看護師は育休を取れない?給料とボーナス、復帰後の不安を減らすコツ3つ

「看護師は育休が取れないって本当?」「育休中の家計が不安」
育児休業(以下、育休と記載)についてこのような不安を抱えている看護師はいらっしゃいませんか。
育休は、育児・介護休業法に基づき、原則として1歳未満の子どもを持つ親が取得できる制度です。ただし、看護師の方は人手不足や職場の忙しさにより、育休が取れるのか不安に感じるでしょう。
この記事では、看護師が育休を取る方法やもらえる手当、復帰後のキャリアについて詳しく解説します。育休や看護師のキャリアへの不安が軽減し、安心して子どもと過ごせるようになれば幸いです。
看護師は育休をとれる
「忙しいから、なかなか取れないのでは?」と思うかもしれませんが、看護師には育休を取得する権利があります。
ここからは、看護師の育休について、取得率や期間、給料について詳しく解説します。
看護師の育休の取得率と期間
厚生労働省「令和5年度雇用均等基本調査」によると、女性の育休の取得率は、84.1%です。
また、育休の期間は、子どもが保育所に入れないといった理由の場合は最長で2歳まで延長できます。なかには、育休を3年間取得できる職場もあります。
しかし、育休を取得する看護師は先述した女性の取得率より低いようです。その原因には次の要素が考えられます。
育休が取りにくい要因 | 内容 |
人員配置や業務体制によるもの | ・慢性的な人手不足 ・夜間やオンコール勤務体制 ・多忙な業務内容 |
職場環境や待遇によるもの | ・育休取得への理解不足 ・給与や手当の減少 ・女性が多い職場 |
看護師の精神的な面によるもの | ・職場への罪悪感 ・キャリアへの懸念 ・育休後の復帰への不安 |
これらの要因が重なり、看護師の育休取得を妨げたり、育休を早めに切り上げたりするケースがあります。看護師が不安を抱え込まず育休を取得するには、職場の理解も必要であるといえるでしょう。
看護師の育休中の給料とボーナス
育休中の場合、職場からの給与は支給されないことがほとんどです。その代わりに、雇用保険から育児休業給付金が支払われます。
ボーナスの支給は、職場によって対応がさまざまです。全く支給されないところもあれば、一部支給されるケースもあります。事前に職場の就業規則を確認したり、上司や人事課のスタッフに相談したりしておくと安心でしょう。
看護師が育休を取る条件と手順
育休の取得条件と申請方法は、次のとおりです。
育休の条件 | 条件の詳細 |
取得条件 | ・原則1歳までの子どもの育児中であること ・1歳6ヶ月までに職場との契約が満了することが決まっていないこと |
申請方法 | 原則1ヵ月前までに職場に申し出ること |
取得方法 | 分割して2回取得可能(取得する際にそれぞれ申し出が必要) |
育休の取得を考えている看護師は、原則として1ヶ月前に職場に申し出る必要があります。
そのため、就業規則を確認し、育児休業申請書の書式や提出期限、必要書類などを事前に把握しておきましょう。早めの情報収集と準備が、スムーズな育休取得につながります。
また、昨今は子育て支援政策の見直しもされており、随時条件や取得方法が変わる可能性もあります。十分に確認しておくことが重要です。
看護師の育休中にもらえる給付金
看護師の育休中にもらえる手当には、下記の表のものがあります。概要と支給額の計算方法をまとめました。
給付金名 | 概要 | 支給額の計算方法 |
育児休業給付金 | ・原則1歳未満の子どもを育児するために育休を取得した場合に受け取れる ・やむを得ない理由がある場合は最長2歳まで延長可能 | ・休業開始時賃金の日額×支給日数×67%(休業開始から180日まで) ・休業開始時賃金の日額×支給日数×50%(181日目以降) |
出生時育児休業給付金 | ・産後パパ育休を取得した場合に一定の要件を満たすと受け取れる ・子どもの出生後、8週間の期間内に合計4週間分(28日)限度とする | 休業開始時賃金の日額×休業期間の日数×67% |
出生後休業支援給付金 | ・「出生時育児休業給付金」または「育児休業給付金」の支給を受ける方 ・両親ともに一定の期間内に14日以上の育児休業を取得し、一定の要件を満たすと受け取れる | 休業開始時賃金の日額×休業期間の日数(上限28日)×13% |
育児時短就業給付金 | 2歳未満の子どもを養育するために時短勤務をした場合に、賃金が低下するなど一定の要件を満たすと受け取れる | 育児時短就業中に支払われた賃金額の10%相当 |
これらの給付金には、それぞれ支給を受けるための要件や申請方法があります。忘れずに申し込めるように、事前に確認しておきましょう。
看護師の育休と産休の違い
妊娠・出産に関わる女性のための休暇には「産前・産後休暇(以下、産休と記載)」もあります。産休の定義と、育休とのちがいを見ていきましょう。
産休とは
産休は労働基準法に基づいた休業制度で、定義は以下のとおりです。
産前休暇 | 出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前) |
産後休暇 | 原則として出産の翌日から8週間(本人の希望と医師の許可があれば6週間経過後から就業可能) |
出産は、女性の身体に大きな変化をもたらす命がけのできごとです。産休は、女性にとって大仕事である出産前後の身体を守る大切な期間であるといえるでしょう。
育休との違い
育休は子育てのために仕事を休むとともに、仕事と育児の両立を支援するものです。
妊娠から出産後まで、産休と育休という制度によって、母親が心身の回復に専念できる時間と、子どもとのきずなを育むための時間を確保できます。
産休と育休についての理解は、これからの生活の変化への不安を和らげる支えになるでしょう。
看護師の育休後の職場復帰とキャリアへの不安を減らす3つのコツ
育休中に職場復帰が近づくと、今後やキャリアについて不安に思うことでしょう。次のようなポイントを意識しておくと、不安の軽減につながります。
- 職場復帰後の配属先や勤務形態を確認しておく
- サポート体制の確保と周囲への感謝を忘れない
- 自分のキャリアプランを明確にしておく
それぞれ詳しく解説します。
職場復帰後の配属先や勤務形態を確認しておく
育休から復帰したときの配属先は、育休前の部署であるとは限りません。
また、夜勤や残業が多い部署になると、家庭と仕事との両立が難しくなるケースがあります。
そのような場合に備えて、働き方や配属先の希望が出せるのか、職場と相談しておくことが大切です。なかには、育児と仕事の両立を支援するために「時短勤務」や「日勤のみ」など勤務形態を選べる職場もあるでしょう。
配属先や勤務形態が事前に分かっていれば、復帰後の生活をイメージしやすく、心の準備にもつながります。
サポート体制の確保と周囲への感謝を忘れない
育児と仕事の両立は大変なものです。家族や信頼できる友人、地域の子育て支援サービスなどに事前に相談し、育児の協力体制を築いておきましょう。
職場復帰の直後は、育児や家事に対して完璧を求めすぎず、少しずつペースを取り戻すことも大切です。また、職場復帰を支えてくれる家族や同僚、上司への感謝の気持ちを伝えると、より良い人間関係を築き、スムーズに復帰できるでしょう。
自分のキャリアプランを明確にしておく
職場復帰の前に、理想の働き方やキャリアプランを明確にし、上司としっかり話し合うことが大切です。育児と両立しながら、どのように看護師として成長していきたいのか、長期的な目標を考えてみてください。
復帰後、子育てと仕事の両立が難しかったり、自分の思い描いているキャリアとは異なったりする場合は、転職を検討するのもひとつの方法です。訪問看護は子育てしているママ・パパナースが多いです。「NsPaceCareer」は、訪問看護に特化した転職求人サイトです。あなたのキャリアプランに沿った求人の提案や悩み相談を受け付けています。
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看護師の育休のポイントを押さえて安心して育休を迎えよう
育休は、子どもの成長を見守るかけがえのない時間です。
2025年現在、育休中や職場復帰後に支給される手当の種類も増え、育児と仕事との両立をサポートする流れになりつつあります。
看護師であっても、育休の取得方法や期間などのポイントを押さえておけば、安心して育休を迎えられるでしょう。
育休からの職場復帰が心配な看護師の方は、周囲のサポートを受けたり、自分のキャリアプランを考えたりしてみることをおすすめします。育児と両立しながら自分らしく働ける道がきっと見つかるはずです。
<参考サイト・文献>

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