看護師にとって大切なこと9つ!これから看護師に求められることも解説

公開日:2025/04/23 更新日:2025/04/23
記事サムネイル画像

「患者さまと向き合いたいのに、時間に追われて流れ作業みたいになってしまう」「患者さまのちょっとした変化に気づけなくて、落ち込むこともしばしば」

看護師として働くあなたは、喜びややりがいを感じる一方で、さまざまな悩みを抱えているのではないでしょうか。

看護師は、患者さまの命と健康を守る、責任のある仕事です。だからこそ、看護師にはさまざまな能力が求められます。

この記事では、看護師にとって大切なことをご紹介します。より良いケアを提供するためのヒントを見つけてください。

看護師にとって大切なこと9つ

患者さまの安全を守り、質の高いケアを提供するためには、看護師にとって大切なことを知っておくことが重要です。

  • 観察力:患者さまの異常を早期発見できる
  • コミュニケーション能力:医療従事者や患者さまと協働する
  • 判断力:緊急時や予期せぬ状況で適切な行動を選択できる
  • 責任感:ミスが患者さまの生命にかかわる
  • 向上心:常に新しい知識や技術を学び続ける
  • 体力:夜勤や長時間勤務に耐えられる
  • メンタルの強さ:精神的な負担に耐え、冷静さを保つ
  • 協調性:チーム医療でケアする
  • 共感力:患者さまやご家族に寄り添う

これらを身につけケアに活かすことで、患者さまから信頼されたり、自身の成長につながったりします。

観察力:患者さまの異常を早期発見できる

患者さまのいつもと違う様子にいち早く気づく観察力は、看護師に欠かせない能力です。

異常を早期に発見して対応することで、患者さまの容態の悪化や、合併症のリスクを減らせるからです。

たとえば、患者さまの顔色がいつもより悪い、呼吸が浅い、痛みの訴えが強くなったなど、ちょっとした変化も見逃さないように注意深く観察する必要があります。

関連記事:看護師に必要な知識と技術10選!これからの看護師に求められるもの

コミュニケーション能力:医療従事者や患者さまと協働する

看護師には、コミュニケーション能力が欠かせません。

看護師は患者さまの状態や治療に対する気持ちを近くで理解し、それを医療チームに伝える、いわゆる「架け橋」のような役割を担っているからです。

患者さまの表情の変化や言葉の裏にある想いをキャッチして、医療チームに伝えることで共通理解が深まります。

患者さまにとって「気持ちをわかってくれる」という安心感が生まれ、それが迅速な対応につながるのです。

まずは患者さまやほかの医療従事者とのコミュニケーションを心がけ、信頼できる関係を築くことが看護師に必要なスキルといえます。

関連記事:看護師のコミュニケーションで大事なこととは?スキルを上げる方法も解説

判断力:緊急時や予期せぬ状況で適切な行動を選択できる

看護師は、緊急時や予期せぬ場面に直面しても、冷静に状況を判断して行動しなければなりません。

患者さまの容態が急変した場合、医師の指示を待つ余裕がない場面も少なくありません。自分の判断で必要な物品を準備したり、胸骨圧迫や気道確保を開始したりする必要があります。

日頃から、どのように対応すべきかを考え、シミュレーションしておくことが患者さまの健康を守るために必要です。

責任感:ミスが患者さまの生命にかかわる

看護師の仕事は、患者さまの生命と健康にかかわるため、責任感を強く持つことが大切です。

小さなミスがインシデントにつながり、患者さまの病状が悪化するリスクがあるからです。日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業2021年年報」の調査による、事故の概要と件数は次の表のとおりです。

事故の概要件数(件)割合(%)
治療・処置1,77233.8
療養上の世話1,59330.4
薬剤4157.9
ドレーン・チューブ4007.6
検査2795.3
参考:日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業2021年年報」(件数の多い上位5位までを掲載。「その他:11.9%」を除く)

上記の事故を起こしたのはすべて看護師というわけではありませんが、報告件数の約41.5%を看護師が占めています。

看護師は患者さまのケアや、処置をする機会が多くインシデントにつながりやすいといえるため、自分の行動に責任を持ち、しっかりと確認することが不可欠です。

向上心:常に新しい知識や技術を学び続ける

医療の世界では、どんどん新しい技術や知識が生まれているため、看護師は「もっと知りたい」「もっとできるようになりたい」という気持ちで学び続けることが大切です。

たとえば、今までなかった治療法や、身体の負担が少なくなった医療機器などが毎年のように出てきます。

こうした新しい情報を知って、患者さまのケアに役立てるためには、研修会や勉強会に積極的に参加したり、専門の書籍を読んで最新の情報をチェックしたりすることが有効です。

体力:夜勤や長時間勤務に耐えられる

夜勤明けでも集中力を保ったまま業務をこなしたり、緊急時に長時間対応したりするには体力が必要です。また、重い医療機器や患者さまを支えることもあります。

看護師の仕事は、ハードな一面もあるため、身体的なタフさは看護師として働くうえでの強みとなります。

メンタルの強さ:精神的な負担に耐え、冷静さを保つ

看護師は、患者さまの苦しみや悲しみに寄り添うなかで、精神的な負担を感じることも少なくありません。

患者さまの病状や治療の過程で、つらい場面に立ち会ったり、ご家族の不安を受け止めたりすることがあるからです。ときには、死に立ち会うこともあります。

また、医療現場は常に緊張感が高く、ストレスを感じやすい環境であるため、精神的な負担を緩和し、冷静さを保つメンタルの強さが求められます。

協調性:チーム医療でケアする

現代の医療は、医師や看護師だけでなく、薬剤師や臨床工学技士、栄養士などといった専門職と連携して患者さまをケアするチーム医療が基本です。

チーム医療では、患者さまの情報を共有したり、ほかの医療従事者の意見を尊重したりする協調性が欠かせません。

チームの一員として、積極的にコミュニケーションを取り、質の高いケアを提供するためには協調性が必要です。

共感力:患者さまやご家族に寄り添う

看護師にとって、患者さまやそのご家族の気持ちを理解し寄り添う共感力は、心をケアしていくなかで大切です。

病気やケガによって不安や苦痛を感じている患者さまや、そのご家族の気持ちに寄り添うことで、信頼関係を築けるからです。

患者さまの言葉に耳を傾け、気持ちを理解しようと努めたり、ご家族の不安な気持ちを受け止めたりする心のサポートが求められます。

【経歴別】看護師に大切なこと

看護師として経験を積むにつれて、求められる役割や重要となる能力は変わります。ここでは、次の経歴にわけて紹介します。

  • 新人看護師
  • 中堅看護師
  • ベテラン看護師

それぞれの経歴で求められることを理解し、自身の成長に合わせて意識していくことが、キャリアアップにつながります。

新人看護師

新人看護師にとって大切なことは、次のとおりです。

  • 実践したケアに責任を持つこと
  • 法令を遵守して行動すること
  • 助言を得ながら安全なケアを実践すること

積極的に学び続ける姿勢は、自身の成長だけでなく、より良いケアへとつながります。先輩看護師にサポートしてもらいながら、患者さまに寄り添う気持ちを忘れないようにしましょう。

中堅看護師

中堅看護師にとって大切なことは、次のことが挙げられます。

  • 高度な専門知識や技術を深めること
  • チームをまとめるリーダーシップを発揮すること
  • 後輩の育成に積極的にかかわること

中堅看護師は、チームの中心となって、質の高いケアを提供することが求められます。リーダーシップを発揮して、後輩育成にも力を入れられるとよいでしょう。

ベテラン看護師

おもに次の3つが、ベテラン看護師に大切なことです。

  • 高度な専門性とアセスメント力を活かすこと
  • 後輩の模範となる姿勢を示すこと
  • 変化する医療に対応し続ける柔軟性を持つこと

豊富な経験は、多くの患者さまにとって安心感を与えます。また、新しい知識を吸収し、後輩を指導する役割がベテラン看護師には求められます。

【職場別】看護師に大切なこと

職場によっても、看護師に求められることは異なります。

  • 内科病棟
  • 外科病棟
  • 精神科病棟
  • 小児科病棟
  • 緩和ケア病棟
  • 退院支援室
  • 訪問看護ステーション

それぞれの職場に必要なことを理解し、自分に合った職場を選ぶことが、看護師として長く活躍するために欠かせません。

内科病棟

内科病棟の看護師には、患者さまのわずかな変化も見逃さない観察力やじっくり向き合う姿勢、丁寧なコミュニケーション能力などが必要です。

内科にはさまざまな病気の患者さまが入院しており、状態が不安定な場合もあるからです。

長期にわたる療養生活においては、患者さまやご家族の不安に寄り添い、精神的なサポートをおこなうことが重要になります。

このように、内科病棟の看護師は、高度な観察力とコミュニケーション能力をもって、患者さまの安全な療養生活を支える役割を担っています。

外科病棟

外科病棟で働く看護師には、周手術期の患者さまの不安に寄り添う共感力と、術後の回復をサポートする知識とスキルが求められます。

手術を受ける患者さまは不安を抱えており、精神的な支援が重要だからです。

手術前に患者さまの不安な気持ちを傾聴し、手術の内容や流れをわかりやすく説明することで、手術に安心して臨めるようにサポートします。

また、手術後には、バイタルサインの変動や創部の状態を観察し、リハビリテーションをおこなうことで、合併症の予防と早期回復に貢献します。

外科病棟の看護師には、患者さまの精神的な安心と身体的な回復を支えるために、共感力と専門的な知識・スキルが欠かせません。

精神科病棟

精神科病棟の看護師には、患者さま一人ひとりの個性やペースに合わせた、きめ細やかなコミュニケーション能力が求められます。

なぜなら、精神疾患がある患者さまとの信頼関係には時間が必要であり、注意深く観察することも重要だからです。

言葉や表情の変化に注意し、それぞれのペースで根気強く対話することで信頼関係を築きます。また、わずかな変化も見逃さず、予期せぬ行動の兆候を見つけることで、安全な療養環境を保ちます。

このように、精神科病棟の看護師は、高度なコミュニケーション能力と観察力で、患者さまの個性とペースに合わせた治療を支援します。

小児科病棟

子どもは症状を伝えにくく、ご家族は不安が大きいため、小児科病棟の看護師には子どもとご家族に安心を与えるケアと、成長発達に合わせたケアが必須です。

具体的には、乳幼児には会話や遊びでコミュニケーションを取りつつ、小さな変化も見逃さないようにしつつ、家族の気持ちに寄り添い安心感を提供します。

このように、小児科病棟の看護師は、専門性と細やかな配慮で、子どもとご家族が安心して過ごせる療養環境を支えます。

緩和ケア病棟

緩和ケア病棟の看護師に大切なのは、患者さまの身体と心の痛みを和らげる知識・スキルと、ご家族の精神的なケアをおこなう共感力です。

緩和ケアでは、病気の進行に伴う苦痛を抱える患者さんとそのご家族に、身体的なケアと心の支えが不可欠だからです。

具体的には、薬物療法やケアで患者さんの苦痛を和らげ、ご家族の不安に寄り添ったり、意向を尊重し、その人らしい時間を過ごせるよう支援したりします。

このように、緩和ケア病棟の看護師は、専門性と温かい心で、患者さまとご家族を支えます。

退院支援室

退院支援室の看護師には、患者さまとご家族が地域で安心して生活できるように、気持ちに寄り添う傾聴力やほかの医療スタッフと連携する協調性、情報の提供力などが必要です。

具体的には、患者さんとご家族の希望や不安を聞き、利用できる介護サービスの情報を提供します。

このように、退院支援室の看護師は、患者さまとご家族の思いを大切に、地域での安心した暮らしを支える存在です。

訪問看護ステーション

訪問看護ステーションで働く看護師にとって、利用者さまやそのご家族の生活スタイルや価値観を尊重する姿勢が期待されます。

利用者さまの住み慣れた自宅でケアを提供する訪問看護では、医療的な視点だけでなく、生活への配慮が欠かせないからです。

また、限られた訪問時間の中で、利用者さまの状態をしっかりと把握して、必要なケアを提供するスキルも求められます。さらに、訪問看護師として働くなかで大切なことを知りたい方は、下記の記事で詳しく解説しているため、参考にしてみてください。

関連記事:訪問看護の仕事で大切なこと8つ!より良い訪問看護ステーションの探し方を

これから看護師に求められる役割

これからの医療現場では、次のような特徴がある看護師がますます求められます。

  • 在宅看護の視点
  • 変化に対応できる柔軟性
  • ICT(情報通信技術)の活用能力

これらの新しい役割に対応できる看護師は、より幅広い場で貢献できるでしょう。

在宅看護の視点

高齢化が進む現代において、患者様が住み慣れた地域やご自宅で安心して療養生活を送れるよう支援する「在宅看護」の視点が、ますます重要になっています。

厚生労働省「人生の最終段階における医療に関する意識調査 報告書」によると、「最期を迎えたい場所」の質問に対する回答は次のような結果となりました。

最期を迎えたい場所割合(%)
自宅43.8
医療機関41.6
介護施設10.0
無回答4.6
参考:人生の最終段階における医療に関する意識調査 報告書|厚生労働省

この結果から、在宅での療養を希望する方が多いことがわかります。そのため、看護師は地域で患者さまの在宅療養をサポートするという視点が大切です。

関連記事:在宅看護で大切なこと9つ!特徴と在宅看護のメリット・デメリットを解説

変化に対応できる柔軟性

医療技術や社会情勢は変化しているため、看護師には、新しい知識を学び、変化に対応できる柔軟性が求められます。

新しい情報をキャッチし、自分の知識をアップデートしていく姿勢が欠かせません。変化を恐れず、積極的に対応していくことが、これからの看護師にとって重要な資質となります。

ICT(情報通信技術)の活用能力

医療現場でICT(情報通信技術)の活用が進んでおり、オンラインの対応や遠隔モニタリングの活用は、業務の効率化と質の高いケアにつながるため、看護師にもその能力が求められます。

ICTを活用して業務に取り入れていくことが、これからの看護師にとって重要なスキルとなるでしょう。

まとめ:看護師の大切なことを踏まえて自分に合った職場を見つけよう

看護師として働くうえで大切なことは多岐にわたります。

自分の強みや興味関心に合った職場を選ぶことで、やりがいを感じられるため、充実したキャリアを築くための第一歩となります。

この記事を参考に、さまざまな職場の情報を集め、自分にとって最適な職場を見つけてください。訪問看護の分野で働いてみたい方は「NsPaceCarerr」を活用してみませんか。あなたの条件に合った求人を見つけられるため、理想の働き方を実現できます。

<参考サイト・文献>

日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業2021年年報」

「看護師のまなびサポートブック内表[看護実践能力/看護実践能力に基づく学習項目/看護実践能力習熟段階]」|日本看護協会

人生の最終段階における医療に関する意識調査 報告書|厚生労働省

SNSシェア

  • LINEアイコン
  • facebookアイコン
  • Xアイコン
記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。

関連する記事

NsPaceCareerとは-PCイメージ画像左 NsPaceCareerとは-SPイメージ画像左

NsPaceCareerとは

訪問看護・在宅看護に特化した
求人情報検索・応募のほか、
現役の訪問看護師や在宅経験者への無料相談や、
事業所への事前見学申し込みが可能です。

NsPaceCareerとは-PCイメージ画像右 NsPaceCareerとは-SPイメージ画像左