訪問看護師に向いてる人とは?向いている人の特徴7選とその理由、向いていない人の特徴も解説!
病棟で働く方が約7割となっている(※2020年末時点)看護師ですが、働き方が多様化している今、訪問看護師の注目も高まっています。今回はそんな訪問看護師に向いてる人の特徴とその理由、また向いていない人の特徴も解説します。
さらに向いてる看護師になるために知っておくと良い知識も解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
参照:厚生労働省「令和2年_衛生行政報告例_就業医療関係者_概況|表2 就業場所別にみた就業保健師等(実人員・常勤換算数 )」
訪問看護に向いてる人の特徴7選
病院やクリニックなどの医療現場とは異なっている、訪問看護という現場で働くことに向いてる人とは、どのような人を指すのか気になっている人も多いでしょう。
主に向いてる人の特徴は、下記の7つが挙げられます。
- 臨機応変な思考や対応ができる人
- 礼節を弁えている人
- 体力があり移動を苦と感じない人
- 周囲の意見を受け入れられる人
- 経営の視点も持てる人
- 日中の勤務をしたい人
- 地域医療に興味がある人
それぞれ詳しく解説していきます。
1.臨機応変な思考や対応ができる人
在宅という場では、病院のように道具が揃っていなかったり、患者さまの指導が思うようにできなかったりする場合があります。例えば病棟では、看護師が糖尿病の患者さまの血糖を毎食測定し記録できます。またインスリン注射の手技のチェックや食事指導なども可能です。
訪問看護は、決まった時間に、予定されている時間内でケアを行います。
そのため、毎食時に必ず看護師がチェックして記録できるわけではありません。
利用者さま自身によって血糖測定し記録してもらう必要があります。しかし毎食時の血糖値を記録してほしいと伝えても利用者さまが測定や記録を忘れてしまう場合もあるでしょう。また、訪問看護の時間帯によっては、インシュリンの手技のチェックが難しく指導できなかったり、食事の管理も在宅では難しかったりなど、正しい観察や指導ができないケースもあります。
病院のような管理体制や医療機器がない場合にどうすると良いのか、臨機応変な思考や対応ができるのは在宅の現場で非常に重要です。
2.礼節を弁えている人
利用者さまと関わるためには、初対面や訪問時の印象が非常に大切です。特に訪問時に靴を揃える、丁寧な言葉遣いなど、訪問時に不快感を与えないための対応が重要です。
もし失礼な人と受け取られてしまったら「この看護師は来ないでほしい」というように、訪問を断られてしまう場合もあります。
また利用者さまだけではなく、医療・介護の関係者や行政機関などの外部と関わる場面も多いため、病院での勤務以上に礼節を弁えている必要があります。
普段から礼節を弁えて仕事をしている方は、訪問看護の現場でも利用者さまにスムーズに受け入れてもらえるのではないでしょうか。
3.体力があり移動を苦と感じない人
訪問看護ステーションによって移動に使用するものは異なりますが、訪問先を回るためには車や自転車での移動が必要です。
時には長距離の移動となるコースもあるため、ある程度の移動に耐えられる体力をつけておく必要があるでしょう。ただ入職時に体力に自信がなくても、働いているうちにいつの間にか体力がついていたという方もいます。そのため「移動を苦と感じない人」が向いてる人ともいえるでしょう。
4.周囲の意見を受け入れられる人
基本的には1人の利用者さまに対して看護師1人で訪問するケースが多いため、他の看護師が訪問している時の状況を看護記録でしか知ることができません。利用者さまと関わるためには、申し送りやカンファレンスでのスタッフ内での情報共有が必要不可欠です。
しかし情報共有やカンファレンスの際に、自分の考えと他のスタッフが考える看護に対する考えが異なっている場合もあるでしょう。
そういった場合に他のスタッフの意見を1つの意見として受け入れるのも大切です。
また訪問看護の現場では、看護師以外のリハビリ職やケアマネジャーなどの他職種との連携も必要です。
他職種の意見を否定せずに、違った視点の専門家の意見として、尊重し合いながら関わる柔軟性も必要とされるでしょう。
5.経営の視点も持てる人
病棟は経営面に看護師が関わる場面はほとんどないのが一般です。しかし訪問看護ステーションは病院やクリニックなどの医療機関のように、待っていれば患者さまが来るわけではありません。訪問看護ステーションを運営していくためにも、看護師は利用者さまを増やそうと、関連機関への挨拶回りや営業などを行う場面もあります。
「看護以外のことはやりたくない」と思わずに、主体的に経営の視点を持ち、看護以外の場面も重要という思考を持てる人が、訪問看護師に向いてる人といえます。
6.日中の勤務をしたい人
子育てや持病など何らかの事情があり、日中の勤務のみの方が望ましい人は訪問看護ステーションでの勤務が向いているといえます。
ただし、子育てをしている方は子供のお迎えの事情や急病の可能性があったり、持病などがある方は突然の通院が必要な場合があったりします。プライベートの事情は伝えずに働きたいと考えていたとしても、事前に事情を勤務先へ伝えた方が働きやすいケースもあるでしょう。
またオンコール対応が必須となっているステーションもあるため、日勤のみが良いという方は、勤務条件をよく確認して求人を探す必要があります。
雇用形態によっては、オンコールなしでも勤務可能な訪問感看護ステーションもあります。
7.地域医療に興味がある人
訪問看護師は、関係機関を初めとした様々な地域の関係者との連携の中でリーダー的な役割を求められるため、地域医療に貢献したい方に向いています。
様々な方と臨機応変なやりとりが求められるため、特にコミュニケーションが得意な方は地域医療の中でリーダシップを発揮することができ、やりがいを感じることができるでしょう。
訪問看護ステーションで働くのに向いていない人の特徴4選
次に訪問看護ステーションで働くのに向いていない人の特徴を4選紹介します。
主に下記の4つが挙げられます。
- 衛生面が気になる人
- 新しい治療の情報や、新しい医療機器に関わっていたい人
- 夜勤を多くこなしたい人
- 急性期医療に関わりたい人
ただし最初に記載したように、向いていない特徴に当てはまっているからといって、必ずしも訪問看護師として働けないわけではありません。
もし当てはまっていた場合の対策も解説していきます。
1.衛生面が気になる人
訪問看護では利用者さまの生活環境に訪問させていただくため、時には脱いだままの衣類が床においてあったり、食べかけの食事が散らばっていたりすることもあります。
また身体的な病気や精神的な病気など、何らかの理由があって看護師が片付けを手伝う必要がある方もいるでしょう。
人のものに触れられない、床に座れないなどの抵抗感を感じる方は訪問看護師に向いていないといえます。しかしヘルパーが介入している利用者さまの環境は、掃除が行き届いている場合もあるため、潔癖だからといって、すべての訪問先への訪問ができないと言うわけではないでしょう。
2.新しい治療の情報や、新しい医療機器に関わっていたい人
訪問看護ステーションでは、連携する病院やクリニックによって関わる治療や医療機器が異なります。
そのため、大学病院のように、最先端の治療をタイムリーに行うことはあまり多くありません。“常に、最先端の治療や、医療機器に関わっていたい”と思われる方は、訪問看護ステーションでの勤務が向いていないかもしれません。
ただし、利用者さまは、入院して最先端の治療を受け、退院された後のサポートを、訪問看護師が行うこともあります。その場合は、最先端の治療や機器に関して、訪問看護の視点をもって学ぶ機会はあります。
3.夜勤を多くこなしたい人
看護師の中には「夜勤の方が生活リズムに適している」「明けの時間をプライベートに回したい」「手当のために夜勤を多くこなしたい」という方もいます。
基本的には、オンコール対応を求められることがほとんどではありますが、オンコール対応がなく日勤のみの訪問看護ステーションもあります。夜勤を多くこなしたい人にとっては、訪問看護ステーションに転職すると日勤が続く生活に変わってしまうため、生活リズムが合わないと感じる場合もあるでしょう。
ただし最初は日勤のリズムが体に合わないと感じて辛くても、徐々に日勤のみの生活に慣れてくる方もいます。病棟勤務と異なり、固定休の訪問看護ステーションが多く、家族や友人と会う時間が増えた、という声もあります。また夜勤をこなして稼ぎたかったという方でも、訪問件数に応じて歩合制を取り入れている事業所もあるため、人によって病棟で夜勤をしていた時と比べて稼げるようになったという方もいます。
オンコール体制や歩合制など、自分の目的に合わせて転職先を検討するのも重要です。
4.急性期医療に関わりたい人
訪問看護では比較的状態の安定した方の援助が中心であるため、急性期医療に関わりたい人は物足りなさを感じるかもしれません。
ただし、比較的状態の安定した方の援助が中心になることで看護師自身の生活リズムを整えやすいという側面もあるため、自身のライフステージや希望する働き方によってどちらが向いているのか判断するのがよいでしょう。
訪問看護に向いてる人になるために知っておこう!事前に必要な知識とは
ここまで訪問看護師に向いてる人と、向いていない人について特徴を解説しました。
訪問看護に向いていない特徴に当てはまっていても、事前に必要な知識を知っておくことで、訪問看護師に向いている人になれるかもしれません。
ここからは訪問看護に向いてる人になるために、知っておくと良い事前に必要な知識を紹介します。
訪問看護の仕事内容とスケジュール
訪問看護の現場の仕事内容は、介護保険を利用している介護中心の現場や、小児科、精神科の利用者さまを対象とした現場などそれぞれケアの内容は異なります。
ここでは一般的な訪問看護の仕事内容とスケジュールを解説します。
事前に仕事内容やスケジュールを知っておくと、入職前に事前に学習をしたり生活リズムを整えたりなどの準備ができるでしょう。
時間 | 業務 | 内容 |
8:30 | 出勤 | |
8:45〜9:00 | 朝の申し送りや共有 | 訪問スケジュールや利用者さまの情報など必要事項を共有する |
9:00〜12:00 | 訪問開始 | 1件30分~60分で訪問を行う午前中は1〜3件ほど訪問の合間の時間で看護記録を書く |
12:00〜13:00 | 昼食 | ステーションもしくは車内などで昼食をとる |
13:00〜17:00 | 午後の訪問開始 | 1件30分~60分で訪問を行う午後は2〜3件ほど訪問の合間の時間で看護記録を書く |
17:00〜18:00 | 報告と情報共有 | 今日の利用者さまの状況や明日のスケジュールなど必要事項を報告・情報共有する 訪問の合間に行えなかった看護記録も行う |
18:00 | 退勤 |
高まる訪問看護の需要と訪問看護の現場の実態
高齢化が進む今、国は「地域包括ケアシステム」の構築を目指しています。
その施策では地域医療での医療体制の構築も重要視されており、訪問看護の現場はさらに需要が高まっていくと考えられるでしょう。
利用者さまの増加だけではなく、実際に訪問看護ステーションの数も増加傾向にあります。厚生労働省の資料からも、2008年は5,190件だったのに対し、10年後の2018年には9,964件と2倍近く増加しています。
国をあげて地域医療で活躍する人材育成にも力を入れており、過去に開かれた研修会の資料を厚生労働省のページでも公開しています。訪問看護師として働く前に読んでおくのも良いでしょう。
関連ページ:厚生労働省「令和4年度在宅医療関連講師人材養成事業|研修会」
参照:厚生労働省「地域包括ケアシステム|1.地域包括ケアシステムの実現へ向けて」
訪問看護師に求められるスキル
最後に訪問看護師の現場で求められるスキルを知っておき、転職前から向いている人材になれるようイメージをつかむのも良いでしょう。
病院で働きながら在宅ではどんな対応ができるか考えてみたり、他の看護師の意見を聞いて看護を振り返ってみたりするなど、柔軟な思考のトレーニングをしてみるのも一つの方法です。
訪問看護に向いてる人になるためには事前準備も大切!向いていなくても訪問看護として働けるケースも
ここまで訪問看護に向いてる人や向いていない人の特徴、また向いている人になるために事前にできる準備についても解説しました。
訪問看護に向いてる人になるためには、事前の準備が大切です。前述のように、国としても地域医療で働ける人材の育成に取り組んでおり、看護師にも多くの学びの機会が設けられています。事前に学習しておくことで、訪問看護師に向いている人材になれるのではないでしょうか。 また、すでに向いてる人材の特徴に当てはまっている看護師も、その向いている特徴を長所として伸ばしていくことにより、強みを持った訪問看護師として自信を持って働けるでしょう。
「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。