クリニック看護師の平均年収・給料の相場は?病院勤務とどう違う?
「クリニックの看護師の年収相場を知りたい」「給料が高いクリニックはどこ?」
このような悩みや疑問を持っている看護師の方がいるのではないでしょうか。
入院患者のベッドがない場合、もしくは病床数19床以下のところをクリニック(診療所)といいます。病院と比較すると、クリニックは小規模のところが多く給料が安くなる傾向です。
ただし、中には給料水準が高く福利厚生が充実しているクリニックもあります。
そこでこの記事では、クリニックで働く看護師の方の平均年収や給料の相場を解説します。病院で働く看護師との違いや給料が高いクリニックを紹介するので、クリニックへの転職に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
クリニック看護師の年収相場
まず、クリニックで働く看護師の年収相場について解説します。
日本看護協会の調査によると、クリニックで働く看護師の割合は全体2.1%です。そのため、クリニックで働いた経験がない方や、知り合いにクリニックで働いている看護師がおらず、年収相場を知る機会がなく困っている方は多いでしょう。
ここでは、クリニックで働く看護師の方の令和2年の年収相場を、一般診療所の開設者別(個人・医療法人)の違いを紹介します。
開設者 | 年収 | 月収 | 賞与 |
個人 | 372万7,845円 | 26万1,851円 | 58万5,622円 |
医療法人 | 397万9,186円 | 28万2,830円 | 58万5,223円 |
参照元:第23回医療経済実態調査の報告(令和3年実施)|厚生労働省
開設者が個人と医療法人で比較すると、年収は約25万円医療法人のほうが高いことがわかります。さらに、年収の伸び率を前年(令和元年)と比較すると、開設者が個人のクリニックの場合は前年比-1.3%、医療法人の場合は+2.8%です。
クリニックの看護師の方の月給は約26万~28万円であり、時給を単純に換算すると約1,400~1,600円(1日8時間、月22日勤務の場合)といえます。
クリニックへの転職を検討している看護師の方は、開設者が医療法人を選ぶと、より高い年収が期待できるかもしれません。
クリニック看護師と病院看護師の違い
まずは、クリニックもしくは、病院で働く看護師の方の年収相場の違いを紹介します。
厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、病院で働く看護師の平均年収は491万8,300円です。クリニックで働く看護師の方とは、約100~120万円の差があります。
というのも、クリニックと病院、それぞれで働く看護師の方には仕事内容や働き方に違いがあるためです。
クリニックは、日勤がメインであり土曜日は半休で、日曜日や祝日は休みとなるところが多いため、ワークライフバランスを取りやすいでしょう。夜勤はないため、体調が整いやすいともいえます。
医師の診療の補助が主な業務内容であり、ほかにも以下のような業務を担います。
- 血圧や体温などのバイタルサインの測定
- 電話対応
- 受付
- 器具の消毒
- 備品の在庫管理
- 清掃
一方で、病院で働く看護師の方は、入院している患者さまへ24時間体制での医療提供が求められるため夜勤が欠かせません。休みは不規則であり、年末年始やお盆など関係なく勤務します。
ほかにも、病院の看護師には以下のような業務があります。
- 血圧や体温などのバイタルサインの測定
- 清拭や洗髪、シャワー介助などの清潔ケア
- 排泄介助
- 食事介助
- 口腔ケア
- 点滴や服薬管理
- 褥瘡や創傷管理
クリニックの看護師の方と比較し、清掃や器具の消毒などの役割は少なく、患者さまの身の回りの世話や診療の補助がメインとなります。
このように、クリニックの看護師の方と比較し、病院の看護師の方では、業務内容や役割が異なります。ほかにも、病院で働く看護師の方は、夜勤があったり、住宅手当や資格手当など各種手当てが充実していたりするため、クリニックと比較し年収が高いといえるでしょう。
ただし、クリニックでは病院で働く看護師の方よりもあわただしくないで働き方ができ、選ぶクリニックによっては高い水準の年収を期待できます。
給料の高いクリニックとは
比較的、給料が高いとされるクリニックは以下の通りです。
- 美容クリニック
- 人工透析クリニック
- AGAクリニック
- レディースクリニック
- 眼科クリニック
それぞれのクリニックの特徴をみていきましょう。
美容クリニック
美容クリニックには、主に以下のような診療科目があります。
- 美容外科:美容目的での形成外科で手術による二重まぶたや豊胸、リフトアップなどを行う
- 美容皮膚科:美肌やアンチエイジング、脱毛などの施術を行う
業務内容は診療の補助や医療行為(レーザー治療、手術の介助など)、カウンセリング、受付などを行います。
「給料の高いクリニック=美容クリニック」をイメージする看護師の方も多いでしょう。いずれの診療科目でも、自由診療となるため看護師の方の給料も高くなる傾向です。
ノルマや営業目標がある美容クリニックであれば、インセンティブが支給されるため給料の大幅なアップが期待できます。状況によっては年収600万円を目指せるでしょう。
人工透析クリニック
人工透析クリニックでは、主に以下のような業務を担います。
- 透析の機器の操作
- シャントへの穿刺
- バイタルサインの測定
- 水分制限や食事制限などの指導
透析にかかわる専門的なスキルや知識を要するため、給料水準は高くなる傾向です。透析手当がつく場合もあります。
ただし、透析クリニックの中には、透析を受けながら働いている方に対応するために、夜間の透析を行っているところもあります。
手当が追加で支払われより高い給料を得られます。ワークライフバランスを考えたい方や、子育て中であり日中のみの勤務を希望する方は、事前にホームページや求人サイトで透析を実施している時間帯を確認しましょう。
AGAクリニック
近年、AGA(AndrogeneticAlopecia:男性型脱毛症)に悩む方は増加しており、薄毛や抜け毛に悩む男性のほとんどがAGAであるといわれています。
AGAクリニックでの看護師の役割は以下の通りです。
- 診療の補助
- カウンセリング
- 採血
- 血圧測定
- 服薬指導
- 植毛手術の介助
- 受付
- 電話対応
AGAクリニックによっては、看護師の方は直接頭皮に注射をするところがあります。夜勤業務や残業がなく給料水準が高いため、働きやすい職場といえるでしょう。
また、始業時間は遅い傾向であるため、朝起きるのが苦手な方や通勤ラッシュを避けたい方、子どもを保育園にゆっくり送りたい方におすすめです。特別なスキルが必要ない場合が多いためブランクのある方や「クリニックの看護師は難しい」と考えている方でも働きやすいでしょう。
レディースクリニック
レディースクリニックとは、婦人科や産婦人科のことを指すことが一般的です。子宮筋腫や子宮がんをはじめ、生理痛、更年期障害、ピルの処方など女性特有の病気に対する診療を行います。
クリニックにより対象とする病気は異なります。近年では、不妊治療を専門に行うクリニックも増えてきています。主な業務内容は以下の通りです。
- 診察の補助
- 血圧の測定
- 採血
- カウンセリング
- 受付
- 電話対応
自由診療の治療が多いため、高収入が見込めるでしょう。ただし、デリケートな悩みを抱えた女性が来ることが多いため、気遣いや接遇マナーは欠かせません。領域的に、男性看護師の方が働くのは難しいでしょう。
眼科クリニック
眼科クリニックも自由診療が多く、高年収が期待できるといえます。レーシックやICL(眼内コンタクトレンズ)などさまざまな治療を行っています。業務内容は、以下の通りです。
- 手術の介助
- 診療の補助
- 受付
- 電話対応
手術の介助の経験があると活かせます。選ぶ眼科クリニックによっては、日勤のみの勤務でも病院と同じ程度、もしくは高い給料を得られるでしょう。
まとめ
クリニックで働く看護師の方の年収は、開設者が個人である場合は372万7,845円、医療法人である場合は397万9,186円です。
病院で働く看護師の方と比較すると、100万円~120万円の差があります。
ただし、クリニックで働くと、基本的には日曜日や祝日が休みであり、夜勤がないところがほとんどです。ワークライフバランスを整えやすいため、子育てや介護をしている方、夜勤がつらくなってきた方におすすめといえます。
ほかにも、美容や人工透析、AGAなどクリニックの診療科目によっては高収入が見込めるため、高い給与を得たい看護師の方も一度、この記事で紹介したクリニックへの転職を検討してみてください。
参考サイト・文献
「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。