ナラティブレポートの書き方7ステップ!場面別の例文とコツも紹介

公開日:2025/10/09 更新日:2025/10/09
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「患者さまと良い関わりができたな」と感じても、
いざそれを言葉にしようとすると筆が止まってしまう――
そんな経験はありませんか?

看護師にとって、自分の感情や行動を振り返り、
次のケアに活かす力はとても大切です。
その力を育てるツールが「ナラティブレポート」です。

ナラティブレポートとは、日々の看護を通じて感じたこと・考えたことを
自分の言葉で整理し、学びや気づきを可視化する振り返りのレポート。
正しいステップを踏めば、誰でも「伝わる・深まる」文章が書けるようになります。

この記事では、ナラティブレポートの書き方を7ステップでわかりやすく解説します。
さらに、場面別の例文や書き方のコツも紹介。
「患者さまとのかかわりをどう表現すればいいか分からない」
そんな看護師の方に向けて、今日から実践できるヒントをお届けします。

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看護師のナラティブレポートの書き方7ステップ

順番に埋めていくだけでナラティブレポートが完成するように、7つのステップにわけて解説します。

  • 導入|どのような場面か
  • 出来事の描写|事実の時系列はどうか
  • 自分の感情・考え|その場面でどう感じたか
  • 決断・行動|感情をもとにどう動いたか
  • 患者さまがどのように反応したか
  • 学び・気づき|出来事のあとにどう感じて何に気づいたか
  • 今後の行動|学びを今後にどう活かすのか

ナラティブレポートを作成して、自分の看護を客観的に評価し、新たな視点や専門的な知見で、質の高いケアを提供できるように学びを深めましょう。

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1.導入|どのような場面か

まずはどんな場面をテーマにするかを決めましょう。読み手が状況をすぐにイメージできるように、次のような一文で切り出すのがコツです。

  • 新人研修で患者さまと初めて会話した
  • 夜勤中に急変対応に立ち会った
  • ターミナル期(終末期)の患者さまの担当になった

この一文で、レポートの方向性が明確になります。

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2.出来事の描写|事実の時系列はどうか

次に、起きたことを時系列で整理します。
ここでは「自分の感情」は入れず、あくまで客観的な事実だけを書きましょう。

  • 患者さまが「帰りたい」といって廊下を歩いていた
  • 先輩がすぐに処置を始めた
  • 患者さまは治療を拒否され、ご家族と意見が分かれた

「誰が」「いつ」「どこで」「何をしたか」を意識すると、後の振り返りがしやすくなります。

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3.自分の感情・考え|その場面でどう感じたか

出来事を振り返り、その瞬間に自分がどんな感情を抱いたかを書き出します。
短くても構いませんが、「なぜそう感じたのか」まで書くと深みが出ます。

  • 焦って冷静に判断できなかった。急変場面に立ち会うのが初めてで、頭が真っ白になったから
  • 患者さまの言葉に胸を打たれた。ご家族を思う気持ちが強く伝わってきたから
  • 自分の無力さを感じた。知識不足で何もできず、先輩に頼るしかなかったから

「感情+理由」で書くと、自分の心の動きが明確になります。

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4.決断・行動|感情をもとにどう動いたか

感じたことを受けて、実際にどんな行動を取ったかを書きます。
「〜したつもり」ではなく、動作や表情が浮かぶように具体的に書きましょう。

  • どう声をかけるか迷ったが、まずは隣に座って手を握った
  • 急変時に頭が真っ白になったが先輩に「物品を準備して」と指示され、すぐに酸素ボンベを持ってきた
  • ご家族の意見に戸惑ったが落ち着いてから「お話を聞かせてください」と声をかけた

行動を言葉にすることで、自分の判断力や対応力を客観的に見返せます。

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5.患者さまがどのように反応したか

自分の行動に対して、患者さまがどのように反応したかをありのままに書きます。
この部分は感情を交えず、事実として記録するのがポイントです。

  • 安心した表情でうなずいていた
  • 強く拒否し、ベッドから立ち上がろうとした
  • 微笑みながら「ありがとう」と答えてくださった

反応がある・ない両方を記すことで、自分の行動の“影響”を冷静に分析できます。

患者さまの反応を切り出して書くと、自分の行動がどのような影響を与えたのかが明らかとなります。反応がなかった場合も「表情に変化はなかった」「返答はなかった」と記すことで、状況を正確に振り返られるため、考察を深めるきっかけとなります。

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6.学び・気づき|出来事のあとにどう感じて何に気づいたか

出来事を振り返り、そこから得た気づきや学びをまとめましょう。
「どうしてそうなったのか」「次に活かせる点は何か」を意識します。

  • 患者さまの言葉に合わせるだけで会話は続くと気づいた
  • 励まそうとするよりも、共感する姿勢そのものが支えになると学んだ
  • 急変時に冷静に動けなかったのは知識不足と経験不足が原因だと痛感した

「気づき」を書くことで、体験が学びに変わります。

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7.今後の行動|学びを今後にどう活かすのか

最後に、今回の学びを今後の看護にどう活かすかを書きましょう。
この部分が、ナラティブレポートの“締め”です。

  • 次からは患者さまの言葉を一度受け止めてから返答し、自然な会話につなげたい
  • 声かけに迷ったときは、言葉よりもまず寄り添う姿勢を意識したい
  • 急変対応のシミュレーション研修に参加し、冷静に動けるよう準備していきたい

ここを具体的に書くことで、単なる体験談ではなく、成長の記録になります。

ナラティブレポートは「感情を書き出すこと」ではなく、
感情を整理して学びに変えるプロセスです。
7ステップを一つずつ埋めていくだけで、自分の看護を客観的に見つめ、
次の行動につながる“振り返り力”が身につきます。

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ナラティブレポートの書き方の例文【場面別】

ここでは、新人研修・ターミナル期(終末期)看護・急変対応・認知症ケア・訪問看護の5つの場面を例に、リアルなナラティブレポート例を紹介します。
自分の経験と照らし合わせながら読んでみてください。

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新人研修での例文

<例文>
新人研修で、初めて患者さまと二人で会話する場面があった。患者さまが「今日は天気が良いね」と笑顔で声をかけてくださった。しかし、私は緊張して、すぐに言葉が出てこなかった。会話が途切れてしまい「失礼だったのではないか」と焦りと不安を感じた。深呼吸して「天気が良いと気持ちも明るくなりますね」と返した。そのあと、患者さまはご家族の話をしてくださり、相手の言葉を受け止めるだけで会話が広がると気づいた。次回からは「うまく話さなければ」と意識せず、相手の言葉を受け止めて自然に会話をつなげたい。

「沈黙=失敗」ではなく、「受け止める時間」も看護の一部です。焦りを成長につなげる姿勢が伝わり、「次は落ち着いて会話してみよう」と課題が見えてくるでしょう。

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ターミナル期(終末期)看護の例文

<例文>
ターミナル期(終末期)の患者さまへ夜勤中にかかわったときのこと。患者さまは痛みを訴え「もう十分頑張った」と涙を流された。私は言葉に詰まり、声をかけられなかった。「どう答えれば良いのかわからない」という戸惑いと、自分の無力さを知った。そばに座り手を握りながら「一緒に過ごせる時間を大切にしたいです」と伝え、患者さまは「ありがとう」とおっしゃった。無理に励ますより、寄り添う沈黙にも意味があると学んだ。今後は患者さまの気持ちに合わせることを意識したい。

ターミナル期(終末期)にかかわる看護師は、患者さまの言葉にどう答えるべきか悩み、無力感を覚えることもあるかもしれません。しかし、経験を段階的に振り返ると、沈黙やそばにいる時間そのものも大切なケアだと理解できます。

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急変時対応の例文

<例文>
夜勤中、急変コールが鳴り、初めて対応に立ち会った。患者さまの呼吸が急に荒くなり、先輩看護師がすぐに処置を開始した。私は指示を待つだけで動けなかった。自分が役に立てなかったことに悔しさと無力さを感じた。必要物品を準備し、その後は記録を担当した。知識や冷静さが足りないと、急変時に動けなくなると気づいた。次は自分が動けるように急変シミュレーションの研修に参加し、役割を果たせるよう準備していきたい。

急変の場面では、経験が浅いほど「動けなかった自分」に強い悔しさを抱きやすいものです。悔しさをナラティブレポートで整理できると、問題点が明らかになり、自己成長につながります。

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認知症患者さまとのかかわりの例文

<例文>
日勤中、認知症の患者さまが「家に帰る」といって病棟を歩き回っていた。私は「病室に戻りましょう」と声をかけたが、患者さまは強く拒否した。「どうすれば安心してもらえるのか」と焦り、困惑した。「今日はご家族が面会に来られますよ」と声をかけると、落ち着いて病室に戻られた。相手の不安を和らげるには、“正しい言葉”より“安心できる情報”が大切だと学んだ。患者さまの立場に寄り添い、不安を軽減する声かけを意識したい。

認知症患者さまへの対応では、思うように伝わらず焦りや困惑を抱くことが少なくありません。その感情を客観的に振り返ることで、安心を与えるための声かけの工夫が見えてくるでしょう。

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訪問看護での例文

<例文>
在宅療養中の独居の利用者さまを訪問した際「食欲がなく薬も飲めていない」と訴えられた。冷蔵庫を確認すると、ヘルパーの用意した食事がほとんど減っていなかった。体力の低下や孤独感が影響しているのではと気になり、一緒に食事や服薬の工夫を考え、ケアマネジャーにも相談して追加の支援をしてもらえるように依頼した。その結果、デイサービスの利用回数を週1回増やし、食事もヘルパーが内容や形態を工夫する方針となった。利用者さまは「相談できて安心した」と笑顔を見せてくださり、訪問看護では症状だけでなく「生活全体を見守る視点」が欠かせないと学んだ。今後は体調や服薬に加え、生活リズムや心情にも寄り添った支援を意識したい。

訪問看護では、孤独感や生活習慣など病院では見えにくい側面が重要なポイントになります。そうした発見を記録に残せると、生活全体を支える視点が看護師自身にも育ち、今後の看護の質が向上するでしょう。

病院と違った視点で利用者さまを支えたいと感じた方は、NsPaceCareerで訪問看護師がどのような支援をしているかをチェックしてみてください。生活に密着したケアができる訪問看護師にはやりがいや働きやすさなど魅力がたくさんあります。

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ナラティブレポートの書き方のコツ

ナラティブレポートは「振り返り」を形にするものですが、書き方を間違えると単なる感想文や記録になってしまうことがあります。

  • 読み手に伝わりづらい表現は避ける
  • 会話スタイルを用いて場面を想像しやすくする
  • 率直な感情と客観的な背景をまとめる

上記の方法をそれぞれ見ていきましょう。

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読み手に伝わりづらい表現は避ける

「いろいろあった」「大変だった」などのあいまいな表現では、場面を知らない読み手に状況が伝わりません。

たとえば「急変があって大変だった」ではなく「急変コールが鳴り、救急カートをもって病室に急いだ」と書けば、具体的な行動や緊迫感が読み手に伝わります。自分の振り返りを客観的に残すうえでも「誰が何をどうしたか」の5W1Hを意識して書くことが大切です。

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会話スタイルを用いて場面を想像しやすくする

患者さまや自分の言葉をそのまま書き入れると、そのときの空気感が伝わりやすくなります。

「患者さまが『帰りたい』といったため焦った」と書くよりも「患者さまが『家に帰る』と強い口調で訴えた。私は焦りながらも『お部屋で少し休みませんか』と返した」とすれば、場面が自然に浮かびます。

会話を取り入れるだけで臨場感が増し、読み手にとって理解しやすいレポートになるでしょう。ただし、臨場感が増すようにと事実ではないことを書かないよう注意してください。

また、患者さまの特定ができるような個人情報を書かないように十分配慮しましょう。

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率直な感情と客観的な背景をまとめる

感情を背景と一緒に書くことで、自分の弱点や課題を整理し、解決できるきっかけになります。

たとえば「初めての急変対応で頭が真っ白になり怖かった」と背景を添えると、自分の感情の原因がはっきりして、学びへとつなげられます。

ナラティブレポートに残すときは「なぜそのような感情が生まれたか」を考えましょう。

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ナラティブレポートの書き方でよくある失敗と改善策

ナラティブレポートを書くときに、よくある失敗とその改善策を解説します。

  • 事実だけで終わる
  • 感情だけに偏る
  • 書きすぎてまとまらない

自分のレポートをチェックする際に、活用してください。

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事実だけで終わる

「患者さまがこういった」「処置をおこなった」で終わると、単なる出来事の記録になってしまい、自分の成長や看護の工夫が読み手に伝わりません。

感情や気づきを加え「その経験から何を学び、今後どう活かすのか」まで書きましょう。

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感情だけに偏る

「不安だった」「嬉しかった」だけでは、独り言に近くなり、説得力が弱くなります。

事実や背景を添えて「初めてのことで予測がつかず不安を感じた」といった理由まで説明できると、感情の原因が整理されます。

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書きすぎてまとまらない

長々と書きすぎてしまうと、何を伝えたいのかわからなくなってしまい、着地点を失いがちです。

記事で紹介した7ステップに沿って整理すると、自然にまとまりのある文章になります。読み手にも伝わりやすく、看護師も振り返りやすくなる構成で書き留めましょう。

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ナラティブレポートの書き方に関するよくある質問

ナラティブレポートの書き方について、よくある質問にお答えします。自分の体験をわかりやすく伝えるヒントを得てください。

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Q1:ナラティブレポートを書くメリットは何ですか?

ナラティブレポートは単なる課題ではなく、看護師が成長するというメリットがあります。その理由は次のとおりです。

  • 感情を客観的に言語化できる
  • 振り返りが次の行動につながる
  • 自分の目指す看護の姿を描くきっかけになる

「振り返る力」があると、次に似た場面に出会ったときに冷静に判断しやすくなります。看護の実践力を高めるだけでなく、キャリアアップにもつながるでしょう。

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Q2:印象に残った看護場面をそのままナラティブレポートで書いても大丈夫ですか?

「印象に残った」ということ自体が、振り返りに値する大切な体験であるため、そのまま書いても問題ありません。

ただし、突然書き始めるとまとまりに欠けてしまうことがあります。

本文で紹介した7ステップに沿って書き「何を感じ、何を学び、次にどう活かすか」を整理しながら書きましょう。

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ナラティブレポートの書き方を理解して自分の効果的な看護実践を伝えましょう

ナラティブレポートは、日々の看護を振り返り、自分なりの看護観を深めるためのツールです。
7ステップはあくまで「考えを整理するためのガイドライン」であり、状況やテーマによって形を変えて構いません。
大切なのは、“自分がどう感じ、何を学んだのか”を自分の言葉で書くことです。

完璧に仕上げようとしなくても大丈夫です。
まずは短い一文からでも構いません。
少しずつ書き出していくうちに、自分の看護を客観的に見つめ直す力が育っていきます。

ナラティブレポートは、他人と比べるためのものではなく、自分自身の成長を記録するためのものです。
小さな気づきを積み重ねることが、確かな自信とキャリアアップにつながります。
あなたらしい看護を、ぜひ言葉にしてみてください。

<参考サイト・文献>

心に残った看護 ~看護をつむぐ~|日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院

放射線看護のナラティブ—実践の強力なエビデンス—|沼口香織ら

ナラティブの場(看護を語る会)が病棟看護師にもたらす影響|大久保穂華ら

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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