのある仕事です。訪問看護に興味がある方は「NsPaceCareer」を活用してみてください。あなたの希望に合った求人を多数掲載しています。会員限定コンテンツも無料で見放題のため、転職活動をスムーズに進められます。
介護施設
特別養護老人ホームや介護老人保健施設、有料老人ホームなどの介護施設で看護師は活躍しています。おもな仕事内容は次のとおりです。
- 健康状態の観察と管理
- 医療処置の実施
- 緊急時対応
- 感染症対策
- 介護職員への指導と連携
生活の場である施設で、利用者さまの日々の健康を支える重要な役割を担い、利用者さまが安心して生活できるようサポートします。
企業・学校の医務室
企業や学校の医務室で働く看護師は、そこで働く従業員や学生の健康管理をおこないます。おもな仕事内容は次のとおりです。
- 健康診断の実施と結果管理
- 健康相談と指導
- 応急処置の実施
- 感染症対策
- 職場環境や学校環境の改善
企業や学校の医務室は、日勤が基本で、定時で帰宅できることが多いため、安定した働き方を求める看護師に人気があります。
その他(研究機関、行政機関など)
クリニックや訪問看護ステーション以外にも、看護師の専門知識やスキルを活かせる場は広がっています。おもな職場と仕事内容は次のとおりです。
- 研究機関:看護学の研究や臨床試験のコーディネート
- 行政機関(保健所、保健センター): 地域住民の健康増進、疾病予防、母子保健、精神保健
- 治験コーディネーター(CRC): 新薬開発の治験における被験者のケアや治験スケジュールの管理、データ収集
- 医療機器メーカー:自社製品の導入支援や医療従事者への説明会の開催
このように、看護師はさまざまな場所で人々の健康と生活を支える役割を担っています。興味やキャリアプランに合わせて、最適な活躍の場を見つけましょう。
看護師になるにはスキルが必要?求められる6つのスキル
ここまで基本的な看護師になるためのステップや資格の解説をしましたが、看護師になり働いていくにはいくつかのスキルが必要です。
この段落では看護師に必要とされる6つのスキルを解説します。
ただし、看護師になる前に必ず身に付けなければならないものばかりではなく、働く中で身に付けていけば良いものもあるため、まずはどんなものが必要なのか知っておきましょう。
①コミュニケーション力
看護師として仕事をしていく上で、患者さまやそのご家族はもちろん、先輩や後輩、他職種の方など、さまざまな方とコミュニケーションをとっていく必要があります。
自分から話題を出したり相手を敬ったりなど、ある程度のコミュニケーション力は大切です。
看護実習を1つでも済ませた看護学生であれば、コミュニケーションを取らなければ看護実践は難しいと感じたという方もいるのではないでしょうか。
「自分は人見知りだ」という方でも明るく振る舞うようにするなど、看護師として働きながら苦手を克服するために努力していく必要はあるでしょう。
病院だけでなく、地域で働く訪問看護師やクリニックの看護師など働く場所がたくさんあり、それぞれで求められるスキルは異なっても、コミュニケーションは看護の基本です。
②体力や精神的な気力
看護師の現場は病棟内を歩き回ったり、介助のために患者さまを支えたり抱えたりする場合もあるため、体力的な疲労を感じる人も多いです。
また、患者さまの死を目の当たりにしたり、体調が芳しくない患者さまから辛い言葉をかけられたりすることもあり、精神的な辛さを感じる人もいるでしょう。
体力や精神的な気力は、看護師として長く現場で働くためには必要なスキルといえます。
体力については、入職前に運動習慣をつけるなどして身に付けておくと良いでしょう。
精神的な気力の部分は個々によって異なりますが、看護実習をこなしていったり、現場で働いたりしてからある程度鍛えられた、という看護学生や看護師もいます。
ただし無理して心身ともに壊してしまうのはよくないため、辛い時は周囲に打ち明けて発散したり休息を取ったりするようにしましょう。
③素直に話を聞き入れる力
患者さまや先輩看護師はもちろん他職種からも、たくさんの指摘を受けるケースがあります。
どんな人からの意見であってもプライドを振りかざしたり、「あの人は私たち看護師のことを知らないから」というように立場で差別心を抱えたりせず、素直に話を聞き入れる力が大切です。
ある意味心の余裕とも言えるでしょう。高いプライドを抱えすぎずにどんな立場にも素直に接することができる人は、現場で非常に大切にされます。
④積極性と謙虚さ
積極と謙虚という矛盾している2つの言葉ですが、どちらも重要でバランスよく持っていた方が良いでしょう。
患者さまへ提供する医療ケアは看護師1人で行うものではなく、さまざまな看護師や医師、その他の他職種との連携で行っていくものです。
他職種と連携をとるにあたって協調性ももちろん大切ですが、時には自分が「こうしてみるのはどうか」「こういう案も良いのではないか」と感じたことを伝えてみるというような積極性も大切です。
また、自分で分からないことや不安なことは、「先輩は今忙しそうだし聞きにくいから自分でやってしまおう」と考えないようにしましょう。少しでも不安を感じた場面ではミスを防ぐために、必ず誰か先輩に確認してもらってから実践する必要があります。
そのために看護師として何年経っても、「積極」的に疑問を伝えて解決する力と、傲慢にプライドを持たずに「謙虚」でいる力が重要です。難しいかもしれませんが、働く中でどちらもバランスよく持ち続けるようにしましょう。
⑤明るく振る舞える力
①のコミュニケーション力の章で少し解説しましたが、周囲に対して明るく振る舞える力はとても大切です。
もし人見知りだからといって言葉がうまく出てこなくても、明るく振る舞うことで患者さまを元気付けていたという場合もあるでしょう。
ただし明るく振る舞っている様子が「いつもヘラヘラしている」と受け取られないように注意が必要です。
時と場所を弁えて、明るく振る舞うようにしましょう。
⑥マルチタスクをこなす能力
看護師は1つの仕事をこなすのではなく、さまざまな医療ケアを行い、時には緊急入院を受け入れたり、患者さまの急変対応をするなど、突然のタスクも含めてマルチタスクをこなす必要があります。
1つだけに集中してしまうと、業務が終わらなくなるだけでなく周囲に負担をかけたり、自分自身が残業をしなければならなくなるため働くのが辛いと感じてしまう可能性もあります。
最初は難しいと感じても周囲を頼りにしながら、徐々に仕事に慣れてマルチタスクをこなす能力を身に付けていくようにすると良いでしょう。
看護師になりたい方が抱える疑問を看護師が解決!Q&A
ここからは実際に、看護師を志望している看護学生や高校生たちが、よく抱える疑問を実際の看護師が回答していきます。
<回答者プロフィール>
鬼頭 怜那
(正看護師・産業心理カウンセラー)
小児科総合病院の産科に就職。障害を持って生まれる胎児を身篭る母体の管理の病棟で勤務後、翌年精神科病棟の急性期、慢性期で勤務。さまざまな精神疾患の患者の看護や薬理病理の勉強、身体疾患の患者も多く全身管理も行う。
その後精神科特化の訪問看護ステーションにて勤務。地域で生きる精神科疾患の患者の看護と地域連携、他職種連携を行う。
現在は看護師ライターとして医療記事の執筆や編集を行っている。
Q.看護師になりたいですが、実習が不安です。どうやって乗り越えましたか?
A.看護師になる過程で必須の看護実習ですが、実習先の指導者の看護師が怖い、カンファレンスが不安、アセスメントがわからない、記録が終わらない、など多くの悩みを抱えている看護学生が多いものです。
ただ看護実習は大変ですが、実習を乗り越えるのは精神的にも鍛えられる上、自分の看護観を形作ったり看護師になりたい思いを強固なものにしたりするきっかけにもなります。
実習の乗り越え方は人それぞれですが、同期の看護師たちは目標を掲げるようにしていました。例えば「この実習の最終日に美味しい焼き肉を食べに行こう」「みんなで打ち上げをしよう」のような楽しみとも言える目標を掲げるのも一つの乗り越え方といえます。
また、なるべく辛いと感じた場面や悩んだ場面は、実習グループや担当の教員に打ち明けるようにしましょう。
実習は、一人で乗り越えるものではなく皆で協力しながら乗り越えるものという認識で、支え合いながら頑張ることが大切です。
その経験が、ゆくゆくは「チーム医療」で働く一員としても必ず役立つことでしょう。
Q.社会人ですが、看護師になることはできますか?仕事との両立は可能ですか?
A.社会人から看護専門学校へ編入し、看護師を目指して実際に看護師となった人も同期にいました。
社会人として、仕事をしながら看護専門学校の授業や実習に取り組むことは大変かもしれませんが、看護師になりたいという強い思いを抱えていれば、看護師になれるのではないでしょうか。
実際に社会人経験を経てから看護師となった方は、看護師に身につきにくいビジネスマナーや上司との関わり方などが身についており学ばせていただく場面も多く、とても頼りになりました。看護師としてはぜひ一緒に働きたいと感じます。
Q.実習が辛くて挫けそうなので、看護師として働く中でやりがいを感じた時を知りたいです。
A.辛い実習期間を過ごしていると、看護師になりたいという気持ちよりも辛さの方が勝ってしまい、心が挫けそうになるかもしれません。
看護師として働く中で感じたやりがいは、よく言われることかもしれませんが、「患者さまから感謝されること」がやはり一番だと感じます。
他の科で働く看護師仲間も、感謝されるとやりがいを感じると話している方が多い印象です。
看護学生時代の看護実習でも、受け持ちをした患者さまから「ありがとう」のような感謝の言葉をもらうことがあるかもしれません。その言葉を大切に心に留めておくようにしてください。
その心に留めておいた言葉を辛いときに思い出すことで、きっと辛い実習期間も乗り越えられるでしょう。
Q.どのくらい働けば一人前の看護師だと実感できますか?
それぞれの看護師にとって一人前と感じる基準は異なるため、一概に判断しにくいのが正直なところです。
病院によっては看護師が成長した基準としてクリニカルラダー(JNAラダー)を設けていたり、独り立ちの基準を設けていたりする場所もあるため、それぞれの項目の到達目標を達成できていたら一人前との判断をする方もいるでしょう。
とはいえ看護師にとって一人前というのは難しく、一生一人前とは言えないのではないかとも考えています。
自分が一人前と認めて奢ってしまい高いプライドを抱えてしまって、周囲と衝突して働きにくさを感じてしまっている看護師もしばしば見かけるためです。
一人前になろうと考えて努力するよりも、患者さまにとってより良い看護師となるにはどうすれば良いかと考えていた方が看護師として成長できるのではないでしょうか。
参照:日本看護協会「教育計画」
看護師になるためには知っておきたい3つの注意点
最後に看護師になるためには知っておきたい注意点を、2つ解説します。
ここで紹介する注意点は看護師になってからも常に心得ておきたいことであるため、しっかり覚えておきましょう。
余計なプライドを持たない
看護師として働いていくと、さまざまな知識を得たり臨床現場を見て知識を蓄えていくでしょう。
しかし看護師という仕事は前述のQ&Aの章の通り、何年経っても一人前とは言いにくい業種です。「自分は知っている、見てきたから」というようなプライドや傲慢さを持つようになってしまうと、周囲との関係が悪くなるのはもちろん、自分自身も成長できなくなってしまいます。
気づくと気が強くなり、患者さまにも強く当たってしまうようになっている可能性もあるでしょう。
看護師として長期的に働いていくためには何年経っても奢らずに、後輩の意見も受け入れながら働く必要があります。
看護学生の中にも、プライドを抱えて周囲の意見を受け入れないような方もいるかもしれませんが、看護学生は実習を乗り切るためにも必ず周囲と協力する必要があります。余計なプライドは看護学生の時から手放せるようにしましょう。
先輩や後輩、学校の教師とも良い関係を築くようにする
看護学生の時はもちろん、それ以前の高校生の時にも先輩や後輩、学校の教師が周囲にいるでしょう。
周囲の方々と喧嘩をしたり険悪な関係になったりしていた、という経験がある方は要注意です。
看護師の現場はすぐに周囲に悪い話が広がりやすく、他職種にも伝わりやすいです。
自分が先輩や後輩など周囲の方へ強く当たったり、悪口を言ったことは必ず返ってくるため、トラブルになりやすく、居心地が悪くなってしまうでしょう。
患者さまに最適なケアを提供するためにも、医療従事者同士が良い関係を築くことは医療ケアの基本です。
高校生や看護学生の時から、周囲と良い関係を築けるように心がけてみると良いでしょう。
資格取得後のキャリアパスも意識する
看護師の資格取得はゴールではなく、その後のキャリアをどう描くかが重要です。
病院以外にも、訪問看護ステーションや介護施設など活躍できる場所は多くあります。また、特定の分野の専門性を高める専門看護師や認定看護師、管理職といったステップアップの道もあります。
将来どのような看護師になりたいか、どのような働き方をしたいかを具体的にイメージすることで、勉強する意欲の向上につながり、長期的なキャリア形成に役立つでしょう。自分の興味や適性を見極め、早い段階から情報収集することが大切です。
看護師になるにはさまざまなスキルが必要!働いてからでもOK!少しずつスキルを身に付けていこう
今回は看護師になるにはどうすれば良いのか、看護師になるまでのステップや必要な資格、看護師に求められるスキルを解説しました。さらに知っておくと良い注意点も最後に解説しています。
看護師は地域包括ケアシステムの構築が進む中で、病院の場だけでなく在宅など地域の環境下でも求められており、需要は高まる一方です。
在宅という環境下での看護提供にあたって、柔軟性や思考力など求められるスキルも増えていく傾向にありますが、働いてから身につけることも十分可能です。看護師として働く中で少しずつスキルを身に付けていくようにしましょう。

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