フリーランス看護師とは?働き方や始め方4ステップについて解説
看護師として働くなかで「もっと自由に働きたい」「人間関係のストレスに疲れた」などと感じることはありませんか。
そのような悩みを抱える看護師の方にとって、フリーランス看護師という働き方は魅力的でしょう。
今回は、フリーランス看護師の方の具体的な働き方や、始めるための4つのステップを詳しくご紹介します。新しいキャリアの可能性を見つけるきっかけにしてみてください。
フリーランス看護師とは?
フリーランス看護師とは、特定の勤務先に所属せず、自らのスキルを活かして多様な働き方を選ぶ看護師の方をさします。
一般的に、病院で看護師の方が正社員として働く際には、シフト制であったり、業務内容が決められていたりします。一方で、フリーランス看護師の方はライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能であり、より自由に働けるのが特徴です。
働き方だけでなく、業務内容も自身の得意分野や好きなことを中心に選べます。
フリーランス看護師の働き方
フリーランス看護師の方の働き方は、次のように多岐にわたります。
- 常勤看護師のヘルプとして働く
- 訪問看護師として働く
- 美容看護師として働く
- 単発の仕事をこなす
- 研修や学会のスタッフ・講師として働く
- 医療系ブログを書く・Webライターとして働く
- 個人事業主として起業する
それぞれの働き方を詳しくみていきましょう。
常勤看護師のヘルプとして働く
慢性的な看護師不足が続いている医療機関が少なくなく、急な欠員によって業務が回らなくなることがあります。
実際に、厚生労働省の調査によると看護職員(看護師・准看護師)の有効求人倍率は2.20倍です。これは、ほかの職業の1.19倍よりも高いことから、看護職は人手不足であることがわかります。
このような状況を救うのが、即戦力として活躍できるフリーランス看護師です。1週間以内、あるいは翌日の勤務などに対応可能な場合は、現場で感謝されるでしょう。
訪問看護師として働く
訪問看護ステーションには、フリーランス看護師を登録制で雇用するケースもあります。
事業所が提供する仕事を受けながら、自分のペースで働けるのが特徴です。訪問スケジュールの調整がしやすいため、ほかの仕事やプライベートと両立しやすいでしょう。
美容看護師として働く
フリーランス看護師の方は、美容クリニックやアートメイクの施術などにおいても活躍しています。美容外科やクリニックでの常勤経験がある場合は、仕事がより見つけやすくなるでしょう。
美容の分野は、その成果が目に見えやすいのも特徴のひとつです。施術のスキルや対応力によって信頼を得やすく、リピーターの獲得や紹介による顧客拡大も期待できます。
単発の仕事をこなす
フリーランス看護師向けの求人は、単発の仕事も募集されています。求人の例は、次のとおりです。
- ポイントでの常勤のヘルプ
- ツアー・イベントナース
- 検診ナース
スケジュールに合わせて働けるだけでなく、豊富な働き先から好きな仕事を選べるのも、単発の仕事の魅力です。自分に合う仕事を探したいという看護師の方に適しています。
研修や学会のスタッフ・講師として働く
医療系の研修や学会において、講師やスタッフとして働く選択肢もあります。
自身のスキルや知識を活かして、ほかの看護師の方に指導をおこなったり、学会運営を支援したりする仕事です。
医療系ブログを書く・Webライターとして働く
看護師としての経験を活かし、医療系のブログを書いたり、Webライターとして執筆したりして活躍するフリーランス看護師の方もいます。
「在宅勤務OK」とするところもあり在宅で作業ができるため、子育て中の方や仕事と家庭の両立を重視する方にとって、魅力的な働き方だといえるでしょう。
自身のブログやSNSを通じた発信活動も、フリーランス看護師としての活動を広げるチャンスにもつながります。
個人事業主として起業する
看護師の資格や経験を活かして、次のように事業を展開する方もいます。
- 訪問看護ステーションの立ち上げ
- 美容サロンの経営
- オンライン健康相談事業
- ベビーマッサージやマタニティヨガの運営
- ベビーシッターとして出張事業
- 看護師の方のキャリア支援事業
個人事業主として看護師として培ったスキルや経験を最大限に活かしつつ、自分の理想の働き方や社会への貢献を形にできる選択肢だといえます。
フリーランス看護師のメリット
フリーランス看護師のメリットは、以下のとおりです。
- 働き方を自由に選べる
- キャリアの選択肢が広がる
- 自分の得意分野に特化できる
- 複数の収入源を持つことができる
- 人間関係のストレスが減る
それぞれを具体的に解説します。
働き方を自由に選べる
フリーランス看護師の方は、勤務日や勤務時間を自分で設定できるため、プライベートとのバランスを取りやすいのが大きなメリットです。
日勤や夜勤の選択や、1日のなかでの働き方も細かく調整できます。育児や介護などの家庭の事情に柔軟に対応できるのも、魅力のひとつです。
キャリアの選択肢が広がる
フリーランス看護師として働くと、さまざまな分野や業務を経験できます。
特定の分野に縛られずいろいろな仕事を試すことで、自分に合った働き方ややりがいを感じられる分野を発見するきっかけとなります。結果として、キャリアの選択肢が広がるでしょう。
自分の得意分野に特化できる
興味がある分野や得意なスキルに集中できる仕事を選べ、それぞれの分野を極めることでスキルアップできることも、フリーランス看護師の方のメリットです。
また、日々のモチベーションの向上にもつながり、仕事への意欲や満足度も高まるでしょう。
複数の収入源を持つことができる
フリーランスであれば、看護師業務だけでなく、Webライターやセミナー講師など、異なる分野の仕事を組み合わせることが可能です。
収入源を分散でき、フリーランス特有の収入の不安定さの解消にもつながります。
これまでの経験やスキルを活かした仕事によって収入を得ながら、新たな分野への挑戦もできるでしょう。
人間関係のストレスが減る
フリーランス看護師は、チーム活動や委員会などがほとんどなく、人間関係のストレスが軽減する可能性が高いといえます。
クライアントの方とも対等な立場でコミュニケーションができ、精神的な余裕が生まれることで、仕事の質も向上するでしょう。
フリーランス看護師のデメリット
フリーランス看護師のデメリットは、正社員としての勤務にはない課題やリスクが生じることです。
- 収入が不安定になるリスクがある
- スキルアップしにくい可能性がある
- 経費や社会保険の自己管理が必要
- 働けなくなったときの保障がない
- 求人探しに時間がかかりやすい
ここでは、フリーランス看護師として働く際に注意すべきデメリットとその対処法について解説します。
収入が不安定になるリスクがある
フリーランス看護師の方には、ケガや病気などで働けなくなった場合に収入が極端に少なくなったり、なくなったりするリスクがあります。
また、業務委託での契約となるケースもあり、契約や依頼が急に途絶えることも念頭に置かなければなりません。フリーランス看護師として生活していくには、安定的に仕事を確保するためのネットワーク作りや緊急時に備えた貯蓄が重要です。
スキルアップしにくい可能性がある
正社員として勤務しているケースでは、経験年数や業務内容に応じて、研修や勉強会などが設けられることが多いでしょう。
しかし、フリーランス看護師にはそのような機会が提供されることはほとんどありません。
さらに、病棟で働くときにヘルプという形となるため仕事内容が単調になりがちです。
そのため、新しい知識や技術を自ら積極的に学ぶ姿勢がなければ、スキルアップは難しいといえます。
経費や社会保険の自己管理が必要
フリーランス看護師は、経費や社会保険の管理、それぞれの手続きも自分でおこなう必要があります。
これまで正社員として勤務していた場合、社会保険や税金、年金などの管理を職場に代行してもらっていたケースが多いでしょう。フリーランス看護師として活動し始めたばかりの時期には、慣れない手続きや税務にかかわる知識のなさに戸惑うかもしれません。
自分で学んだり、専門家に相談したりする手間と時間が必要です。
働けなくなったときの保障がない
正社員として働いた場合、病気や障害を負った際の休職制度や産休・育休などの福利厚生がある場合がほとんどです。
しかし、フリーランス看護師の方にはこれらの制度がありません。万が一働けなくなった場合に備えるためには、民間の保険への加入や計画的な貯蓄が必要です。
求人探しに時間がかかりやすい
フリーランス看護師として働き始めたばかりの時期は、希望条件やスキルに合った求人を見つけるまでに時間がかかる場合があります。
慣れるまでは効率よく求人を見つけられずストレスを感じたり、頑張り過ぎて疲れたりするかもしれません。
フリーランスという働き方は自由度が高い一方で、仕事を入れ過ぎたプレッシャーから無理してしまったりすることがあります。
意識的に休暇を設けないと、過労やストレスで心身に負担がかかる可能性があるため、健康管理とスケジュール管理が重要です。
フリーランス看護師に向いている人の特徴
フリーランス看護師に向いている人の特徴は、以下のとおりです。
- 自己管理能力が高い人
- 柔軟性がある人
- コミュニケーション能力がある人
- 新しいことに挑戦する意欲がある人
ここでは、フリーランス看護師に向いている人の具体的な特徴を解説します。
自己管理能力が高い人
フリーランス看護師として働くには、あらゆる面で自己管理能力が求められます。
病院勤務のように決められた枠組みがないため、自分で仕事量や働くペースを調整する必要があります。
また、仕事の進捗やクオリティを維持するための日々の習慣づくりや計画性も重要です。自己管理ができていると、安定したパフォーマンスを発揮でき、信頼を得やすくなります。
柔軟性がある人
多様な働き方に適応する力も、フリーランス看護師の方に欠かせない能力です。
クライアントの要望や業務内容に応じて柔軟性を発揮できる人は、より多くのチャンスをつかめ、ストレスも軽減させられるでしょう。
コミュニケーション能力がある人
フリーランス看護師の方は、クライアントや患者さまとの良好な関係を構築する力が大切です。
安定して仕事を得るには、営業力も欠かせません。営業先のニーズを正確に把握し、それに応じた提案や対応をおこなえる人は、新たな仕事を得やすいでしょう。
新しいことに挑戦する意欲がある人
新しい業務に積極的に取り組む姿勢は、フリーランス看護師としての可能性を広げます。
現状に満足せず、果敢に挑戦し続けられる人は、フリーランス看護師として充実した日々を送れるでしょう。
自分で課題を設定し挑戦できる人や自己研鑽を怠らない人は、フリーランス看護師に向いているといえます。
フリーランス看護師になるには?具体的な4ステップ
フリーランス看護師になるために必要な4つのステップは以下のとおりです。
- 自分の得意分野を明確にする
- 税務や保険に関する知識をつける
- 開業届を出して青色申告を活用する
- 求人を探す
ひとつずつ解説します。
自分の得意分野を明確にする
まず、フリーランス看護師としてどのような働き方をしたいのかを考え、得意分野を明確にしましょう。自分の経験や興味にもとづいて選択肢を絞り込むことで、目指す方向性が定まり、必要なスキルや知識を効率的に準備できます。
税務や保険に関する知識をつける
確定申告の方法や納税方法について、基本的な知識を身につけましょう。
必要に応じて税理士や行政書士などの専門家に相談するのもひとつの選択肢です。知識があれば、金銭面でのトラブルを防ぎ、安心して働く環境を整えられます。
開業届を出して青色申告を活用する
フリーランス看護師として正式に活動を始めるには、税務署に開業届を提出する必要があります。
開業届を提出すると、確定申告の際に「青色申告」が使えるようになり、節税対策も可能です。必要な書類や提出のタイミングについてあらかじめ確認するとよいでしょう。
求人を探す
フリーランス看護師の方の仕事を探すためには、転職エージェントや求人サイトの活用が効果的です。
単発の仕事に応募する場合は、単発求人に対応しているエージェントや派遣会社を利用するのがおすすめです。
多くの求人情報に触れ、条件や環境が自分に合う仕事を見つけることが成功への第一歩です。
フリーランス看護師の未来と可能性
フリーランス看護師の方は、高齢化社会の進展による医療・介護サービスの需要の増加にともない、今後もその役割や可能性がますます広がるといえます。
常勤で病院や施設などに勤務する看護師の方では補いきれない要員として、フリーランス看護師の方の柔軟さが期待されています。
また、フリーランス看護師の方は海外での活躍も夢ではありません。ヘルスケア企業や国際医療ボランティア、訪問看護サービスなど、フリーランス看護師の方が活躍できる場は、国外にも多くあるでしょう。
とくに、英語やそのほかの言語スキルを持つ看護師の方は国際的な需要が高いといえます。
現地のライフスタイルや文化に適応しながら、自分らしい働き方を探すのも、楽しみのひとつです。
フリーランス看護師についてよくある質問
フリーランス看護師に関するよくある質問とその回答について、ご紹介します。
Q1:フリーランス看護師として、在宅で働くことはできますか?
フリーランス看護師の方は在宅で働くことができます。
在宅勤務の求人は少ないものの、オンライン健康相談や医療ライティングなど、在宅で完結する仕事に取り組む選択肢はあります。
デジタルツールの活用やリモートでのコミュニケーション能力を磨くなど、在宅勤務に特化したスキルを身につけておくことが大切です。
Q2:フリーランス看護師の年収はどれくらいですか?
フリーランス看護師の年収は、働き方や案件の種類によって大きく異なります。
頑張れば高収入を得られる一方で、仕事を減らすと収入も減ります。そのため、安定した収入を得るためには、計画的に仕事量を調整する必要があります。
収入の安定を図るために、複数の分野で仕事を掛け持ちするのもひとつの方法です。
フリーランス看護師として自由な働き方を手に入れよう
フリーランス看護師は、自分のスキルや働き方を活かしながら、時間や場所に縛られない自由な働き方を実現できる魅力的な選択肢です。
新しい分野に挑戦しながら、自分のペースで仕事を進められるフリーランス看護師は、現代の多様な働き方のなかで大きな可能性を秘めています。これまでの経験やスキルを活かしながら、自分らしい働き方を追求することで、新たなキャリアを広げられるでしょう。今回の記事を参考に、フリーランス看護師としてのキャリアについて検討してみてください。
<参考サイト・文献>
「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。