看護師がやりがいを感じるときは?場面5つとモチベーションアップする方法

「看護師にやりがいを感じるときもあるけど、正直忙しくてきつい日も多い」
看護師として働く中で、本来の目的を見失い、やりがいを実感できなくなる瞬間は誰にでもあります。やりがいを感じられない経験がある看護師ほど、実は仕事や患者さまに誠実に向き合ってきた人です。実際に、日本医療労働組合連合会の調査によると「仕事を辞めたいと感じたことがある」と回答した看護師が79.2%います。多忙な業務やストレスがあり、やりがいを感じられないことも少なくありません。
この記事では、やりがいを感じるときやモチベーションが下がったときの対処法を解説します。業務に向き合う余裕が生まれるため、看護の形を再発見できるでしょう。
看護師がやりがいを感じるとき5選【よくある瞬間】
患者さまの回復や安心につながったと実感できた瞬間に、看護師の喜びは生まれます。ここでは、代表的な場面を5つ紹介します。
- 患者さまやご家族から「ありがとう」といわれたとき
- 患者さまの回復を支えられたと感じたとき
- 不安が強い患者さまの気持ちに寄り添えたと実感したとき
- 上司や医師など他の職種から信頼されたと感じたとき
- 自分の判断や行動が患者さまの状態悪化を防げたとき
忙しさで見落としがちですが、こうした体験が看護師としての原点を思い出させてくれます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
患者さまやご家族から「ありがとう」といわれたとき
感謝の言葉をもらったとき、看護師は強いやりがいを感じます。「ありがとう」という言葉は、自分のケアが誰かの支えになったことを示すフィードバックです。
たとえば、がん末期の患者さまに丁寧にかかわり、ご家族から「最期まで安心して過ごせました」と手を握られた場面は、看護師にとって長く心に残るでしょう。
感謝の言葉は、つらい時期にくじけそうになったとき、再び前を向くための原動力になります。
患者さまの回復を支えられたと感じたとき
患者さまの回復に自分の看護がつながっていると感じられた瞬間、看護師は専門職としての確かな手応えを得られます。
術後のわずかなバイタルサインの変化に気づき、迅速に対応したことで合併症を防げた結果、患者さまが歩行訓練を始める姿を目にすることがあります。その過程を見守る中で、「自分の判断や行動が回復を支えた」と実感できるでしょう。
患者さまの回復の一端を担えたという経験は、看護師としての自信と誇りを育てる大切な瞬間です。
不安が強い患者さまの気持ちに寄り添えたと実感したとき
患者さまの不安を和らげることができたと、感じた瞬間も看護師ならではのやりがいです。
具体的には、手術への恐怖で眠れずにいた患者さまのそばに座り、話を聞いたり背中をさすり続けたりした結果、「よく眠れました。頑張ってきます」と落ち着いた表情で手術室へ向かう場面に出会うことがあります。
こうした心が通い合う体験は、看護師だからこそ味わえる喜びでしょう。
上司や医師など他の職種から信頼されたと感じたとき
周囲から信頼されていると感じたとき、看護師はやりがいを感じます。チーム医療において、自分の判断や提案が認められることに、自身の専門性を強く実感できるはずです。
カンファレンスで提案した退院支援計画が採用されたり、誤嚥リスクに気づいて食事形態の調整を提案したりした経験は、看護師としての役割や専門性を実感できる場面です。
さらに、こうした経験が積み重なり「自分が必要とされている」と感じ、自己肯定感も育っていきます。
自分の判断や行動が患者さまの状態悪化を防げたとき
異常の早期発見によって患者さまの状態悪化を防げたとき、看護師は使命感とやりがいを感じます。
24時間体制で患者さまを観察できる立場だからこそ、気づける変化があります。バイタルサインのわずかな変化から急変を予測し、医師へ迅速に報告して重篤化を防いだ経験は手応えを感じるはずです。
経験年数別|看護師がやりがいを感じるときの違い
キャリアの段階によって、やりがいを感じるときは変わります。ここでは、次の3つの時期にわけて紹介します。
- 新人看護師がやりがいを感じる瞬間
- 中堅看護師がやりがいを感じる瞬間
- ベテラン看護師がやりがいを感じる瞬間
経験を重ねることで視野が広がり、自身の成長だけでなく周囲への影響力に価値を見出すようになります。
新人看護師がやりがいを感じる瞬間
新人看護師にとってのやりがいは、「できることが増えた」という実感です。
- 先輩の介助なしで創傷処置を終えた
- 採血を1回で成功させた
- 清拭ケアを実施した後「スッキリしました。ありがとう」といわれた
こうした小さな成功体験を積み重ねることが、成長の実感と自信になります。
中堅看護師がやりがいを感じる瞬間
中堅看護師になると、チームの調整や後輩の育成を通じて、組織全体のケア向上に貢献する段階にやりがいを感じるようになります。具体的には、次の場面で手応えを得られます。
- 指導した新人看護師が独り立ちしたとき
- チームの連携を円滑にできたとき
- 多職種と協力し課題を解決したとき
個人の成果だけでなく、周囲への影響力がやりがいに変わっていきます。
ベテラン看護師がやりがいを感じる瞬間
ベテラン看護師は、これまでの経験を活かしながら、判断力や倫理的配慮が求められる場面に向き合う中で、やりがいを実感します。
- 家族それぞれの思いに耳を傾け、互いの考えが尊重されるよう支えられたとき
- 患者さまの最期の意思を大切にし、その人らしい時間を守れたとき
- 後輩へ自身の看護経験や判断の背景を伝えられたとき
看護師として培ってきた知見や姿勢を次の世代へつないでいく役割にも、ベテランならではの深いやりがいを見出せるでしょう。
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看護師が「やりがいを感じにくくなる」理由
看護師という職業は、人と人との関係性の中で、本来やりがいを感じられるものでしょう。それでも、患者さまと向き合う時間が少なくなる現実にやりがいを実感できず不満を抱くこともあります。
- 忙しさに追われて患者さまと向き合えない
- 上司から努力が評価されない
- やりがいを感じる余裕がない
まずは、今いる職場が自分の看護師としての力や思いを活かせる環境かどうか、立ち止まって考えてみてください。うまくいかない理由をすべて自分の能力のせいにしてしまう前に、職場の体制や忙しさなど、環境の影響も含めて整理してみることで、気持ちは少しずつ楽になります。
忙しさに追われて患者さまと向き合えない
忙しさによって患者さまと向き合えなくなると、看護師はやりがいを失うかもしれません。
看護師が仕事の価値を感じる瞬間の多くは、患者さまとのかかわりの中にあります。ですが、業務量が増えるほど作業をこなす感覚だけが残ってしまいがちです。
たとえば、バイタルサインの測定や記録業務に追われ、話を聞いてほしい表情をしている患者さまに気づきながらも、点滴更新を優先して病室を出る場面があります。その瞬間、看護師は「ケアができていない」という無力感を抱くのです。
こうした状態が続くと、志が高くても心を消耗してしまうでしょう。
上司から努力が評価されない
努力が評価されない環境では、看護師のやりがいは削られます。
看護の成果は「トラブルが起きない」「患者さまが穏やかに過ごせる」など、目に見えにくい形で現れることが多い仕事です。
夜勤中に緊急入院や急変対応をおこない、病棟を安全に回しても、ねぎらいやフィードバックがなければ、「自分の仕事は評価されていない」という感覚が強くなります。
評価されにくいことを理解し、必要以上に自分を責めない視点を持つことが重要です。
やりがいを感じる余裕がない
心身に余裕がない状態では、やりがいを感じることが難しくなります。疲労やストレスが溜まると、看護の本質である「寄り添う力」「相手を思いやる力」が発揮できなくなります。
残業や夜勤が続き、十分な休息が取れない状態では、患者さまの訴えに対して、以前のように共感できなくなるかもしれません。
やりがいを感じられないのは甘えではなく、心身の疲労が限界に近づいているサインです。まずは休息を確保し、働き続けられるように立て直しましょう。
看護師がやりがいを取り戻すために見直すべき視点
看護師がやりがいを再発見するには、次のポイントに注意して振り返ってみてください。
- 「大きな成果」だけを求めすぎていないか
- 目立たないケアに目を向けているか
- 環境だけに原因を求めすぎていないか
1日の終わりに、自分のケアがどのような変化をもたらしたかを振り返ることで、看護の専門性を確認しやすくなります。
「大きな成果」だけを求めすぎていないか
患者さまの劇的な回復や、大きな変化ばかりを求めないように注意しましょう。
看護の現場では、目に見える成果が出るまでに時間がかかることも多くあります。そのため、小さな変化を「意味のないもの」と切り捨ててしまうと、やりがいを感じる機会そのものを失ってしまいます。
患者さまの食欲が改善した、表情がわずかに和らいだといった変化も大切な変化です。小さな改善を積み上げる働きを肯定することが、やりがいを取り戻すためには大切です。
目立たないケアに目を向けているか
評価されにくい基本の看護ケアに、専門職として目を向けるべきです。環境調整や清潔ケアといった介入が、合併症の予防や患者さまの療養環境を整えるためにはとても大切です。
他者に見られない場面での誠実なケアが患者さまを支えている実感を持ち、自己評価の軸を自分の中に持ちましょう。
環境だけに原因を求めすぎていないか
職場環境に不満を感じること自体は、決して悪いことではありません。ただ、すべてを環境の問題として受け止めてしまうと、自分の中にあるやりがいや手応えに気づく機会を逃してしまうことがあります。
「今日はこの患者さまに一言あたたかい声をかけてみる」など、自分の意思で選べる小さな行動に目を向けてみてください。自分でコントロールできる範囲に意識を向けることで、日々の看護の感じ方や現状が少しずつ変わっていきます。
看護師がやりがいを感じられずモチベーションが上がらないときの対処法
看護師がやりがいを感じられず、モチベーションが上がらないときには、次の4つを実践してみてください。看護師としての情熱を再燃させるきっかけになります。
- 信頼できる同僚に相談する
- 働き方を変える
- 部署異動して職場環境を変える
- 転職して新しい環境で働く
異動や転職を前向きな選択肢として捉え、自身の看護観を活かせる場所を見つけるために行動することも一つの選択肢です。
信頼できる同僚に相談する
モチベーションが下がったときは、まず信頼できる同僚に相談することがおすすめです。
同じ現場を知る相手に話すことで、気持ちが整理され、過度に悲観的になっていた思考を見直せる可能性があります。悩みは自分の中に抱え込むほど、孤立感が強くなりがちです。
夜勤明けに同期の看護師と食事をしながら、仕事の不安や疲れを素直に打ち明けるだけでも、「自分だけではない」と気づけ、気持ちが軽くなることがあります。
悩みを言葉にして、共感してもらうだけで心の負担は和らぎます。まずは身近な同僚に話すことから始めましょう。
働き方を変える
モチベーションが上がらないときは、働き方そのものを見直すことも重要です。過度な夜勤や長時間労働が続くと、心身の余裕が失われ、本来感じられるはずのやりがいに目を向けられなくなるかもしれません。
こうした状態の場合は、休息が重要です。
夜勤回数を減らしたり、短時間勤務に切り替えたりすることで、十分な休息が取れ、患者さまに丁寧に向き合う余裕が生まれます。
看護師長や人事担当者に相談し、自分のライフスタイルに合った働き方を選ぶことで、看護師としてのキャリアを無理なく継続できるはずです。
部署異動して職場環境を変える
同じ職場で限界を感じた場合は、部署異動も検討してみてください。部署が変われば患者層や求められる役割が変わり、新たな専門性ややりがいを見出しやすくなります。
急性期病棟で処置の多さに疲弊していた看護師が、回復期病棟へ異動し、患者さまを支える看護にやりがいを感じるようになるケースもあります。
組織の制度を活用し、自分の適性や価値観に合う部署がないか、前向きに検討しましょう。
転職して新しい環境で働く
今の職場でやりがいを感じにくい場合は、環境を変えることで看護の喜びを取り戻せることもあります。病院以外の現場では、治療中心の関わりから一歩離れ、生活全体を支える看護に携わる機会が増えるためです。
訪問看護や施設看護では、利用者さま一人ひとりの暮らしに寄り添いながら関係性を築いていきます。その中で、笑顔や感謝の言葉に触れ、「自分の看護が誰かの生活を支えている」と実感できる場面も少なくありません。
大切なのは、自分がどのような看護を大切にしたいのかを整理することです。理想とする看護師像を明確にしたうえで、専門分野に特化した求人サイトを活用し、自分に合った新しい環境を探してみましょう。訪問看護に特化した求人サイトであるNsPaceCareerでは、新たな一歩を踏み出し、理想の職場を見つけるお手伝いをしています。
看護師のやりがいについてのよくある質問
看護師として働く中で、仕事の価値や将来に不安を感じる場面は少なくありません。ここでは、看護師から寄せられる代表的な質問に回答します。疑問を解消して、前向きにキャリアを歩むヒントにしてください。
Q1:看護師にしかない魅力はありますか?
看護師には、命の尊厳を守りながら、疾患や障がいを抱えながら生活する患者様をサポートする、という魅力があります。医学的な知識とケアを提供できる職種は、看護師ならではです。
医師の治療方針を理解しつつ、患者さまの思いや生活背景を汲み取り、医療チームに伝える架け橋としての役割も担います。専門性と思いやりを兼ね備えた仕事として、誇りを持って看護に向き合いましょう。
Q2:看護師はやりがいを感じられないのは甘えですか?
看護師がやりがいを感じられないのは甘えではなく、心身の疲弊や職場とのミスマッチを示す重要なサインです。
実際に、日本看護協会の『2024年病院看護実態調査』によると、病気による1か月以上の連続休暇を取得した看護職員(正規雇用)がいた病院のうち、メンタルヘルス不調者がいた病院は80.7%でした。
十分な睡眠も取れない状況や、ミスが許されない緊張感の中で働き続けることは、深刻な疲労を招きます。自分の感情を否定せず、休息の確保や環境調整を優先しましょう。
Q3:転職面接でやりがいを聞かれたときにはどう対応すべきですか?
看護師の転職面接でやりがいを聞かれたときには、看護観と応募先の理念が一致するエピソードを伝えることが大切です。志望動機と一貫性のある姿勢が、入職後に活躍するイメージを採用側に伝えられます。
たとえば「退院後の生活支援にやりがいを感じているため、在宅復帰に力を入れている貴院を志望しました」といった形で、経験と応募理由を論理的につなげましょう。
自分の言葉で仕事の喜びを語れるよう、成功体験を事前に整理して面接に臨むことが大切です。
関連記事:【看護師の面接対策】やりがいの答え方6選!好印象な例文つきで解説
看護師がやりがいを感じるときは人それぞれ!実感できないときは転職も一手
画一的な正解を求めることをやめ、自分の心が動く瞬間を大切にできる働き方を追求しましょう。看護の形は多岐にわたり、自身が納得できる環境でこそ、やりがいを実感しながら働くことができます。
最新医療の現場で技術を磨く楽しさも、在宅で生活を支える喜びも、いずれも看護師としての素敵な姿です。自分が大切にしたい看護を見つめなおしチャレンジしていくことは、看護師としてはもちろん、一人の人間として成長していけることでしょう。
<参考サイト・文献>
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
