看護師の休みはどれくらい?平均の年間休日や休みの多い職場を紹介
看護師の休みについて、気になる方は多いでしょう。
不規則な勤務体系のなかで、ほかの看護師の方がどれくらいの休みがあるのか、どのように過ごしているのか、不安や疑問を感じている方もいるかもしれません。
この記事では、看護師の平均的な休みの日数や、休みが多い職場、休日の過ごし方、そして希望休を叶えるコツまでを詳しく解説します。この記事が、看護師として働く方、またはこれから転職を目指す方の不安解消につながれば幸いです。
看護師の休みはどれくらい?
看護師の休みは、病院やクリニック、訪問看護ステーションなどの働く場所や雇用形態によって異なります。ここでは、日本看護協会の調査データをもとに、平均的な休みの日数や有給休暇の取得率について説明します。
- 看護師の年間休日は平均116.6日
- 看護師の有給休暇の取得率は67.7%
- 看護師の休みは不定期
これらのデータは、あくまで平均値であるため、実際の休日は働く職場によって大きく異なることを理解しておきましょう。
看護師の年間休日は平均116.6日
看護師の方の年間休日は、平均で116.6日です。これは、日本看護協会の調査で明らかになっており、具体的な内訳は次のとおりです。
日数 | 割合 |
100日未満 | 2.5% |
100~110日未満 | 15.5% |
110~120日未満 | 31.7% |
120~130日未満 | 44.1% |
130日以上 | 2.7% |
無回答・不明 | 3.5% |
厚生労働省の調査によると一般的な労働者の平均休日数は115.6日であることから、看護師の休日数は多いです。
しかし、看護師の仕事はシフト制であり、お盆や年末年始も関係なく勤務することから単純な休みの日数だけで休みの満足度を判断できません。大切なのは、日々の勤務時間や休暇の取りやすさ、そして休日に心身のリフレッシュができるかどうかです。
もし、現在働いている職場で休みが少ないと感じている方は、後述する「休みが少ないと感じる職場の特徴」や「休みの希望を叶えるコツ」を参考にしてみてください。
また、年間休日数だけでなく、有給休暇の取得率や希望休の通りやすさなども考慮に入れると、より働きやすい職場を見つけられるでしょう。
看護師の有給休暇の取得率は67.7%
次に、看護師の有給休暇の取得率をみていきましょう。日本看護協会の調査をもとにした内訳は下記のとおりです。
取得率 | 割合 |
10%未満 | 0.9% |
10~20%未満 | 1.8% |
20~30%未満 | 2.4% |
30~40%未満 | 4.6% |
40~50%未満 | 9.3% |
50~60%未満 | 13.2% |
60~70%未満 | 16.1% |
70~80%未満 | 16.7% |
80~90%未満 | 15.2% |
90%以上 | 16.0% |
無回答・不明 | 3.8% |
一般的な労働者の有給休暇の取得率は62.1%であるため、看護師の有給休暇の取得率は高いといえます。
これは、看護師の有給休暇に対する意識が高まっていること、また、職場環境の改善が進んでいることを示しているといえるでしょう。
ただし、取得率が低い看護師の方も一定数いることがわかります。有給休暇は、心身のリフレッシュやプライベートの充実のために大切な制度です。取得しにくい職場の雰囲気や、人手不足でなかなか言い出せない方もいるかもしれません。
有給休暇の取得について困っている場合は、職場の労働組合や相談窓口に相談してみるのもひとつの方法です。
看護師の休みは不定期
日本看護協会の調査によると「週休2日(4週に8日の休日)」」としているところが48.7%で最も高く、次いで「週休2日(1週に必ず2日の休日)」が 24.4%でした。
シフト制は、患者さまの状況に合わせて24時間体制で医療を提供するために欠かせません。
しかし、不規則な勤務は、生活リズムの乱れや体調不良につながる可能性もあります。また、友人や家族と休みが合わないため、予定を立てにくい方もいるでしょう。
シフト制で働くうえで大切なのは、しっかりと休息を取り、生活リズムを整えることです。たとえば、夜勤明けはしっかりと睡眠時間を確保し、規則正しい食生活を心がけるなど、工夫が必要です。
また、平日の休みを有効活用することで、プライベートの時間を確保するように心がけましょう。
施設における看護師の休みの特徴
ここでは、施設における看護師の休みの特徴を紹介します。
- 大学病院や総合病院
- 訪問看護ステーション
- クリニック
- 介護施設
それぞれの施設における休みの実態をみていきましょう。
大学病院や総合病院
大学病院や総合病院は、高度な医療を提供するための設備や人員が整っているため、看護師数も多く、比較的休みを取りやすい環境といえるでしょう。
しかし、2交代制・3交代制といった交代勤務や夜勤があるため、生活リズムが不規則になりやすいです。
生活リズムが崩れやすいため、体調管理に気をつけなければなりません。また、緊急の患者さまに対応することも多いため、時間外勤務が発生する場合もあります。
さらに、休日出勤や研修への参加を求められる場合もあるため、施設の休みの現状について事前に確認しておきましょう。
訪問看護ステーション
訪問看護ステーションでは、利用者さまの状態によっては時間外勤務が発生したり、オンコール体制がある場合は、電話対応や緊急訪問が必要になったりすることもあります。
ただし、訪問看護ステーションでは、基本的には土日祝日が休みです。さらに、訪問看護師のなかには子育て中の方も多く、子どもの体調不良に柔軟に対応できる体制をアピールしている事業所もあります。
訪問看護ステーションによって休み事情は異なるため、施設見学やインターンシップなどに参加して実態を知っておきましょう。
関連記事:訪問看護師は土日休み?土日休みのメリットや休みがないと言われる3つの理由
クリニック
クリニックは、外来診療が中心となるため、夜勤がない勤務であるため、規則正しい生活を送りやすいです。
たとえば、午前と午後の診療の間に休憩時間がある場合や、夕方には診療が終わる場合などがあります。そのため、仕事後の時間を有効活用しやすいでしょう。
しかし、規模が小さいクリニックでは、看護師の人数が少ないため、一人あたりの仕事量が多くなる傾向があります。そのため、当日欠勤や長期休暇などに対応できない場合があります。
関連記事:クリニックに転職したい看護師必見!メリットデメリットや年収情報まとめ
介護施設
介護施設は、24時間体制で利用者さまを支えているため、病院と同じように夜勤や交代勤務があるのが一般的です。
人手不足の施設では、一人あたりの負担が大きくなり、休みが取りにくい状況になっている場合もあります。また、介護業務と看護業務を兼務する場合もあり、体力的に負担を感じる看護師の方もいるかもしれません。
しかし、利用者さまと長期的にかかわるころができるため、やりがいを感じられる仕事でもあります。
関連記事:介護施設の看護師の給料は低い?転職して給料アップする方法3つを紹介
看護師で休みが多い職場
看護師の方が働くうえで、休日の多さは重要な要素のひとつです。ここでは、比較的休みが多いといわれる職場について、具体的なメリットやデメリット、特徴などを交えながら解説します。ご自身のライフスタイルやキャリアプランに合わせて、最適な職場選びの参考にしてください。
休みが多いのは大規模な病院
大学病院や国立病院などの大規模な病院は、次のような理由があり比較的休みが多い傾向にあります。
- 人員配置に余裕があること
- 福利厚生が充実していること
- 休暇制度が整っていること
休みの多さを重視する看護師の方は、転職先を選ぶ際に病院の規模をひとつの判断材料としても良いでしょう。
土日祝日に休みが多いのは訪問看護ステーションやクリニック
病院と比べて、訪問看護ステーションやクリニックは、土日祝日に休みが多い傾向にあります。これは、外来診療が中心であること、利用者さまに合わせてサービスを提供していることなどが理由として挙げられます。
訪問看護ステーションは、利用者さまとじっくり向き合うことができるため、より深い信頼関係を築きたい方におすすめです。クリニックは、地域医療に貢献したい方や、患者さまと近い距離で関わりたい方におすすめです。
しかし、人手不足の場合やオンコール体制がある場合などを考慮しなければなりません。
これらの情報を参考に、ご自身の希望やライフスタイルに合った職場を見つけてください。
転職を検討する際には、求人情報だけでなく、職場の雰囲気や休暇の取りやすさなどを事前に確認することが大切です。
看護師で休みが少ないと感じる職場の特徴
看護師が「休みが少ない」と感じる背景には、いくつかの要因が考えられます。
- 人手不足である
- 休みが不定期であり連休がない
- 休日出勤を求められる
- 休みの希望が通りにくい
- 連休を取りにくい職場の雰囲気である
単に休日数が少ないだけでなく、休日の取得しやすさ、職場の雰囲気なども大きく影響します。ここでは、看護師の方の経験談や公的機関のデータをもとに、休みが少ないと感じる職場の特徴を具体的に解説します。
人手不足である
人手不足の職場では、ひとりあたりの仕事量が多くなり、休みが取りにくくなります。これは、看護師の方の職場における深刻な問題のひとつです。
日本看護協会による求人倍率の詳細なデータは次のとおりです。
施設の種類 | 求人倍率 |
訪問看護ステーション | 3.88倍 |
病院(20~199床) | 2.30倍 |
病院(200~499床) | 1.88倍 |
介護老人福祉施設 | 1.41倍 |
病院(500床以上) | 1.35倍 |
十分な人員が確保されていない場合、一人ひとりの負担が大きくなり、残業や休日出勤が増加し、結果として休みが少なくなると感じてしまいます。
また、急な欠員が出た場合、ほかのスタッフがその穴埋めをしなければならず、予定していた休みを返上せざるを得ない状況も発生します。
人手不足は、看護師の心身の疲れにつながるだけでなく、医療安全にも影響を及ぼす可能性があるため、早急な改善が求められます。
休みが不定期であり連休がない
休みが不定期で連休がないと、疲れがたまりやすいです。
看護師の多くはシフト制で勤務しており、土日祝日が必ず休みというわけではないため、友人や家族と予定を合わせにくく、孤独だと感じる方もいるかもしれません。
また、連休がないと、旅行や遠出などまとまった時間が必要なことをすることが難しく、リフレッシュする機会が減ることから、休みが少ないと感じるのかもしれません。
休日出勤を求められる
休日出勤を求められると、自分の時間を確保できません。本来、休日は労働者を休ませるためのものです。
しかし、研修や学習会に参加するために、休日出勤を余儀なくされるケースも少なくありません。
休日出勤手当が支給される場合もありますが、大切な休日を仕事に費やさなければならないことはストレスとなります。また、休日出勤が常態化している職場では、心身ともに疲れてしまい、離職するきっかけになる場合もあります。
休みの希望が通りにくい
休みの希望が通りにくいと、ストレスが溜まります。看護師にも冠婚葬祭や旅行、趣味など、個人的な事情で休みを取りたいときもあるでしょう。
しかし、職場の状況によっては、希望通りに休みを取ることが難しい場合があります。とくに、人手不足の職場や希望休が集中しやすい時期などは、調整が難しく、結果として希望がとおりにくいです。
この状況が続くと、不満が溜まり仕事へのモチベーション低下につながる可能性があります。
連休を取りにくい職場の雰囲気である
休暇を取得することは労働者の権利ですが、職場によっては、連休を取得することに否定的な雰囲気がある場合があります。
「ほかの人も休んでいないのに自分だけ休むのは申し訳ない」「忙しい時期に連休を取るのは非常識だ」といった圧力が働くことで、連休を取りづらいと感じる看護師の方もいるようです。
このような雰囲気は、看護師の方のリフレッシュを妨げ、離職につながる要因のひとつとなります。
看護師の休みの過ごし方
看護師の休日は、日々の激務から心身を解放し、リフレッシュするための大切な時間です。ここでは、看護師の皆さんがどのように休日を過ごしているのか、いくつかの例をチェックしてみましょう。
- ゆっくりと休息する
- 趣味を楽しむ
- 友人や家族と過ごす
- 自己啓発に時間を使う
- 近場へのお出かけ
これらの過ごし方を参考に、自分に合ったリフレッシュ方法を見つけてみてください。
シフト制の看護師が休日を快適に過ごすコツ
シフト制で働く看護師の方は、生活リズムが不規則になりがちです。そのため、休日を快適に過ごすためには、いくつかのコツがあります。
- 自分が好きなこと・楽しいことをする
- 仕事のことを忘れる
- 身体を休める
- 規則正しく生活する
休日もできるだけ同じ時間に起きて、同じ時間に寝るようにすることで、体内時計を整えられるでしょう。
看護師が休みの希望を叶えるコツ
看護師として働くなかで、希望通りの休みを取得することは、ワークライフバランスを保つうえで重要です。しかし、シフト制勤務という特性上、希望通りに休みを取るのが難しいと感じている方もいます。
- 早めに希望を伝える
- 夜勤明けを活用して連休を作る
- 同僚と協力する
これら看護師の方の声も参考に、希望休を叶えやすくするための具体的なコツを紹介します。
早めに希望を伝える
希望休は、できるだけ早めに伝えることが大切です。
早めに希望を伝えることで、看護師長がシフト作成をする際に、全体のバランスを考慮しながらシフトを組み、調整しやすくなるためです。
たとえば、1ヶ月以上前に希望を伝えたり、シフト作成の締め切り日を事前に確認しておいたりすることなどが有効です。
また、口頭だけでなく、書面やシフト管理システムなどを利用して伝えることで、「言った・言っていない」といったトラブルも防げます。
希望がほかの同僚と重なってしまった場合は、お互いに譲り合ったり、調整したりすることも必要です。日頃から同僚とのコミュニケーションを密にしておくことで、スムーズな調整につながるでしょう。
夜勤明けを活用して連休を作る
夜勤明けの時間を有効活用することで、実質的な休みを長く感じられます。
たとえば、夜勤明けの朝に少し遠出して、次の日もゆっくり過ごす、といった計画を立てられます。夜勤明けの日は午前中に用事を済ませ、午後はゆっくりと休息して次の日は趣味やレジャーに時間を使うなどの過ごし方もおすすめです。
日勤後の休みと夜勤後の休みでは時間の使い方が異なるため、夜勤明けを意識的に活用することで、より充実した休日を過ごせるでしょう。
同僚と協力する
休みの希望を叶えるためには、同僚との協力が不可欠です。
看護師の方の職場は、1日に休める人数が決まっている場合が多く、お互いに協力し合い、譲り合う気持ちが大切です。
たとえば、お互いの希望休を事前に共有し調整し合う、急な休みが必要になった場合は快く交代を申し出るなどが良好な関係を築くうえで重要です。
日頃から同僚と良好なコミュニケーションを取っておくことで、いざという時に助け合える関係を築けます。
看護師の休みに関するQ&A
看護師の休みに関して、よくある質問とその回答をまとめました。
看護師は連休で休みがあるの?
看護師も連続した休みを取得することは可能です。
ただし、多くの職場ではシフト制を採用しているため、一般企業の会社員のように土日祝日が固定の休みとは限りません。そのため、月によっては連休がない場合もあり、看護師には連休がないとイメージしている方もいるでしょう。
しかし、前述したように、早めに希望を伝えたり、夜勤明けを活用したり、同僚と協力したりすることで、連休を取得できます。
また、最近では、看護師のワークライフバランスを重視し、積極的に連休取得を推奨する医療機関も増えてきています。
看護師は休日出勤するの?
労働基準法の観点からいえば、正当な理由なく休日出勤を強制することはできません。
ですが、実際には、人手不足や急患対応、研修や学習会への参加などで、休日に出勤せざるを得ない状況が発生する場合もあります。
休日出勤が発生した場合は、代休を取得したり、休日出勤手当が支給されたりする場合があります。職場の就業規則を確認し、適切な対応を求めるようにしましょう。
また、休日出勤が常態化している場合は、労働組合や相談窓口に相談することも検討することが不可欠です。
看護師の休みは平均で年間116.6日!休みの多い職場に転職しよう
看護師の平均年間休日は116.6日です。
ただし、休日数だけでなく、休日の質や取得のしやすさ、職場の雰囲気なども考慮することが大切です。現在の職場で休みが少ないと感じている場合は、転職を検討してみるのもひとつの選択肢です。
休みの多い職場を希望する場合は、訪問看護ステーションを考えてみてはいかがでしょうか。訪問看護は、比較的規則正しい生活を送ることができ、土日祝日が休みの事業所も多い傾向にあります。
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<参考サイト・文献>
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