精神科訪問看護指示書のチェックポイントは?書ける医師と訪問時の注意点も解説

公開日:2026/04/14 更新日:2026/04/14
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「精神科の訪問看護指示書って、普通の指示書と何が違うの?」「どこを見て、何に気をつければ良いの?」

このような疑問を持つ看護師もいるでしょう。精神科訪問看護指示書を書ける医師の条件や病名告知の有無など、精神科訪問看護ならではの確認すべきポイントが複数あります。また、ルールに沿った算定につなげるためには、指示書交付後の注意点も理解しておかなければなりません。

この記事では、精神科訪問看護指示書の基本と看護師がチェックするポイント、訪問時に守るべきルールを解説します。精神科訪問看護指示書の内容を正しく読み取り、自信を持って訪問に臨めるよう、ぜひ最後までご覧ください。

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精神科訪問看護指示書とは

精神科訪問看護指示書とは、精神疾患を抱える利用者さまに対して精神科訪問看護を行うために、医師が交付する指示書です。まずは、その特徴を理解しておきましょう。

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精神科訪問看護指示書が発行されるおもな病名・状態

精神科訪問看護指示書の発行は、精神疾患であれば幅広く対応できます。おもな対象疾患は以下のとおりです。

  • 統合失調症
  • 双極性障害
  • うつ病
  • パニック障害、社交不安障害(SAD)
  • 強迫性障害、抜毛症
  • 適応障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)
  • 摂食障害、アルコール依存症

精神疾患を抱える利用者さまのうち「在宅での専門的なケアが必要」と主治医が判断した場合に、精神科訪問看護指示書が交付されます。

症状の増悪・再発リスクがある、生活リズムが乱れやすいといった状態が背景にあることが多く、ご家族への支援や相談を行う際も指示書発行の対象に含まれるケースがあります。

なお、指示書の病名が「認知症」であるときは、指示書を発行した主治医が所属する保険医療機関で「精神科在宅患者支援管理料」を算定していることが条件となるため注意が必要です。「認知症」とだけ記載されている場合は、発行した医療機関がこの条件を満たしているか確認しましょう。

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身体の訪問看護指示書との違い

精神科訪問看護指示書は、身体の訪問看護指示書とは様式も記載内容も異なります。おもな違いは以下のとおりです。

項目身体の訪問看護指示書精神科訪問看護指示書
発行の対象身体疾患全般の利用者さま(慢性疾患、難病など)精神疾患を有する利用者さま(統合失調症、うつ病など)
記載できる医師主治医であれば診療科問わず作成可能精神科を標榜する保険医療機関で精神科を担当する医師に限る
様式一般の訪問看護指示書様式(別紙様式16)精神科訪問看護専用様式(別紙様式17)
記載項目バイタルサイン、処置内容、医療的ケア、リハビリの内容など病名告知や治療の受け入れ状況、複数名・短時間訪問の必要性など

記載できる医師の条件を満たしていない場合、指示書自体が無効となり算定できないため、違いをしっかり把握しておくことが重要です。

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精神科訪問看護指示書を書ける医師の条件

精神科訪問看護指示書を交付できるのは、精神科を担当する医師が交付する必要がありますが、「標榜の有無」だけでなく実態として精神科診療を行っているかが重要です。内科や総合診療科などの医師が作成した指示書は使うことができません。

訪問看護ステーション側が指示書を受け取る際は、交付した医師の所属と担当診療科を必ず確認しましょう。

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精神科訪問看護指示書にもとづく訪問が可能なステーションの要件

精神科訪問看護指示書が交付されても、必ずしも精神科訪問看護基本療養費を算定できるわけではありません。以下の2つの条件を満たす必要があります。

  • 精神科訪問看護が可能な職員を配置している
  • 訪問可能なスタッフを明記した書類を地方厚生(支)局に届け出ている

スタッフの異動や退職、研修修了などで担当者に変更が生じた場合は、速やかに変更届を提出する必要があります。

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精神科訪問看護指示書の記入例と看護師がチェックするポイント

精神科訪問看護指示書には、身体の訪問看護指示書にはない記載項目が複数あります。

指示書の内容は訪問時のケア方針に直結するだけでなく、算定の可否にもかかわるため、受け取った際にその場で確認する習慣をつけることが大切です。ここでは、訪問看護ステーションの看護師がチェックすべきポイントを解説します。

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指示期間

指示期間とは、指示書にもとづいて訪問看護を実施できる有効期間のことです。身体の訪問看護指示書と同じように、最長6ヶ月の範囲で医師が設定します。

たとえば、2026年3月15日が開始日の場合「2026年3月15日〜2026年9月14日」が正しい指示期間になります。

6ヶ月より長く記載されている指示書は無効となり、精神科訪問看護をおこなっても算定の対象外となります。

そのため、有効期限の管理はステーション側でも期限を把握しておくことが重要です。有効期限が迫ってきたら、終了となる1ヶ月ほど前には医師へ更新を依頼しておくと安心です。

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傷病名・傷病名コード

傷病名と傷病名コードは、セットで記載する項目です。

傷病名コードはレセプト電算処理用コード(社会保険診療報酬支払基金)に基づくものになります。2024年度の診療報酬改定から必須項目として追加されており、記載漏れや不一致があると書類不備とみなされ、算定が認められない恐れがあります。

指示書を受け取った際は、傷病名とコードが一致しているかを確かめましょう。

傷病名コードの例は以下のとおりです。

傷病名傷病名コード
統合失調症8841702
うつ病2961003
摂食障害7833001

コードが記載されていない、または傷病名と一致していない場合は、医師への修正依頼が必要です。

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病名の告知の有無・治療の受け入れ状況

「病名の告知の有無」と「治療の受け入れ状況」は、精神科訪問看護ならではの項目です。これらを把握しないまま訪問すると、不用意な発言が利用者さまやご家族との信頼関係に影響し、訪問看護の拒否につながるかもしれません。

たとえば、病名を告知されていない方に診断名をそのまま伝えたり、治療への抵抗が強い方に服薬を一方的に勧めたりするのは控えましょう。

利用者さまによって病気や治療への受け止め方は異なります。

初回訪問前に指示書の内容を確認し、必要に応じて主治医と対応方針をすり合わせておきましょう。

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複数名訪問・短時間訪問・複数回訪問の必要性の有無

精神科訪問看護では、複数名訪問・短時間訪問・複数回訪問に対応する加算を算定する場合、指示書にその必要性が書かれていることが必須条件です。それぞれの概要は以下のとおりです。

項目内容
複数名訪問・看護師などが複数名で訪問する場合に必要
・自傷、他害のおそれがある場合などが対象
短時間訪問・30分未満の訪問を算定する場合に必要
・記載がない場合は30分以上の訪問が基本
複数回訪問・1日に複数回訪問する場合に必要
・精神科在宅患者支援管理料を算定する医療機関との連携も条件

指示書を受け取った際は、必要な訪問形態に対応する記載があるかを確認しましょう。

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留意事項及び指示事項

留意事項及び指示事項には、利用者さまの療養上の注意点や、訪問看護師に求める具体的な対応が記載されます。具体的な内容は、以下のとおりです。

  • 生活リズムの確立
  • 家事能力、社会技能等の獲得
  • 対人関係の改善(家族含む)
  • 社会資源活用の支援
  • 薬物療法継続への援助
  • 身体合併症の発症・悪化の防止
  • その他

精神科訪問看護は、社会生活機能の回復・維持を目的とするため、身体の訪問看護指示書と比べて項目が細かく設定されています。

指示書を受け取った際はケアの方針と照らし合わせながら確認し、訪問看護計画書の作成に反映させましょう。

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精神科訪問看護指示書で訪問するときの注意点

正しく記載された精神科訪問看護指示書が手元にあっても、制度やルールを守らなければ精神科訪問看護基本療養費を算定できません。ここでは、訪問する際に注意すべきポイントを解説します。

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訪問できるスタッフは限られる

精神科訪問看護は、精神症状への理解や危機対応が求められるため、対応するスタッフに一定の要件が定められています。

精神科訪問看護として訪問できるのは、看護師や保健師、准看護師、作業療法士のうち、以下の条件を満たすスタッフです。

  • 精神科病棟・外来経験1年以上
  • 精神疾患患者の訪問看護経験1年以上
  • 精神保健福祉センターや保健所などでの精神保健業務経験1年以上
  • 精神科訪問看護に関する20時間以上の研修を修了

また、これらの要件を満たすスタッフについては、地方厚生(支)局長への届出も必要です。

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身体リハビリテーションが必要でも理学療法士は算定対象外

精神科訪問看護として算定できる職種は限られており、理学療法士や言語聴覚士は対象外です。

そのため、精神科訪問看護指示書が交付されている利用者さまに身体リハビリテーションが必要な場合でも、理学療法士の訪問は算定できません。

身体機能のリハビリテーションが必要な場合は、主治医と相談し、対応を検討しましょう。

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退院から3ヶ月以降の訪問回数は原則週3回まで

精神科訪問看護基本療養費の算定は、原則として週3回までと定められています。

ただし、退院直後で症状が不安定な時には、例外で退院後3ヶ月以内であれば週5回まで訪問が可能です。

また、特別訪問看護指示書が交付されている期間は、利用者さまの状態に応じて連日や複数回の訪問も認められます。

訪問回数の上限の理解は正しい算定に不可欠なため、退院日や特別訪問看護指示書の有無を確認しながら訪問計画を立てましょう。

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30分未満の訪問は原則としてできない

原則として30分以上の訪問が算定対象です。

そのため「服薬を確認するだけ」「様子を見に行くだけ」といった短時間の訪問であっても、30分未満は算定の対象になりません。

ただし前述したとおり、精神科訪問看護指示書に「短時間の訪問が必要である」と書かれている場合に限り、30分未満の訪問が認められます。

訪問時間は算定に影響するため、指示書の記載内容を確認したうえで必要な訪問時間を設定しましょう。

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月の初日の訪問でGAF尺度を評価・記録する

精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)と(Ⅲ)では、GAF尺度の評価と記録が算定要件です。

GAF尺度とは、精神症状や社会生活機能の状態を0〜100点で評価する指標です。利用者さまの日常生活や対人関係への影響の程度を把握するために用いられます。

「症状の重症度」と「機能レベル」の両面から評価し、範囲が一致しない場合はより低い範囲を採用します。

GAF尺度は、月の初回に訪問した算定要件を満たす保健師や看護師、准看護師または作業療法士が評価し、そのスコアと判定日を以下の書類に記載しなければなりません。

  • 訪問看護記録書Ⅱ
  • 訪問看護報告書
  • 訪問看護療養費明細書

また、GAF評価は「評価日の状態」ではなく「過去1週間でもっとも悪かった状態」を基準に点数をつける点に注意が必要です。

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精神科訪問看護指示書に関するよくある質問

精神科訪問看護指示書は、病名の記載方法や通常の訪問看護指示書との違いなど、現場で迷いやすいポイントがいくつかあります。ここでは、よくある質問をまとめました。

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Q1:精神科訪問看護指示書と身体の訪問看護指示書は併用できますか?

1人の利用者さまに対し、精神科と身体の訪問看護の指示書は併用できません。

精神疾患に対する訪問看護を行う場合は、医療保険の精神科訪問看護として算定するため、精神科訪問看護指示書にもとづいて訪問します。

一方、精神疾患以外の疾患に対応する場合、介護保険または医療保険による訪問となり、身体の訪問看護指示書が必要です。

ただし、利用者さまの状態変化にともない精神科訪問看護から身体の訪問看護へ切り替える場合は、月の途中であっても指示書の変更が可能です。

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Q2:精神科訪問看護指示書と精神科特別訪問看護指示書はどう違いますか?

精神科訪問看護指示書と精神科特別訪問看護指示書は、目的や指示期間が異なります。おもな違いは次のとおりです。

項目精神科訪問看護指示書精神科特別訪問看護指示書
目的継続的な精神科訪問看護の実施急性増悪など一時的に頻回訪問が必要な場合
交付される状況通常の精神科訪問看護服薬中断、急性増悪、自傷・他害のおそれなど
指示期間最長6ヶ月最長14日間

なお、精神科特別訪問看護指示書は、精神科訪問看護指示書を発行している主治医が交付する必要があります。原則、月1回の交付が限度である点も覚えておきましょう。

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Q3:精神科訪問看護指示書の様式は決まっていますか?

精神科訪問看護指示書は「必ずこの様式に沿って書く必要がある」と法律で定められているわけではありません。

ただし、多くの医療機関で、厚生労働省の「別紙様式17」をもとに作成されたテンプレートが使用されています。医療機関が独自様式を使用する場合でも、基本的にはこの様式に則っています。

様式をダウンロードする場合は、2024年から追加された傷病名コードの記載欄があるものを準備しましょう。

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精神科訪問看護指示書の条件を正しく理解し適切な運営につなげよう

精神科訪問看護指示書は、精神科訪問看護を実施するために欠かせない書類です。

記載内容や交付条件を正しく理解していないと、算定できないケースや運営上のトラブルにつながるおそれがあります。

訪問前には病名の告知状況や治療の受け入れ状況、訪問回数などを確認し、制度のルールに沿った運用を心がけましょう。

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<参考サイト・文献>

一般社団法人全国訪問看護事業協会 訪問看護実務相談Q&A令和6年版 2024年 中央法規出版株式会社 p90,343-348,350,353

令和6年度診療報酬改定の概要【在宅(在宅医療、訪問看護)】|厚生労働省保健局医療課

診療報酬情報提供サービス|厚生労働省

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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