訪問看護で叶えた「お互い様」の職場づくり~訪問看護キープオン中川 管理者・安田さんにインタビュー~

病棟勤務を経て訪問看護の道へ進み、2017年に「訪問看護キープオン中川」を立ち上げた管理者・安田さんにインタビュー。子育てと仕事の両立に悩んだ経験や、「お互い様」を大切にする職場文化、訪問看護だからこそ実現できた働き方、そして看護師として成長し続けたいという想いを伺いました。
【※本記事はNsPace Career が事業所向けに提供している「特集記事掲載サービス」によるものです。取材・撮影・編集はNsPace Career が担当しました。】
【名古屋市中川区・常勤】月給32万~40万円/無料託児所あり(保育士常駐)/社用車1人1台・直行直帰OK/訪問看護未経験歓迎
事業所名
雇用形態
給与
就業場所
在宅に惹かれ続けた原点と、病棟で感じた違和感
- まずは、安田さんご自身のこれまでのご経験を教えてください。
「私は、看護学生時代の在宅看護実習を通して、在宅って面白いな、いいなという気持ちを持つようになりました。利用者さんの生活そのものを見られるというか、その人がどんなふうに暮らしているのかを想像しながら関われるところに惹かれていたんだと思います」
そう振り返る安田さん。看護師免許を取得後、保健師資格の取得を目指して大学に進学。
その当時は、デイサービスや訪問入浴でアルバイトをしながら、在宅の現場に触れていたといいます。
卒業後は、二次救急のある総合病院で病棟勤務。消化器内科を中心に臨床経験を積みました。
「病棟で働いていた頃から、患者さんが退院した後の生活がどうなるんだろう、ってつい考えちゃうタイプで。外泊や退院のときも、『この人、家に帰ったらこの薬のままで大丈夫かな』って気になってしまって」
あるとき、外泊予定の患者さんのために、自己判断で薬を一日分ずつ小分けにして渡したことがありました。
「ちっちゃい袋に一日分ずつ入れて渡したんです。そしたら先輩に『時間かかりすぎ』って怒られてしまって。でも患者さんに説明したら、『こんなことしてもらったの初めて』って、すごく喜んでくれて」
そのときの感覚は、今でも心に残っているそうです。
「病棟の業務としては、正直やらなくてもいいことだったと思います。でも、その人の生活を考えたら、どうしてもやりたくなってしまって。家に帰ったあと、この人どうやって過ごすんだろうって想像するのが、もともと好きだったんだと思います」
忙しい病棟の中で、患者さんと一緒に相撲や野球の話をして過ごすこともありました。
「それでまた先輩に怒られたりしていましたけど(笑)。でも、誰よりも患者さんのことを知っている自信はありましたね」
そうした日々を経て、第二子を妊娠したタイミングで病棟を退職し、訪問看護の世界へと進みました。
「なんとかならないかな」から始まった挑戦
- 訪問看護キープオン中川を開設しようと思った背景には、どんな出来事があったのでしょうか。
「病棟で働いていると、子育て中の先輩たちが本当に大変そうで。保育園のお迎えに間に合わなくて辞めてしまったり、外来に配置転換になったりする方が結構いたんです」
中でも忘れられないのは、保育園のお迎えに遅れてしまった先輩の話でした。
「保育園のお迎えが19時を過ぎてしまって、『今後は遅刻しません』みたいな誓約書を書かされたって聞いて。保育園で謝っている姿を想像したら、すごく切なくなってしまって」
誰かが悪いわけではない。でも、仕組みとしてどうしても無理が生じてしまう場面もあったといいます。
「病棟って、残業が当たり前になっている部分もありますし、時間通りに帰れないことも日常的で。でも、子どもがいると、それが本当に厳しくなるんですよね」
安田さん自身も母親になり、その現実を実感するようになりました。
「授業参観なんて、丸一日休まなくてもいい行事なのに、病院だとどうしても一日休みになってしまう。でも訪問看護に来てみたら、意外と融通が利くことに気づいたんです」
訪問の合間に中抜けをして行事に参加し、また午後から訪問に出る。会社の理解と制度があれば、そんな働き方も可能でした。
「それに、学級閉鎖のとき。子どもは元気なのに預け先がなくて、仕事を休まざるを得なかったこともありました。『こういうときに預けられる場所があったらいいのに』って、ずっと思っていて」
同じ悩みを抱えている看護師は、きっと他にもいる。
「なければ、自分で作ってみようかな」
そんな思いから、訪問看護キープオン中川の立ち上げを決意しました。
合言葉は「お互い様」──文化としての働きやすさ
- キープオン中川で大切にしている考え方を教えてください。
「面接やオリエンテーションのときに、必ず伝えているのが『お互い様』という言葉です」
子どもがいる・いないに関係なく、誰にでも急な休みが必要になることはあります。
「最初は4件だった訪問が、誰かが休んで7件になることもあります。でもそれをマイナスに捉えるんじゃなくて、いつか自分が助けてもらう日もあるから、今日は自分が協力するだけ、って考えてほしいなと思っています」
そうした考え方があるからこそ、働き方の面でも柔軟な工夫が生まれています。
社内には託児所があり、土日祝日も子どもを預けて働ける体制があります。
時間休や半休を活用しながら、それぞれの生活に合わせた働き方が選ばれています。
「推しのライブの日は午後休みにして、次の日は午前中お休みにする、なんて使い方も全然OKです」
理由は違っても、誰かだけを特別扱いすることはしない。
それぞれの事情を自然に受け止め合う空気が、「お互い様」という言葉を、職場の文化として根付かせているように感じられます。
そしてその考え方は、日々の仕事の進め方にも表れています。
利用者さんへのケアで不安があれば、「ちょっと自信がなくて」と声を上げる。
すると、気づいたスタッフが自然にフォローに入り、必要に応じて同行や情報共有が行われます。
「私自身も、分からないことはスタッフに教えてもらっています。利用者さんにとっては、立場や経験年数は関係ないので」
また、利用者さんの状況やケア内容に応じて、スタッフ同士で勉強会が開かれることもあります。
「最近このケース増えてきたよね、って話し合って、自然に勉強会を企画してくれるんです。本当にありがたいなと思っています」

私が何も言わなかった、あの日の訪問
- 印象に残っている訪問のエピソードはありますか。
「もう6年くらい前の話なんですけど、聞かれると必ずこの話をしてしまいます」
そう前置きして語ってくれたのは、安田さんが管理者として、初めて現場に一切関わらなかった訪問のことでした。
「慢性心不全と、がん末期のご夫婦で。本当は自宅で過ごしたいという思いがあったんですけど、家庭の事情もあって、夫婦部屋のあるナーシングホームに入所することが決まっていました」
がん末期という状況もあり、ご本人の気持ちは日々揺れ動いていました。
「やっぱり、がん末期だったりすると、気持ちの部分がすごく揺れるじゃないですか。なので、そういう細かな情報共有とか、どう関わっていくかの相談を、スタッフ同士で自主的に全部やっていたんです」
初回訪問から情報共有、ケアマネジャーとの連携まで。
そのすべてを、スタッフだけで進めていきました。
「ステーションを立ち上げてしばらくは、管理者である私もプレイヤーとして現場に入ることが多かったんですけど、このケースでは、本当に一言も口を出していなくて。指示も、ほとんど出していませんでした」
引っ越し前日の訪問。
利用者さんが「アルバムを全部持っていけないからどうしよう」と不安を口にすると、スタッフから一つの提案が出ました。
「じゃあ、携帯に写真を撮っていきましょう、って。訪問中に一緒にアルバムを見ながら写真を撮って、『これを持って行けば大丈夫ですね』って」
その言葉に、利用者さんは安心した様子を見せてくれたといいます。
そして、それが最後の訪問になりました。
翌朝、奥さまはご自宅で息を引き取られました。
「その連絡を受けたスタッフが、泣いちゃって。でも次の訪問先に行ったら、今度はその利用者さんに『どうしたんだ』って慰められた、なんてこともあって」
医療行為ではありません。
けれど、その人の人生の節目に、確かに寄り添っていた看護でした。
「一連の流れを見ていて、うちのスタッフって本当にすごいなって思いました。知識や技術だけじゃなくて、訪問看護として大事なことを、ちゃんと考えて動ける人たちなんだなって」
管理者として、キープオン中川のスタッフ一人ひとりの凄さを、心から実感した出来事でした。
これからのキープオン中川が目指すかたち
- 今後のキープオン中川の展望を教えてください。
「今年は、教育と研修をもっともっと充実させて、看護の質を底上げしていきたいと思っています」
そう話す安田さん。
昨年は年間の研修計画を立てたものの、利用者数の増加やスタッフの入れ替わりなどが重なり、思うように進められなかった時期もあったといいます。
「だから今年は、スタッフ一人ひとりが『一年後に自分はどうなっていたいか』をイメージできるような研修をやりたいなと思っていて」
外部研修への参加費用は法人が負担し、それぞれのキャリアプランに合わせて研修内容を選んでいく方針です。
「在宅でのキャリアアップという意味も含めて、本当に向上心のある看護師さんが来てくれると、今いるスタッフも研修を受ける時間が確保しやすくなりますし、お互いにいい循環が生まれると思っています」
そうした体制づくりと並行して、今後視野に入れているのが小児訪問看護への対応です。
「今は、高齢者の方を中心に、障害をお持ちの10代後半から40〜50代の方への訪問は行っていますが、小児の訪問はしていません。スタッフみんなが小児科の経験がないので、無理はできないなと思っていて」
無理に広げるのではなく、できるところから少しずつ。
「もし、小児科の経験がある看護師さんが来てくれたら、その人を中心に、みんなで学んでいけたらいいなと思っています。そうやって年齢を問わず、地域に根差した訪問看護ステーションになっていけたら」
最後に、これから仲間になるかもしれない看護師さんに向けて、安田さんはこんな言葉を添えてくれました。
「在宅って、病院よりキャリアが落ちるって思われがちですけど、実は看護師がすごく要になる現場だと思っています。だからこそ、看護師として成長したい人や、自分の力をしっかり発揮したい人には、合っている場所なんじゃないかなって」
キープオン中川が目指すこれからの姿と、安田さんの率直な想いが、言葉の端々から伝わってきます。

インタビュアーより
取材を通して印象的だったのは、安田さんが一貫して「スタッフがどう働けるか」「利用者さんにどんな時間を届けられるか」を軸に話されていたことでした。
管理者でありながら、分からないことは分からないと伝え、スタッフと学び合う。その姿勢が、「お互い様」という文化を自然に育てているように感じます。
働き方もキャリアも、どちらも大切にしたい。
そんな思いを持つ看護師さんにとって、訪問看護キープオン中川は、一つの現実的な選択肢になるのではないでしょうか。
事業所概要
事業所名:訪問看護キープオン中川
所在地:愛知県名古屋市中川区中島新町3-1611(3階)
事業所紹介ページ:https://ns-pace-career.com/facilities/19094
【名古屋市中川区・常勤】月給32万~40万円/無料託児所あり(保育士常駐)/社用車1人1台・直行直帰OK/訪問看護未経験歓迎
事業所名
雇用形態
給与
就業場所
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
