看護師から助産師になるには?必要な資格や費用、働きながら目指すコツを解説

公開日:2025/12/25 更新日:2025/12/25
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「妊娠や出産という特別な瞬間に、もっと深く寄り添いたい」
「看護師としての経験を活かして、さらに専門性を高めたい」

そんな想いを抱えていませんか?

助産師は、妊娠中の健康管理から分娩のサポート、産後の母子ケアまで、命の誕生を支えるプロフェッショナル。看護師としてのスキルを土台に、より専門的でやりがいのあるキャリアへと踏み出せます。

この記事では、助産師になるための資格や進学ルート、費用、働きながら目指すためのコツまで徹底解説します。キャリアチェンジの第一歩として、ぜひご覧ください。

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看護師から助産師になるには?必要な資格とキャリアの流れ

助産師になるためには、看護師免許を持っていることを前提に、さらに専門的な教育を受け、国家試験に合格する必要があります。

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助産師資格を取得する条件

看護師から助産師になるためには、次の2つの条件をクリアしなければなりません。

  • 助産師教育機関で1年以上の教育を受ける
  • 助産師国家試験に合格する

保健師助産師看護師法第3条によると、「助産師とは厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じょく婦若しくは新生児の保健指導をおこなうことを業とする女子」と定められています。つまり、助産師は女性のみが認められており、男性は助産師になれないため注意が必要です。

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助産師国家試験の内容

助産師国家試験は、毎年2月頃に実施されます。試験では、助産業務をおこなうために必要な専門知識と技術が問われます。

  • 基礎助産学
  • 助産診断・技術学
  • 地域母子保健
  • 助産管理

2025年の助産師国家試験では、総得点145点のうち87点以上が合格基準であり、合格率は98.8%でした。看護師国家試験(合格率87.8%)と比べると高い水準です。

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看護師から助産師になるために必要な期間とルート

看護師資格を保有している方が助産師を目指すおもなルートは次の3つです。

  • 助産師養成学校:1年
  • 大学専攻科もしくは専修科:1年
  • 大学院の修士課程:2年

必要な期間は1年から2年です。看護師で働きながら目指す場合は、通学する年数だけでなく、実習の方法や講義内容なども考慮してルートを選びましょう。

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助産師養成学校:1年

看護師資格を持つ人を対象とした専門学校で、学費も抑え抑えられる人気が高いルートです。

「最終学歴が専門学校卒業」である看護師に向いているルートといえます。

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大学専攻科もしくは専修科:1年

大学や短期大学に設置された助産学専攻の課程で、1年間の教育を受けることで助産師国家試験の受験資格を得られます。多くは4年制大学卒業者を対象としていますが、専門学校卒や短大卒の看護師でも、学校によっては入学可能です。

進学先によって条件が異なるため、希望する教育機関の募集要項を事前に確認しておくことが重要です。

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大学院の修士課程:2年

大学院の修士課程は、4年制大学を卒業した看護師を対象としています。助産師資格と同時に、修士号の取得を目指すルートです。

高度な専門知識に加え、研究能力も身につけたい方や、将来的に教育・研究機関で働きたい方に適しています。

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看護師から助産師を目指すために必要な学費とその目安

助産師教育機関に通うためには、学費や生活費など、まとまった費用を用意しておく必要があります。ここでは、学費の目安、奨学金や病院の進学補助制度などを紹介するため参考にしてください。

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学費の目安

一般的な助産師教育機関の学費の目安は、次のとおりです。

教育機関の種類学費の目安
助産師養成学校100~250万円
大学専攻科もしくは専修科70~200万円
大学院の修士課程120~350万円

ただし、これらの金額には、通学期間中の生活費は含まれておらず、教育機関の設置主体(国公立・私立)や種類(専門学校・大学院)によっても学費は異なります。詳しい学費については、志望校の公式ホームページを確認しておきましょう。

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奨学金や病院の進学補助制度

助産師教育機関の学費の負担を軽減するため、次の制度の利用を検討しましょう。

  • 病院の奨学金制度:提携先の病院で一定期間(例:3年)働くことを条件に、学費の全額または一部を貸与・免除してもらえる制度
  • 地方自治体の奨学金:自治体が設けている看護師・助産師向けの奨学金制度
  • 日本学生支援機構(JASSO)の奨学金:広く利用されている奨学金制度

とくに、病院の奨学金制度は、卒業後の就職先も確保できるため、看護師からのキャリアチェンジで多く活用されています。

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看護師として働きながら助産師は目指せる?両立する際のコツ

助産師教育機関の多くは全日制であり、実習も必須であるため、基本的にフルタイムで看護師として働きながら通学するのは困難です。しかし、勤務形態を変えたり、シフトを調整してもらったりすることで両立を目指せる可能性があります。

  • 看護師長にシフトを調整してもらえるように相談する
  • 実習期間中は勤務するのは控える
  • 通学時間や通勤時間を有効活用する
  • 仲間と連携し、情報を共有する

看護師の仕事と助産師教育機関での学業を両立させるには、勤務先の理解と協力が不可欠です。

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看護師長にシフトを調整してもらえるように相談する

看護師長には、助産師教育機関の試験に合格が確定した段階で速やかに相談し、協力を求めることが必須です。試験の前に、通学する可能性があることを伝えておくと、相談がスムーズです。

助産師教育機関では講義や実習の日程がタイトなため、今のシフトのままでは学業と仕事の両立が難しくなる可能性があります。    

たとえば、「特定の曜日は夜勤専従にする」「土日のみ日勤にする」といった職場の負担を考えた働き方を提案しましょう。

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実習期間中は勤務するのは控える

助産師教育機関の実習期間中は、看護師としての勤務は控えた方が良いでしょう。

助産師の実習は、約10例の分娩経験が求められます。分娩は時間が予測できず、夜間や休日に急な呼び出しがあるため、これに加えて仕事の負担があると、心身のストレスが溜まり、医療事故のリスクを高めるからです。

そのため、実習期間が始まる数ヶ月前から看護師長と計画を立てましょう。体調を崩さず、実習に全力を注げる環境を整えることが大切です。

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通学時間や通勤時間を有効活用する

助産師教育機関の通学と仕事を両立させるためには、通学や通勤などのスキマ時間を活用して、学習量を確保することが重要です。

具体的には、電車やバスでの移動時間を利用して、前日の講義の復習や専門用語の暗記に充てましょう。音声教材を聞きながら知識を定着させるのも効果的です。

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仲間と連携し、情報を共有する

学業と仕事の両立を乗り越えるためには、助産師教育機関の仲間や先輩と積極的に情報交換をしましょう。

通学期間中は、心身の負担が大きいため、悩みを抱え込むとモチベーションの低下や挫折につながりやすいです。周囲からのサポートや情報を得ることで、困難を乗り越えやすくなります。

実習でケアが難しかった事例を共有したり、助産師になった先輩から国家試験の勉強方法を教わったりすることで、学習を円滑に進められます。

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看護師から助産師になった後のキャリアと働き方

看護師が助産師資格を取得することで、より専門性の高い、幅広いフィールドでの活躍が可能になります。

  • 産婦人科病棟
  • NICUやGCU
  • 産婦人科クリニック
  • 助産院
  • 訪問看護ステーション

助産師は、生命誕生から育児サポートまで、女性のライフサイクルにかかわる専門職です。働く場所によって役割や提供するケアの範囲が異なるため、自分の目指すキャリアやライフスタイルに合わせて職場を選びましょう。

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産婦人科病棟

病院の産婦人科病棟は、助産師が専門性を発揮できる場所です。ここでは、正常分娩の介助だけでなく、ハイリスクな妊産婦のケアも重要な仕事です。

  • 正常分娩の介助
  • 母子の産前・産後のケア
  • 授乳や沐浴といった育児指導

また、手術目的で入院する婦人科系疾患の患者さまもいるため、手術後のケアも学びながら働けるでしょう。

関連記事:産婦人科看護師とは?仕事内容や助産師との違い、求人の探し方を解説

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NICUやGCU

NICU(新生児集中治療室)やGCU(回復期新生児治療室)は、早産児や低出生体重児、疾患を持つ新生児をケアする専門性の高い部署です。

  • 新生児の生命維持の管理
  • 疾患を持つ新生児の専門的ケア
  • 低出生体重児や早産児の成長発達のサポート

助産師は、赤ちゃんの状態に不安を抱えるご家族への心理的なケアもおこないます。

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産婦人科クリニック

個人や地域密着型の産婦人科クリニックでも、助産師は欠かせない存在です。病院と比較して分娩件数は少ない傾向があり、次のような役割を担います。

  • 妊娠中の定期的な検診サポート
  • 妊婦への指導
  • 産後の乳児検診や育児相談

地域に根差した環境で、妊婦一人ひとりとじっくり向き合い、アットホームな雰囲気の中で健康管理と心理的サポートを提供できるのが魅力です。

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助産院

助産師資格を持つことの強みの1つが、独立開業できることです。助産院は、正常な経過をたどる妊婦の自然分娩をサポートする施設であり、助産師の仕事内容は次のとおりです。

  • 妊娠中の健康管理と生活指導
  • 分娩介助
  • 産後の母体回復チェック

自分の理念にもとづいた理想的な出産・育児サポートを提供できる、独立志向の高い方に最適な働き方です。

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訪問看護ステーション

在宅療養中の妊産婦や新生児、育児に不安を抱える母親を支える「母子訪問看護」のニーズは、近年ますます高まっています。

厚生労働省の調査によると、訪問看護ステーションで働く助産師は全体の0.3%と少数ですが、地域で安心して子育てができるよう支援する専門職として、その役割が注目されています。

訪問看護ステーションにおける助産師の主な支援内容は、次のとおりです。

  • 産前・産後の母子の健康チェックや生活支援
  • 授乳や育児に関する指導・相談
  • 早産児や低出生体重児、多胎児などへの在宅支援
  • 心身のケアや産後うつなど、メンタルヘルスへの早期対応

とくに、NICUを退院したばかりの新生児のフォローや、周りに頼れる人がいないご家庭への継続的な関わりなどは、助産師ならではの専門性が地域医療の場で必要とされます。
医療機関や自治体、他職種と連携しながら支援を行うことで、母子が地域で安心して生活を続けられるよう支える役割を担っています。

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看護師から助産師にキャリアチェンジするメリット・デメリット

看護師から助産師になるメリットと、知っておくべきデメリットを比較し、キャリアを選択する際に後悔しないようにしましょう。

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メリット

助産師資格を取得することは、看護師としてのキャリアを一段階引き上げます。助産師は生命誕生をサポートする専門職であり、資格を持つことで看護師には経験できないやりがいと、幅広いキャリアの選択肢を獲得できます。

  • キャリアの選択肢が広がる
  • 専門性が高まる
  • 独立が可能である

とくに、独立開業が可能な点は、助産師特有の魅力です。専門性を活かして地域医療に貢献できるでしょう。

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デメリット

看護師から助産師になるメリットがある一方で、乗り越えるべきハードルも存在します。

  • 費用と期間がかかる
  • 身体的・精神的な負荷が大きい
  • 求人が地域差に左右される

助産師の分野に挑戦する前に、これらの課題を把握しておくことが重要です。また、都市部と地方では求人数に差があるため、希望の勤務地で働きたい場合は、情報収集が不可欠になります。

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看護師から助産師になることについてのよくある質問

ここでは、看護師から助産師になることについてのよくある質問に回答します。

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Q1:看護師から助産師になるのに年齢制限はありますか?

看護師から助産師になるのに、年齢制限はありません。

助産師国家試験には、年齢に関係なく、看護師資格を持ち助産師教育機関を修了した方がチャレンジできます。30代や40代でキャリアチェンジをする方も多く、看護師としての経験や子育て経験が、妊産婦さんへの指導に活かせます。

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Q2:産婦人科の経験がなくても助産師を目指せますか?

産婦人科の経験がなくても、助産師を目指せます。

助産師教育機関では、産婦人科の基礎知識から専門的な分娩介助まで学びます。ただし、国家試験対策や学習のスムーズさという点で、看護師時代に産婦人科病棟やNICUの経験がある方が有利なことは事実です。

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Q3:助産師になった後の年収はどれくらいになりますか?

助産師の平均年収は、看護師よりも高い水準にあります。厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、助産師の平均年収は580万5,600円である一方で、看護師の平均年収は519万7,000円です。

助産師の仕事は、看護師の業務範囲を超えた専門性が求められるためです。また、多くの施設で「助産師手当」が支給されることも、年収を押し上げる要因になっています。助産師資格の取得は、キャリアアップだけでなく、収入アップにも直結するといえます。

関連記事:助産師と看護師の年収の違いとは?手取りや年代別の給料も詳しく解説

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看護師から助産師を目指すのは遅くない!一歩踏み出せばキャリアは大きく広がる

看護師として働きながら「助産師になりたい」という夢を持つことは、キャリアにおける大きな一歩です。費用や期間、学習の負担はありますが、それに見合うだけの高い専門性と、生命誕生の瞬間をサポートできるやりがいを実感できます。

看護師としての経験は、妊産婦や新生児の異常の早期発見や多職種連携に役立ち、育児に悩む母親への心強い支援にもつながります。

現在の職場でキャリアアップや専門性を高めることに限界を感じているなら、転職を検討する良い機会です。NsPaceCareerでは、看護師の病棟経験を活かせる訪問看護の求人を多数取り扱っています。未来のキャリアを見つけるために、ぜひ一度情報をご覧ください。

<参考サイト・文献>

看護職になるには|日本看護協会

保健師助産師看護師法|厚生労働省

第110回保健師国家試験、第107回助産師国家試験及び第113回看護師国家試験の合格発表|厚生労働省

令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況|厚生労働省

令和6年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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