看護師が転職を成功させるための10のポイントとは?年代別でも解説
「看護師で転職を成功させたいけど、何をしたら良いかわからない」「40代の看護師でも転職できるの?」などと、不安や心配になっている方がいるかもしれません。
看護師の有効求人倍率は2.20倍とされており、看護業界は人手不足の状況です。つまり、看護師の方1人に対して2つ以上の求人数があるため、転職先は見つかりやすいといえます。
ただし、安易に考えると転職は成功しません。さらに、転職したことを後悔する恐れがあります。
そこでこの記事では、看護師の方が転職で成功するためのポイント合計10個や年代別のポイントを解説します。転職したいものの踏み出せない方や、転職を失敗し後悔したくない方は、ぜひ参考にしてください。
看護師が転職を成功させるためのポイント
まずは、看護師の方が転職を成功させるための5つのポイントを解説します。
- 条件を明確にする
- 情報収集をしっかり行う
- 複数の職場に応募する
- 職場見学をする
- 履歴書・職務経歴書にこだわる
看護師の方の転職は、さまざまな働き方があるからこそ失敗しやすいといえます。これら5つのポイントを押さえて、転職を成功させましょう。
条件を明確にする
看護師の方で転職を検討しはじめた際に、見切り発車で転職活動を進め、手当たり次第に求人に応募する方は少なくありません。
そうすると、間違った転職先を選ぶ恐れがあります。
というのも、あなた自身が「どのような病院で働きたいのか」「訪問看護ステーションでは何をしたいのか」などが明確になっていないためです。
そのため、まずは転職でかなえたい条件を明確にしましょう。実際には、以下のポイントを押さえてください。
- 医療機関の形態(総合病院、訪問看護ステーション、美容クリニックなど)
- 勤務地
- 勤務時間
- 診療科目
転職先で何をしたいのか明確にすると、転職先の候補を絞りやすいです。
ただし、自身の希望の条件をすべて満たした職場があるとは限りません。そのため、条件に優先順位をつけたうえで、転職活動を進めてください。
優先させたい条件がわからない方は、現在の職場への不満や不安から考えてみましょう。
情報収集をしっかり行う
転職を成功させるためには、情報収集が欠かせません。自身の希望に合う条件であると、目につきやすく、そのまま転職先を決めたい気持ちになるでしょう。
ですが、すべての情報をうのみにしたり、理想を膨らませたりするのは危険です。
ホームページや転職サイトは、求職者が集まるように良い情報を強調されている恐れがあるためです。
集めた情報をすべて信じると「こんなはずじゃなかったのに……」と、転職後のミスマッチにつながり、転職したことを後悔するかもしれません。
そのため、ホームページや転職サイト、口コミなどから可能な限り情報を集めたうえで、しっかり情報を読み取りましょう。
とくに、口コミは信頼性がやや乏しいと考えられるため、参考程度にしてください。
複数の職場に応募する
複数の職場に応募することも、より良い転職先を見つけるためには大切です。
なぜなら、応募するのが1件のみである場合、転職先を比べられず「本当に自身にとって良い転職先であるのか」を判断できないためです。
さらには、人気があったり、待遇が良かったりする職場であると、必ず採用されるとは限りません。
一方で、たくさんの転職先に応募しすぎるのも控えてください。
看護師の方の多くは、現在の職場で仕事をしながら転職活動しているかもしれません。転職先の候補が増えると、情報をうまく整理できず、転職活動に支障をきたす場合があります。
そのため、転職先を2~3カ所に絞ったうえで、転職活動を進めましょう。
職場見学をする
多くの病院では、職場見学のほかに、インターンシップを実施しています。
実際に、職場を見て、看護師の方とコミュニケーションをとることが重要です。転職先についてさまざまな情報を得る方法はありますが、自身の目で見た情報には変えられません。
看護師の方が利用者さまのケアをしているところや看護師の方同士で話をしているところなど、実際に仕事をしているところを見学できると、雰囲気を感じられるでしょう。自身が働くイメージを持てるかもしれません。
さらには、訪問看護ステーションでは、同行訪問を実施しているところがあります。看護師の方と一緒に利用者さまの自宅に行けるため、実際のケアの様子をみられます。
ホームページや転職サイトではわからない情報が得られるかもしれないため、希望する転職先が職場見学やインターンシップ、同行訪問を実施していれば積極的に参加しましょう。
履歴書・職務経歴書にこだわる
履歴書や職務経歴書にはこだわりましょう。
これらの書類は、転職先の採用担当者がはじめに見る書類であるためです。書類選考で不採用となる場合があります。
そのため、以下のポイントを押さえて書類を書きましょう。
- 履歴書や職務経歴書のマナーに沿っているか
- 誤字脱字がないか
- 空欄の箇所がないか
- 志望動機や自己PRは定型文となっていないか
とくに、誤字脱字は印象を悪くします。これらの書類をパソコンで作成する場合、手書きする場合、いずれも書き上げたあとにチェックしましょう。
ほかの転職希望者と同じような書類では「ぜひ、この人と一緒に働きたい」と思われません。そのため、病院の情報を踏まえたうえで、思いが伝わる書類を作成しましょう。
求人情報の確認ポイント
転職を成功させるためには、求人情報の確認が大切です。以下5つのポイントに沿ってチェックしてください。
- 給与の内訳
- 年間休日日数
- 賞与の有無
- 雇用条件
- 職務内容
求人情報でこれらの情報を十分に確認したうえで転職活動を進めると、転職の成功につながるでしょう。
給与の内訳
転職する方にとって気になるのは、給与の内訳ではないでしょうか。
実際に、現在の職場の給与に不満があり転職を考える方は少なくありません。看護師の給与は、以下の項目で構成されています。
- 基本給
- 扶養手当
- 夜勤手当
- 時間外勤務手当
- 通勤手当
- 危険手当
看護師の給与は、手当が充実しているのが特徴です。
とくに、夜勤手当の支給額により給与は大きく変わります。日本看護協会が公開している「2020年病院看護実態調査」によると、看護師の夜勤手当は1回あたり11,286円(2交代)で、1ヶ月あたり4.7回夜勤をしているとされています。
施設によっては、1回の夜勤手当が2万円を超えるところもあるのです。
訪問看護ステーションでは、夜勤手当ではなく、オンコール手当が支給されます。
オンコール1回あたりの手当 | 割合 |
1,000円未満 | 6.6% |
1,000円~2,000円未満 | 34.2% |
2,000円~3,000円未満 | 31.0% |
3,000円~4,000円未満 | 10.1% |
4,000円以上 | 7.9% |
その他・未回答 | 10.1% |
出典元:訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業|一般社団法人 全国訪問看護事業協会(四捨五入しています)
オンコールは1ヶ月あたり4~8回担当するため、月に2万円前後給与が変わる可能性があります。
さらに、看護師の方の給与は基本給が重要です。
というのも、基本給は各種手当のベースとなるためです。夜勤手当や時間外労働の手当をはじめ、賞与は基本給をもとに計算されます。
そのため、転職を希望する方は、給与の内訳を把握することが大切といえます。
年間休日日数
仕事とプライベートを両立させたい方や子育て中の方にとって、気になるのは年間の休日日数かもしれません。
日本看護協会の調査によると、看護師の休日総数は年間で116.8日です。その内訳は以下の通りです。
休日総数 | 割合 |
100日未満 | 3.0% |
100~110日未満 | 16.3% |
110~120日未満 | 28.4% |
120~130日未満 | 45.7% |
130日以上 | 3.2% |
出典元:2022 年 病院看護・助産実態調査 報告書|日本看護協会(無回答を除外しており100%にはならない)
有給休暇の付与日数は年間で20日のところが多く、取得率は平均65%とされています。つまり、看護師の年間の休日日数は約129日です。
ただし、看護師の年間の休日数は、施設によって大きく異なります。とくに、有給休暇の取得率は、ホームページや転職サイトのみではみえにくいかもしれません。
多く休日を希望する場合は、大学病院や公立病院、総合病院などの規模が大きい病院への転職がおすすめです。
というのも、福利厚生が充実しており、夏季休暇や年末年始の休みなど長期休暇を取りやすいためです。休みが多いと、プライベートが充実しやすく、こころの安定につながる方もいるでしょう。
また、日曜や祝日に休みたい場合は、訪問看護ステーションやクリニックがおすすめです。訪問看護ステーションは日曜日を固定で休みにしているところも多く、子育て中の方に向いているといえます。
賞与の有無
一般的に、賞与は夏と冬の年間2回支給されます。夏季は6月下旬から7月上旬、冬季は12月中に支給される傾向です。
令和4年における看護師の賞与の平均は約86万2,100円です。そのため、賞与の有無は、看護師の方の年収に大きく影響するといえます。
ただし、賞与は支払いの義務はありません。「看護師は高額なボーナスがもらえる」「ボーナスは奮発して使いたい」と思っている方がいるかもしれません。
給与は法律で支払うことが規定されているものの、賞与はもらえない可能性があるのです。
実際に、個人経営のクリニックや規模が小さい病院では、賞与がもらえないもしくは、業績に応じて賞与の有無が決まる場合があります。
さらに、パートや時短勤務で働く看護師の方は賞与がもらえない、もしくはフルタイムで働く看護師の方よりも少ないと悩んでいる方もいるでしょう。
転職するとその悩みを解決できるかもしれません。賞与の有無は、ホームページや転職サイトに記載されているため、転職活動する際に確認しましょう。
雇用条件
看護師の雇用条件は、ホームページで記載されていたり、面接のときに説明されたりします。
ただし、実際に転職したあとに「聞いていた条件と違う」といったケースがあります。具体的には、以下の条件の違いがあります。
- 就業時間や休日
- 夜勤回数
- オンコール回数や自宅待機の回数
- 残業時間
- 給与金額
- 雇用形態
看護師の方には「身体がきついから夜勤はできない」「子育て中なのでオンコール待機できない」「親の介護中なので残業は厳しい」などさまざまな事情がある方もいるでしょう。
雇用条件が違うと、転職したあとに働き続けられなくなる恐れがあります。転職したあとにすぐ退職となり、再度、転職活動をはじめなければなりません。
そのため、まずはホームページで雇用条件を確認してください。面接のときに、自身の希望時間やオンコールの対応の可否なども伝えましょう。
さらに、転職が決まった際に、労働契約書を十分に確認すると、雇用条件の違いでトラブルに合わなくて済むかもしれません。
職務内容
看護師の方の職務内容は、医師の診療や治療の補助をしたり、患者さんのケアをしたりなど、基本的な職務内容は共通しています。
具体的な看護師の方の職務内容は、以下があげられます。
- バイタルサインの測定
- 注射や点滴
- 患者さんの移送
- 食事や入浴、排せつの介助
- ベッドメイキング
- 記録
- 他職種とのカンファレンス
どの医療職よりも利用者さまに近い存在としてかかわります。
ただし、職務内容は、所属する施設の形態や診療科、雇用形態などによって大きく変わるのが一般的です。病院と訪問看護ステーションでは、必要なスキルが異なるでしょう。
看護師の方が持っているスキルと求められるスキルが異なると、仕事がスムーズにいかずストレスを抱える状況になるかもしれません。
そのため、転職先を探すうえで、職務内容は十分に確認しましょう。希望する診療科があれば、面接のときに伝えてください。
年代別の転職のポイント
ここでは、年代別の転職のポイントを解説します。20代~50代で何を重視すべきかみていきましょう。
20代のポイント
20代で1度は転職を経験した方は多いのではないでしょうか。
というのも、看護師として就職したものの、業務内容が思った以上にハードであり、理想とのギャップを感じやすいためです。
ただし、20代での転職のポイントは、20代前半と後半で異なります。
20代前半であれば、看護師としてのスキルや知識が十分に身についておらず、コミュニケーション能力も不十分であると考えられるためです。
採用担当者に「またすぐ辞めるのでは?」と思われる恐れがあるため、転職する際には転職する理由をはっきりとさせ、採用担当者にアピールしましょう。
20代後半は、リーダー経験や後輩の指導経験などがある場合が多いです。さらに、新しい職場にも柔軟に適応でき、体力もあるため夜勤やオンコールの業務も問題ないといえます。20代前半と比較すると、20代後半は転職に有利に働くかもしれません。
そのため、20代前半と後半では状況が異なることを理解して転職活動を進めましょう。
30代のポイント
30代の看護師の方は、職場では中堅的なポジションを担っている場合が多いのではないでしょうか。
転職する場合は、30代であれば10年前後のキャリアがあるため、十分なスキルや経験を持っていると判断されます。
ただし、30代の転職は、ライフイベントによる影響を受けやすいです。
厚生労働省によると、令和3年における平均の初婚年齢は男性が31歳、女性が29.5歳で、第1出生時の母の平均年齢は30.9歳とされています。
結婚や出産などライフイベントにより、キャリアを中断する場合がある一方で、学校を卒業してからずっと仕事している場合もあります。
そのため、自身の経験を見直し、転職に活かすことが大切です。
40代のポイント
一般的には、40代での転職は難しいとされます。
ですが、看護師の方の場合は、専門的な資格を保有しており、看護業界が人手不足であるため、転職はさほど難しくはありません。
40代で転職する理由は、子育てが忙しい場合や子育てが一旦落ち着いた場合、キャリアアップを目指す場合などがあるでしょう。
40代の看護師の方は、経験が豊富で即戦力と判断されます。中には、管理職の経験を活かしたり、人材育成を期待されたりすることがあるかもしれません。
そのため、自身のキャリアを活かせる転職先を探すことが、転職の成功には欠かせないといえます。
50代以降のポイント
50代以降の転職も、看護師の方の場合は不利にならないでしょう。
50代ならではの豊富な経験を活かせたり、業務のお手本になる立ち位置を期待されたりするためです。
ただし、体力の問題があります。若い看護師の方と同様に、夜勤や救急対応などをこなすと、体力の負担を感じやすいです。
また、定年後の再雇用制度の有無が重要です。定年後も働き続けたいと考えている方は、定年後の生活を見据えて、転職先を選びましょう。
まとめ
看護業界は人手不足であるため、転職には困らないかもしれません。
ただし、安易に考えると転職で失敗します。
看護師の方が転職を成功させるためには、条件を明確にしたり、転職先の情報収集をしっかり行ったりすることが大切です。
さらに、転職する年代におけるポイントを踏まえたうえで、転職活動を進めなければなりません。
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