看護師が海外で働く方法6選!仕事内容の違いや海外の資格について紹介

「海外で看護師として活躍したいけど、どうすれば良いかわからない…」
このような悩みを抱える看護師の方はいらっしゃいませんか。日本の看護師の方が海外で働くケースは少なくありません。
ただし、国によって働く条件や資格要件が異なるため、海外での勤務に難しさを感じていることもあるでしょう。
この記事では、看護師の方が海外で働くための方法や仕事内容の違いなどを解説します。海外で看護師として活躍するための第一歩を踏み出してください。
看護師が海外で働く方法6選
看護師の方が海外で働く方法は、おもに次の6つがあります。
- 海外の病院に就職
- 医療ボランティア
- 国際看護師
- インターンシップ
- 留学
- 海外派遣
それぞれの方法を詳しくみていきましょう。
海外の病院に就職
看護師の方が海外で働く方法はいくつかありますが、そのひとつとして、海外の病院に直接就職することが挙げられます。
海外の看護師求人に応募したり、海外専門のエージェントを利用したりして、就職先を探す方法が一般的な方法です。
ただし、この方法で働く場合は、高い語学力や臨床経験が求められます。具体的には、TOEIC800点以上の英語力や5年以上の臨床経験が求められることがあります。
ほかにも、就労ビザや永住権の取得などが必要で、海外で日本人が応募できる求人が少ないという現実があるため、いきなり海外の病院に就職するのは難しいでしょう。
医療ボランティア
医療ボランティアとして海外で医療活動に参加することも、看護師の方が海外で働く方法です。まずは、自分の興味のある分野や地域、活動内容などを明らかにしましょう。
実際には、次のような海外の医療ボランティアがあります。
医療ボランティア | ポイント |
JICA海外協力隊 | ・独立行政法人国際協力機構による政府開発援助(ODA)としておこなわれている事業 ・アジアやアフリカや中東・中南米をはじめとした発展途上国へ派遣されて看護業務 |
国境なき医師団 | ・難民の居住地や紛争地帯、災害復旧途上地などがおもな派遣先 ・地域で足りていない医療の援助を実施 |
ジャパンハート | ・国内外への医療協力が目的でNPO「ジャパンハート」による活動 ・アジアが対象で、自然災害の被災地や医療体制が整わないところでの看護業務 |
これら医療ボランティアの求人によっては「看護師経験3年以上」「年齢は40歳まで」などの条件があります。
ジャパンハートの場合は、語学力やキャリアが問われないため、医療ボランティアとしての活動が初めての場合でもハードルは低いといえるでしょう。
国際看護師
国際看護師とは、資格名ではなく海外で活躍する看護師の方のことです。国際看護師として海外で働く方法には、次の2つの選択肢があります。
- 海外で看護師として働く:各国の看護師資格を取得し、現地の医療機関で働く
- 国際ボランティアとして活動する:国際医療NGOや国際機関などでボランティアとして活動する
海外で活動するためには、各国の看護師の資格要件を知っておきましょう。ほとんどのケースでは学歴や臨床経験、語学力などの資格要件を満たしたうえで、現地の看護師試験に合格して、登録しなければなりません。
さらに、看護師登録する際には、申請書や卒業証明書、職務経歴書、語学試験のスコアなどが必要です。
インターンシップ
海外で看護師として働く方法には、海外の医療機関でのインターンシップがあります。海外の病院やクリニックで次のような業務を経験できます。
- 患者さまのケア
- バイタルチェック
- 医療器具の取り扱い
現地のスタッフや患者さまとコミュニケーションを取ることで、実践的な語学力を身につけられます。また、海外での看護師としてのキャリアを具体的にイメージできるようになり、留学や就職に向けての準備を進められるでしょう。
留学
海外で看護師として働くには、海外の看護大学や大学院に留学し、その国の資格試験に合格するという方法があります。
この方法は、時間や費用がかかりますが、将来的に海外で活躍するための基礎を身につけられ、キャリアアップを目指せます。
留学を検討する際には、希望する国や大学、プログラムなどをリサーチすることが重要です。学費やビザの取得条件、卒業後のキャリアパスなどを考えて、自分に希望に合った留学先を選びましょう。
海外派遣
海外で看護師として働く方法のひとつに、海外派遣のプログラムがあります。これは、日本の医療機関や企業が、看護師の方を海外に派遣する制度のことです。
派遣期間は限られていますが、海外の医療現場を体験し、異文化の理解力やコミュニケーション能力を磨く良い機会となります。
海外派遣プログラムは、将来海外で看護師として働くことを考えている方にとって、貴重な経験となるでしょう。
海外と日本の仕事内容の違い
海外と日本では、看護師の方の仕事内容にいくつかの違いがあります。
なかでも、大きな違いといえるのが、医師と看護師の関係性です。日本の看護師の方は、医師の指示にもとづいて患者さまのケアをおこなうことが一般的です。一方で、海外では、看護師の方がより主体的に患者さまのケアをおこないます。
これは、海外では、医師と看護師は対等な関係にあると考えられているからです。
海外で看護師として働くことを考えている方は、各国の看護師の資格要件だけでなく、仕事内容やそれぞれの事情についても調べておくことが大切です。
日本の看護師資格は海外では使えない
基本的に、日本の看護師資格はそのまま海外では使えません。海外で看護師として働くためには、その国の看護師資格やビザを取得することが要件のひとつです。
- アメリカ
- オーストラリア
- カナダ
国、州によって条件が異なるため、しっかりと情報収集することが重要です。
アメリカ
日本の看護師免許を持っている方は、アメリカの学校に通う必要はありません。CGFNSの審査をパスしたうえでアメリカの国家試験に合格すると、アメリカで看護師として働けます。
さらに、アメリカの看護師事情について詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
*CGFNS:アメリカ以外の国で教育を受けた看護師がアメリカで看護師になった際に、不当な待遇を受けないように、安全なケアを保証するために設立された非営利団体のこと
関連記事:アメリカの看護師の年収はいくら?日本の看護師より高い5つの理由を紹介
オーストラリア
オーストラリアで看護師の免許を取得するための条件は、4年制大学を卒業、または専門学校を卒業しているかによって異なります。
学歴 | 看護師資格の取得の条件 |
4年制大学 | ・日本での看護経験が過去5年で3ヶ月以上 ・IELTSで7.0、もしくはOETでB以上のスコア(*) |
専門学校 | ・IELTS 7.0以上と同等の英語力を取得 ・1年または2年オーストラリアの大学で看護コンバージョンコースを修学 ・オーストラリアで看護学学士号を取得 |
日本の4年制大学を卒業している場合は、条件を満たして書類を提出することで、オーストラリアの学校に通わなくても看護師の資格を取得できる可能性があります。
ただし、これらはあくまでも最低条件といわれています。また、書類審査には時間がかかるケースもあるため、オーストラリアで働くことを考えている看護師の方は早めに準備しましょう。
*IELTS:日本英語検定協会が運営している海外に留学するときの英語力証明テストのこと
*OET:医療従事者向けの英語試験のこと
関連記事:オーストラリアで出会った訪問看護の魅力/海外訪問看護
カナダ
日本で看護師資格を有している方で、カナダでの勤務を希望する場合は、まずNNASで審査を受けなければなりません。
その後、各州の看護協会が定める要件に沿って、看護師の登録手続きを進める必要があります。
*NNAS:カナダ以外の国の看護師が、カナダで看護師になるための審査・評価をおこないカナダ各州の看護協会へ評価結果を知らせるための機関のこと
看護師が海外で働くメリット
看護師の方が海外で働くことには、次のようなメリットがあります。
- 語学力が身につく
- 日本に戻ったあとで海外での経験を活かせる
- 海外の看護師は高年収が期待できる
それぞれのメリットをみていきましょう。
語学力が身につく
海外で看護師として働くことは、異文化に触れるだけでなく、語学力を向上させる機会となります。
日常生活を送るうえで、現地の言葉でのコミュニケーションは不可欠です。スーパーでの買い物やレストランでの注文、交通機関の利用などで言葉を使う必要があり、実践的な語学力が身につきます。
さらに、海外の医療現場での患者さまや同僚とのコミュニケーションにおいて、高度な語学力が求められます。患者さまと信頼関係を築き、質の高いケアを提供するためにも語学力が重要です。
日本に戻ったあとで海外での経験を活かせる
海外での看護師経験は、日本に帰国したあともキャリアアップの財産になります。
海外の医療現場で働き、日本の医療とは異なる文化や制度、ケアの方法に触れることで、国際的な視野が身につき、さまざまな価値観を理解できるからです。
たとえば、多文化社会における医療ニーズへの対応や患者さまの宗教観に配慮したケアが挙げられます。厚生労働省の令和5年3月の調査によると、外国人患者を受け入れた経験がある病院は全体の50%でした。
今後、外国人患者を受け入れる機会は増えることが推測されるため、ケアをしたりコミュニケーションを取ったりする場面で海外での経験を活かせるでしょう。
海外の看護師は高年収が期待できる
海外で看護師として勤務するメリットは、高年収が期待できることです。国によっては、日本の看護師の方よりも高い年収を得ることが可能です。
とくに、アメリカやオーストラリアなどの国では、看護師の方の平均年収は高い水準であることが知られています。
関連記事:オーストラリアの看護師の年収はいくら?日本との違いを詳しく解説
看護師が海外で働くデメリット
看護師の方が海外で働くことには、次のようなデメリットもあります。
- 海外の環境が合わない可能性がある
- 家族や友人に会えなくなる
海外で働くことは、多くの魅力がありますが、これらのデメリットも理解しておくことが大切です。
海外の環境が合わない可能性がある
看護師の方が海外で働くデメリットは、海外の環境が合わない恐れがあることです。
たとえば、食生活の違いは大きなストレスになるリスクがあります。慣れない味付けや食材、宗教上の理由で食べられないものなど食事が合わないと体調を崩したり、精神的に落ち込んだりするでしょう。
言語の壁も大きな課題です。言語が十分に理解できず、患者さまとの間で誤解が生じたり、医療スタッフとスムーズに連携できなかったりすると、海外の環境が合わないと感じる可能性があります。
家族や友人に会えなくなる
看護師の方が海外で働くデメリットのひとつは、家族や友人に会えなくなることです。
海外で生活するため、家族や友人に会う機会が減り、寂しさを感じたり、不安になったりするかもしれません。
しかし、今ではインターネットやSNSを活用することで、家族や友人とのコミュニケーションを比較的容易に取れます。
また、海外での生活は、新たな出会いの機会でもあります。現地の人々や別の国の看護師と交流することが、精神的な支えになるでしょう。
海外で看護師になるためにはしっかりと目標を立てて各国の事情を理解すること
海外で看護師として働くためには、しっかりと目標を立て、各国の事情を理解することが大です。
語学力や臨床経験だけでなく、異文化の理解力やコミュニケーション能力も求められます。
大変なことも多いですが、海外で看護師として活躍することは、あなたにとって成長の機会となるでしょう。
<参考サイト・文献>

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